賃貸建物の新旧所有者が賃貸人の地位を旧所有者に留保する旨を合意した場合における賃貸人の地位の帰す | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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賃貸建物の新旧所有者が賃貸人の地位を旧所有者に留保する旨を合意した場合における賃貸人の地位の帰すう


    保証金返還債務確認請求事件
【事件番号】    最高裁判所第1小法廷判決/平成7年(オ)第1705号
【判決日付】    平成11年3月25日
【判示事項】    賃貸建物の新旧所有者が賃貸人の地位を旧所有者に留保する旨を合意した場合における賃貸人の地位の帰すう
【判決要旨】    自己の所有建物を他に賃貸して引き渡した者が右建物の所有権を第三者に移転した場合に、新旧所有者間において賃貸人の地位を旧所有者に留保する旨を合意したとしても、これをもって直ちに賃貸人の地位の新所有者への移転を妨げるべき特段の事情があるものということはできない。(反対意見がある。)
【参照条文】    借家法1
          民法619-2
【掲載誌】     最高裁判所裁判集民事192号607頁
          裁判所時報1240号79頁
          判例タイムズ1001号77頁
          金融・商事判例1069号10頁
          判例時報1674号61頁
          金融法務事情1553号43頁

平成29年改正により、以下の条文が新設された。
民法
(不動産の賃貸人たる地位の移転)
第六百五条の二 前条、借地借家法(平成三年法律第九十号)第十条又は第三十一条その他の法令の規定による賃貸借の対抗要件を備えた場合において、その不動産が譲渡されたときは、その不動産の賃貸人たる地位は、その譲受人に移転する。
2 前項の規定にかかわらず、不動産の譲渡人及び譲受人が、賃貸人たる地位を譲渡人に留保する旨及びその不動産を譲受人が譲渡人に賃貸する旨の合意をしたときは、賃貸人たる地位は、譲受人に移転しない。この場合において、譲渡人と譲受人又はその承継人との間の賃貸借が終了したときは、譲渡人に留保されていた賃貸人たる地位は、譲受人又はその承継人に移転する。
3 第一項又は前項後段の規定による賃貸人たる地位の移転は、賃貸物である不動産について所有権の移転の登記をしなければ、賃借人に対抗することができない。
4 第一項又は第二項後段の規定により賃貸人たる地位が譲受人又はその承継人に移転したときは、第六百八条の規定による費用の償還に係る債務及び第六百二十二条の二第一項の規定による同項に規定する敷金の返還に係る債務は、譲受人又はその承継人が承継する。