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法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

役に立つ裁判例の紹介、法律の本の書評です。弁護士経験32年。第二東京弁護士会所属21770

選挙の効力に関する訴願で主張されていない事実を選挙の効力に関する判決の基礎とすることの可否

 

 

              市議会議員選挙無効裁決取消請求事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/昭和28年(オ)第516号

【判決日付】      昭和29年10月14日

【判示事項】      1、選挙の効力に関する訴願で主張されていない事実を選挙の効力に関する判決の基礎とすることの可否

             2、選挙の効力に関する訴願裁決庁の職権による事実探知の可否

             3、選挙争訟における公職選挙法第209条の2の適用の有無

【判決要旨】      1、選挙の効力に関する訴願で主張されていない事実でも、訴訟で当事者が主張した事実は選挙の効力に関する判決の基礎とすることができる。

             2、選挙の効力に関する訴願の審理に際し、裁決庁は訴願人の主張しない事実を職権によつて探知することができる。

             3、公職選挙法第209条の2は当選の効力に関する争訟についての規定であつて、選挙の効力について争訟が提起された場合には適用がない。

【参照条文】      公職選挙法202

             公職選挙法203

             公職選挙法209の2

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集8巻10号1858頁

 

公職選挙法

(地方公共団体の議会の議員及び長の選挙の効力に関する異議の申出及び審査の申立て)

第二百二条 地方公共団体の議会の議員及び長の選挙において、その選挙の効力に関し不服がある選挙人又は公職の候補者は、当該選挙の日から十四日以内に、文書で当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会に対して異議を申し出ることができる。

2 前項の規定により市町村の選挙管理委員会に対して異議を申し出た場合において、その決定に不服がある者は、その決定書の交付を受けた日又は第二百十五条の規定による告示の日から二十一日以内に、文書で当該都道府県の選挙管理委員会に審査を申し立てることができる。

(地方公共団体の議会の議員及び長の選挙の効力に関する訴訟)

第二百三条 地方公共団体の議会の議員及び長の選挙において、前条第一項の異議の申出若しくは同条第二項の審査の申立てに対する都道府県の選挙管理委員会の決定又は裁決に不服がある者は、当該都道府県の選挙管理委員会を被告とし、その決定書若しくは裁決書の交付を受けた日又は第二百十五条の規定による告示の日から三十日以内に、高等裁判所に訴訟を提起することができる。

2 地方公共団体の議会の議員及び長の選挙の効力に関する訴訟は、前条第一項又は第二項の規定による異議の申出又は審査の申立てに対する都道府県の選挙管理委員会の決定又は裁決に対してのみ提起することができる。

 

(当選の効力に関する争訟における潜在無効投票)

第二百九条の二 当選の効力に関する異議の申出、審査の申立て又は訴訟の提起があつた場合において、選挙の当日選挙権を有しない者の投票その他本来無効なるべき投票であつてその無効原因が表面に現れない投票で有効投票に算入されたことが推定され、かつ、その帰属が不明な投票があることが判明したときは、当該選挙管理委員会又は裁判所は、第九十五条又は第九十五条の二若しくは第九十五条の三の規定の適用に関する各公職の候補者又は各衆議院名簿届出政党等若しくは各参議院名簿届出政党等の有効投票の計算については、その開票区ごとに、各公職の候補者又は各衆議院名簿届出政党等若しくは各参議院名簿届出政党等の得票数(各参議院名簿届出政党等の得票数にあつては、当該参議院名簿届出政党等に係る各参議院名簿登載者(当該選挙の期日において公職の候補者たる者に限る。以下この項及び次項において同じ。)の得票数を含むものをいう。)から、当該無効投票数を各公職の候補者又は各衆議院名簿届出政党等若しくは各参議院名簿届出政党等の得票数(各参議院名簿届出政党等の得票数にあつては、当該参議院名簿届出政党等に係る各参議院名簿登載者の得票数を含むものをいう。)に応じてあん分して得た数をそれぞれ差し引くものとする。

2 前項の場合において、各参議院名簿届出政党等に係る各参議院名簿登載者の有効投票及び当該参議院名簿届出政党等の有効投票(当該参議院名簿届出政党等に係る各参議院名簿登載者の有効投票を含まないものをいう。)の計算については、その開票区ごとに、各参議院名簿登載者の得票数及び当該参議院名簿届出政党等の得票数(当該参議院名簿届出政党等に係る各参議院名簿登載者の得票数を含まないものをいう。以下この項において同じ。)から、前項の規定によりあん分して得た数を各参議院名簿登載者の得票数及び当該参議院名簿届出政党等の得票数に応じてあん分して得た数をそれぞれ差し引くものとする。

 

法人の使途不明金が、法人の代表者の賞与と推認された事例

 

 

法人税決定処分等取消請求事件

【事件番号】      静岡地方裁判所判決/昭和62年(行ウ)第11号

【判決日付】      平成3年6月28日

【判示事項】      一 法人税更正処分が、禁反言・信義誠実の原則に違反するものではないとされた事例

             二 法人の使途不明金が、法人の代表者の賞与と推認された事例

【判決要旨】      (1)~(3) 省略

             (4) 原告会社は、実質上その代表者が経理、営業等経営の一切を支配しているいわゆる同族会社であって、原告会社の美顔器等の売上金の大半については、代表者が売上除外金として管理し、それを自由に費消ないし流用しうる立場にあり、原告会社には右売上除外金に対応する預金その他の資産の増大はなく、他に原告会社のため交際費等の経費として支出されたと認めるべき根拠はないというほかなく、逆に、代表者の原告会社に対する多額の貸付金についての原資は不明であるうえ代表者は、帳簿上不正処理をして原告会社の預金を自己のため費消ないし流用するなど原告会社の資金と代表者個人の資金を混同していたものというべきであるから、原告会社の右売上除外金は、その代表者に対して支出された臨時的給与、すなわち賞与であると推認するのが相当である。

【参照条文】      国税通則法24

             所得税法

             民法2-2

             法人税法35

【掲載誌】        判例タイムズ775号121頁

             判例時報1402号41頁

             税務訴訟資料183号1019頁

 

 本判決は、法人が同族会社であること、代表者が右売上除外金を現実に管理していたこと、原告に売上除外金に対応する資産増加のないこと、代表者の個人的な支出について原資が不明であること、代表者が、原告の資金と代表者の資金とを混同した扱いをしていた例があることを認定した上で、売上除外金を役員賞与であると推認したもので、簿外預金の認定に一事例を加えるものである。

 

 

国税通則法

(更正)

第二十四条 税務署長は、納税申告書の提出があつた場合において、その納税申告書に記載された課税標準等又は税額等の計算が国税に関する法律の規定に従つていなかつたとき、その他当該課税標準等又は税額等がその調査したところと異なるときは、その調査により、当該申告書に係る課税標準等又は税額等を更正する。

 

所得税法

(趣旨)

第一条      この法律は、所得税について、納税義務者、課税所得の範囲、税額の計算の方法、申告、納付及び還付の手続、源泉徴収に関する事項並びにその納税義務の適正な履行を確保するため必要な事項を定めるものとする。

 

民法

(解釈の基準)

第二条 この法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等を旨として、解釈しなければならない。

 

法人税法

(役員給与の損金不算入)

第三十四条 内国法人がその役員に対して支給する給与(退職給与で業績連動給与に該当しないもの、使用人としての職務を有する役員に対して支給する当該職務に対するもの及び第三項の規定の適用があるものを除く。以下この項において同じ。)のうち次に掲げる給与のいずれにも該当しないものの額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。

一 その支給時期が一月以下の一定の期間ごとである給与(次号イにおいて「定期給与」という。)で当該事業年度の各支給時期における支給額が同額であるものその他これに準ずるものとして政令で定める給与(同号において「定期同額給与」という。)

二 その役員の職務につき所定の時期に、確定した額の金銭又は確定した数の株式(出資を含む。以下この項及び第五項において同じ。)若しくは新株予約権若しくは確定した額の金銭債権に係る第五十四条第一項(譲渡制限付株式を対価とする費用の帰属事業年度の特例)に規定する特定譲渡制限付株式若しくは第五十四条の二第一項(新株予約権を対価とする費用の帰属事業年度の特例等)に規定する特定新株予約権を交付する旨の定めに基づいて支給する給与で、定期同額給与及び業績連動給与のいずれにも該当しないもの(当該株式若しくは当該特定譲渡制限付株式に係る第五十四条第一項に規定する承継譲渡制限付株式又は当該新株予約権若しくは当該特定新株予約権に係る第五十四条の二第一項に規定する承継新株予約権による給与を含むものとし、次に掲げる場合に該当する場合にはそれぞれ次に定める要件を満たすものに限る。)

イ その給与が定期給与を支給しない役員に対して支給する給与(同族会社に該当しない内国法人が支給する給与で金銭によるものに限る。)以外の給与(株式又は新株予約権による給与で、将来の役務の提供に係るものとして政令で定めるものを除く。)である場合 政令で定めるところにより納税地の所轄税務署長にその定めの内容に関する届出をしていること。

ロ 株式を交付する場合 当該株式が市場価格のある株式又は市場価格のある株式と交換される株式(当該内国法人又は関係法人が発行したものに限る。次号において「適格株式」という。)であること。

ハ 新株予約権を交付する場合 当該新株予約権がその行使により市場価格のある株式が交付される新株予約権(当該内国法人又は関係法人が発行したものに限る。次号において「適格新株予約権」という。)であること。

三 内国法人(同族会社にあつては、同族会社以外の法人との間に当該法人による完全支配関係があるものに限る。)がその業務執行役員(業務を執行する役員として政令で定めるものをいう。以下この号において同じ。)に対して支給する業績連動給与(金銭以外の資産が交付されるものにあつては、適格株式又は適格新株予約権が交付されるものに限る。)で、次に掲げる要件を満たすもの(他の業務執行役員の全てに対して次に掲げる要件を満たす業績連動給与を支給する場合に限る。)

イ 交付される金銭の額若しくは株式若しくは新株予約権の数又は交付される新株予約権の数のうち無償で取得され、若しくは消滅する数の算定方法が、その給与に係る職務を執行する期間の開始の日(イにおいて「職務執行期間開始日」という。)以後に終了する事業年度の利益の状況を示す指標(利益の額、利益の額に有価証券報告書(金融商品取引法第二十四条第一項(有価証券報告書の提出)に規定する有価証券報告書をいう。イにおいて同じ。)に記載されるべき事項による調整を加えた指標その他の利益に関する指標として政令で定めるもので、有価証券報告書に記載されるものに限る。イにおいて同じ。)、職務執行期間開始日の属する事業年度開始の日以後の所定の期間若しくは職務執行期間開始日以後の所定の日における株式の市場価格の状況を示す指標(当該内国法人又は当該内国法人との間に完全支配関係がある法人の株式の市場価格又はその平均値その他の株式の市場価格に関する指標として政令で定めるものに限る。イにおいて同じ。)又は職務執行期間開始日以後に終了する事業年度の売上高の状況を示す指標(売上高、売上高に有価証券報告書に記載されるべき事項による調整を加えた指標その他の売上高に関する指標として政令で定めるもののうち、利益の状況を示す指標又は株式の市場価格の状況を示す指標と同時に用いられるもので、有価証券報告書に記載されるものに限る。)を基礎とした客観的なもの(次に掲げる要件を満たすものに限る。)であること。

(1) 金銭による給与にあつては確定した額を、株式又は新株予約権による給与にあつては確定した数を、それぞれ限度としているものであり、かつ、他の業務執行役員に対して支給する業績連動給与に係る算定方法と同様のものであること。

(2) 政令で定める日までに、会社法第四百四条第三項(指名委員会等の権限等)の報酬委員会(その委員の過半数が当該内国法人の同法第二条第十五号(定義)に規定する社外取締役のうち職務の独立性が確保された者として政令で定める者((2)において「独立社外取締役」という。)であるものに限るものとし、当該内国法人の業務執行役員と政令で定める特殊の関係のある者がその委員であるものを除く。)が決定(当該報酬委員会の委員である独立社外取締役の全員が当該決定に係る当該報酬委員会の決議に賛成している場合における当該決定に限る。)をしていることその他の政令で定める適正な手続を経ていること。

(3) その内容が、(2)の政令で定める適正な手続の終了の日以後遅滞なく、有価証券報告書に記載されていることその他財務省令で定める方法により開示されていること。

ロ その他政令で定める要件

2 内国法人がその役員に対して支給する給与(前項又は次項の規定の適用があるものを除く。)の額のうち不相当に高額な部分の金額として政令で定める金額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。

3 内国法人が、事実を隠蔽し、又は仮装して経理をすることによりその役員に対して支給する給与の額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。

4 前三項に規定する給与には、債務の免除による利益その他の経済的な利益を含むものとする。

5 第一項に規定する業績連動給与とは、利益の状況を示す指標、株式の市場価格の状況を示す指標その他の同項の内国法人又は当該内国法人との間に支配関係がある法人の業績を示す指標を基礎として算定される額又は数の金銭又は株式若しくは新株予約権による給与及び第五十四条第一項に規定する特定譲渡制限付株式若しくは承継譲渡制限付株式又は第五十四条の二第一項に規定する特定新株予約権若しくは承継新株予約権による給与で無償で取得され、又は消滅する株式又は新株予約権の数が役務の提供期間以外の事由により変動するものをいう。

6 第一項に規定する使用人としての職務を有する役員とは、役員(社長、理事長その他政令で定めるものを除く。)のうち、部長、課長その他法人の使用人としての職制上の地位を有し、かつ、常時使用人としての職務に従事するものをいう。

7 第一項第二号ロ及びハに規定する関係法人とは、同項の内国法人との間に支配関係がある法人として政令で定める法人をいう。

8 第四項から前項までに定めるもののほか、第一項から第三項までの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

 

第9章 組物の意匠の拡充(令和2年4月1日施行)

「組物」とは、 一緒に使用されていることを想定して作られている2つ以上のモノ をいいます(意匠法8条、旧意匠法8条)。 たとえば、「食卓用のお皿とコップとのセット」「応接家具セット」などです。

 

これまでは、組物の部分については意匠登録が認められませんでしたが、改正により、組物の部分についても意匠登録することが認められることとなりました。

 

(組物の意匠)

第8条  同時に使用される2以上の物品であって経済産業省令で定めるもの(以下「組物」という。)を構成する物品に係る意匠は、組物全体として統一があるときは、一意匠として出願をし、意匠登録を受けることができる。

 

引用元│意匠法 – e-Gov法令検索 – 電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ

 

意匠法には、一つのモノに対して一つの意匠のみ登録できるという原則(一意匠一出願の原則)がありますが、「組物」は、その例外として一つの意匠として登録することが認められていました。 他方で、「組物」の一部分については、意匠登録することができませんでした(旧意匠法2条1項)。 すなわち、旧意匠法2条1項は、組物について定めている同法8条については、一部を意匠として認めていませんでした。

 

第2条 この法律で「意匠」とは、物品(物品の部分を含む。第8条を除き、以下同じ。)の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であって、視覚を通じて美感を起こさせるものをいう

 

引用元│意匠法 – e-Gov法令検索 – 電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ

 

なぜ、組物の一部分について、意匠登録を認めていないと解釈できるのでしょうか?

物品(物品の部分を含む。第8条を除き、以下同じ。)」という点に注目してください。 第8条は、組物に関するルールです。すなわち、意匠法で保護される「意匠」には、物品の一部分も含まれるが、組物については、一部分は含まれない、ということになります。 フォークとスプーンのセットについて、柄の部分だけを意匠登録することはできなかったのです。

しかしながら、昨今、モノの一部に特徴的なデザインを施したものについて、意匠として登録したいというニーズが増えてきました。 そこで、改正では、 旧意匠法2条の「第8条を除き、」を削除 し、「組物」の一部分についても、意匠登録することができることになりました。

 

「組物」の一部分についても、意匠登録することができる

 

両罰規定における事業主に対する事物管轄の有無を定める標準
京都地方裁判所判決/昭和38年(わ)第123号
昭和38年8月5日
建築基準法違反
【判示事項】    いわゆる両罰規定における事業主に対する事物管轄の有無を定める標準
【参照条文】    建築基準法101
          建築基準法98
          刑事訴訟法329
          裁判所法33
【掲載誌】     下級裁判所刑事裁判例集5巻7~8号786頁

裁判所法
第三十三条(裁判権) 簡易裁判所は、次の事項について第一審の裁判権を有する。
一 訴訟の目的の価額が百四十万円を超えない請求(行政事件訴訟に係る請求を除く。)
二 罰金以下の刑に当たる罪、選択刑として罰金が定められている罪又は刑法第百八十六条、第二百五十二条若しくは第二百五十六条の罪に係る訴訟
② 簡易裁判所は、禁錮以上の刑を科することができない。ただし、刑法第百三十条の罪若しくはその未遂罪、同法第百八十六条の罪、同法第二百三十五条の罪若しくはその未遂罪、同法第二百五十二条、第二百五十四条若しくは第二百五十六条の罪、古物営業法(昭和二十四年法律第百八号)第三十一条から第三十三条までの罪若しくは質屋営業法(昭和二十五年法律第百五十八号)第三十条から第三十二条までの罪に係る事件又はこれらの罪と他の罪とにつき刑法第五十四条第一項の規定によりこれらの罪の刑をもつて処断すべき事件においては、三年以下の懲役を科することができる。
③ 簡易裁判所は、前項の制限を超える刑を科するのを相当と認めるときは、訴訟法の定めるところにより事件を地方裁判所に移さなければならない。

建築基準法
第七章 罰則
第九十八条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
一 第九条第一項又は第十項前段(これらの規定を第八十八条第一項から第三項まで又は第九十条第三項において準用する場合を含む。)の規定による特定行政庁又は建築監視員の命令に違反した者
二 第二十条(第一項第一号から第三号までに係る部分に限る。)、第二十一条、第二十六条、第二十七条、第三十五条又は第三十五条の二の規定に違反した場合における当該建築物又は建築設備の設計者(設計図書に記載された認定建築材料等(型式適合認定に係る型式の建築材料若しくは建築物の部分、構造方法等の認定に係る構造方法を用いる建築物の部分若しくは建築材料又は特殊構造方法等認定に係る特殊の構造方法を用いる建築物の部分若しくは特殊の建築材料をいう。以下同じ。)の全部又は一部として当該認定建築材料等の全部又は一部と異なる建築材料又は建築物の部分を引き渡した場合においては当該建築材料又は建築物の部分を引き渡した者、設計図書を用いないで工事を施工し、又は設計図書に従わないで工事を施工した場合(設計図書に記載された認定建築材料等と異なる建築材料又は建築物の部分を引き渡された場合において、当該建築材料又は建築物の部分を使用して工事を施工した場合を除く。)においては当該建築物又は建築設備の工事施工者)
三 第三十六条(防火壁、防火床及び防火区画の設置及び構造に係る部分に限る。)の規定に基づく政令の規定に違反した場合における当該建築物の設計者(設計図書に記載された認定建築材料等の全部又は一部として当該認定建築材料等の全部又は一部と異なる建築材料又は建築物の部分を引き渡した場合においては当該建築材料又は建築物の部分を引き渡した者、設計図書を用いないで工事を施工し、又は設計図書に従わないで工事を施工した場合(設計図書に記載された認定建築材料等と異なる建築材料又は建築物の部分を引き渡された場合において、当該建築材料又は建築物の部分を使用して工事を施工した場合を除く。)においては当該建築物の工事施工者)
四 第八十七条第三項において準用する第二十七条、第三十五条又は第三十五条の二の規定に違反した場合における当該建築物の所有者、管理者又は占有者
五 第八十七条第三項において準用する第三十六条(防火壁、防火床及び防火区画の設置及び構造に関して、第三十五条の規定を実施し、又は補足するために安全上及び防火上必要な技術的基準に係る部分に限る。)の規定に基づく政令の規定に違反した場合における当該建築物の所有者、管理者又は占有者
2 前項第二号又は第三号に規定する違反があつた場合において、その違反が建築主又は建築設備の設置者の故意によるものであるときは、当該設計者又は工事施工者を罰するほか、当該建築主又は建築設備の設置者に対して同項の刑を科する。
第九十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
一 第六条第一項(第八十七条第一項、第八十七条の四又は第八十八条第一項若しくは第二項において準用する場合を含む。)、第七条の六第一項(第八十七条の四又は第八十八条第二項において準用する場合を含む。)又は第六十八条の十九第二項(第八十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者
二 第六条第八項(第八十七条の四又は第八十八条第一項若しくは第二項において準用する場合を含む。)又は第七条の三第六項(第八十七条の四又は第八十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定に違反した場合における当該建築物、工作物又は建築設備の工事施工者
三 第七条第二項若しくは第三項(これらの規定を第八十七条の四又は第八十八条第一項若しくは第二項において準用する場合を含む。)又は第七条の三第二項若しくは第三項(これらの規定を第八十七条の四又は第八十八条第一項において準用する場合を含む。)の期限内に第七条第一項(第八十七条の四又は第八十八条第一項若しくは第二項において準用する場合を含む。)又は第七条の三第一項(第八十七条の四又は第八十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定による申請をせず、又は虚偽の申請をした者
四 第九条第十項後段(第八十八条第一項から第三項まで又は第九十条第三項において準用する場合を含む。)、第十条第二項若しくは第三項(これらの規定を第八十八条第一項又は第三項において準用する場合を含む。)、第十一条第一項(第八十八条第一項から第三項までにおいて準用する場合を含む。)又は第九十条の二第一項の規定による特定行政庁又は建築監視員の命令に違反した者
五 第十二条第五項(第一号に係る部分に限る。)又は第十五条の二第一項(これらの規定を第八十八条第一項から第三項までにおいて準用する場合を含む。)の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
六 第十二条第六項又は第十五条の二第一項(これらの規定を第八十八条第一項から第三項までにおいて準用する場合を含む。)の規定による物件の提出をせず、又は虚偽の物件の提出をした者
七 第十二条第七項又は第十五条の二第一項(これらの規定を第八十八条第一項から第三項までにおいて準用する場合を含む。)の規定による検査若しくは試験を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の答弁をした者
八 第二十条(第一項第四号に係る部分に限る。)、第二十二条第一項、第二十三条、第二十五条、第二十八条第三項、第二十八条の二(第八十八条第一項において準用する場合を含む。)、第三十二条(第八十八条第一項において準用する場合を含む。)、第三十三条(第八十八条第一項において準用する場合を含む。)、第三十四条第一項(第八十八条第一項において準用する場合を含む。)、第三十四条第二項、第三十五条の三、第三十七条(第八十八条第一項において準用する場合を含む。)、第六十一条、第六十二条、第六十四条、第六十七条第一項又は第八十八条第一項において準用する第二十条の規定に違反した場合における当該建築物、工作物又は建築設備の設計者(設計図書に記載された認定建築材料等の全部又は一部として当該認定建築材料等の全部又は一部と異なる建築材料又は建築物の部分を引き渡した場合においては当該建築材料又は建築物の部分を引き渡した者、設計図書を用いないで工事を施工し、又は設計図書に従わないで工事を施工した場合(設計図書に記載された認定建築材料等と異なる建築材料又は建築物の部分を引き渡された場合において、当該建築材料又は建築物の部分を使用して工事を施工した場合を除く。)においては当該建築物、工作物又は建築設備の工事施工者)
九 第三十六条(消火設備、避雷設備及び給水、排水その他の配管設備の設置及び構造並びに煙突及び昇降機の構造に係る部分に限り、第八十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定に基づく政令の規定に違反した場合における当該建築物、工作物又は建築設備の設計者(設計図書に記載された認定建築材料等の全部又は一部として当該認定建築材料等の全部又は一部と異なる建築材料又は建築物の部分を引き渡した場合においては当該建築材料又は建築物の部分を引き渡した者、設計図書を用いないで工事を施工し、又は設計図書に従わないで工事を施工した場合(設計図書に記載された認定建築材料等と異なる建築材料又は建築物の部分を引き渡された場合において、当該建築材料又は建築物の部分を使用して工事を施工した場合を除く。)においては当該建築物、工作物又は建築設備の工事施工者)
十 第七十七条の八第一項(第七十七条の十七の二第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、その職務に関して知り得た秘密を漏らした者
十一 第七十七条の八第二項(第七十七条の十七の二第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、事前に建築基準適合判定資格者検定若しくは構造計算適合判定資格者検定の問題を漏らし、又は不正の採点をした者
十二 第七十七条の二十五第一項、第七十七条の三十五の十第一項又は第七十七条の四十三第一項(第七十七条の五十六第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、その職務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用した者
十三 第七十七条の三十五第二項の規定による確認検査の業務の停止の命令に違反した者
十四 第七十七条の六十二第二項(第七十七条の六十六第二項において準用する場合を含む。)の規定による禁止に違反して、確認検査又は構造計算適合性判定の業務を行つた者
十五 第八十七条第三項において準用する第二十八条第三項又は第三十五条の三の規定に違反した場合における当該建築物の所有者、管理者又は占有者
十六 第八十七条第三項において準用する第三十六条(消火設備の設置及び構造に関して、第三十五条の規定を実施し、又は補足するために安全上及び防火上必要な技術的基準に係る部分に限る。)の規定に基づく政令の規定に違反した場合における当該建築物の所有者、管理者又は占有者
2 前項第八号又は第九号に規定する違反があつた場合において、その違反が建築主、工作物の築造主又は建築設備の設置者の故意によるものであるときは、当該設計者又は工事施工者を罰するほか、当該建築主、工作物の築造主又は建築設備の設置者に対して同項の刑を科する。

第百一条 次の各号のいずれかに該当する者は、百万円以下の罰金に処する。
一 第五条の六第一項から第三項まで又は第五項の規定に違反した場合における当該建築物の工事施工者
二 第十二条第一項若しくは第三項(これらの規定を第八十八条第一項又は第三項において準用する場合を含む。)又は第五項(第二号に係る部分に限り、第八十八条第一項から第三項までにおいて準用する場合を含む。)の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
三 第十九条、第二十八条第一項若しくは第二項、第三十一条、第四十三条第一項、第四十四条第一項、第四十七条、第五十二条第一項、第二項若しくは第七項、第五十三条第一項若しくは第二項、第五十三条の二第一項(第五十七条の五第三項において準用する場合を含む。)、第五十四条第一項、第五十五条第一項、第五十六条第一項、第五十六条の二第一項、第五十七条の四第一項、第五十七条の五第一項、第五十九条第一項若しくは第二項、第六十条第一項若しくは第二項、第六十条の二第一項若しくは第二項、第六十条の二の二第一項から第三項まで、第六十条の三第一項若しくは第二項、第六十七条第三項若しくは第五項から第七項まで又は第六十八条第一項から第三項までの規定に違反した場合における当該建築物又は建築設備の設計者(設計図書に記載された認定建築材料等の全部又は一部として当該認定建築材料等の全部又は一部と異なる建築材料又は建築物の部分を引き渡した場合においては当該建築材料又は建築物の部分を引き渡した者、設計図書を用いないで工事を施工し、又は設計図書に従わないで工事を施工した場合(設計図書に記載された認定建築材料等と異なる建築材料又は建築物の部分を引き渡された場合において、当該建築材料又は建築物の部分を使用して工事を施工した場合を除く。)においては当該建築物又は建築設備の工事施工者)
四 第三十六条(居室の採光面積、天井及び床の高さ、床の防湿方法、階段の構造、便所の設置及び構造並びに浄化槽の構造に係る部分に限る。)の規定に基づく政令の規定に違反した場合における当該建築物又は建築設備の設計者(設計図書に記載された認定建築材料等の全部又は一部として当該認定建築材料等の全部又は一部と異なる建築材料又は建築物の部分を引き渡した場合においては当該建築材料又は建築物の部分を引き渡した者、設計図書を用いないで工事を施工し、又は設計図書に従わないで工事を施工した場合(設計図書に記載された認定建築材料等と異なる建築材料又は建築物の部分を引き渡された場合において、当該建築材料又は建築物の部分を使用して工事を施工した場合を除く。)においては当該建築物又は建築設備の工事施工者)
五 第四十八条第一項から第十四項まで又は第五十一条(これらの規定を第八十八条第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反した場合における当該建築物又は工作物の建築主又は築造主
六 第五十八条第一項の規定による制限に違反した場合における当該建築物の設計者(設計図書を用いないで工事を施工し、又は設計図書に従わないで工事を施工した場合においては、当該建築物の工事施工者)
七 第六十八条の十八第二項(第八十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、検査を行わず、検査記録を作成せず、虚偽の検査記録を作成し、又は検査記録を保存しなかつた者
八 第八十五条第三項の規定に違反した場合における当該建築物の建築主
九 第八十五条第四項又は第五項の規定により特定行政庁が定めた期間を超えて応急仮設建築物を存続させた場合における当該建築物の所有者、管理者又は占有者
十 第八十五条第六項又は第七項の規定により特定行政庁が定めた期間を超えて仮設興行場等を存続させた場合における当該建築物の所有者、管理者又は占有者
十一 第八十四条第一項の規定による制限又は禁止に違反した場合における当該建築物の建築主
十二 第八十七条第二項又は第三項において準用する第二十八条第一項、第四十八条第一項から第十四項まで又は第五十一条の規定に違反した場合における当該建築物の所有者、管理者又は占有者
十三 第八十八条第二項において準用する第八十七条第二項又は第三項において準用する第四十八条第一項から第十四項まで又は第五十一条の規定に違反した場合における当該工作物の所有者、管理者又は占有者
十四 第八十七条第三項において準用する第三十六条(居室の採光面積及び階段の構造に関して、第二十八条第一項又は第三十五条の規定を実施し、又は補足するために安全上、防火上及び衛生上必要な技術的基準に係る部分に限る。)の規定に基づく政令の規定に違反した場合における当該建築物の所有者、管理者又は占有者
十五 第八十七条の三第三項の規定に違反した場合における当該建築物の所有者、管理者又は占有者
十六 第八十七条の三第四項又は第五項の規定により特定行政庁が定めた期間を超えて当該建築物を災害救助用建築物又は公益的建築物として使用した場合における当該建築物の所有者、管理者又は占有者
十七 第八十七条の三第六項又は第七項の規定により特定行政庁が定めた期間を超えて当該建築物を興行場等として使用した場合における当該建築物の所有者、管理者又は占有者
十八 第九十条第一項(第八十七条の四又は第八十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者
2 前項第三号、第四号又は第六号に規定する違反があつた場合において、その違反が建築主又は建築設備の設置者の故意によるものであるときは、当該設計者又は工事施工者を罰するほか、当該建築主又は建築設備の設置者に対して同項の刑を科する。

       主   文
 本件はいずれも管轄違。

 

特例財団法人は、その同一性を失わせるような根本的事項の変更に当たるか否かにかかわらず、その定款の定めを変更することができる。

 

最3小判平成27年12月8日民集69巻8号2211頁 判例タイムズ1422号75頁 判例時報2288号31頁 金融法務事情2045号80頁

寄附行為変更無効確認等請求事件

【判示事項】 特例財団法人は、その同一性を失わせるような根本的事項の変更に当たるか否かにかかわらず、その定款の定めを変更することができるか

【判決要旨】 「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」42条1項に規定する特例財団法人は、所定の手続を経て、その同一性を失わせるような根本的事項の変更に当たるか否かにかかわらず、その定款の定めを変更することができる。

【参照条文】 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律40、42-1、94

       一般社団法人及び一般財団法人に関する法律153 (定款の記載または記録事項)、200

       民法(平成18年法律第50号による改正前のもの)37

 

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律

(定款の作成)

第百五十二条 一般財団法人を設立するには、設立者(設立者が二人以上あるときは、その全員)が定款を作成し、これに署名し、又は記名押印しなければならない。

2 設立者は、遺言で、次条第一項各号に掲げる事項及び第百五十四条に規定する事項を定めて一般財団法人を設立する意思を表示することができる。この場合においては、遺言執行者は、当該遺言の効力が生じた後、遅滞なく、当該遺言で定めた事項を記載した定款を作成し、これに署名し、又は記名押印しなければならない。

3 第十条第二項の規定は、前二項の定款について準用する。

 

千葉県立流山中央高校生事件・非行事実の認定に関する証拠調べの範囲、限度、方法の決定と家庭裁判所の裁量


    暴力行為等処罰に関する法律違反、現住建造物等放火未遂保護事件
【事件番号】    最高裁判所第1小法廷決定/昭和58年(し)第77号
【判決日付】    昭和58年10月26日
【判示事項】    非行事実の認定に関する証拠調べの範囲、限度、方法の決定と家庭裁判所の裁量
【判決要旨】    非行事実の認定に関する証拠調べの範囲、限度、方法の決定は、家庭裁判所の完全な自由裁量に属するものではなく、その合理的な裁量に委ねられたものである。
          (補足意見がある。)
【参照条文】    少年法8
          少年法14
          少年審判規則19
【掲載誌】     最高裁判所刑事判例集37巻8号1260頁

少年法
(事件の調査)
第八条 家庭裁判所は、第六条第一項の通告又は前条第一項の報告により、審判に付すべき少年があると思料するときは、事件について調査しなければならない。検察官、司法警察員、警察官、都道府県知事又は児童相談所長から家庭裁判所の審判に付すべき少年事件の送致を受けたときも、同様とする。
2 家庭裁判所は、家庭裁判所調査官に命じて、少年、保護者又は参考人の取調その他の必要な調査を行わせることができる。

(証人尋問・鑑定・通訳・翻訳)
第十四条 家庭裁判所は、証人を尋問し、又は鑑定、通訳若しくは翻訳を命ずることができる。
2 刑事訴訟法中、裁判所の行う証人尋問、鑑定、通訳及び翻訳に関する規定は、保護事件の性質に反しない限り、前項の場合に、これを準用する。

少年審判規則
(証人尋問等・法第十四条等)
第十九条 刑事訴訟規則中、裁判所の行う証人尋問、鑑定、通訳、翻訳、検証、押収及び捜索
に関する規定は、保護事件の性質に反しない限り、法第十四条第一項の規定による証人尋問、
鑑定、通訳及び翻訳並びに法第十五条第一項の規定による検証、押収及び捜索について準用す
る。
(平一九最裁規一一・全改
 

法人が時価相当額より低廉な対価でその資産を譲渡した場合には、法人税法二二条二項の規定により課税の対象となる収益の額は、右資産の時価相当額をもって算定すべきであるとした事例

 

 

              法人税更正処分取消等請求事件

【事件番号】      名古屋地方裁判所判決/昭和61年(行ウ)第30号

【判決日付】      平成4年4月6日

【判示事項】      一 法人が時価相当額より低廉な対価でその資産を譲渡した場合には、法人税法二二条二項の規定により課税の対象となる収益の額は、右資産の時価相当額をもって算定すべきであるとした事例

             二 法人がその役員に対し時価相当額より低廉な対価で資産を譲渡した場合に、時価相当額と譲渡価額との差額は役員賞与に当たるとして、法人が所得税源泉徴収義務を負うものとした事例

【判決要旨】      (1) 法人税法二二条二項(各事業年度の所得の金額の計算)において、資産の譲渡に係る収益を益金として課税の対象としているのは、法人の資産が売買等によりその支配外に流出したのを契機として、顕在化した資産の値上り益の担税力に着目し、清算課税しようとする趣旨であると解されるところ、法人が資産を時価相当額より低廉な対価により譲渡した場合には、あたかも右資産を時価相当額で譲渡すると同時にその譲渡対価との差額を譲受人に贈与したのと同一の経済的効果を有するのであるから、法人が資産を時価相当額で譲渡した場合との税負担の公平という見地からしても、収益の額は右資産の時価相当額によるのが相当だからである。

             (2)~(9) 省略

             (10) 法人税法上の役員賞与に該当するか否かは、法人の主観的意思によって左右されるものではなく、当該経済的利益の供与が役員の職務執行の対価の性質を有するか否かという客観的な基準によって判断すべきものと解される。そして、一般に、法人の役員に対し当該法人から支給される金銭又は経済的利益は、その支給が右役員の立場と全く無関係に、法人からみて純然たる第三者との間の取引ともいうべき態様によりなされるものでない限り、原則としてその職務執行の対価の性質を有するものとみることができる。本件のように法人が時価相当額による譲渡であると確信して売買した場合には、役員の役務の提供の対価としての性質を持たないから、所得税法上の一時所得である旨の原告会社の主張は、採用できない。

             (11) 省略

【参照条文】      法人税法22-2

             所得税法28-1

             所得税法183-1

【掲載誌】        行政事件裁判例集43巻4号589頁

             判例タイムズ823号168頁

             税務訴訟資料189号24頁

 

法人税法

第二款 各事業年度の所得の金額の計算の通則

第二十二条 内国法人の各事業年度の所得の金額は、当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とする。

2 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする。

3 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、次に掲げる額とする。

一 当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額

二 前号に掲げるもののほか、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額

三 当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの

4 第二項に規定する当該事業年度の収益の額及び前項各号に掲げる額は、別段の定めがあるものを除き、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従つて計算されるものとする。

5 第二項又は第三項に規定する資本等取引とは、法人の資本金等の額の増加又は減少を生ずる取引並びに法人が行う利益又は剰余金の分配(資産の流動化に関する法律第百十五条第一項(中間配当)に規定する金銭の分配を含む。)及び残余財産の分配又は引渡しをいう。

 

所得税法

(給与所得)

第二十八条 給与所得とは、俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与(以下この条において「給与等」という。)に係る所得をいう。

2 給与所得の金額は、その年中の給与等の収入金額から給与所得控除額を控除した残額とする。

3 前項に規定する給与所得控除額は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額とする。

一 前項に規定する収入金額が百八十万円以下である場合 当該収入金額の百分の四十に相当する金額から十万円を控除した残額(当該残額が五十五万円に満たない場合には、五十五万円)

二 前項に規定する収入金額が百八十万円を超え三百六十万円以下である場合 六十二万円と当該収入金額から百八十万円を控除した金額の百分の三十に相当する金額との合計額

三 前項に規定する収入金額が三百六十万円を超え六百六十万円以下である場合 百十六万円と当該収入金額から三百六十万円を控除した金額の百分の二十に相当する金額との合計額

四 前項に規定する収入金額が六百六十万円を超え八百五十万円以下である場合 百七十六万円と当該収入金額から六百六十万円を控除した金額の百分の十に相当する金額との合計額

五 前項に規定する収入金額が八百五十万円を超える場合 百九十五万円

4 その年中の給与等の収入金額が六百六十万円未満である場合には、当該給与等に係る給与所得の金額は、前二項の規定にかかわらず、当該収入金額を別表第五の給与等の金額として、同表により当該金額に応じて求めた同表の給与所得控除後の給与等の金額に相当する金額とする。

 

(源泉徴収義務)

第百八十三条 居住者に対し国内において第二十八条第一項(給与所得)に規定する給与等(以下この章において「給与等」という。)の支払をする者は、その支払の際、その給与等について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月十日までに、これを国に納付しなければならない。

2 法人の法人税法第二条第十五号(定義)に規定する役員に対する賞与については、支払の確定した日から一年を経過した日までにその支払がされない場合には、その一年を経過した日においてその支払があつたものとみなして、前項の規定を適用する。

 

 

『国際商事仲裁の基本実務講座』 2024/3/30

大貫 雅晴 (著)

 

官民連携で取り組まれている、国際商事仲裁(国際商取引に関わる紛争の解決手段)に関する実務の基礎的知識をまとめた入門書。仲裁とは何かから、実際の手続き方法まで体系的に解説。

 

コメント

類書が少ない。

 

 

【目次】

第1講 国際仲裁とは―国際仲裁,ADR概観―

第2講 仲裁合意

第3講 仲裁条項のドラフティング

第4講 仲裁人

第5講 仲裁手続の当事者と関係者,多数当事者仲裁

第6講 手続きの開始

第7講 仲裁手続

第8講 口頭審問,証拠調べ期日,迅速仲裁手続

第9講 仲裁廷による暫定保全措置と緊急仲裁人制度

第10講 仲裁と調停の連結

第11講 仲裁判断

第12講 仲裁判断後の問題点と仲裁判断の取消し

第13講 仲裁判断の承認及び執行

第14講 投資仲裁

 

著者について

大貫 雅晴(おおぬき まさはる)

GBCジービック大貫研究所 代表

 

 

出版社 ‏ : ‎ 同文舘出版 (2024/3/30)

発売日 ‏ : ‎ 2024/3/30

言語 ‏ : ‎ 日本語

単行本(ソフトカバー) ‏ : ‎ 220ページ

第8章 創作非容易性の水準の明確化(令和2年4月1日施行)

これまでは、創作非容易性の根拠となる資料は公然知られたものに限られていましたが、改正により、公然知られたか否かに関わらず、刊行物やウェブサイト等に掲載された形状・模様等も創作非容易性判断の根拠資料とすることとなりました。

 

登記権利者及び登記義務者双方から登記手続の委託を受けた司法書士が登記義務者から登記手続に必要な書類の返還を求められた場合における登記権利者に対する委任契約上の義務

 

最高裁判所第1小法廷判決/昭和51年(オ)第102号

昭和53年7月10日

『昭和53年重要判例解説』民法事件

損害賠償請求事件

【判示事項】    登記権利者及び登記義務者双方から登記手続の委託を受けた司法書士が登記義務者から登記手続に必要な書類の返還を求められた場合における登記権利者に対する委任契約上の義務

【判決要旨】    登記権利者及び登記義務者双方から登記手続の委託を受け、右手続に必要な書類の交付を受けた司法書士は、手続の完了前に登記義務者から右書類の返還を求められても、登記権利者に対する関係では、同人への同意があるなど特段の事情のない限り、その返還を拒むべき委任契約上の義務がある。

【参照条文】    民法644

          民法651

          司法書士法

【掲載誌】     最高裁判所民事判例集32巻5号868頁

 

民法

(受任者の注意義務)

第六百四十四条 受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。

 

(委任の解除)

第六百五十一条 委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。

2 前項の規定により委任の解除をした者は、次に掲げる場合には、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。

一 相手方に不利な時期に委任を解除したとき。

二 委任者が受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除く。)をも目的とする委任を解除したとき。

 

司法書士法

(司法書士の使命)

第一条 司法書士は、この法律の定めるところによりその業務とする登記、供託、訴訟その他の法律事務の専門家として、国民の権利を擁護し、もつて自由かつ公正な社会の形成に寄与することを使命とする。

 

       主   文

 原判決を破棄する。

 本件を大阪高等裁判所に差し戻す。

       理   由

 上告代理人松尾利雄の上告理由について

 1 原判決によれば、上告人らが本件請求の原因として主張するところは、次のとおりである。

 (1) 上告人A、同B及び訴外Cは、昭和42年6月12日から昭和43年1月18日までの間に株式会社入江工務店から第1審判決添付の目録に記載の3筆の土地(以下「本件土地」という。)をそれぞれ買い受け、手付を支払い、Cは、上告人Dに対し、買主の地位を譲渡した。

 (2) 上告人らは、昭和43年2月8日、売主とともに司法書士である被上告人に対し、本件土地について所有権移転の仮登記手続を委託し、売主及び買王の委任状、印鑑証明書、資格証明書等登記手続に必要な書類を交付したところ、被上告人は、その数日後、売主からその交付にかかる登記手続に必要な書類の返還を求められ、買主である上告人らの同意を得ることなく、直ちにこれを売主に返還した。

 (3) 売主は、それから程なく同年3月初めに倒産し、本件土地は、他に売却され所有権移転登記がされたため、上告人らは、本件土地について登記を経由することができず、結局、本件土地の所有権を取得することができなくなり、損害を被った。右損害の額は、少なくとも、上告人らが売主に交付した手付のうちその後、売主から一部返還を受けた額を控除した残額に相当する額である。

 (4) 登記権利者、登記義務者の双方から登記手続の委託を受けた被上告人としては、登記義務者からその交付にかかる登記手続に必要な書類の返還を求められても、登記権利者の同意がなければ、返還すべきではなく、これを返還したことは、上告人らとの委任契約上の債務不履行となるものであり、被上告人は、上告人らの被った前記損害を賠償すべきである。

 2 上告人らの右主張についての原審の判断は、次のとおりである。

 (1) 不動産の売買契約の履行として、売主と買主の双方が司法書士に登記手続を委託する場合に、右3者間に特段の約定がされない限り、各委任契約は、単純に併存するのにすぎず、一方が他方の制約を受けたり、運命を共にしなければならない関係にはなく、一方の委任者は、他方の委任者の同意を要することなく委任契約を解除することができる。

 (2) このように、一方の委任者である入江工務店は、受任者である被上告人との間の登記手続の委任契約をいつでも解除することができるのであるから、受任者としては、登記手続に必要な書類の返還を求められれば、それを拒むことはできない。それ故、被上告人が入江工務店の求めに応じて右書類を返還したため、登記手続が不能になったとしても、上告人らと被上告人との間の委任契約の債務不履行又は善管注意義務違反になるものではなく、被上告人に対して損害賠償を求める上告人らの請求は、理由がない。

 3 思うに、不動産の売買契約においては、当事者は、代金の授受、目的物の引渡し、所有権移転等の登記の経由等が障害なく行われ、最終的に目的物の所有権が完全に移転することを期待して契約を締結するものであり、法律も当事者の右期待にそい、その権利を保叢すべく機能しているというべきである。そして、不動産の買主は、登記を経由しない限り、第3者に対抗しうる完全な所有権を取得することができないのであるから、登記手続の履行は、売買契約の当事者が行うべき最も重要な行為の1つであるということができるが、登記所に対して登記申請をするには、ある程度の専門的知識を必要とするから、現今の社会では、右のような登記手続は、司法書士に委託して行われるのが一般であるといってよく、この場合に、売買契約の当事者双方がいつたん右手続を同一の司法書士に委託した以上、特段の事情のない限り、右当事者は、登記手続が支障なく行われることによって右契約が履行され、所有権が完全に移転することを期待しているものであり、登記手続の委託を受けることを業とする司法書士としても、そのことを十分に認識しているものということができる。このことは、所有権移転登記手続に限らず、その前段階ともいえる所有権移転の仮登記手続の場合も同様である。そうすると、売主である登記義務者と司法書士との間の登記手続の委託に関する委任契約と買主である登記権利者と司法書士との間の登記手続の委託に関する委任契約とは、売買契約に起因し、相互に関連づけられ、前者は、登記権利者の利益をも目的としているというべきであり、司法書士が受任に際し、登記義務者から交付を受けた登記手続に必要な書類は、同時に登記権利者のためにも保管すべきものというべきである。したがって、このような場合には、登記義務者と司法書士との間の委任契約は、契約の性質上、民法651条1項の規定にもかかわらず、登記権利者の同意等特段の事情のない限り、解除することができないものと解するのが相当である。このように、登記義務者は、登記権利者の同意等かない限り、司法書士との間の登記手続に関する委任契約を解除することができないのであるから、受任者である司法書士としては、登記義務者から登記手続に必要な書類の返還を求められても、それを拒むことができるのである。また、それと同時に、前記のように、司法書士としては、登記権利者との関係では、登記義務者から交付を受けた登記手続に必要な書類は、登記権利者のためにも保管すべき義務を負担しているのであるから、登記義務者からその書類の返還を求められても、それを拒むべき義務があるものというべきである。したがって、それを拒まずに右書類を返還した結果、登記権利者への登記手続が不能となれば、登記権利者との委任契約は、履行不能となり、その履行不能は、受任者である司法書士の責めに帰すべき事由によるものというべきであるから、同人は、債務不履行の責めを負わなければならない。

 そうすると、前記のとおり、被上告人に委任契約の債務不履行又は善管注意義務違反はないとして上告人らの損害賠償請求を排斥した原審の判断は、法令の解釈適用を誤ったものであり、その誤りは、判決に影響を及ぼすことが明らかであるから、この点に関する論旨は、理由があり、その余の点について判断するまでもなく、原判決は破棄を免れず、更に、審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻すこととする。

 よって、民訴法407条1項に従い、裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

    最高裁判所第1小法廷