法人の使用人が株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律(平成17年廃止前)21条の5第1項 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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法人の使用人が株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律(平成17年廃止前)21条の5第1項4号の執行役に就任するに当たり,前に法人が前記使用人に支給した退職金に係る所得が,所得税法28条1項の「給与所得」ではなく,同法30条1項の「退職所得」に当たるとされた事例

 

 

納税告知処分取消等請求控訴事件

【事件番号】      大阪高等裁判所判決/平成20年(行コ)第58号

【判決日付】      平成20年9月10日

【判示事項】      法人の使用人が株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律(平成17年法律第87号による廃止前)21条の5第1項4号の執行役に就任するに当たり,前に法人が前記使用人に支給した退職金に係る所得が,所得税法28条1項の「給与所得」ではなく,同法30条1項の「退職所得」に当たるとされた事例

【判決要旨】      法人の使用人が株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律(平成17年法律第87号による廃止前。以下「特例法」という。)21条の5第1項4号の執行役(以下「執行役」という。)に就任するに当たり,前記法人が支給した退職金に係る所得につき,前記使用人は前記法人との間の雇用契約を合意解約し,執行役に就任したものであるところ,執行役は,その地位が大規模会社の経営にかかわる機関であり,それに伴う特別の責任規定が設けられているなど使用人とは異なる法規制を受けること,前記就任による身分関係の異動は,形式的,名目的なものではなく,勤務関係の性質,内容,労働条件等において重大な変動があるものであり,形式的には継続している勤務関係が実質的には単なる従前の勤務関係の延長とは見られないなどの特別の事実関係が認められることからすると,前記所得は,新たな勤務関係に入ったことに伴い,それまでの使用人としての継続的な勤務に対する報償又はその間の労務の対価を一括精算する趣旨のもとに一時金として支給されたものであるといえるから,少なくとも所得税法30条1項にいう「これらの性質を有する給与」に当たり,同法28条1項の「給与所得」ではなく同法30条1項の「退職所得」に当たるとした事例

【掲載誌】        税務訴訟資料258号順号11020

             LLI/DB 判例秘書登載

【評釈論文】      税理66巻8号141頁

 

 

所得税法

(退職所得)

第三十条 退職所得とは、退職手当、一時恩給その他の退職により一時に受ける給与及びこれらの性質を有する給与(以下この条において「退職手当等」という。)に係る所得をいう。

2 退職所得の金額は、その年中の退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額の二分の一に相当する金額(当該退職手当等が、短期退職手当等である場合には次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額とし、特定役員退職手当等である場合には当該退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額に相当する金額とする。)とする。

一 当該退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額が三百万円以下である場合 当該残額の二分の一に相当する金額

二 前号に掲げる場合以外の場合 百五十万円と当該退職手当等の収入金額から三百万円に退職所得控除額を加算した金額を控除した残額との合計額

3 前項に規定する退職所得控除額は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額とする。

一 政令で定める勤続年数(以下この項及び第七項において「勤続年数」という。)が二十年以下である場合 四十万円に当該勤続年数を乗じて計算した金額

二 勤続年数が二十年を超える場合 八百万円と七十万円に当該勤続年数から二十年を控除した年数を乗じて計算した金額との合計額

4 第二項に規定する短期退職手当等とは、退職手当等のうち、退職手当等の支払をする者から短期勤続年数(前項第一号に規定する勤続年数のうち、次項に規定する役員等以外の者としての政令で定める勤続年数が五年以下であるものをいう。第七項において同じ。)に対応する退職手当等として支払を受けるものであつて、次項に規定する特定役員退職手当等に該当しないものをいう。

5 第二項に規定する特定役員退職手当等とは、退職手当等のうち、役員等(次に掲げる者をいう。)としての政令で定める勤続年数(以下この項及び第七項において「役員等勤続年数」という。)が五年以下である者が、退職手当等の支払をする者から当該役員等勤続年数に対応する退職手当等として支払を受けるものをいう。

一 法人税法第二条第十五号(定義)に規定する役員

二 国会議員及び地方公共団体の議会の議員

三 国家公務員及び地方公務員

6 次の各号に掲げる場合に該当するときは、第二項に規定する退職所得控除額は、第三項の規定にかかわらず、当該各号に定める金額とする。

一 その年の前年以前に他の退職手当等の支払を受けている場合で政令で定める場合 第三項の規定により計算した金額から、当該他の退職手当等につき政令で定めるところにより同項の規定に準じて計算した金額を控除した金額

二 第三項及び前号の規定により計算した金額が八十万円に満たない場合(次号に該当する場合を除く。) 八十万円

三 障害者になつたことに直接基因して退職したと認められる場合で政令で定める場合 第三項及び第一号の規定により計算した金額(当該金額が八十万円に満たない場合には、八十万円)に百万円を加算した金額

7 その年中に一般退職手当等(退職手当等のうち、短期退職手当等(第四項に規定する短期退職手当等をいう。以下この項において同じ。)及び特定役員退職手当等(第五項に規定する特定役員退職手当等をいう。以下この項において同じ。)のいずれにも該当しないものをいう。以下この項において同じ。)、短期退職手当等又は特定役員退職手当等のうち二以上の退職手当等があり、当該一般退職手当等に係る勤続年数、当該短期退職手当等に係る短期勤続年数又は当該特定役員退職手当等に係る役員等勤続年数に重複している期間がある場合の退職所得の金額の計算については、政令で定める。

 



       主   文

 1 本件控訴を棄却する。
 2 控訴費用は控訴人の負担とする。

       事実及び理由

第1 控訴の趣旨
 1 原判決を取り消す。
 2 被控訴人の請求をいずれも棄却する。
第2 事案の概要
 1 事案の骨子及び訴訟経過
   本件は,被控訴人が,その使用人であったAら6名が,平成17年法律第87号による廃止前の株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律(以下「商法特例法」又は「特例法」という。)21条の5第1項4号の執行役に就任するに当たって,就業規則及び退職金規程に基づく退職金(以下「本件各金員」という。)を支給する際,本件各金員に係る所得は所得税法30条1項にいう「退職所得」に該当するとして所得税を源泉徴収して国に納付したところ,八尾税務署長が上記所得は同法28条1項にいう「給与所得」に該当するとして,被控訴人に対し,納税告知処分及び不納付加算税賦課決定処分をしたため,被控訴人が,上記各処分(いずれも平成17年6月28日付け審査裁決により一部取り消された後のもの)の各取消しを求めた事案である。
   原審は,本件各金員は,所得税法30条1項にいう「退職所得」に該当するから,これを同法28条1項にいう「給与所得」に該当するとしてなされた上記各処分は,違法であるとして,上記各処分を取り消した。
   そのため,控訴人が本件控訴を提起した。