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法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

役に立つ裁判例の紹介、法律の本の書評です。弁護士経験32年。第二東京弁護士会所属21770

賃貸建物の新旧所有者が賃貸人の地位を旧所有者に留保する旨を合意した場合における賃貸人の地位の帰すう


    保証金返還債務確認請求事件
【事件番号】    最高裁判所第1小法廷判決/平成7年(オ)第1705号
【判決日付】    平成11年3月25日
【判示事項】    賃貸建物の新旧所有者が賃貸人の地位を旧所有者に留保する旨を合意した場合における賃貸人の地位の帰すう
【判決要旨】    自己の所有建物を他に賃貸して引き渡した者が右建物の所有権を第三者に移転した場合に、新旧所有者間において賃貸人の地位を旧所有者に留保する旨を合意したとしても、これをもって直ちに賃貸人の地位の新所有者への移転を妨げるべき特段の事情があるものということはできない。(反対意見がある。)
【参照条文】    借家法1
          民法619-2
【掲載誌】     最高裁判所裁判集民事192号607頁
          裁判所時報1240号79頁
          判例タイムズ1001号77頁
          金融・商事判例1069号10頁
          判例時報1674号61頁
          金融法務事情1553号43頁

平成29年改正により、以下の条文が新設された。
民法
(不動産の賃貸人たる地位の移転)
第六百五条の二 前条、借地借家法(平成三年法律第九十号)第十条又は第三十一条その他の法令の規定による賃貸借の対抗要件を備えた場合において、その不動産が譲渡されたときは、その不動産の賃貸人たる地位は、その譲受人に移転する。
2 前項の規定にかかわらず、不動産の譲渡人及び譲受人が、賃貸人たる地位を譲渡人に留保する旨及びその不動産を譲受人が譲渡人に賃貸する旨の合意をしたときは、賃貸人たる地位は、譲受人に移転しない。この場合において、譲渡人と譲受人又はその承継人との間の賃貸借が終了したときは、譲渡人に留保されていた賃貸人たる地位は、譲受人又はその承継人に移転する。
3 第一項又は前項後段の規定による賃貸人たる地位の移転は、賃貸物である不動産について所有権の移転の登記をしなければ、賃借人に対抗することができない。
4 第一項又は第二項後段の規定により賃貸人たる地位が譲受人又はその承継人に移転したときは、第六百八条の規定による費用の償還に係る債務及び第六百二十二条の二第一項の規定による同項に規定する敷金の返還に係る債務は、譲受人又はその承継人が承継する。

 

農業協同組合が動産を主目的とする共済(損害保険)を扱っていない場合において、その職員から動産を目的とする共済契約のみである旨欺罔され建物のみの共済契約を締結させられたため火災により動産に損害を受けたにもかかわらず共済金の支払を受けられなかったと主張してされた損害賠償請求が排斥された事例


損害賠償請求控訴事件
【事件番号】    東京高等裁判所判決/平成元年(ネ)第2287号
【判決日付】    平成元年12月21日
【判示事項】    農業協同組合が動産を主目的とする共済(損害保険)を扱っていない場合において、その職員から動産を目的とする共済契約のみである旨欺罔され建物のみの共済契約を締結させられたため火災により動産に損害を受けたにもかかわらず共済金の支払を受けられなかったと主張してされた損害賠償請求が排斥された事例
【参照条文】    民法709
          農協法10
          商法629
【掲載誌】     判例時報1341号92頁

民法
(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

農業協同組合法
第二節 事業
第十条 組合は、次の事業の全部又は一部を行うことができる。
一 組合員(農業協同組合連合会にあつては、その農業協同組合連合会を直接又は間接に構成する者。次項及び第四項並びに第十一条の五十第三項を除き、以下この節において同じ。)のためにする農業の経営及び技術の向上に関する指導
二 組合員の事業又は生活に必要な資金の貸付け
三 組合員の貯金又は定期積金の受入れ
四 組合員の事業又は生活に必要な物資の供給
五 組合員の事業又は生活に必要な共同利用施設(医療又は老人の福祉に関するものを除く。)の設置
六 農作業の共同化その他農業労働の効率の増進に関する施設
七 農業の目的に供される土地の造成、改良若しくは管理、農業の目的に供するための土地の売渡し、貸付け若しくは交換又は農業水利施設の設置若しくは管理
八 組合員の生産する物資の運搬、加工、保管又は販売
九 農村工業に関する施設
十 共済に関する施設
十一 医療に関する施設
十二 老人の福祉に関する施設
十三 農村の生活及び文化の改善に関する施設
十四 組合員の経済的地位の改善のためにする団体協約の締結
十五 前各号の事業に附帯する事業
② 組合員又は会員に出資をさせる組合(以下「出資組合」という。)は、前項の事業のほか、組合員(農業協同組合連合会にあつては、その農業協同組合連合会を直接又は間接に構成する者)の委託を受けて行う農業の経営の事業を併せ行うことができる。
③ 第一項第二号及び第三号の事業を併せ行う農業協同組合は、組合員の委託により、次に掲げる不動産を貸付けの方法により運用すること又は売り渡すことを目的とする信託の引受けを行うことができる。
一 信託の引受けを行う際その委託をする者の所有に係る農地又は採草放牧地(農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)第二条第一項に規定する農地(同法第四十三条第一項の規定により農作物の栽培を耕作に該当するものとみなして適用する同法第二条第一項に規定する農地を含む。)又は採草放牧地をいう。第十一条の五十第一項において同じ。)
二 前号に規定する土地に併せて当該信託をすることを相当とする農林水産省令で定めるその他の不動産で信託の引受けを行う際その委託をする者の所有に係るもの
④ 組合員又は会員に出資をさせない組合(以下「非出資組合」という。)は、第一項の規定にかかわらず、同項第三号又は第十号の事業を行うことができない。
⑤ 出資組合は、第一項の事業のほか、次の事業の全部又は一部を併せ行うことができる。
一 組合員の委託を受けて行うその所有に係る転用相当農地等(農地その他の土地で農業以外の目的に供されることが相当と認められるものをいう。以下同じ。)の売渡し若しくは貸付け(住宅その他の施設を建設してする当該土地又は当該施設の売渡し又は貸付けを含む。)又は区画形質の変更の事業
二 組合員からのその所有に係る転用相当農地等の借入れ及びその借入れに係る土地の貸付け(当該土地の区画形質を変更し、又は住宅その他の施設を建設してする当該土地の貸付け又は当該施設の売渡し若しくは貸付けを含む。)の事業
三 組合員からのその所有に係る転用相当農地等の買入れ及びその買入れに係る土地の売渡し又は貸付け(当該土地の区画形質を変更し、又は住宅その他の施設を建設してする当該土地又は当該施設の売渡し又は貸付けを含む。)の事業
⑥ 第一項第三号の事業を行う組合は、組合員のために、次の事業の全部又は一部を行うことができる。
一 手形の割引
二 為替取引
三 債務の保証又は手形の引受け
三の二 有価証券(第六号に規定する証書をもつて表示される金銭債権に該当するもの及び短期社債等を除く。第六号の二及び第七号において同じ。)の売買(有価証券関連デリバティブ取引に該当するものを除く。)又は有価証券関連デリバティブ取引(書面取次ぎ行為に限る。)
四 有価証券の貸付け
五 国債、地方債若しくは政府保証債(以下この号において「国債等」という。)の引受け(売出しの目的をもつてするものを除く。)又は当該引受けに係る国債等の募集の取扱い
六 金銭債権(譲渡性貯金証書その他の主務省令で定める証書をもつて表示されるものを含む。)の取得又は譲渡
六の二 特定目的会社が発行する特定社債(特定短期社債を除き、資産流動化計画において当該特定社債の発行により得られる金銭をもつて金銭債権(民法(明治二十九年法律第八十九号)第三編第一章第七節第一款に規定する指図証券、同節第二款に規定する記名式所持人払証券、同節第三款に規定するその他の記名証券及び同節第四款に規定する無記名証券に係る債権並びに電子記録債権法(平成十九年法律第百二号)第二条第一項に規定する電子記録債権を除く。以下この号において同じ。)又は金銭債権を信託する信託の受益権のみを取得するものに限る。以下この号において同じ。)その他特定社債に準ずる有価証券として主務省令で定めるもの(以下この号において「特定社債等」という。)の引受け(売出しの目的をもつてするものを除く。)又は当該引受けに係る特定社債等の募集の取扱い
六の三 短期社債等の取得又は譲渡
七 有価証券の私募の取扱い
八 農林中央金庫その他主務大臣が定める者(外国の法令に準拠して外国において銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第二条第二項に規定する銀行業を営む者(同法第四条第五項に規定する銀行等を除く。次号及び第十一条の十二において「外国銀行」という。)を除く。)の業務(同号の事業に該当するものを除く。)の代理又は媒介(主務大臣が定めるものに限る。)
八の二 外国銀行の業務の代理又は媒介(外国において行う外国銀行の業務の代理又は媒介であつて、主務省令で定めるものに限る。)
九 国、地方公共団体、会社等の金銭の収納その他金銭に係る事務の取扱い
十 有価証券、貴金属その他の物品の保護預り
十の二 振替業
十一 両替
十二 店頭デリバティブ取引(有価証券関連店頭デリバティブ取引に該当するものを除く。)であつて主務省令で定めるもののうち、第六号の事業に該当するもの以外のもの
十二の二 デリバティブ取引(有価証券関連デリバティブ取引に該当するものを除く。)の媒介、取次ぎ又は代理であつて、主務省令で定めるもの
十三 金利、通貨の価格、商品の価格、算定割当量(地球温暖化対策の推進に関する法律(平成十年法律第百十七号)第二条第七項に規定する算定割当量その他これに類似するものをいう。次項第七号において同じ。)の価格その他の指標の数値としてあらかじめ当事者間で約定された数値と将来の一定の時期における現実の当該指標の数値の差に基づいて算出される金銭の授受を約する取引又はこれに類似する取引であつて主務省令で定めるもの(次号において「金融等デリバティブ取引」という。)のうち第一項第三号の事業を行う組合の経営の健全性を損なうおそれがないと認められる取引として主務省令で定めるもの(第六号及び第十二号の事業に該当するものを除く。)
十四 金融等デリバティブ取引の媒介、取次ぎ又は代理(第十二号の二の事業に該当するもの及び主務省令で定めるものを除く。)
十五 有価証券関連店頭デリバティブ取引(当該有価証券関連店頭デリバティブ取引に係る有価証券が第六号に規定する証書をもつて表示される金銭債権に該当するもの及び短期社債等以外のものである場合には、差金の授受によつて決済されるものに限る。次号において同じ。)であつて、第三号の二の事業に該当するもの以外のもの
十六 有価証券関連店頭デリバティブ取引の媒介、取次ぎ又は代理
十七 前各号の事業に附帯する事業
⑦ 第一項第二号及び第三号の事業を併せ行う組合は、これらの事業の遂行を妨げない限度において、次の事業を行うことができる。
一 金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二十八条第六項に規定する投資助言業務に係る事業
二 金融商品取引法第三十三条第二項各号に掲げる有価証券又は取引について、当該各号に定める行為を行う事業(前項の規定により行う事業を除く。)
三 金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和十八年法律第四十三号)により行う同法第一条第一項に規定する信託業務に係る事業
四 信託法(平成十八年法律第百八号)第三条第三号に掲げる方法によつてする信託に係る事務に関する事業
五 地方債又は社債その他の債券の募集又は管理の受託
六 担保付社債信託法(明治三十八年法律第五十二号)により行う担保付社債に関する信託事業
七 算定割当量を取得し、若しくは譲渡することを内容とする契約の締結又はその媒介、取次ぎ若しくは代理を行う事業(前項の規定により行う事業を除く。)であつて、主務省令で定めるもの
⑧ 第一項第十号の事業を行う組合は、組合員のために、保険会社(保険業法(平成七年法律第百五号)第二条第二項に規定する保険会社をいう。以下同じ。)その他主務大臣が指定するこれに準ずる者の業務の代理又は事務の代行(農林水産省令で定めるものに限る。)の事業を行うことができる。
⑨ 第六項第三号の二、第六号の三及び第十五号並びに第十二項の「短期社債等」とは、次に掲げるものをいう。
一 社債、株式等の振替に関する法律(平成十三年法律第七十五号)第六十六条第一号に規定する短期社債
二 削除
三 投資信託及び投資法人に関する法律(昭和二十六年法律第百九十八号)第百三十九条の十二第一項に規定する短期投資法人債
四 信用金庫法(昭和二十六年法律第二百三十八号)第五十四条の四第一項に規定する短期債
五 保険業法第六十一条の十第一項に規定する短期社債
六 資産の流動化に関する法律(平成十年法律第百五号)第二条第八項に規定する特定短期社債
七 農林中央金庫法(平成十三年法律第九十三号)第六十二条の二第一項に規定する短期農林債
八 その権利の帰属が社債、株式等の振替に関する法律の規定により振替口座簿の記載又は記録により定まるものとされる外国法人の発行する債券(新株予約権付社債券の性質を有するものを除く。)に表示されるべき権利のうち、次に掲げる要件の全てに該当するもの
イ 各権利の金額が一億円を下回らないこと。
ロ 元本の償還について、権利の総額の払込みのあつた日から一年未満の日とする確定期限の定めがあり、かつ、分割払の定めがないこと。
ハ 利息の支払期限を、ロの元本の償還期限と同じ日とする旨の定めがあること。
⑩ 第六項第三号の二及び第十二号の二の「有価証券関連デリバティブ取引」、同項第三号の二の「書面取次ぎ行為」、同項第十二号の「店頭デリバティブ取引」、同項第十二号、第十五号及び第十六号の「有価証券関連店頭デリバティブ取引」又は同項第十二号の二の「デリバティブ取引」とは、それぞれ金融商品取引法第二十八条第八項第六号に規定する有価証券関連デリバティブ取引、同法第三十三条第二項に規定する書面取次ぎ行為、同法第二条第二十二項に規定する店頭デリバティブ取引、同法第二十八条第八項第四号に掲げる行為又は同法第二条第二十項に規定するデリバティブ取引をいう。
⑪ 第六項第五号の「政府保証債」とは、政府が元本の償還及び利息の支払について保証している社債その他の債券をいう。
⑫ 第六項第六号の事業には同号に規定する証書をもつて表示される金銭債権のうち有価証券に該当するものについて、同項第六号の三の事業には短期社債等について、金融商品取引法第二条第八項第一号から第六号まで及び第八号から第十号までに掲げる行為を行う事業を含むものとする。
⑬ 第六項第六号の二の「特定目的会社」、「資産流動化計画」、「特定社債」又は「特定短期社債」とは、それぞれ資産の流動化に関する法律第二条第三項、第四項、第七項又は第八項に規定する特定目的会社、資産流動化計画、特定社債又は特定短期社債をいう。
⑭ 第六項第七号の「有価証券の私募の取扱い」とは、有価証券の私募(金融商品取引法第二条第三項に規定する有価証券の私募をいう。)の取扱いをいう。
⑮ 第六項第十号の二の「振替業」とは、社債、株式等の振替に関する法律第二条第四項に規定する口座管理機関として行う振替業をいう。
⑯ 組合は、第七項第四号から第六号までの事業に関しては、信託業法(平成十六年法律第百五十四号)、担保付社債信託法その他の政令で定める法令の適用については、政令で定めるところにより、会社又は銀行とみなす。この場合においては、信託業法第十四条第二項ただし書の規定は、適用しない。
⑰ 組合は、定款の定めるところにより、組合員以外の者にその施設(第六項第三号及び第四号並びに第七項第五号及び第六号の規定による施設並びに第一項第三号の事業を行う農業協同組合連合会が第二十三項各号に掲げる事業を行う場合における当該各号の規定による施設にあつては、主務省令で定めるものに限る。)を利用させることができる。ただし、第六項第二号から第十七号まで、第七項、第八項及び第二十四項の規定による施設並びに第一項第三号の事業を行う農業協同組合連合会が第二十三項各号に掲げる事業を行う場合における当該各号の規定による施設に係る場合を除き、一事業年度における組合員以外の者の事業の利用分量の額(第一項第二号及び第六項第一号の事業を併せ行う場合には、これらの事業の利用分量の額の合計額。以下この条において同じ。)は、当該事業年度における組合員の事業の利用分量の額の五分の一(政令で定める事業については、政令で定める割合)を超えてはならない。
⑱ 第一項第二号及び第三号の事業を併せ行う組合であつて、組合員に対する資金の貸付けその他資金の運用状況、その地区内における農業事情その他の経済事情等からみて、資金の安定的かつ効率的な運用を確保するため、前項ただし書に規定する限度を超えて組合員以外の者に第一項第二号及び第六項第一号の規定による施設を利用させることが必要かつ適当であるものとして行政庁の指定するものは、前項ただし書の規定にかかわらず、一事業年度における当該施設に係る組合員以外の者の事業の利用分量の額が、当該事業年度における当該組合の貯金及び定期積金の合計額に百分の二十以内において政令で定める割合を乗じて得た額を超えない範囲内において、組合員以外の者に当該施設を利用させることができる。
⑲ 行政庁は、農業協同組合について前項の指定を行おうとするときは、主務大臣の意見を聴かなければならない。
⑳ 組合は、第十七項の規定にかかわらず、組合員のためにする事業の遂行を妨げない限度において、定款の定めるところにより、次に掲げる資金の貸付けをすることができる。
一 地方公共団体又は地方公共団体が主たる構成員若しくは出資者となつているか若しくはその基本財産の額の過半を拠出している営利を目的としない法人に対する資金の貸付け
二 農村地域における産業基盤又は生活環境の整備のために必要な資金で政令で定めるものの貸付け(前号に掲げるものを除く。)
三 銀行その他の金融機関に対する資金の貸付け
㉑ 組合は、第十七項の規定にかかわらず、組合員のためにする事業の遂行を妨げない限度において、定款の定めるところにより、組合員の生産する物資の販売の促進を図るため組合員の生産する物資と併せて販売を行うことが適当であると認められる物資を生産する他の組合の組合員その他の農林水産省令で定める基準に適合する者に第一項第八号の規定による施設を利用させることができる。
㉒ 第一項第二号、第三号、第十号若しくは第十二号、第二項、第三項又は第五項の事業の利用に関する第十七項ただし書及び第十八項の規定の適用については、第一項第二号の事業にあつては組合員と同一の世帯に属する者又は地方公共団体以外の営利を目的としない法人に対し貯金又は定期積金を担保として貸し付ける場合におけるこれらの者、同項第三号の事業にあつては組合員と同一の世帯に属する者及び営利を目的としない法人、同項第十号又は第十二号の事業にあつては組合員と同一の世帯に属する者、第二項、第三項又は第五項の事業にあつては組合員と同一の世帯に属する者及び当該委託を受け、当該信託の引受けを行い、又は当該借入れをする際に組合員又は組合員と同一の世帯に属する者であつた者(同項第二号の事業にあつては、当該借入れに係る土地でその借入れの際に組合員又は組合員と同一の世帯に属する者の所有に係るものの所有権を取得した者を含む。)は、これを組合員とみなす。
㉓ 第一項第三号の事業を行う農業協同組合連合会は、同項、第二項及び第五項の規定にかかわらず、第一項第二号の事業及び同項第四号の事業のうち次に掲げるもの並びにこれらの事業又は同項第三号の事業に附帯する事業並びに第六項、第七項及び次項の事業のほか、他の事業を行うことができない。
一 機械類その他の物件を使用させる契約であつて次に掲げる要件の全てを満たすものに基づき、当該物件を使用させる事業
イ 契約の対象とする物件(以下この号において「リース物件」という。)を使用させる期間(以下この号において「使用期間」という。)の中途において契約の解除をすることができないものであること又はこれに準ずるものとして主務省令で定めるものであること。
ロ 使用期間において、リース物件の取得価額から当該リース物件の使用期間の満了の時において譲渡するとした場合に見込まれるその譲渡対価の額に相当する金額を控除した額及び固定資産税に相当する額、保険料その他当該リース物件を使用させるために必要となる付随費用として主務省令で定める費用の合計額を対価として受領することを内容とするものであること。
ハ 使用期間が満了した後、リース物件の所有権又はリース物件の使用及び収益を目的とする権利が相手方に移転する旨の定めがないこと。
二 前号に掲げる事業の代理又は媒介
㉔ 第一項第三号の事業を行う農業協同組合連合会は、組合員のために、次の事業を行うことができる。
一 組合員から取得した当該組合員に関する情報を当該組合員の同意を得て第三者に提供する事業その他当該農業協同組合連合会の保有する情報を第三者に提供する事業であつて、当該農業協同組合連合会の行う第一項第二号若しくは第三号の事業の高度化又は当該農業協同組合連合会の利用者の利便の向上に資するもの
二 当該農業協同組合連合会の保有する人材、情報通信技術、設備その他の当該農業協同組合連合会の行う第一項第二号又は第三号の事業に係る経営資源を主として活用して行う事業であつて、地域の活性化、産業の生産性の向上その他の持続可能な社会の構築に資する事業として主務省令で定めるもの
三 前二号の事業に附帯する事業
㉕ 第一項第十号の事業を行う農業協同組合連合会は、同項、第二項及び第五項の規定にかかわらず、同号の事業に附帯する事業及び第八項の事業のほか、他の事業を行うことができない。


 

ナウル共和国事件・主権免除を理由とする訴え却下判決が確定した後に、主権免除の範囲に関する判例が変更されたことを受けて、同一訴訟物について後訴を提起した場合の後訴の適法性

 

 

              社債償還請求事件

【事件番号】      東京地方裁判所判決/平成21年(ワ)第14156号

【判決日付】      平成23年10月28日

【判示事項】      主権免除を理由とする訴え却下判決が確定した後に、主権免除の範囲に関する判例が変更されたことを受けて、同一訴訟物について後訴を提起した場合の後訴の適法性

【参照条文】      民事訴訟法114-1

【掲載誌】        判例時報2157号60頁

【評釈論文】      ジュリスト1453号125頁

             判例時報2181号180頁

 

民事訴訟法

(既判力の範囲)

第百十四条 確定判決は、主文に包含するものに限り、既判力を有する。

2 相殺のために主張した請求の成立又は不成立の判断は、相殺をもって対抗した額について既判力を有する。

 

(重複する訴えの提起の禁止)

第百四十二条 裁判所に係属する事件については、当事者は、更に訴えを提起することができない。

 

       主   文

 

 一 被告は、原告に対し、一三億円並びにうち三億円に対する平成七年六月一日から支払済みまで年六・五%の割合による金員及びうち一〇億円に対する平成六年七月二八日から支払済みまで年七%の割合による金員を支払え。

 二 原告のその余の請求を棄却する。

 三 訴訟費用は、これを五分し、その四を原告の負担とし、その余は被告の負担とする。

 

       事実及び理由

 

第一 請求

 一 被告は、原告に対し、六五億円並びにうち二一億円に対する平成七年六月一日から支払済みまで年六・五%の割合による金員及びうち四四億円に対する平成六年七月二八日から支払済みまで年七%の割合による金員を支払え。

 二 訴訟費用は被告の負担とする。

 三 第一項につき仮執行宣言

第二 事案の概要

 本件は、原告が、被告の保証の下にナウル共和国金融公社(以下「公社」という。)が発行した円貨債券を取得したと主張して、被告に対し、保証契約に基づき、①元金六五億円、②元金のうち二一億円に対するその債券の最終償還日の翌日である平成七年六月一日から支払済みまで約定利率年六・五%の割合による遅延損害金、③元金のうち四四億円に対するその債券の変更前の償還日の翌日である平成六年七月二八日から変更後の償還日まで約定利率年七%の割合による利息及び変更後の償還日の翌日から支払済みまで約定利率年七%の割合による遅延損害金の支払を求めている事案である。

法律時報  2024年1月号[特集1]経済安全保障の法的制御 日本評論社

 

 

毎月27日発売

[特集1]

経済安全保障の法的制御

定価:税込 2,090円(本体価格 1,900円)

在庫あり

発刊年月              2023.12

雑誌コード          08027

判型       B5判

ページ数              176ページ

 

内容紹介

リベラルな経済秩序は今後どうなるのか。政府の規制権能に対する適切な法的制御の仕組みを検討し、経済安全保障とは何かを考える。

 

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■特集=経済安全保障の法的制御

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経済安全保障における法の役割——企画趣旨と論点……伊藤一頼

 

立憲主義と経済安全保障……横大道 聡 

 

経済安全保障と行政庁の裁量処分……渡井理佳子 

 

国際貿易法秩序と経済安全保障……阿部克則 

 

安全保障化する外国直接投資

——対内・対外投資規制の投資条約による統御……二杉健斗 

 

金融システムと経済安全保障

——全体像と中央銀行デジタル通貨(CBDC)の課題……久保田 隆 

 

経済刑法と経済安全保障……高山佳奈子 

 

海洋秩序と経済安全保障——国際法の観点から……瀬田 真 

 

「経済的威圧」と不干渉原則……藤澤 巌

 

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コメント

新しい分野だけに、新しい知識がいっぱい。

第15章 特定利用者情報の取り扱いに関する規律が新設

電気通信事業法改正では、新たに「特定利用者情報の取り扱いに関する規律」が創設されています。

 

特定利用者情報とは、電気通信役務に関して取得する利用者に関する情報のうち、以下2つ要件のいずれかに該当するものを意味します(電気通信事業法27条の5)。

 

・通信の秘密に関する情報

個人間の通信(電話・メールなど)の内容など

 

・利用者を識別することができる情報であって、総務省令で定めるもの

サービス利用時に、利用者に付与されるIDや番号など

 

 

 

情報

内容

 

通信の秘密に該当する情報            

 

利用者を識別でき、かつ総務省令で定める情報      

・ 個別の通信にかかわる通信内容

・ 個別の通信にかかわる通信の日時、場所

・ 通信当事者の氏名、住所、電話番号、個別識別符号、通信回数など

 

以下の利用者に関するデータベース化された情報

・ 電気通信事業者(第三号事業を含む)を営む者との間で契約を行った者

・ IDや番号を付与されてサービスを利用する者

 

出典:総務省「電気通信事業法施行規則等の一部改正について」

出典:総務省「電気通信事業法及び通信(信書等を含む)の秘密」

 

 

検索情報電気通信役務と媒介相当電気通信役務の対象になる電気通信役務の要件は、以下です。

 

             

電気通信役務

要件

検索情報電気通信役務     

 

・ 利用者数が1,000万人以上

・ 分野横断的な検索サービスを提供する電気通信役務(レストランや商品などの特定分野のみの検索サービスは除く)

媒介相当電気通信役務     

 

・ 利用者数が1,000万人以上

・ 主として不特定の利用者間の交流を実質的に媒介する電気通信役務(付随的に当該電気通信役務を提供する電気通信役務および商取引に関する情報のみ取り扱う電気通信役務は除く)

 

出典:総務省「電気通信事業法施行規則等の一部改正について」

 

 

 

特殊の関係がある者に対する資金の貸付行為が所得税法上の事業に当たらず、その所得は雑所得に当たるとされた事例

 

 

              所得税更正処分取消請求上告事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷判決/昭和48年(行ツ)第34号

【判決日付】      昭和49年9月27日

【判示事項】      特殊の関係がある者に対する資金の貸付行為が所得税法上の事業に当たらず、その所得は雑所得に当たるとされた事例

【判決要旨】      省略

【掲載誌】        税務訴訟資料76号897頁

 

所得税法

(事業所得)

第二十七条 事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業で政令で定めるものから生ずる所得(山林所得又は譲渡所得に該当するものを除く。)をいう。

2 事業所得の金額は、その年中の事業所得に係る総収入金額から必要経費を控除した金額とする。

 

(雑所得)

第三十五条 雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも該当しない所得をいう。

2 雑所得の金額は、次の各号に掲げる金額の合計額とする。

一 その年中の公的年金等の収入金額から公的年金等控除額を控除した残額

二 その年中の雑所得(公的年金等に係るものを除く。)に係る総収入金額から必要経費を控除した金額

3 前項に規定する公的年金等とは、次に掲げる年金をいう。

一 第三十一条第一号及び第二号(退職手当等とみなす一時金)に規定する法律の規定に基づく年金その他同条第一号及び第二号に規定する制度に基づく年金(これに類する給付を含む。第三号において同じ。)で政令で定めるもの

二 恩給(一時恩給を除く。)及び過去の勤務に基づき使用者であつた者から支給される年金

三 確定給付企業年金法の規定に基づいて支給を受ける年金(第三十一条第三号に規定する規約に基づいて拠出された掛金のうちにその年金が支給される同法第二十五条第一項(加入者)に規定する加入者(同項に規定する加入者であつた者を含む。)の負担した金額がある場合には、その年金の額からその負担した金額のうちその年金の額に対応するものとして政令で定めるところにより計算した金額を控除した金額に相当する部分に限る。)その他これに類する年金として政令で定めるもの

4 第二項に規定する公的年金等控除額は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額とする。

一 その年中の公的年金等の収入金額がないものとして計算した場合における第二条第一項第三十号(定義)に規定する合計所得金額(次号及び第三号において「公的年金等に係る雑所得以外の合計所得金額」という。)が千万円以下である場合 次に掲げる金額の合計額(当該合計額が六十万円に満たない場合には、六十万円)

イ 四十万円

ロ その年中の公的年金等の収入金額から五十万円を控除した残額の次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める金額

(1) 当該残額が三百六十万円以下である場合 当該残額の百分の二十五に相当する金額

(2) 当該残額が三百六十万円を超え七百二十万円以下である場合 九十万円と当該残額から三百六十万円を控除した金額の百分の十五に相当する金額との合計額

(3) 当該残額が七百二十万円を超え九百五十万円以下である場合 百四十四万円と当該残額から七百二十万円を控除した金額の百分の五に相当する金額との合計額

(4) 当該残額が九百五十万円を超える場合 百五十五万五千円

二 その年中の公的年金等に係る雑所得以外の合計所得金額が千万円を超え二千万円以下である場合 次に掲げる金額の合計額(当該合計額が五十万円に満たない場合には、五十万円)

イ 三十万円

ロ 前号ロに掲げる金額

三 その年中の公的年金等に係る雑所得以外の合計所得金額が二千万円を超える場合 次に掲げる金額の合計額(当該合計額が四十万円に満たない場合には、四十万円)

イ 二十万円

ロ 第一号ロに掲げる金額

 

(損益通算)

第六十九条 総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額を計算する場合において、不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、政令で定める順序により、これを他の各種所得の金額から控除する。

2 前項の場合において、同項に規定する損失の金額のうちに第六十二条第一項(生活に通常必要でない資産の災害による損失)に規定する資産に係る所得の金額(以下この項において「生活に通常必要でない資産に係る所得の金額」という。)の計算上生じた損失の金額があるときは、当該損失の金額のうち政令で定めるものは政令で定めるところにより他の生活に通常必要でない資産に係る所得の金額から控除するものとし、当該政令で定めるもの以外のもの及び当該控除をしてもなお控除しきれないものは生じなかつたものとみなす。

 

 

 

 右当事者間の東京高等裁判所昭和四六年(行コ)第一六号所得税更正取消請求事件について、同裁判所が昭和四七年一二月一三日言い渡した判決に対し、上告人から全部破棄を求める旨の上告の申立があつた。よつて、当裁判所は次のとおり判決する。

 

       主   文

 

 本件上告を棄却する。

 上告費用は上告人の負担とする。

 

       理   由

 

 上告代理人梅沢秀次、同安田秀士の上告理由について。

 原判決(その引用する第一審判決を含む。以下同じ。)が、その適法に確定した事実関係のもとにおいては、上告人の本件資金貸付行為は所得税法上の事業に該当しないとした判断は、正当として首肯することができ、その過程に所論の違法ない。なお、所論のうち違憲をいう部分は、原判決の右判断が違法であることを前提とするものであつて、その前提においてすでに失当である。論旨は採用することができない。

 よつて、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

    最高裁判所第二小法廷

個人の経済活動に対し社会経済政策の実施の一手段としてなされる法的規制措置の合憲性

 

 

小売商業調整特別措置法違反被告事件

【事件番号】      最高裁判所大法廷判決/昭和45年(あ)第23号

【判決日付】      昭和47年11月22日

【判示事項】      1、個人の経済活動に対し社会経済政策の実施の一手段としてなされる法的規制措置の合憲性

             2、個人の経済活動に対する法的規制措置と違憲判断

             3、小売商業調整特別措置法3条1項、同法施行令1条、2条所定の小売市場の許可規制の合憲性

【判決要旨】      1、国が、積極的に、国民経済の健全な発達と国民生活の安定を期し、社会経済全体の均衡のとれた調和的発展を図るため、その社会経済政策の実施の一手段として、立法により、個人の経済活動に対し、一定の規制措置を講ずることは、それが右目的達成のために必要かつ合理的な範囲にとどまる限り、憲法の禁ずるところではない。

             2、個人の経済活動に対する法的規制措置については、裁判所は、立法府がその裁量権を逸脱し、当該法廷規制措置が著しく不合理であることの明白な場合に限つて、これを違憲とすることができる。

             3、小売商業調整特別措置法3条1項、同法執行令1条、2条所定の小売市場の許可規制は、憲法22条1項、14条に違反しない。

【参照条文】      憲法22-1

             憲法14

             小売商業調整特別措置法1

             小売商業調整特別措置法3-1

             小売商業調整特別措置法5

             小売商業調整特別措置法22

             小売商業調整特別措置法24

             小売商業調整特別措置法執行令1

             小売商業調整特別措置法執行令2

【掲載誌】        最高裁判所刑事判例集26巻9号586頁

 

憲法

第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

② 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。

③ 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。

 

第二十二条 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。

② 何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。

 

小売商業調整特別措置法

(目的)

第一条      この法律は、小売商の事業活動の機会を適正に確保し、及び小売商業の正常な秩序を阻害する要因を除去し、もつて国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

 

(小売市場の許可)

第三条 政令で指定する市(特別区を含む。以下同じ。)の区域(以下「指定地域」という。)内の建物については、都道府県知事の許可を受けた者でなければ、小売市場(一の建物であつて、その建物内の店舗面積(小売業を営むための店舗の用に供される床面積をいう。以下同じ。)の大部分が五十平方メートル未満の店舗面積に区分され、かつ、十以上の小売商(その全部又は一部が政令で定める物品を販売する場合に限る。)の店舗の用に供されるものをいう。以下同じ。)とするため、その建物の全部又は一部をその店舗の用に供する小売商に貸し付け、又は譲り渡してはならない。

 前項の許可は、一の建物ごとに行う。

 前二項の規定の適用については、屋根、柱又は壁を共通にする建物及び同一敷地内の二以上の棟をなす建物は、これを一の建物とし、建物に附属建物があるときは、これを合せたものをもつて一の建物とする。

 都道府県知事は、第一項の規定による処分をしようとするときは、当該建物の所在する市の市長(特別区にあつては区長。以下同じ。)に協議しなければならない。ただし、同項の許可を受けようとする者が当該市長である場合は、この限りでない。

 

(許可の基準)

第五条 都道府県知事は、第三条第一項の許可の申請があつた場合には、その申請が次の各号の一に該当すると認められる場合を除き、同項の許可をしなければならない。

一 当該小売市場が開設されることにより、当該小売市場内の小売商と周辺の小売市場内の小売商との競争又は当該小売市場内の小売商と周辺の小売商との競争が過度に行われることとなりそのため中小小売商の経営が著しく不安定となるおそれがあること。

二 前条第一項第四号の貸付条件又は譲渡条件が主務省令で定める基準に適合するものでないこと。

三 申請者がこの法律の規定に違反して刑に処せられ、その執行を終り、又はその執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者であること。

四 申請者が法人である場合において、その法人の業務を執行する役員の全部又は一部が前号に該当する者であること。

五 申請者が第十条第一項の規定による許可の取消を受け、その取消の日から一年を経過しない者であること。

 

(罰則)

第二十二条 次の各号の一に該当する者は、三百万円以下の罰金に処する。

一 第三条第一項の規定に違反した者

二 第八条の規定に違反して貸付契約若しくは譲渡契約を結び、又はこれを変更した者

三 虚偽又は不正の事実に基いて第三条第一項又は第七条第一項の許可を受けた者

四 第十六条の五第一項の規定による命令又は第十六条の六第一項の規定によりその例によることとされる第十六条の五第一項の規定による命令に違反した者

 

第二十四条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の刑を科する。

 

 

       主   文

 

 本件各上告を棄却する。

 

       理   由

 

 弁護人坂井尚美の上告趣意一ないし五について。

 所論は、要するに、小売商業調整特別措置法(以下「本法」という。)三条一項、同法施行令一条、二条は、小売市場の開設経営を都道府県知事の許可にかからしめ、営業の自由を不当に制限するものであるから、憲法二二条一項に違反するというのである。

 本法三条一項は、政令で指定する市の区域内の建物については、都道府県知事の許可を受けた者でなければ、小売市場(一の建物であつて、十以上の小売商-その全部又は一部が政令で定める物品を販売する場合に限る。-の店舗の用に供されるものをいう。)とするため、その建物の全部又は一部をその店舗の用に供する小売商に貸し付け、又は譲り渡してはならないと定め、これを受けて、同法施行令一条および別表一は、「政令で指定する市」を定め、同法施行令二条および別表二は、「政令で定める物品」として、野菜、生鮮魚介類を指定している。そして、本法五条は、右許可申請のあつた場合の許可基準として、一号ないし五号の不許可事由を列記し、本法二二条一号は、本法三条一項の規定に違反した者につき罰則を設けている。このように、本法所定の市の区域内で、本法所定の形態の小売市場を開設経営しようとする者は、本法所定の許可を受けることを要するものとし、かつ、本法五条各号に掲げる事由がある場合には、右許可をしない建前になつているから、これらの規定が小売市場の開設経営をしょうとする者の自由を規制し、そ営業の自由を制限するものであることは、所論のとおりである。

 そこで、右の営業の自由に対する制限が憲法二二条一項に牴触するかどうかについて考察することとする。

 憲法二二条一項は、国民の基本的人権の一つとして、職業選択の自由を保障しており、そこで職業選択の自由を保障するというなかには、広く一般に、いわゆる営業の自由を保障する趣旨を包含しているものと解すべきであり、ひいては、憲法が、個人の自由な経済活動を基調とする経済体制を一応予定しているものということができる。しかし、憲法は、個人の経済活動につき、その絶対かつ無制限の自由を保障する趣旨ではなく、各人は、「公共の福祉に反しない限り」において、その自由を享有することができるにとどまり、公共の福祉の要請に基づき、その自由に制限が加えられることのあることは、右条項自体の明示するところである。

 おもうに、右条項に基づく個人の経済活動に対する法的規制は、個人の自由な経済活動からもたらされる諸々の弊害が社会公共の安全と秩序の維持の見地から看過することができないような場合に、消極的に、かような弊害を除去ないし緩和するために必要かつ合理的な規制である限りにおいて許されるべきことはいうまでもない。のみならず、憲法の他の条項をあわせ考察すると、憲法は、全体として、福祉国家的理想のもとに、社会経済の均衡のとれた調和的発展を企図しており、その見地から、すべての国民にいわゆる生存権を保障し、その一環として、国民の勤労権を保障する等、経済的劣位に立つ者に対する適切な保護政策を要請していることは明らかである。このような点を総合的に考察すると、憲法は、国の責務として積極的な社会経済政策の実施を予定しているものということができ、個人の経済活動の自由に関する限り、個人の精神的自由等に関する場合と異なつて、右社会経済政策の実施の一手段として、これに一定の合理的規制措置を講ずることは、もともと、憲法が予定し、かつ、許容するところと解するのが相当であり、国は、積極的に、国民経済の健全な発達と国民生活の安定を期し、もつて社会経済全体の均衡のとれた調和的発展を図るために、立法により、個人の経済活動に対し、一定の規制措置を講ずることも、それが右目的達成のために必要かつ合理的な範囲にとどまる限り、許されるべきであつて、決して、憲法の禁ずるところではないと解すべきである。もつとも、個人の経済活動に対する法的規制は、決して無制限に許されるべきものではなく、その規制の対象、手段、態様等においても、自ら一定の限界が存するものと解するのが相当である。

 ところで、社会経済の分野において、法的規制措置を講ずる必要があるかどうか、その必要があるとしても、どのような対象について、どのような手段・態様の規制措置が適切妥当であるかは、主として立法政策の問題として、立法府の裁量的判断にまつほかはない。というのは、法的規制措置の必要の有無や法的規制措置の対象・手段・態様などを判断するにあたつては、その対象となる社会経済の実態についての正確な基礎資料が必要であり、具体的な法的規制措置が現実の社会経済にどのような影響を及ぼすか、その利害得失を洞察するとともに、広く社会経済政策全体との調和を考慮する等、相互に関連する諸条件についての適正な評価と判断が必要であつて、このような評価と判断の機能は、まさに立法府の使命とするところであり、立法府こそがその機能を果たす適格を具えた国家機関であるというべきであるからである。したがつて、右に述べたような個人の経済活動に対する法的規制措置については、立法府の政策的技術的な裁量に委ねるほかはなく、裁判所は、立法府の右裁量的判断を尊重するのを建前とし、ただ、立法府がその裁量権を逸脱し、当該法的規制措置が著しく不合理であることの明白である場合に限つて、これを違憲として、その効力を否定することができるものと解するのが相当である。

 これを本件についてみると、本法は、立法当時における中小企業保護政策の一環として成立したものであり、本法所定の小売市場を許可規制の対象としているのは、小売商が国民のなかに占める数と国民経済にける役割とに鑑み、本法一条の立法目的が示すとおり、経済的基盤の弱い小売商の事業活動の機会を適正に確保し、かつ、小売商の正常な秩序を阻害する要因を除去する必要があるとの判断のもとに、その一方策として、小売市場の乱設に伴う小売商相互間の過当競争によつて招来されるであろう小売商の共倒れから小売商を保護するためにとられた措置であると認められ、一般消費者の利益を犠牲にして、小売商に対し積極的に流通市場における独占的利益を付与するためのものでないことが明らかである。しかも、本法は、その所定形態の小売市場のみを規制の対象としているにすぎないのであつて、小売市場内の店舗のなかに政令で指定する野菜、生鮮魚介類を販売する店舗が含まれない場合とか、所定の小売市場の形態をとらないで右政令指定物品を販売する店舗の貸与等をする場合には、これを本法の規制対象から除外するなど、過当競争による弊害が特に顕著と認められる場合についてのみ、これを規制する趣旨であることが窺われる。これらの諸点からみると、本法所定の小売市場の許可規制は、国が社会経済の調和的発展を企図するという観点から中小企業保護政策の一方策としてとつた措置ということができ、その目的において、一応の合理性を認めることができないわけではなく、また、その規制の手段・態様においても、それが著しく不合理であることが明白であるとは認められない。そうすると、本法三条一項、同法施行令一条、二条所定の小売市場の許可規制が憲法二二条一項に違反するものとすることができないことは明らかであつて、結局、これと同趣旨に出た原判決は相当であり、論旨は理由がない。

 なお、所論は、本法五条一号に基づく大阪府小売市場許可基準内規(一)も憲法二二条一項に違反すると主張するが、右内規は、それ自体、法的拘束力を有するものではなく、単に本法三条一項に基づく許可申請にかかる許可行政の運用基準を定めたものにすぎず、その当否は、具体的な不許可処分の適否を通じて争えば足り、しかも、記録上、被告人らが右許可申請をした形跡は窺えないのであるから、被告人らが本件で右内規の一般的合憲性を争うことは許されず、この点に関する違憲の主張は、上告適法の理由にあたらない。

 同上告趣意六について。

 所論は、本法三条一項、同法施行令一条が指定都市の小売市場のみを規制の対象としているのは、合理的根拠を欠く差別的取扱いであるから、憲法一四条に違反すると主張する。

 しかし、本法三条一項、同法施行令一条および別表一がその指定する都市の小売市場を規制の対象としたのは、小売市場の当該地域社会において果たす役割、当該地域における小売市場乱設の傾向等を勘案し、本法の上記目的を達するために必要な限度で規制対象都市を限定したものであつて、その判断が著しく合理性を欠くことが明白であるとはいえないから、その結果として、小売市場を開設しようとする者の間に、地域によつて規制を受ける者と受けない者との差異が生じたとしても、そのことを理由として憲法一四条に違反するものとすることはできない。論旨は理由がない。

 次に、所論は、本法三条一項が十店舗未満の小売市場およびスーパーマーケツトを規制の対象としていないのは、合理的根拠を欠く差別的取扱いであるから、憲法一四条に違反すると主張する。

 しかし、本法所定の小売市場以外の小売市場を規制の対象とするかどうか、スーパーマーケツトを規制の対象とするかどうかは、いずれも立法政策の問題であつて、これらを規制の対象としないからといつて、そのために本法の規制が憲法一四条に違反することになるわけではない。論旨は理由がない。

 同上告趣意七について。

 所論は、本法所定の小売市場の許可規制が憲法二五条一項に違反すると主張する。

 しかし、右許可規制のために国民の健康で文化的な最低限度の生活に具体的に特段の影響を及ぼしたという事実は、本件記録上もこれを認めることができないから、所論違憲の主張は、その前提を欠き、上告適法の理由にあたらない。

 よつて、刑訴法四〇八条により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

  昭和四七年一一月二二日

     最高裁判所大法廷

法学教室 2024年1月号(No.520) ◆特集 国際条約は世界を規律するか?

 

有斐閣

2023年12月28日 発売

定価  1,650円(本体 1,500円)

 

あけましておめでとうございます。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

年の初めに何か大きな目標を……と思いましたが、毎日を楽しく元気に、堅実に過ごしてゆくことが、その先の「なんか素敵でいい未来」に繋がると信じて、まずは目の前の一冊を大事に作ってゆきます。本年ご愛読のほど、何とぞお願い申し上げます。

 

 

2024年1月号の特集は国際条約。全世界に拡がったパンデミック、まだ終わらぬ戦争、ボーダレスな世界では国境を越えた私人間の争いも絶えず、ネットワーク犯罪はそもそも国境の概念がありません。国家間の約束である国際条約は、そんな現代の世界を規律できているでしょうか。

 

「時の問題」では、昨年急激な動きを見せたLGBTをめぐる判例の動きを整理して、現在の到達点とその先にある問題を見据えます。また、いわゆるLGBT法制定時に問題となった内政干渉の問題につき、国際法上の見地から改めて考察します。いずれも「なんとなくのイメージや語感」で語られるべき問題ではなく、正確な理解こそ肝要です。

 

本号より、判例セレクトMonthlyは第3期に。執筆陣も総入れ替えとなりました。1頁あたりの密度は小誌内随一の本欄を、これからもどうぞお楽しみに!

 

 

◆特集 国際条約は世界を規律するか?

Ⅰ 国際条約は世界を規律するか?――国際条約の正当性・価値…森 肇志……6

 

Ⅱ 国家管轄権外区域の海洋生物多様性に関する協定(BBNJ協定)…西本健太郎……10

 

Ⅲ ハーグ子奪取条約…長田真里……16

 

Ⅳ WHO憲章――グローバルに実現すべき「健康」とは何か…西 平等……22

 

Ⅴ ジェノサイド条約――ジェノサイド犯罪の防止と処罰…玉田 大……28

 

Ⅵ サイバー犯罪条約――デジタル化社会の分権的領域秩序とデータの所在地消失…黒﨑将広……35

 

コメント

国際法でも、大事なのは、人・金・物ということでした。

 

第14章 電気通信事業者の登録制と届け出制について

電気通信事業法の適用を受ける事業者は、電気通信事業の内容に応じて、以下のいずれかを行わなければなりません。

 

総務大臣の登録を受けること

総務大臣へ届け出をすること

原則として登録が必要ですが(同法9条)、自ら電気通信回線設備を保有しない場合などは、届け出で足りるとされています(同条各号、同法16条)。

 

例えば、MNO(大手キャリア)は、自ら電気通信回線設備を保有するので、登録が必要な電気通信事業に該当します。

 

これに対して、MVNO(格安SIM提供事業者)は、自ら電気通信回線設備を保有しないので、登録ではなく届け出で足ります。

 

なお、前述の適用除外に該当する場合は、登録・届け出のいずれも不要です。

 

電気通信事業法の改正ポイント①|届け出制の対象が拡大される

今回の電気通信事業法改正における1つ目のポイントは、

 

検索情報電気通信役務(例:Googleなどの検索サービス)

媒介相当電気通信役務(例:TwitterなどのSNS)

が、新たに届け出制の対象となる点です(電気通信事業法164条1項3号ロ・ハ)。

 

これらの役務(サービス)は、これまで第三号事業に該当するとして、届け出不要とされていました。

 

しかし、検索サービスやSNSの利用者拡大に伴い、運営会社に利用者情報の適正な取り扱いを義務付ける必要が生じたため、届け出制の対象に含められました。

 

ただし、全ての検索サービスやSNSの運営会社が届け出制の対象となるわけではなく、総務省令によって一定規模以上の事業者に限定される予定です。

 

 

改正法が施行された後は、自社の事業が、検索情報電気通信役務・媒介相当電気通信役務に該当する場合、届け出等を行う必要があります。(電気通信事業法13条2項、16条2項、同条6項)。

 

また、「電気通信事業者」として、さまざまなルールが適用されることになります。

 

賃貸建物の所有権移転と敷金の承継

 

 

家賃金請求事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/昭和43年(オ)第483号

【判決日付】      昭和44年7月17日

【判示事項】      賃貸建物の所有権移転と敷金の承継

【判決要旨】      建物賃貸借契約において、該建物の所有権移転に伴い賃貸人たる地位に承継があつた場合には、旧賃貸人に差し入れられた敷金は、未払賃料債務があればこれに当然充当され、残額についてその権利義務関係が新賃貸人に承継される。

【参照条文】      民法619

             借家法1

             借家法1-1

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集23巻8号1610頁

 

平成29年改正により、民法605条の2が新設された。

民法

(不動産の賃貸人たる地位の移転)

第六百五条の二 前条、借地借家法(平成三年法律第九十号)第十条又は第三十一条その他の法令の規定による賃貸借の対抗要件を備えた場合において、その不動産が譲渡されたときは、その不動産の賃貸人たる地位は、その譲受人に移転する。

2 前項の規定にかかわらず、不動産の譲渡人及び譲受人が、賃貸人たる地位を譲渡人に留保する旨及びその不動産を譲受人が譲渡人に賃貸する旨の合意をしたときは、賃貸人たる地位は、譲受人に移転しない。この場合において、譲渡人と譲受人又はその承継人との間の賃貸借が終了したときは、譲渡人に留保されていた賃貸人たる地位は、譲受人又はその承継人に移転する。

3 第一項又は前項後段の規定による賃貸人たる地位の移転は、賃貸物である不動産について所有権の移転の登記をしなければ、賃借人に対抗することができない。

4 第一項又は第二項後段の規定により賃貸人たる地位が譲受人又はその承継人に移転したときは、第六百八条の規定による費用の償還に係る債務及び第六百二十二条の二第一項の規定による同項に規定する敷金の返還に係る債務は、譲受人又はその承継人が承継する。