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法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

役に立つ裁判例の紹介、法律の本の書評です。弁護士経験32年。第二東京弁護士会所属21770

10年退職金事件・所得税法30条1項にいう退職所得にあたるかどうかの認定判断につき法令の解釈適用の誤り及び審理不尽の違法があるとされた事例

 

 

源泉徴収納付義務告知処分取消等請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/昭和54年(行ツ)第35号

【判決日付】      昭和58年12月6日

【判示事項】      所得税法30条1項にいう退職所得にあたるかどうかの認定判断につき法令の解釈適用の誤り及び審理不尽の違法があるとされた事例

【判決要旨】      従業員が満55歳又は勤続満10年に達したときに定年となる旨の就業規則の定め及び退職金規程に基づき、勤続満10年に達したことを理由として退職金名義の金員の支給を受けた従業員の大部分が、その役職、給与、有給休暇の日数の算定等の労働条件に変化がないまま引き続き勤務しているなど判示のような事実関係があるときは、右就業規則の客観的な運用として従業員が勤続満10年に達したときは退職するのを原則的取扱いとしており、その後継続している勤務関係が単なる従前の勤務関係の延長ではなく新たな雇用契約に基づくものであるとの実質を有すること、又は右金員が定年延長若しくは退職年金支給制度の採用等の合理的な理由による退職金支給制度の実質的改変により精算の必要があつて支給されたものであること、若しくは継続している勤務関係がその性質、内容、労働条件等において重大な変動を受け実質的には単なる従前の勤務関係の延長とはみられないこと等の特別の事実関係がないにもかかわらず、右金員を所得税法30条1項にいう退職所得にあたると認定判断することには、法令の解釈適用の誤り及び審理不尽の違法がある。

             (反対意見がある。)

【参照条文】      所得税法30-1

             民事訴訟法394

【掲載誌】        訟務月報30巻6号1065頁

             最高裁判所裁判集民事140号589頁

             判例タイムズ517号112頁

             金融・商事判例700号41頁

             判例時報1106号61頁

 

所得税法

(退職所得)

第三十条 退職所得とは、退職手当、一時恩給その他の退職により一時に受ける給与及びこれらの性質を有する給与(以下この条において「退職手当等」という。)に係る所得をいう。

2 退職所得の金額は、その年中の退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額の二分の一に相当する金額(当該退職手当等が、短期退職手当等である場合には次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額とし、特定役員退職手当等である場合には当該退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額に相当する金額とする。)とする。

一 当該退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額が三百万円以下である場合 当該残額の二分の一に相当する金額

二 前号に掲げる場合以外の場合 百五十万円と当該退職手当等の収入金額から三百万円に退職所得控除額を加算した金額を控除した残額との合計額

3 前項に規定する退職所得控除額は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額とする。

一 政令で定める勤続年数(以下この項及び第七項において「勤続年数」という。)が二十年以下である場合 四十万円に当該勤続年数を乗じて計算した金額

二 勤続年数が二十年を超える場合 八百万円と七十万円に当該勤続年数から二十年を控除した年数を乗じて計算した金額との合計額

4 第二項に規定する短期退職手当等とは、退職手当等のうち、退職手当等の支払をする者から短期勤続年数(前項第一号に規定する勤続年数のうち、次項に規定する役員等以外の者としての政令で定める勤続年数が五年以下であるものをいう。第七項において同じ。)に対応する退職手当等として支払を受けるものであつて、次項に規定する特定役員退職手当等に該当しないものをいう。

5 第二項に規定する特定役員退職手当等とは、退職手当等のうち、役員等(次に掲げる者をいう。)としての政令で定める勤続年数(以下この項及び第七項において「役員等勤続年数」という。)が五年以下である者が、退職手当等の支払をする者から当該役員等勤続年数に対応する退職手当等として支払を受けるものをいう。

一 法人税法第二条第十五号(定義)に規定する役員

二 国会議員及び地方公共団体の議会の議員

三 国家公務員及び地方公務員

6 次の各号に掲げる場合に該当するときは、第二項に規定する退職所得控除額は、第三項の規定にかかわらず、当該各号に定める金額とする。

一 その年の前年以前に他の退職手当等の支払を受けている場合で政令で定める場合 第三項の規定により計算した金額から、当該他の退職手当等につき政令で定めるところにより同項の規定に準じて計算した金額を控除した金額

二 第三項及び前号の規定により計算した金額が八十万円に満たない場合(次号に該当する場合を除く。) 八十万円

三 障害者になつたことに直接基因して退職したと認められる場合で政令で定める場合 第三項及び第一号の規定により計算した金額(当該金額が八十万円に満たない場合には、八十万円)に百万円を加算した金額

7 その年中に一般退職手当等(退職手当等のうち、短期退職手当等(第四項に規定する短期退職手当等をいう。以下この項において同じ。)及び特定役員退職手当等(第五項に規定する特定役員退職手当等をいう。以下この項において同じ。)のいずれにも該当しないものをいう。以下この項において同じ。)、短期退職手当等又は特定役員退職手当等のうち二以上の退職手当等があり、当該一般退職手当等に係る勤続年数、当該短期退職手当等に係る短期勤続年数又は当該特定役員退職手当等に係る役員等勤続年数に重複している期間がある場合の退職所得の金額の計算については、政令で定める。

 

 

建築工事請負会社の従業員Aがマイカーで工事現場から会社の寮へ帰る途中で起こした事故につき、会社は現場作業員から工事現場へマイカーで通勤することを禁じていたが、ときにAがマイカーを寮から向上現場への通勤手段としえ利用していることを黙認して事実上利益を得ており、かつAを寮に住まわせ会社は右車両の運行につき直接または間接的に指揮監督をなしうる地位にあり、社会通念上もその運行が社会に害悪をもたらさないよう監視、監督すべき立場にあったとして、会社に運行供用者責任を認めた原判決を正当として是認した事例

 

 

求償金請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/昭和61年(オ)第1452号

【判決日付】      平成元年6月6日

【判決要旨】      建築工事請負会社の従業員Aがマイカー工事現場から会社の寮へ帰る途中で起こした事故につき、会社は現場作業員から工事現場へマイカーで通勤することを禁じていたが、ときにAがマイカーを寮から向上現場への通勤手段としえ利用していることを黙認して事実上利益を得ており、かつAを寮に住まわせ会社は右車両の運行につき直接または間接的に指揮監督をなしうる地位にあり、社会通念上もその運行が社会に害悪をもたらさないよう監視、監督すべき立場にあったとして、会社に運行供用者責任を認めた原判決を正当として是認した事例

【参照条文】      自動車損害賠償保障法3

【掲載誌】        労働経済判例速報1385号9頁

 

自動車損害賠償保障法

(自動車損害賠償責任)

第三条 自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる。ただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと、被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があつたこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかつたことを証明したときは、この限りでない。

 

パキスタン・イスラム共和国事件・外国国家の私法的ないし業務管理的な行為と民事裁判権の免除

 

 

              貸金請求事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷判決/平成15年(受)第1231号

【判決日付】      平成18年7月21日

【判示事項】      1 外国国家の私法的ないし業務管理的な行為と民事裁判権の免除

             2 外国国家の行為の性質が私人でも行うことが可能な商業取引である場合と民事裁判権が免除されない私法的ないし業務管理的な行為

             3 外国国家が私人との間の契約に含まれた明文の規定により我が国の民事裁判権に服することを約した場合と民事裁判権の免除

【判決要旨】      1 外国国家は,主権的行為以外の私法的ないし業務管理的な行為については,我が国による民事裁判権の行使が当該外国国家の主権を侵害するおそれがあるなど特段の事情がない限り,我が国の民事裁判権から免除されない

             2 外国国家は,私人との間の書面による契約に含まれた明文の規定により当該契約から生じた紛争について我が国の民事裁判権に服することを約した場合には,原則として,当該紛争について我が国の民事裁判権から免除されない

             3 外国国家の行為が,その性質上,私人でも行うことが可能な商業取引である場合には,その行為は,目的のいかんにかかわらず,特段の事情がない限り我が国の民事裁判権から免除されない私法的ないし業務管理的な行為に当たる

【参照条文】      民事訴訟法1編2章

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集60巻6号2542頁

 

『国際法で世界がわかる――ニュースを読み解く32講』 2016/12/23

森川 幸一 (編集), 森 肇志 (編集), 岩月 直樹 (編集), 藤澤 巌 (編集), 北村 朋史 (編集)

 

 

内容(「BOOK」データベースより)

イスラーム国はなぜ「国」ではないのか?WTOが存在するのにTPPを締結する理由は?「領空侵犯」は正しく、「領海侵犯」は正しくない?「固有の領土」「防空識別圏」とは?メディアを賑わすさまざまな国際ニュースに潜む素朴な疑問を題材に、国際法の考え方や基礎知識が身につき、国際問題を見る眼を養うことができる画期的な入門書。

 

コメント

国際法においては、条約だけではなく、学説も大事ということをわからせてくれる。

例えば、フィリピン対中国の南シナ海事件で、フィリピンがとった訴訟戦術。

 

 

 

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

森川/幸一

専修大学法学部教授

 

森/肇志

東京大学大学院法学政治学研究科教授

 

岩月/直樹

立教大学法学部教授

 

藤澤/巌

千葉大学法政経学部准教授

 

北村/朋史

東京大学大学院総合文化研究科准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

出版社 ‏ : ‎ 岩波書店 (2016/12/23)

発売日 ‏ : ‎ 2016/12/23

言語 ‏ : ‎ 日本語

単行本(ソフトカバー) ‏ : ‎ 360ページ

 

第12章 電気通信事業を「営んでいる」こと

電気通信事業法の適用を受ける「電気通信事業者」は、電気通信事業を「営む」者に限られます(同法2条5号)。

 

「営む」とは営利性があること、つまり利用者から料金を徴収している、または広告料収入を得ていることを意味します。

 

これに対して営利性がない場合、例えば電気通信の媒介設備を無償で設置・提供し、広告料収入も一切得ていない場合には、電気通信事業法が適用されません。

 

 

第13章 適用除外に該当しないこと

電気通信事業法は、以下の電気通信事業には原則として適用されません(同法164条1項)。

 

①1人または1社のみに対して、電気通信役務を提供する場合(電気通信事業者の事業用に提供する場合を除く)

 

②同一構内または同一の建物内、その他総務省令で定める基準に満たない規模の設備により電気通信役務を提供する場合

 

③電気通信回線設備を設置せず、かつ他人間の通信を媒介しない場合

ただし、適用除外に該当しても、検閲禁止と秘密保護に関する規定は適用されます(同条3項、同法3条、4条)。

 

また、上記③に該当する電気通信事業(=第三号事業)については、今回の改正により規制強化が行われている点に注意が必要です(「電気通信事業法の改正ポイント①|届け出制の対象が拡大される」にて後述)。

 

まとめると、電気通信事業法の適用を受ける事業者とは、「電気通信事業を、営利目的で行っており、適用除外に該当しない事業者」です。

 

 

 

5年退職金事件・所得税法30条1項にいう退職所得にあたらないとされた事例

 

 

              納税告知処分等取消請求事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷判決/昭和53年(行ツ)第72号

【判決日付】      昭和58年9月9日

【判示事項】      所得税法30条1項にいう退職所得にあたらないとされた事例

【判決要旨】      従業員の勤務年数が満5年に達するごとに退職金を支給する旨及び右退職金の算定にあたつては既に支給した退職金の算定の基礎とされた勤務年数は算入しない旨を定めた給与規定に基づき、勤務年数が満5年に達した者に退職金名義の金員を支給した場合において、右金員の支給を受けた者が再雇用のためのなんらの手続を経ることなく従来のままの就労を継続しており、賃金その他の労働条件にも全く変化がなく、また、就業規則中には、勤務年数が満5年に達したときは従業員たる身分を失う旨を定めた規定がなく、従業員の定年を満55歳とする旨の規定があるなど、判示のような事実関係があるときは、右金員に係る所得は、所得税法30条1項にいう退職所得にあたらない。

【参照条文】      所得税法30-1

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集37巻7号962頁

 

所得税法

(退職所得)

第三十条  退職所得とは、退職手当、一時恩給その他の退職により一時に受ける給与及びこれらの性質を有する給与(以下この条において「退職手当等」という。)に係る所得をいう。

2  退職所得の金額は、その年中の退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額の二分の一に相当する金額(当該退職手当等が、短期退職手当等である場合には次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額とし、特定役員退職手当等である場合には当該退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額に相当する金額とする。)とする。

一  当該退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額が三百万円以下である場合  当該残額の二分の一に相当する金額 

二  前号に掲げる場合以外の場合  百五十万円と当該退職手当等の収入金額から三百万円に退職所得控除額を加算した金額を控除した残額との合計額 

3  前項に規定する退職所得控除額は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額とする。

一  政令で定める勤続年数(以下この項及び第七項において「勤続年数」という。)が二十年以下である場合  四十万円に当該勤続年数を乗じて計算した金額 

二  勤続年数が二十年を超える場合  八百万円と七十万円に当該勤続年数から二十年を控除した年数を乗じて計算した金額との合計額 

4  第二項に規定する短期退職手当等とは、退職手当等のうち、退職手当等の支払をする者から短期勤続年数(前項第一号に規定する勤続年数のうち、次項に規定する役員等以外の者としての政令で定める勤続年数が五年以下であるものをいう。第七項において同じ。)に対応する退職手当等として支払を受けるものであつて、次項に規定する特定役員退職手当等に該当しないものをいう。

5  第二項に規定する特定役員退職手当等とは、退職手当等のうち、役員等(次に掲げる者をいう。)としての政令で定める勤続年数(以下この項及び第七項において「役員等勤続年数」という。)が五年以下である者が、退職手当等の支払をする者から当該役員等勤続年数に対応する退職手当等として支払を受けるものをいう。

一  法人税法第二条第十五号(定義)に規定する役員

二  国会議員及び地方公共団体の議会の議員

三  国家公務員及び地方公務員

6  次の各号に掲げる場合に該当するときは、第二項に規定する退職所得控除額は、第三項の規定にかかわらず、当該各号に定める金額とする。

一  その年の前年以前に他の退職手当等の支払を受けている場合で政令で定める場合  第三項の規定により計算した金額から、当該他の退職手当等につき政令で定めるところにより同項の規定に準じて計算した金額を控除した金額 

二  第三項及び前号の規定により計算した金額が八十万円に満たない場合(次号に該当する場合を除く。)  八十万円 

三  障害者になつたことに直接基因して退職したと認められる場合で政令で定める場合  第三項及び第一号の規定により計算した金額(当該金額が八十万円に満たない場合には、八十万円)に百万円を加算した金額 

7  その年中に一般退職手当等(退職手当等のうち、短期退職手当等(第四項に規定する短期退職手当等をいう。以下この項において同じ。)及び特定役員退職手当等(第五項に規定する特定役員退職手当等をいう。以下この項において同じ。)のいずれにも該当しないものをいう。以下この項において同じ。)、短期退職手当等又は特定役員退職手当等のうち二以上の退職手当等があり、当該一般退職手当等に係る勤続年数、当該短期退職手当等に係る短期勤続年数又は当該特定役員退職手当等に係る役員等勤続年数に重複している期間がある場合の退職所得の金額の計算については、政令で定める。

 

 

 

都市計画法11条1項1号の道路に関する都市計画の変更決定と抗告訴訟の対象

 

 

              福島県北都市計画道路変更決定取消請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/昭和61年(行ツ)第173号

【判決日付】      昭和62年9月22日

【判示事項】      都市計画法11条1項1号の道路に関する都市計画の変更決定と抗告訴訟の対象

【判決要旨】      都市計画法11条1項1号の道路に関する都市計画の変更決定は、抗告訴訟の対象とならない。

【参照条文】      都市計画法11-1

             都市計画法18-1

             都市計画法21-2

             行政事件訴訟法

【掲載誌】        最高裁判所裁判集民事151号695頁

             判例タイムズ675号113頁

             判例時報1285号25頁

【評釈論文】      民商法雑誌98巻6号834頁

 

都市計画法

(都市施設)

第十一条1項 都市計画区域については、都市計画に、次に掲げる施設を定めることができる。この場合において、特に必要があるときは、当該都市計画区域外においても、これらの施設を定めることができる。

一 道路、都市高速鉄道、駐車場、自動車ターミナルその他の交通施設

二 公園、緑地、広場、墓園その他の公共空地

三 水道、電気供給施設、ガス供給施設、下水道、汚物処理場、ごみ焼却場その他の供給施設又は処理施設

四 河川、運河その他の水路

五 学校、図書館、研究施設その他の教育文化施設

六 病院、保育所その他の医療施設又は社会福祉施設

七 市場、と畜場又は火葬場

八 一団地の住宅施設(一団地における五十戸以上の集団住宅及びこれらに附帯する通路その他の施設をいう。)

九 一団地の官公庁施設(一団地の国家機関又は地方公共団体の建築物及びこれらに附帯する通路その他の施設をいう。)

十 一団地の都市安全確保拠点施設(溢いつ水、湛たん水、津波、高潮その他の自然現象による災害が発生した場合における居住者等(居住者、来訪者又は滞在者をいう。以下同じ。)の安全を確保するための拠点となる一団地の特定公益的施設(避難場所の提供、生活関連物資の配布、保健医療サービスの提供その他の当該災害が発生した場合における居住者等の安全を確保するために必要な機能を有する集会施設、購買施設、医療施設その他の施設をいう。第四項第一号において同じ。)及び公共施設をいう。)

十一 流通業務団地

十二 一団地の津波防災拠点市街地形成施設(津波防災地域づくりに関する法律(平成二十三年法律第百二十三号)第二条第十五項に規定する一団地の津波防災拠点市街地形成施設をいう。)

十三 一団地の復興再生拠点市街地形成施設(福島復興再生特別措置法(平成二十四年法律第二十五号)第三十二条第一項に規定する一団地の復興再生拠点市街地形成施設をいう。)

十四 一団地の復興拠点市街地形成施設(大規模災害からの復興に関する法律(平成二十五年法律第五十五号)第二条第八号に規定する一団地の復興拠点市街地形成施設をいう。)

十五 その他政令で定める施設

 

(都道府県の都市計画の決定)

第十八条1項 都道府県は、関係市町村の意見を聴き、かつ、都道府県都市計画審議会の議を経て、都市計画を決定するものとする。

 

(都市計画の変更)

第二十一条 都道府県又は市町村は、都市計画区域又は準都市計画区域が変更されたとき、第六条第一項若しくは第二項の規定による都市計画に関する基礎調査又は第十三条第一項第二十号に規定する政府が行う調査の結果都市計画を変更する必要が明らかとなつたとき、遊休土地転換利用促進地区に関する都市計画についてその目的が達成されたと認めるとき、その他都市計画を変更する必要が生じたときは、遅滞なく、当該都市計画を変更しなければならない。

2 第十七条から第十八条まで及び前二条の規定は、都市計画の変更(第十七条、第十八条第二項及び第三項並びに第十九条第二項及び第三項の規定については、政令で定める軽易な変更を除く。)について準用する。この場合において、施行予定者を変更する都市計画の変更については、第十七条第五項中「当該施行予定者」とあるのは、「変更前後の施行予定者」と読み替えるものとする。

 

行政事件訴訟法

(抗告訴訟)

第三条 この法律において「抗告訴訟」とは、行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいう。

2 この法律において「処分の取消しの訴え」とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(次項に規定する裁決、決定その他の行為を除く。以下単に「処分」という。)の取消しを求める訴訟をいう。

3 この法律において「裁決の取消しの訴え」とは、審査請求その他の不服申立て(以下単に「審査請求」という。)に対する行政庁の裁決、決定その他の行為(以下単に「裁決」という。)の取消しを求める訴訟をいう。

4 この法律において「無効等確認の訴え」とは、処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無の確認を求める訴訟をいう。

5 この法律において「不作為の違法確認の訴え」とは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟をいう。

6 この法律において「義務付けの訴え」とは、次に掲げる場合において、行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずることを求める訴訟をいう。

一 行政庁が一定の処分をすべきであるにかかわらずこれがされないとき(次号に掲げる場合を除く。)。

二 行政庁に対し一定の処分又は裁決を求める旨の法令に基づく申請又は審査請求がされた場合において、当該行政庁がその処分又は裁決をすべきであるにかかわらずこれがされないとき。

7 この法律において「差止めの訴え」とは、行政庁が一定の処分又は裁決をすべきでないにかかわらずこれがされようとしている場合において、行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求める訴訟をいう。

 

       主   文

 

 本件上告を棄却する。

 上告費用は上告人らの負担とする。

 

       理   由

 

 上告代理人佐藤昭雄、同佐藤唯人、同犬飼健郎、同村上敏郎、同氏家和男の上告理由について

 本件都市計画変更決定が抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらないとした原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。本件訴えを却下したからといつて憲法三二条に違反するものでないことは、当裁判所大法廷判決(昭和三二年(オ)第一九五号同三五年一二月七日判決・民集一四巻一三号二九六四頁)の趣旨に徴して明らかである。論旨は、採用することができない。

 よつて、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

市民的及び政治的権利に関する国際規約(B規約)14条1項は、受刑者が自己の民事事件の訴訟代理人である弁護士と接見する権利をも保障していると解するのが相当である

高松高等裁判所判決/平成8年(ネ)第144号、平成8年(ネ)第204号
平成9年11月25日
受刑者接見妨害国家賠償請求控訴事件
【判示事項】    1 市民的及び政治的権利に関する国際規約(B規約)14条1項は、受刑者が自己の民事事件の訴訟代理人である弁護士と接見する権利をも保障していると解するのが相当である
2 受刑者とその民事事件の訴訟代理人である弁護士との接見について、具体的に30分以上の打合せ時間が必要と認められる場合には相当と認められる範囲で時間制限を緩和した接見が認められるべきであり、接見を必要とする打合せの内容が当該刑務所における処遇等の事実関係にわたり、刑務所職員の立会いがあっては十分な打合せができないと認められる場合には、その範囲で刑務所職員の立会いなしでの接見が認められるべきである
【参照条文】    憲法32
          憲法13
          市民的及び政治的権利に関する国際規約14-1
          監獄法45-2
          監獄法50
          監獄法施行規則121
          監獄法施行規則127-1
          監獄法施行規則条約法に関するウィーン条約31
          国家賠償法1-1
          弁護士法1
【掲載誌】     判例タイムズ977号65頁
          判例時報1653号117頁
【評釈論文】    ジュリスト臨時増刊1135号200頁

事案の概要
 1 本件は、受刑者であるXが刑務所内で暴行を受けたとして国を相手に国家賠償を求めた民事訴訟の代理人である弁護士らが、打合せのためにXとの接見を求めたところ、時間を30分に制限され又は接見を拒否されたこと及び接見の際に刑務所の職員が立ち会ったことが違法であるとして、X及び弁護士3名(1審原告)が、国(1審被告)を相手として国家賠償法に基づき慰謝料の支払いを求めた事案である。
 2 本件における主要な争点は、刑務所長が、受刑者とその民事訴訟事件の代理人である弁護士との接見について、時間を30分以内に制限し又は接見させなかった措置及び刑務所職員を立ち会わせた措置が違法であるかどうかの点であるが、その前提として、監獄法45条2項をどのように解釈するか、また、同法50条に基づく同法施行規則121条で接見時間を30分以内としていること及び同規則127条1項で接見には監獄官吏がこれに立ち会うべきことを定めていることが憲法32条、市民的及び政治的権利に関する国際規約(B規約)14条1項に反するものかどうか、すなわち憲法32条、B規約14条1項が受刑者とその民事訴訟の代理人である弁護士と接見する権利を保障したものかどうか、保障しているとすればその内容はどのようなものか(時間制限及び接見の際の立会いなしの無条件のものかどうか。)が重要な争点となった。 

憲法
第三十二条 何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。

第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

市民的及び政治的権利に関する国際規約(B規約)14条1項
第十四条
1 すべての者は、裁判所の前に平等とする。すべての者は、その刑事上の罪の決定又は民事上の権利及び義務の争いについての決定のため、法律で設置された、権限のある、独立の、かつ、公平な裁判所による公正な公開審理を受ける権利を有する。報道機関及び公衆に対しては、民主的社会における道徳、公の秩序若しくは国の安全を理由として、当事者の私生活の利益のため必要な場合において又はその公開が司法の利益を害することとなる特別な状況において裁判所が真に必要があると認める限度で、裁判の全部又は一部を公開しないことができる。もっとも、刑事訴訟又は他の訴訟において言い渡される判決は、少年の利益のために必要がある場合又は当該手続が夫婦間の争い若しくは児童の後見に関するものである場合を除くほか、公開する。

平成十七年法律第五十号
刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律
(面会の相手方)
第百十一条 刑事施設の長は、受刑者(未決拘禁者としての地位を有するものを除く。以下この目において同じ。)に対し、次に掲げる者から面会の申出があったときは、第百四十八条第三項又は次節の規定により禁止される場合を除き、これを許すものとする。
一 受刑者の親族
二 婚姻関係の調整、訴訟の遂行、事業の維持その他の受刑者の身分上、法律上又は業務上の重大な利害に係る用務の処理のため面会することが必要な者
三 受刑者の更生保護に関係のある者、受刑者の釈放後にこれを雇用しようとする者その他の面会により受刑者の改善更生に資すると認められる者
2 刑事施設の長は、受刑者に対し、前項各号に掲げる者以外の者から面会の申出があった場合において、その者との交友関係の維持その他面会することを必要とする事情があり、かつ、面会により、刑事施設の規律及び秩序を害する結果を生じ、又は受刑者の矯正処遇の適切な実施に支障を生ずるおそれがないと認めるときは、これを許すことができる。
(面会の立会い等)
第百十二条 刑事施設の長は、刑事施設の規律及び秩序の維持、受刑者の矯正処遇の適切な実施その他の理由により必要があると認める場合には、その指名する職員に、受刑者の面会に立ち会わせ、又はその面会の状況を録音させ、若しくは録画させることができる。ただし、受刑者が次に掲げる者と面会する場合には、刑事施設の規律及び秩序を害する結果を生ずるおそれがあると認めるべき特別の事情がある場合を除き、この限りでない。
一 自己に対する刑事施設の長の措置その他自己が受けた処遇に関し調査を行う国又は地方公共団体の機関の職員
二 自己に対する刑事施設の長の措置その他自己が受けた処遇に関し弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)第三条第一項に規定する職務を遂行する弁護士
(面会の一時停止及び終了)
第百十三条 刑事施設の職員は、次の各号のいずれかに該当する場合には、その行為若しくは発言を制止し、又はその面会を一時停止させることができる。この場合においては、面会の一時停止のため、受刑者又は面会の相手方に対し面会の場所からの退出を命じ、その他必要な措置を執ることができる。
一 受刑者又は面会の相手方が次のイ又はロのいずれかに該当する行為をするとき。
イ 次条第一項の規定による制限に違反する行為
ロ 刑事施設の規律及び秩序を害する行為
二 受刑者又は面会の相手方が次のイからホまでのいずれかに該当する内容の発言をするとき。
イ 暗号の使用その他の理由によって、刑事施設の職員が理解できないもの
ロ 犯罪の実行を共謀し、あおり、又は唆すもの
ハ 刑事施設の規律及び秩序を害する結果を生ずるおそれのあるもの
ニ 受刑者の矯正処遇の適切な実施に支障を生ずるおそれのあるもの
ホ 特定の用務の処理のため必要であることを理由として許された面会において、その用務の処理のため必要な範囲を明らかに逸脱するもの
2 刑事施設の長は、前項の規定により面会が一時停止された場合において、面会を継続させることが相当でないと認めるときは、その面会を終わらせることができる。

国家賠償法
第一条 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。
② 前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。

弁護士法
(弁護士の使命)
第一条 弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。
2 弁護士は、前項の使命に基き、誠実にその職務を行い、社会秩序の維持及び法律制度の改善に努力しなければならない。

 

第11章 「検索情報電気通信役務」および「媒介相当電気通信役務」概念の新設

 

改正法では、「検索情報電気通信役務」と「媒介相当電気通信役務」という新たな概念が設けられています(改正法13条2項、16条2項、同条6項、164条1項3号ロおよびハ)。

 

これまで、第三号事業者に該当する事業者は、電気通信事業者の届出をする必要がありませんでした。しかし、本改正法施行後は、大規模なインターネット検索サービスやSNSを提供する事業者で、総務大臣に指定を受けた者は、届出などの手続きをしなければならなくなりました。

 

検索情報電気通信役務とは、入力されたキーワードに対応して、そのキーワードを含むウェブページのURLなどを出力する電気通信設備を提供する電気通信役務のうち、利用者の範囲・利用状況を勘して、利用者の利益に及ぼす影響が大きいものとして総務省令で定めるものを意味します。

 

 

具体的にはInstagramやTwitterなど、利用者数の多い大規模なSNSが例に挙げられます。

 

 

【指定の対象となりうるサービス】

 

検索情報電気通信役務...インターネット検索サービス

媒介相当電気通信役務...SNSなど他社の通信を媒介して行うサービス

なお、指定の対象となるのは、上記電気通信役務のうち、利用者の利益に及ぼす影響が大きいものとして、総務省令で定めるものとされており、

 

「検索情報電気通信役務」については以下が対象となります。

 

利用者数が1,000万人以上である電気通信役務

分野横断的な検索サービスを提供する電気通信役務(レストラン、商品など特定分野のみの検索サービスは対象外)

(引用:電気通信事業法施行規則などの一部改正について​​)

 

 

「媒介相当電気通信役務」については以下が対象となります。

 

利用者数が1,000万人以上である電気通信役務

主として不特定の利用者間の交流を実質的に媒介する電気通信役務(付随的に当該電気通信役務を提供する電気通信役務及び商取引に関する情報のみ取り扱う電気通信役務は除く。)

※ テキスト、動画又は音声によるSNS、登録制掲示板、登録制オープンチャット、動画共有プラットフォーム、ブログプラットフォーム等。なお、契約や登録が不要なものは、対象外

 

(引用:電気通信事業法施行規則などの一部改正について​​)

 

 

 上述のとおり、第三号事業は、電気通信事業法の一部の規定のみが適用されるという緩やかな規制に服しているところ、現状、インターネット検索サービスやSNSは、第三号事業として扱われています。しかしながら、本改正によって、新たに「検索情報電気通信役務」7 と「媒介相当電気通信役務」8 という概念が新設され、これらの電気通信役務を提供する者として総務大臣に指定された者は、電気通信事業の届出等をしなければならないとされました(改正法13条2項、16条2項、同条6項、164条1項3号ロおよびハ)。検索情報電気通信役務は分野横断的なインターネット検索サービスを想定しており、媒介相当電気通信役務はSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)、動画共有プラットフォーム、ブログプラットフォーム、電子掲示板等(以下「SNS等」といいます)を想定しています。

 

 

 もっとも、インターネット検索サービスやSNS等のすべてを規制対象とすることまでは想定されておらず、一部の大規模な事業者のみが規制対象となる見込みです。「特定利用者情報の適正な取扱いに関するワーキンググループ」の資料 9 によれば、月間アクティブ利用者数の年平均値が1,000万人以上の分野横断検索サービスやSNS等を提供する事業者等が規制対象とされています。改正施行規則においても、この基準が採用されました(改正施行規則59条の3第4項および第5項)。

 

 

 改正法施行後は、このような大規模なインターネット検索サービスやSNS等を提供する事業者は、電気通信事業の届出等を行う必要があり(改正法13条2項、16条2項、同条6項)、その結果「電気通信事業者」として、特定利用者情報の規律を含む各種の規制に服することになります。

 

 

電気通信を行うための機械、器具、線路その他の電気的設備と定義されており、各種の端末機器、出入力装置、交換機、搬送装置、無線通信設備、電子計算機、ケーブル、通信用電力装置およびこれらに付属する機器を含みます(多賀谷一照『電気通信事業法逐条解説(第2版改訂版)』27頁(情報通信振興会,2019))。 ↩︎

 

送信の場所と受信の場所との間を接続する伝送路設備およびこれと一体として設置される交換設備ならびにこれらの附属設備をいい、たとえば、光ファイバや携帯電話基地局等が該当します。 ↩︎

 

Mobile Network Operatorの略であり、自ら電気通信回線設備を保有して、移動系サービスを提供する事業者のこと。 ↩︎

 

Fixed Network Operatorの略であり、自ら電気通信回線設備を保有して、固定系サービスを提供する事業者のこと。 ↩︎

 

Mobile Virtual Network Operatorの略であり、電気通信回線設備を保有せずに、移動系サービスを提供する事業者のこと。 ↩︎

 

Fixed Virtual Network Operatorの略であり、電気通信回線設備を保有せずに、固定系サービスを提供する事業者のこと。 ↩︎

 

入力された検索情報(検索により求める情報をいう)に対応して当該検索情報が記録されたウェブページのドメイン名その他の所在に関する情報を出力する機能を有する電気通信設備を他人の通信の用に供する電気通信役務のうち、その内容、利用者の範囲および利用状況を勘して利用者の利益に及ぼす影響が大きいものとして総務省令で定める電気通信役務 ↩︎

 

その記録媒体(当該記録媒体に記録された情報が不特定の者に送信されるものに限る)に情報を記録し、またはその送信装置(当該送信装置に入力された情報が不特定の者に送信されるものに限る)に情報を入力する電気通信を不特定の者から受信し、これにより当該記録媒体に記録され、または当該送信装置に入力された情報を不特定の者の求めに応じて送信する機能を有する電気通信設備を他人の通信の用に供する電気通信役務のうち、その内容、利用者の範囲および利用状況を勘して利用者の利益に及ぼす影響が大きいものとして総務省令で定める電気通信役務 ↩︎

 

総務省「電気通信事業ガバナンス検討会 特定利用者情報の適正な取扱いに関するWG取りまとめ」(2022年) ↩︎

 

 

法人の使用人が株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律(平成17年廃止前)21条の5第1項4号の執行役に就任するに当たり,前に法人が前記使用人に支給した退職金に係る所得が,所得税法28条1項の「給与所得」ではなく,同法30条1項の「退職所得」に当たるとされた事例

 

 

納税告知処分取消等請求控訴事件

【事件番号】      大阪高等裁判所判決/平成20年(行コ)第58号

【判決日付】      平成20年9月10日

【判示事項】      法人の使用人が株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律(平成17年法律第87号による廃止前)21条の5第1項4号の執行役に就任するに当たり,前に法人が前記使用人に支給した退職金に係る所得が,所得税法28条1項の「給与所得」ではなく,同法30条1項の「退職所得」に当たるとされた事例

【判決要旨】      法人の使用人が株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律(平成17年法律第87号による廃止前。以下「特例法」という。)21条の5第1項4号の執行役(以下「執行役」という。)に就任するに当たり,前記法人が支給した退職金に係る所得につき,前記使用人は前記法人との間の雇用契約を合意解約し,執行役に就任したものであるところ,執行役は,その地位が大規模会社の経営にかかわる機関であり,それに伴う特別の責任規定が設けられているなど使用人とは異なる法規制を受けること,前記就任による身分関係の異動は,形式的,名目的なものではなく,勤務関係の性質,内容,労働条件等において重大な変動があるものであり,形式的には継続している勤務関係が実質的には単なる従前の勤務関係の延長とは見られないなどの特別の事実関係が認められることからすると,前記所得は,新たな勤務関係に入ったことに伴い,それまでの使用人としての継続的な勤務に対する報償又はその間の労務の対価を一括精算する趣旨のもとに一時金として支給されたものであるといえるから,少なくとも所得税法30条1項にいう「これらの性質を有する給与」に当たり,同法28条1項の「給与所得」ではなく同法30条1項の「退職所得」に当たるとした事例

【掲載誌】        税務訴訟資料258号順号11020

             LLI/DB 判例秘書登載

【評釈論文】      税理66巻8号141頁

 

 

所得税法

(退職所得)

第三十条 退職所得とは、退職手当、一時恩給その他の退職により一時に受ける給与及びこれらの性質を有する給与(以下この条において「退職手当等」という。)に係る所得をいう。

2 退職所得の金額は、その年中の退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額の二分の一に相当する金額(当該退職手当等が、短期退職手当等である場合には次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額とし、特定役員退職手当等である場合には当該退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額に相当する金額とする。)とする。

一 当該退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額が三百万円以下である場合 当該残額の二分の一に相当する金額

二 前号に掲げる場合以外の場合 百五十万円と当該退職手当等の収入金額から三百万円に退職所得控除額を加算した金額を控除した残額との合計額

3 前項に規定する退職所得控除額は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額とする。

一 政令で定める勤続年数(以下この項及び第七項において「勤続年数」という。)が二十年以下である場合 四十万円に当該勤続年数を乗じて計算した金額

二 勤続年数が二十年を超える場合 八百万円と七十万円に当該勤続年数から二十年を控除した年数を乗じて計算した金額との合計額

4 第二項に規定する短期退職手当等とは、退職手当等のうち、退職手当等の支払をする者から短期勤続年数(前項第一号に規定する勤続年数のうち、次項に規定する役員等以外の者としての政令で定める勤続年数が五年以下であるものをいう。第七項において同じ。)に対応する退職手当等として支払を受けるものであつて、次項に規定する特定役員退職手当等に該当しないものをいう。

5 第二項に規定する特定役員退職手当等とは、退職手当等のうち、役員等(次に掲げる者をいう。)としての政令で定める勤続年数(以下この項及び第七項において「役員等勤続年数」という。)が五年以下である者が、退職手当等の支払をする者から当該役員等勤続年数に対応する退職手当等として支払を受けるものをいう。

一 法人税法第二条第十五号(定義)に規定する役員

二 国会議員及び地方公共団体の議会の議員

三 国家公務員及び地方公務員

6 次の各号に掲げる場合に該当するときは、第二項に規定する退職所得控除額は、第三項の規定にかかわらず、当該各号に定める金額とする。

一 その年の前年以前に他の退職手当等の支払を受けている場合で政令で定める場合 第三項の規定により計算した金額から、当該他の退職手当等につき政令で定めるところにより同項の規定に準じて計算した金額を控除した金額

二 第三項及び前号の規定により計算した金額が八十万円に満たない場合(次号に該当する場合を除く。) 八十万円

三 障害者になつたことに直接基因して退職したと認められる場合で政令で定める場合 第三項及び第一号の規定により計算した金額(当該金額が八十万円に満たない場合には、八十万円)に百万円を加算した金額

7 その年中に一般退職手当等(退職手当等のうち、短期退職手当等(第四項に規定する短期退職手当等をいう。以下この項において同じ。)及び特定役員退職手当等(第五項に規定する特定役員退職手当等をいう。以下この項において同じ。)のいずれにも該当しないものをいう。以下この項において同じ。)、短期退職手当等又は特定役員退職手当等のうち二以上の退職手当等があり、当該一般退職手当等に係る勤続年数、当該短期退職手当等に係る短期勤続年数又は当該特定役員退職手当等に係る役員等勤続年数に重複している期間がある場合の退職所得の金額の計算については、政令で定める。

 



       主   文

 1 本件控訴を棄却する。
 2 控訴費用は控訴人の負担とする。

       事実及び理由

第1 控訴の趣旨
 1 原判決を取り消す。
 2 被控訴人の請求をいずれも棄却する。
第2 事案の概要
 1 事案の骨子及び訴訟経過
   本件は,被控訴人が,その使用人であったAら6名が,平成17年法律第87号による廃止前の株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律(以下「商法特例法」又は「特例法」という。)21条の5第1項4号の執行役に就任するに当たって,就業規則及び退職金規程に基づく退職金(以下「本件各金員」という。)を支給する際,本件各金員に係る所得は所得税法30条1項にいう「退職所得」に該当するとして所得税を源泉徴収して国に納付したところ,八尾税務署長が上記所得は同法28条1項にいう「給与所得」に該当するとして,被控訴人に対し,納税告知処分及び不納付加算税賦課決定処分をしたため,被控訴人が,上記各処分(いずれも平成17年6月28日付け審査裁決により一部取り消された後のもの)の各取消しを求めた事案である。
   原審は,本件各金員は,所得税法30条1項にいう「退職所得」に該当するから,これを同法28条1項にいう「給与所得」に該当するとしてなされた上記各処分は,違法であるとして,上記各処分を取り消した。
   そのため,控訴人が本件控訴を提起した。