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法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

役に立つ裁判例の紹介、法律の本の書評です。弁護士経験32年。第二東京弁護士会所属21770

泉佐野市ふるさと納税地方交付税事件・地方団体が国から法律の定めに従い地方交付税の分配を受けることができるか否かに関する紛争は、裁判所法3条1項にいう「法律上の争訟」には当たらない。

 

 

特別地方交付税の額の決定取消請求控訴事件

【事件番号】      大阪高等裁判所判決/令和4年(行コ)第53号

【判決日付】      令和5年5月10日

【判示事項】      地方団体が国から法律の定めに従い地方交付税の分配を受けることができるか否かに関する紛争は、裁判所法3条1項にいう「法律上の争訟」には当たらない。

【掲載誌】        LLI/DB 判例秘書登載

【評釈論文】      税78巻8号80頁

 

裁判所法

第三条(裁判所の権限) 裁判所は、日本国憲法に特別の定のある場合を除いて一切の法律上の争訟を裁判し、その他法律において特に定める権限を有する。

② 前項の規定は、行政機関が前審として審判することを妨げない。

③ この法律の規定は、刑事について、別に法律で陪審の制度を設けることを妨げない。

 

 

       主   文

 

 1 原判決を取り消す。

 2 被控訴人泉佐野市の訴えをいずれも却下する。

 3 訴訟費用は、第1、2審とも被控訴人泉佐野市の負担とする。

 

       事実及び理由

 

第1 控訴の趣旨

 1 原判決を取り消す。

 2 (主位的)

   被控訴人泉佐野市の訴えをいずれも却下する。

 3 (予備的)

   被控訴人泉佐野市の請求をいずれも棄却する。

第2 事案の概要

 1(1) 被控訴人泉佐野市は、総務大臣から、令和元年12月、令和元年度の第1回目の特別交付税の額の決定を受け、令和2年3月、令和元年度の第2回目の特別交付税の額の決定を受けた(以下、併せて「本件各決定」という。)。

    本件は、被控訴人泉佐野市が、控訴人国に対し、次の①のとおり主張して、②の各請求をする事案である。

   ① 令和元年度における市町村に係る特別交付税の額の算定方法の特例を定めた、特別交付税に関する省令附則5条21項(令和2年総務省令第111号による改正前のもの。以下同じ。)及び同附則7条15項(令和2年総務省令第12号による改正前のもの。特に断らない限り、以下同じ。以下「本件各特例規定」という。)は、いわゆるふるさと納税として地方税法37条の2及び同法314条の7の規定により個人の都道府県民税及び市町村民税(個人住民税)の特例控除の対象となる寄附金(ふるさと納税寄附金)に係る収入が多額であることをもって、特別交付税の額を減ずるものであって、地方交付税法(昭和25年法律第211号)の委任の範囲を逸脱した違法なものとして無効であるから、本件各特例規定に基づいて被控訴人泉佐野市に対して交付する令和元年度の特別交付税の額を算定した本件各決定は違法である。

   ② 本件各決定の取消しを求める。

  (2) 原審は、被控訴人泉佐野市の請求をいずれも認容し、控訴人国が本件控訴を提起した。

 2 関係法令の定め、前提事実(当事者間に争いのない事実、証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)、争点及びこれに関する当事者の主張は、次のとおり補正し、後記3で「当審における控訴人国の補充主張」を、後記4で「当審における被控訴人泉佐野市の補充主張」をそれぞれ付加するほかは、原判決「事実及び理由」の第2の1ないし4のとおり(なお、同第2の4(1)については、原審中間判決における当事者の主張のとおり。)であるから、これを引用する。

  (1) 原判決15頁3行目の「26日」を「6日」と、同頁11行目の「会計年度独立の原則、に反して」を「会計年度独立の原則に反して」と各改める。

  (2) 原判決17頁20行目から同頁21行目の「競馬」を削除する。

  (3) 原判決24頁14行目の冒頭から同頁16行目の末尾までを「b 地方交付税法15条1項の文理」と、同頁26行目の「すなわち、」を「また、同項のうち、「なお、普通交付税の額が財政需要に比して過少であると認められる地方団体に対して」特別交付税を交付すると定める部分について、「普通交付税の額」が「財政需要」に比して過少である場合とは、地方団体の財政需要を普通交付税で賄うことができない状態にあることを指すのが文理として自然であり、換言すれば、地方団体の財政収入額に普通交付税の額を加えた合計額によって地方団体の財政需要額を満たすことができない場合に初めて特別交付税を交付する必要が生じるというのが、同部分の文理と解される。したがって、」と各改める。

  (4) 原判決25頁9行目の「上記bのような」から同頁11行目の「趣旨」までを「上記bのような地方交付税法15条1項の文理」と改める。

 3 当審における控訴人国の補充主張

  (1) 訴訟要件(法律上の争訟性、行政処分性及び訴えの利益)について

   ア 我が国の憲法が統治制度として定める「司法権」(憲法76条1項)とは、国民個人の権利の保護救済を目的とし、具体的事件・争訟を契機に法の適用を通じて解決する国家作用であり、「法律上の争訟」は、このような司法権の本質的要素である具体的事件・争訟性を表現したものである。そして、司法権の本来的な機能が、国民が権利利益を侵害されたとして救済を求める権利、すなわち、裁判を受ける権利(憲法32条)の保障にあり、司法権のかかる本来的機能の対象となるのが「法律上の争訟」である。したがって、行政主体にしかないような権限や地位が他の行政主体の権限によって制約を受けたとしても、それは、一般私人たる国民が権利利益を侵害された場合と異なり、司法権の本来的な役割の範ちゅうを超えるものとして、司法権による救済の対象とはならないのであり、このことは、これまでの裁判実務上、異論のないものとして理解されてきたところである。

   イ 地方団体は、法律上付与された行政権限の主体としての存在にほかならず、私人たる国民とは原理上その性格を異にする。それゆえ、地方団体のような行政主体にしかないような権限や地位が制約を受けた場合の法的地位の救済を求める訴訟を、私人たる個人の権利義務にかかる救済を求める訴訟と同視することはできない。

   ウ 地方交付税とは、国が地方団体全体の財源を国税という形で国民から徴収し、これを一定の基準に基づき各地方団体に再配分するものであり、地方交付税の決定とは、各地方団体相互間の財政力の不均衡を是正し、地方団体における適正な行政水準の維持を図る観点から定められた一定の基準に基づいて、地方団体共通の固有財源である地方交付税について地方団体ごとの具体的配分額を確定する行為である。

     本件訴訟は、行政権限の主体たる地方団体が、一種の間接課徴形態の地方税であり地方団体共通の固有財源である地方交付税の具体的配分に関し、国民の権利利益の保護救済を目的とする主観訴訟としての抗告訴訟の形態で司法にその是正を求めるものである。これは、本来、地方団体共通の固有財源としての地方交付税の具体的配分という、正に行政権限の主体たる行政主体しか有し得ない行政の権限に係る不服にほかならず、私人たる国民の権利に係る不服と同視できない。

   エ 抗告訴訟とは、国民の権利又は法律上の利益保護を目的とする、主観訴訟の一つである。このような抗告訴訟の目的・機能からすれば、抗告訴訟の対象となる「行政庁の処分その他公権力の行使」(行訴法3条2項)の対象が私人たる国民となることは明らかであって、それゆえに、行政処分性については、公権力の主体たる国又は公共団体がする行為のうち、その行為によって、直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものをいうとする定式が判例上も確立し、直接、国民の権利義務の形式や範囲の確定を問題とする事柄かどうかが、抗告訴訟の本質的要素と理解されてきたのである。

     地方団体は、役割上、国と対比され得る存在であり、また、国とは別の法主体ではあるが、国家の統治機構の一部として国家における行政権を分掌する存在である。他方、国民は行政権の外部の存在として行政権限行使の受け手となる存在であり、行政権の内部の存在であって行政権行使の主体である地方団体とは原理上性格を異にする。また、地方交付税の交付決定は、行政主体であるが故に付与される課税権限に由来し、全地方団体に帰属する税の具体的な配分を確定するという性格を有している。したがって、地方交付税の配分を受けることができるか否かに関する紛争は、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらない。

   オ 取消訴訟の訴えの利益の有無は、判決言渡時において、処分が取消判決によって除去すべき法的効果を有しているか否か、処分を取り消すことによって回復される法的利益が存在するのか否かから見極められる。そして、地方交付税の決定とは、各地方団体が、当該年度において、等しくその行うべき事務を遂行することができるよう、当該年度における各地方団体の財政力等を勘案した上で、地方団体相互間の財政力の不均衡を是正し、地方団体における適正な行政水準の維持を図るために、地方団体共通の固有財源である地方交付税について地方団体ごとの具体的配分額を確定する行為であり、かかる地方交付税の目的を前提として、地方交付税法は、当該年度に各地方団体に交付する地方交付税とは当該年度における国税の一定割合を原資とするものであると定めた上、その総額の94%を普通交付税の配分原資として、6%を特別交付税の配分原資として、その総額を、財政需要額が財政収入額をこえる地方団体に対し、衡平にその超過額を補てんすることを目途として交付しなければならないと定めている。そして、同法は、普通交付税の補完として位置づけられる特別交付税の配分については、被控訴人泉佐野市を含めた全国の地方団体それぞれの財政需要と財政収入を考慮して特別交付税の原資とされた総額から具体的配分額を定め、当該年度の3月末日までにこれを当該会計年度において余すことなく配分するものと定めている。このように、同法は、地方交付税が各地方団体が当該年度において等しくその行うべき事務を遂行できるよう交付されるという、その税の目的に照らし、特別交付税の配分額は当該年度内に決定され、当該会計年度において余すことなく配分することを基本的な仕組みとして定めているのであり、同法は、格別の例外規定もないのに、一たびされた交付決定を本件のように当該会計年度をまたいで取り消し、過去の年度分の交付決定を改めて行うといった、地方団体の財政の安定を阻害するような事態を予定するものではない。そして、仮に特別交付税の交付決定が(判決により)取り消されたとしても、同法上、そのことを踏まえて当該年度又は翌年度以降の特別交付税の総額を増額する旨の規定はない。このような同法の目的と定めからすると、特別交付税の全地方団体への具体的な配分額が既に交付決定によって確定し、この確定された配分額に基づいて各々への税の配分までが了した段階に至って、その会計年度の税の具体的配分額を判決により取り消し、取消しが求められた交付決定当時の状態に遡らせ、配分額の確定をやり直すという事態は、同法の想定するところではなく、かかる場合に当該交付決定を取り消すことにより回復できる法的利益というものは存在しない。仮に、翌年度に総額の一部を繰り越すという措置を行う場合においては、そのような措置を講ずるための法律上の規定の創設を立法府に諮り、その上で新たに創設された法律上の規定の下でそれを行うことになるのであり、このことからも、格別の法律の定めもないのに、一度、配分額の確定が行われ、その確定された配分額に基づいて各々の税の配分までを了した段階で、一から配分額の確定からのやり直しを可能とする法律上の根拠は同法の各規定からは見いだし得ない。

    したがって、本件各決定の取消しを求める訴えの利益はない。

  (2) 本案(本件各特例規定が法の委任の範囲内か否か)について

    地方交付税法15条1項は、総務大臣が地方団体の行政需要や財政状況について幅広い知識を有し、国と地方団体の予算及び地方財政制度にも精通していることに鑑み、省令策定を総務大臣の専門技術的かつ政策的判断に委ねたものである。そして、本件各特例規定が同項の委任の範囲内か否かは、授権法である同法全体の趣旨、目的及び仕組みとの整合性や法の制定経緯、立法者意思、さらには、本件各特例規定によって制限される利益等をも勘案して判断されるべきである。そして、同法は、まず、地方団体の財政需要額と財政収入額を比較対照し、財政需要額が財政収入額を超える額に応じた額を衡平に配分することを基本原則としており(同法3条1項)、特別交付税の額の決定に当たって、基準財政需要額及び基準財政収入額の算定項目に含まれない財政需要及び財政収入を勘案することは、同法やその前身である地方財政平衡交付金法の改正経緯や、その立法者意思の観点からも明らかである。また、同法15条1項の「基準財政需要額又は基準財政収入額の算定方法の画一性のため生ずる基準財政需要額の算定過大又は基準財政収入額の算定過少を考慮しても、なお、普通交付税の額が財政需要に比して過少であると認められる地方団体に対して」との文理からも、基準財政収入額では捕捉できない財政収入額、より具体的にいえば、基準財政収入額の収入項目に含まれない財政収入額を特別交付税の減額要因として勘案できることは十分に読み取ることができる。

    したがって、本件各特例規定が、地方交付税法15条1項の委任の範囲を逸脱した違法なものということはできない。

 4 当審における被控訴人泉佐野市の補充主張

  (1) 本件訴訟の適法性について

   ア 法律上の争訟性

    (ア) 憲法76条は、司法権は裁判所に属すると定めるだけで、その範囲を国民の訴えに限定していない。しかも、憲法32条は裁判を受ける権利を有する者を「何人も」と規定しており、それは、自然人であっても、外国人を含むものであり、「国民」には限定していない。また、「何人も」とは自然人とは限らないことは法人の訴えが適法であることから明らかである。そして、地方団体が、私法上の法人とは異なり、裁判を受ける権利を享有していないという根拠はない。地方団体も法人であるから、裁判を受ける権利の保障を享有する。現に地方団体の訴えのうち財産権に係るものは「法律上の争訟」であることは控訴人国も認めるところである。

      財産権以外の行政上の争いでも、それが法的判断にふさわしいにもかかわらず法律上の争訟から除外する法的根拠は憲法76条、32条からは見いだせない。

      そして、「法律上の争訟」について定義した最高裁昭和56年判決(最高裁昭和56年4月7日第三小法廷判決・民集35巻3号443頁)には、①当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争であって、かつ、②それが法令の適用により終局的に解決することができるという要件に該当しても、地方団体の訴えは法律上の争訟にならない等という例外は見いだせない。しかも、法律上の争訟の要件は、権利義務だけではなく、法律関係の存否に関する紛争とされていることからすると、本件で被控訴人泉佐野市には権利がないと仮定しても、控訴人国と被控訴人泉佐野市の間には法律関係は存在するから、本件が法律上の争訟に当たることは明白である。

    (イ) 控訴人国は、本件訴訟は行政権限としての主体たる地方団体が、間接課徴形態の地方税であり地方団体共通の固有財源である地方交付税の具体的な配分内容の是正を求めるものであり、正に行政主体しか本来持ち得ない課税権限ないし税の帰属に係る紛争であり、被控訴人泉佐野市が保護を求めるとする利益は、およそ私人の享受し得る権利利益と同視できるものではない旨主張する。

      しかし、地方交付税の配分を受ける権利は、私人に対して行使する行政権限とは異質であり、行政権限の行使ではない。地方団体が地方交付税の具体的な配分を受け得るのは、その職権の範囲内ではあるが、権限というよりは、法律に基づく権利である。それは、私人の有するような民事法上の権利ではないが、地方交付税法に基づき地方団体に付与された法的地位であり、主観的利益としての性質を有するものである。それを、私人の権利とは同視できないとして、法律上の争訟性を否定するのは、私人の権利と完全に同じでなければ、いかに国の行政機関が法律に違反して無茶をしようと、司法的是正は行えないことになり、司法国家・法治国家・地方自治の保障に反する。

      それに、国庫補助金の交付には裁量があり、交付請求権が認められないが、恣意的な交付拒否・返還命令に対しては行政訴訟が認められている。それは私人だけではなく地方団体でも同じである。地方交付税の交付については、総務大臣に裁量があるわけではなく、地方団体の共通財源として、地方団体に請求権がある金員であるから、補助金との均衡上、地方団体に訴訟を起こす権利が否定されるわけはない。交付税は私人には与えられないが、しかし、国の行政機関の査定により賦与される点では補助金と変わらない。訴訟を起こす権利の点で、補助金と交付税を区別する理由はない。

   イ 行政処分性

     私人に対する行為だけではなく、行政主体に対する行為でも、権利義務を形成し、その範囲を確定することが法律上認められている行為は、行政処分として抗告訴訟の対象としなければならない。それは主観訴訟である。判例が「国民」という言葉を用いていても、処分の対象は通常国民であったり私人であったりするから、国民という言葉が用いられているにすぎない。それが国民以外の出訴を許さないという趣旨ではない。

   ウ 訴えの利益

     控訴人国は、確定された配分額に基づいて各々の税の配分が完了した段階では、その会計年度の税の具体的配分額を取り消すべき法的利益は存在しないと主張する。

     しかし、これでは、司法不在の暗黒国家である。違法な行為は、判決の拘束力により、是正されなければならないのが法治国家の大原則である。そして、個別の規定がなくても、法治国家の原則に基づき、過大に払った分は職権取消しを行い、後の年度で支給すべき交付税と相殺すればよい。

     そのほか、錯誤などによる是正の制度を準用すればよい。地方交付税の総額を変更するものではないので、法律上できないことを要求するものではない。この方法によれば、地方財政の安定性を害することもない。

  (2) 本件各特例規定は委任立法の限界を超えて違法であること

    控訴人国は、地方交付税制度は、運営の基本原則として、地方交付税の総額を、財政需要額が財政収入額を超える地方団体に対し、その超過額を補てんするように交付する制度であると主張するが、財政需要額、財政収入額は、特別に調査、計算されているものではないので、この趣旨で運用されては、「地方交付税の交付の基準の設定を通じて地方行政の計画的な運営を保障する」、その独立性を強化するという地方交付税法1条に違反する。

    控訴人国は、特別交付税は、普通交付税の算定の画一性のために生じる普通交付税の不足、つまり、「基準財政需要額」と「基準財政収入額」では捕捉することができない「財政需要額」と「財政収入額」を考慮し、財政需要を満たすだけの財源を地方団体が得られない場合に、その超過額を衡平に補てんする観点から交付する旨主張する。

    しかし、特別交付税の交付事由、減額事由を定めるのは、同法3条が「この法律の定めるところにより」と明示するように、同条ではなく、15条である。

    特別交付税の減額要因とは、普通交付税の算定の基礎に用いられる基準財政収入額が画一的な方法で算定されることに起因して、基準財政収入額の算定の基礎となる収入項目に係る現実の収入額と基準財政収入額中の当該収入項目に係る基準税額とに差異が生じ、そのために当該基準税額の算定過少が生じていることをいうものであり、基準財政収入額の算定の基礎とならない収入項目に係る収入が存在すること又はこれが一定額に及ぶことを特別交付税の減額要因となる事情として定めることにつき、総務省令に委任していると言い難い。

    控訴人国の主張は、自由に「財政需要額」と「財政収入額」の内容を決めて超過額を算出し、特別交付税額を上下させ交付する権限を持っている(交付事由と減額事由ともに自由にできる)というものにほかならない。これは、地方交付税法の文理も趣旨をも無視するもので、法治国家における法律の運用の大原則に反するばかりか、控訴人国が、地方団体の財政運営を自由に左右できるとするもので、地方団体の独立性と計画的な財政運営を保障する同法1条にも違反する。

    さらに、同法15条について前段、中段、後段に分けて、その文理を分析すれば、基準財政収入額に明示されていないにもかかわらず、ふるさと納税収入のような財政収入があったからといって、特別交付税の減額要因となるとは解釈することができない。

第3 当裁判所の判断

 1 争点1(本件訴えが裁判所法3条1項にいう「法律上の争訟」に当たるか否か)について

  (1) 行政事件を含む民事事件において裁判所がその固有の権限に基づいて審判することのできる対象は、裁判所法3条1項にいう「法律上の争訟」、すなわち、当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争であって、かつ、それが法令の適用により終局的に解決することができるものに限られる(最高裁昭和56年判決参照)。

    上記の紛争が、本件に即していかなるものを指すかを検討すると、これは、司法権(憲法76条1項)が審判する権限が及ぶ紛争であり、司法権の概念には国民の裁判を受ける権利の保障が反映されていると解される。このような見地に立ち、「当事者」の面から見ると、基本的に個々の国民が提起する争訟であって、その具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争がこれに該当し、国と地方団体を当事者とする紛争は、個々の国民と同様の立場に立って行うもの(財産権の主体として自己の財産上の権利利益の保護救済を求めるような場合)は格別として、双方が行政権の主体同士として関与する、行政権内部の法適用の適正をめぐる一般公益に係る紛争である限り、法律上の争訟に該当しないと解するのが相当である。そして、その解決は、行政権内部の調整に委ね、その適正性については、国会審議等の民主的な統制の対象とすることによって確保するのを基本とし、紛争によって、裁判所で解決するのがふさわしいものについて、法律によって特に権限が定められた場合には、裁判所はこれを裁判する権限を持つことになると解すべきである。

  (2) 上記判断枠組みにより、本件訴えが裁判所法3条1項にいう「法律上の争訟」に当たるか否かについて検討する。

    地方交付税は、地方交付税法6条の規定により算定した所得税等の一定割合の額及び地方法人税の額で地方団体が等しくその行うべき事務を遂行することができるように国が地方団体に対して交付する税とされ(同法2条1号、3条1項)、その種類は普通交付税及び特別交付税とされる(同法6条の2第1項)。

    また、地方交付税は、国が地方団体に対して交付するものと定められ(地方交付税法2条1号、3条1項)、地方団体が自ら賦課・徴収するのではなく、国が賦課・徴収した所得税等の国税の一定割合が、地方交付税法に基づく総務大臣による具体的な交付額の算定・決定を経て、各地方団体に配分・交付される。

    地方交付税の総額は、国税収入等の一定額と決まっており(地方交付税法6条1項、2項)、その全額を地方団体に配分する仕組みとなっており、特定の地方団体への交付税の配分はその他の全ての地方団体への配分と密接不可分である。そのため、各地方団体への地方交付税の交付は、控訴人国が特定の地方団体に財産的利益を付与することを目的とするのではなく、全ての地方団体が適正に行政事務を遂行できるよう、地方団体全体の利益を考慮して、税の配分を行うことを目的としているといえる。

    さらに、地方交付税法においては、地方団体は、地方交付税の算定方法についての意見を申し出ることができることとされている(同法17条の4)ほか、地方交付税独自の紛争処理手続が定められ(同法18条1項、19条7項)、交付税の額に関する審査の申立手続においては、総務大臣が公開による意見聴取を実施し、また、地方交付税の額の決定、変更又は審査の申立てや異議の申出に対する決定に際しては、地方財政審議会の意見聴取を義務付けるなどの手続保障を図るなど、同法固有の紛争回避や事務処理のための手続が定められている。

    以上のような地方交付税法の仕組みや目的等に照らすと、地方団体が国から法律の定めに従い地方交付税の分配を受けることができるか否かに関する紛争は、国と地方団体が、それぞれ行政主体としての立場に立ち、地方団体全体が適正に行政事務を遂行し得るように、法規(地方交付税法)の適用の適正をめぐって一般公益(地方団体全体の利益)の保護を目的として係争するものというべきである。

    そうすると、本件訴えは、行政主体としての被控訴人泉佐野市が、法規の適用の適正をめぐる一般公益の保護を目的として提起したものであって、自己の財産上の権利利益の保護救済を目的として提起したものと見ることはできないから、裁判所法3条1項にいう「法律上の争訟」には当たらないというべきである。

    また、本件のように地方交付税の配分をめぐる紛争は、地方交付税相当額全部が当該年度において配分され、各地方団体の財政に組み入れられ、支出されることを考慮すれば、当該年度の後年度において、その配分を取り消し、やり直すことは非常に困難であるとともに、この点をおくとしても、当該年度の財政需要・財政収入の状況に応じた解決とならない嫌いがある。本件の本案の論点自体は、裁判所の審理にふさわしいものということができるが、紛争の解決をそのまま民事訴訟を基本とする行政訴訟による解決に委ねることは必ずしも相当とはいえず、裁判所における解決に委ねるのであれば、法律によって(適切な仕組みとともに)特に権限が定められることが相当である。このことに照らしても、前記判示のとおり解するのが相当である。

  (3) これに対し、被控訴人泉佐野市は、本件訴えは、裁判所法3条1項にいう「法律上の争訟」に当たる旨主張するので、以下検討する。

   ア 被控訴人泉佐野市は、地方団体も法人であるから、裁判を受ける権利の保障を享有しており、このことを前提にすれば、本件が法律上の争訟に当たることを肯定すべきであるなどと主張する(当審補充主張(1)ア(ア))。

     しかしながら、法人、ひいては、地方団体が裁判を受ける権利の保障を受けるとしても、地方団体には、個々の国民と同様の立場に立って行動する場面がある一方、行政主体として、国とともに行政権の一部を構成する面があり、直ちに個々の国民と同程度の保障を受けることを意味しない。

     この点、国又は地方団体が専ら行政権の主体として国民に対して行政上の義務の履行を求める訴訟は、法規の適用の適正をめぐる一般公益の保護を目的とするものであって、自己の権利利益の保護救済を目的とするものということはできないから、法律上の争訟として当然に裁判所の審判の対象となるものではなく、法律に特別の規定がある場合に限り、提起することが許されるものと解される(最高裁平成14年判決〔最高裁平成14年7月9日第三小法廷判決・民集第56巻6号1134頁〕)。これは、上記判断と軌を一にする(この限度で、最高裁平成14年判決の射程は本件訴えには及ばないとの原審主張(原中間判決12、13頁)は採用できない。)。

     よって、被控訴人泉佐野市の上記主張はいずれも採用することができない。

   イ 被控訴人泉佐野市は、本件について法律上の争訟該当性を認めないことは司法国家・法治国家・地方自治の保障に反すると主張する(同(イ))。

     この点、地方自治の重要性に照らし、国と地方団体の関係を法律的に律する意義を重視する立場から、国と地方団体がいずれも行政主体として関わりを持つ紛争において、広く法律上の争訟該当性を肯定する立論は考えられないとはいえない。

     しかしながら、司法権は、国民の裁判を受ける権利の保障に応えることを任務として構成されていると考えられる一方、憲法上、司法権と地方自治の関わりは明らかでない。さらに、先に判示したとおり、行政主体としての国と地方団体同士が関与する法適用の適正をめぐる一般公益に係る紛争の解決を行政権内部の調整に委ね、その適正性については、国会審議等の民主的な統制の対象とすることによって確保するのを基本とすることとしても、地方自治の重要性に照らし不当とはいえない。よって、被控訴人泉佐野市の上記主張は採用できない。

     よって、被控訴人泉佐野市の上記主張はいずれも採用することができない。

   ウ 被控訴人泉佐野市は、最高裁昭和56年判決において、法律上の争訟の要件は、権利義務だけではなく、法律関係の存否に関する紛争とされていることからすると、本件で被控訴人泉佐野市には権利がないと仮定しても、控訴人国と被控訴人泉佐野市の間には法律関係は存在するから、本件が法律上の争訟に当たることは明白である旨主張する(当審主張(1)ア(ア))。

     しかしながら、最高裁56年判決を踏まえ、本件に即して検討すると、上記(1)・(2)で説示したとおりであり、本件において、控訴人国と被控訴人泉佐野市の間に地方交付税の配分・交付に係る法律関係が存在するとしても、被控訴人泉佐野市が法規の適用の適正をめぐり一般公益の保護を目的として提起したというべきであって、本件訴えが、法律上の争訟に当たるということはできない。

     よって、被控訴人泉佐野市の上記主張は採用することができない。

   エ 被控訴人泉佐野市は、国庫補助金の恣意的な交付拒否・返還命令に対しては行政訴訟が認められていることとの均衡上、地方交付税の交付についても、地方団体に訴訟を起こす権利は否定されない旨主張する(当審補充主張(1)ア(イ))。

     しかしながら、国庫補助金は、実質的には贈与の性質を持つ給付金であると解されており、国庫補助金の名宛て人は、行政主体だけでなく、一般私人も含まれるのに対し、地方交付税法に基づく交付税の額の決定は、地方交付税の総額を地方団体という行政主体間で配分するものであって、一般私人が当該決定の名宛て人となることは制度として予定されていない。国庫補助金の交付と地方交付税の交付とはその性質を異にするものというべきである。

     したがって、国庫補助金の恣意的な交付拒否・返還命令に対しては行政訴訟が認められているとしても、これは、個々の国民と同様の立場に立って行うものであり、このこととの均衡を理由として、地方交付税の交付について、地方団体に訴訟を起こす権利は否定されないということはできない。

     よって、被控訴人泉佐野市の上記主張は採用することができない。

  (4) 以上によれば、本件訴えは、裁判所法3条1項の法律上の争訟に当たらないから、不適法であり、却下を免れない。

 2 以上により、その余の争点について判断するまでもなく、原判決を取り消し、本件訴えをいずれも却下することとし、主文のとおり判決する。

    大阪高等裁判所第7民事部

        裁判長裁判官  冨田一彦

           裁判官  上田卓哉

 裁判官栩木有紀は、転補のため署名押印することができない。

        裁判長裁判官  冨田一彦

 

本件は、原告が、長崎税務署長が①原告代表者の長男に対する従業員給与及び賞与並びに役員報酬、②原告代表者の妻に対する退職慰労金の各支給についていずれも損金算入を認めずにしたホウジンゼイノ更正処分、過少申告加算税の賦課決定処分、源泉徴収に係る所得税の納税告知処分及び不納付加算税の賦課決定処分がいずれも違法であると主張して、これらの処分の取消しを求めた事案である。

 

 

法人税更正処分等取消請求事件

【事件番号】      長崎地方裁判所判決

【判決日付】      平成21年3月10日

【掲載誌】        税務訴訟資料259号順号11153

 

法人税法

(同族会社等の行為又は計算の否認)

第百三十二条 税務署長は、次に掲げる法人に係る法人税につき更正又は決定をする場合において、その法人の行為又は計算で、これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは、その行為又は計算にかかわらず、税務署長の認めるところにより、その法人に係る法人税の課税標準若しくは欠損金額又は法人税の額を計算することができる。

一 内国法人である同族会社

二 イからハまでのいずれにも該当する内国法人

イ 三以上の支店、工場その他の事業所を有すること。

ロ その事業所の二分の一以上に当たる事業所につき、その事業所の所長、主任その他のその事業所に係る事業の主宰者又は当該主宰者の親族その他の当該主宰者と政令で定める特殊の関係のある個人(以下この号において「所長等」という。)が前に当該事業所において個人として事業を営んでいた事実があること。

ハ ロに規定する事実がある事業所の所長等の有するその内国法人の株式又は出資の数又は金額の合計額がその内国法人の発行済株式又は出資(その内国法人が有する自己の株式又は出資を除く。)の総数又は総額の三分の二以上に相当すること。

2 前項の場合において、内国法人が同項各号に掲げる法人に該当するかどうかの判定は、同項に規定する行為又は計算の事実のあつた時の現況によるものとする。

3 第一項の規定は、同項に規定する更正又は決定をする場合において、同項各号に掲げる法人の行為又は計算につき、所得税法第百五十七条第一項(同族会社等の行為又は計算の否認等)若しくは相続税法第六十四条第一項(同族会社等の行為又は計算の否認等)又は地価税法(平成三年法律第六十九号)第三十二条第一項(同族会社等の行為又は計算の否認等)の規定の適用があつたときについて準用する。

 

法人税法施行令

(使用人兼務役員とされない役員)

第七十一条 法第三十四条第六項(役員給与の損金不算入)に規定する政令で定める役員は、次に掲げる役員とする。

一 代表取締役、代表執行役、代表理事及び清算人

二 副社長、専務、常務その他これらに準ずる職制上の地位を有する役員

三 合名会社、合資会社及び合同会社の業務を執行する社員

四 取締役(指名委員会等設置会社の取締役及び監査等委員である取締役に限る。)、会計参与及び監査役並びに監事

五 前各号に掲げるもののほか、同族会社の役員のうち次に掲げる要件の全てを満たしている者

イ 当該会社の株主グループにつきその所有割合が最も大きいものから順次その順位を付し、その第一順位の株主グループ(同順位の株主グループが二以上ある場合には、その全ての株主グループ。イにおいて同じ。)の所有割合を算定し、又はこれに順次第二順位及び第三順位の株主グループの所有割合を加算した場合において、当該役員が次に掲げる株主グループのいずれかに属していること。

(1) 第一順位の株主グループの所有割合が百分の五十を超える場合における当該株主グループ

(2) 第一順位及び第二順位の株主グループの所有割合を合計した場合にその所有割合がはじめて百分の五十を超えるときにおけるこれらの株主グループ

(3) 第一順位から第三順位までの株主グループの所有割合を合計した場合にその所有割合がはじめて百分の五十を超えるときにおけるこれらの株主グループ

ロ 当該役員の属する株主グループの当該会社に係る所有割合が百分の十を超えていること。

ハ 当該役員(その配偶者及びこれらの者の所有割合が百分の五十を超える場合における他の会社を含む。)の当該会社に係る所有割合が百分の五を超えていること。

2 前項第五号に規定する株主グループとは、その会社の一の株主等(その会社が自己の株式又は出資を有する場合のその会社を除く。)並びに当該株主等と法第二条第十号(定義)に規定する特殊の関係のある個人及び法人をいう。

3 第一項第五号に規定する所有割合とは、その会社がその株主等の有する株式又は出資の数又は金額による判定により同族会社に該当する場合にはその株主グループ(前項に規定する株主グループをいう。以下この項において同じ。)の有する株式の数又は出資の金額の合計額がその会社の発行済株式又は出資(その会社が有する自己の株式又は出資を除く。)の総数又は総額のうちに占める割合をいい、その会社が第四条第三項第二号イからニまで(同族関係者の範囲)に掲げる議決権による判定により同族会社に該当することとなる場合にはその株主グループの有する当該議決権の数がその会社の当該議決権の総数(当該議決権を行使することができない株主等が有する当該議決権の数を除く。)のうちに占める割合をいい、その会社が社員又は業務を執行する社員の数による判定により同族会社に該当する場合にはその株主グループに属する社員又は業務を執行する社員の数がその会社の社員又は業務を執行する社員の総数のうちに占める割合をいう。

4 第四条第六項の規定は、前項の規定を適用する場合について準用する。

 

 

 

 

       主   文

 

 1 長崎税務署長が平成18年6月27日付けで原告に対してした、平成15年7月1日から平成16年6月30日までの事業年度の法人税の更正処分のうち所得金額4549万4572円、納付すべき税額1300万5900円を超える部分及び過少申告加算税7万5000円を超える部分の賦課決定処分をいずれも取り消す。

 2 長崎税務署長が平成18年6月27日付けで原告に対してした、平成16年6月分の源泉徴収にかかる所得税の納税告知処分及び不納付加算税の賦課決定処分をいずれも取り消す。

 3 原告のその余の請求を棄却する。

 4 訴訟費用は、これを2分し、その1を原告の負担とし、その余は被告の負担とする。

 

       事実及び理由

 

第1 請求

 1 長崎税務署長が平成18年6月27日付けで原告に対してした、平成14年7月1日から平成15年6月30日までの事業年度の法人税の更正処分のうち所得金額6337万5772円、納付すべき税額1990万3800円を超える部分及び過少申告加算税の賦課決定処分をいずれも取り消す。

 2 長崎税務署長が平成18年6月27日付けで原告に対してした、平成15年7月1日から平成16年6月30日までの事業年度の法人税の更正処分のうち所得金額4298万7872円、納付すべき税額1225万3800円を超える部分及び過少申告加算税の賦課決定処分をいずれも取り消す。

 3 長崎税務署長が平成18年6月27日付けで原告に対してした、平成16年7月1日から平成17年6月30日までの事業年度の法人税の更正処分のうち所得金額7188万5812円、納付すべき税額2003万4200円を超える部分及び過少申告加算税の賦課決定処分をいずれも取り消す。

 4 主文2項同旨

 5 訴訟費用は、被告の負担とする。

第2 事案の概要

  本件は、原告が、長崎税務署長が①原告代表者の長男に対する従業員給与及び賞与並びに役員報酬、②原告代表者の妻に対する退職慰労金の各支給についていずれも損金算入を認めずにした法人税の更正処分、過少申告加算税の賦課決定処分、源泉徴収に係る所得税の納税告知処分及び不納付加算税の賦課決定処分がいずれも違法であると主張して、これらの処分の取消しを求めた事案である。

 1 前提事実(争いのない事実並びに証拠及び弁論の全趣旨により認定できる事実)

  (1) 原告は、長崎県内に本店を有し、紙器製造販売等を目的として設立された株式会社であり、一事業年度は7月1日から6月30日までである(争いのない事実)。

    平成15年、平成16年及び平成17年の各6月30日における原告の株主、原告代表者との続柄、持株数及び持株割合は、別表1「株主の状況」の「氏名」、「続柄」並びに「平成15年6月期」、「平成16年6月期」及び「平成17年6月期」の各「持株数」及び「割合」のとおりであり、平成18年法律第10号による改正前の法人税法2条10号に定める同族会社である(乙1ないし3の各2枚目、乙4の別表2、弁論の全趣旨)。

  (2) 原告代表者の長男である乙(以下「乙」という。)は、平成13年5月26日、原告従業員として入社し(甲6)、平成16年6月25日、原告の取締役に就任した(甲6、乙5の1)。

    原告は、乙に対し、平成14年7月1日から平成15年6月30日までの事業年度(以下「平成15年6月期」という。)において従業員給与及び賞与として合計255万9500円を、平成15年7月1日から平成16年6月30日までの事業年度(以下「平成16年6月期」という。)において従業員給与及び賞与として合計275万2400円を、平成16年7月1日から平成17年6月30日までの事業年度(以下「平成17年6月期」という。)において役員報酬として合計240万円を支給した(乙に対する平成15年6月期の従業員給与及び賞与、平成16年6月期の従業員給与及び賞与並びに平成17年6月期の役員報酬を併せて「乙に対する本件給与等」といい、平成15年6月期、平成16年6月期及び平成17年6月期を併せて「本件各事業年度」という。)。

  (3) 原告代表者の妻である丙(以下「丙」という。)は、昭和56年5月17日、原告が組織変更する前のA有限会社(以下、A有限会社も原告と表記する。)の取締役に就任し(乙30)、平成4年の組織変更を経て、平成16年6月25日、原告の取締役を退任し、監査役に就任した(甲5、乙5の1、乙19の2)。同日の原告の株主総会において丙に対し退職金として1800万円を支払う旨決議され(乙5の2)、原告は、丙に対し、上記1800万円を退職給与として源泉徴収税額39万円及び特別徴収税額23万4000円(市町村民税16万9200円、都府県民税6万4800円)を控除した1737万6000円を支払った(乙11)。

    原告は、平成16年7月5日、長崎税務署長に対し、丙の退職金に係る源泉徴収税39万円を納付した(乙6。丙に対する1800万円の退職給与を、以下「丙に対する本件退職金」という。)。

  (4) 原告は、前記(2)の乙に対する本件給与等及び前記(3)の丙に対する本件退職金の各支給を、税額の算定において損金の額に算入した上で、法定申告期限内に、次のとおり、法人税の確定申告をした(争いのない事実)。

   ア 平成15年6月期

     所得金額    6337万5772円

     納付すべき税額 1990万3800円

   イ 平成16年6月期

     所得金額    4298万7872円

     納付すべき税額 1225万3800円

   ウ 平成17年6月期

     所得金額    7188万5812円

     納付すべき税額 2003万4200円

  (5) 長崎税務署長は、平成18年6月27日、原告に対し、前記(2)の乙に対する本件給与等及び前記(3)の丙に対する本件退職金の各支給を損金の額に算入しないものとして、次のとおり、アからウの法人税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分をし、エの源泉徴収に係る所得税の納税告知処分及び不納付加算税の賦課決定処分をした(争いのない事実、甲1ないし3)。

   ア 平成15年6月期の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分

     所得金額    6593万5272円

     納付すべき税額 2049万8600円

     過少申告加算税    5万9000円

     更正理由 ① 乙に対し、合計255万9500円を従業員給与及び賞与として支給し、当該事業年度の損金の額に算入しているが、乙は、平成13年以降、米国ニューヨーク州の学校で就学中であることから、使用者の指揮命令に服して継続的ないし断続的に労務又は役務を提供できる常況にあるとは認められない。乙に対して従業員給与及び賞与として合計255万9500円を支給することは、乙の留学費用の一部を従業員給与という名目で支出し、原告が負担したものとみることができ、非同族会社においては容易になし得ない行為であると認められるから、純経済人の行為としては、不合理、かつ不自然な行為又は計算であり、乙に対する従業員給与及び賞与を損金の額に算入することは、原告の法人税を不当に減少させることになるため、法人税法132条1項の規定により255万9500円を従業員給与の損金不算入額として、平成15年6月期の所得金額に加算した。

          ② 上記更正により留保金額及び留保控除金額が移動したことに伴い、同族会社の留保金額に対する税額を再計算した結果、課税留保金額に係る税額が17万3185円減少したので、これを法人税額から減算した。

   イ 平成16年6月期の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分

     所得金額    6349万4572円

     納付すべき税額 1840万5900円

     過少申告加算税   61万5000円

     更正理由 ① 乙に対し、合計275万2400円を従業員給与及び賞与として支給し、当該事業年度の損金の額に算入しているが、乙は、平成13年以降、米国ニューヨーク州の学校で就学中であることから、使用者の指揮命令に服して継続的ないし断続的に労務又は役務を提供できる常況にあるとは認められない。乙に対して従業員給与及び賞与として合計275万2400円を支給することは純経済人の行為としては、乙の留学費用の一部を従業員給与という名目で支出し、原告が負担したものとみることができ、非同族会社においては容易になし得ない行為であると認められるから、不合理、かつ不自然な行為又は計算であり、乙に対する従業員給与及び賞与を損金の額に算入することは、原告の法人税を不当に減少させることになるため、法人税法132条1項の規定により275万2400円を従業員給与の損金不算入額として、平成16年6月期の所得金額に加算した。

          ② 丙が取締役から監査役へ分掌変更したことを理由に、同人に対して退職金として支給した1800万円を当該事業年度の損金の額に算入しているが、法人税法及び法人税基本通達9-2-23によれば、分掌変更によりその役員に対して退職給与として支給する給与については、分掌変更により役員としての地位又は職務内容が激変し、実質的に退職したと認められる場合を除き、その役員に対する賞与に該当することになるところ、丙は、平成16年6月25日に取締役を退任し、監査役に就任した後も法人税法2条15号に定める「役員」に該当し、かつ、大株主として原告の意思決定に参加する立場にあることから、法人税法及び法人税法基本通達9-2-23に定める「分掌変更により役員としての地位又は職務内容が激変し、実質的に退職したと同様の事情にある」とは認められない。丙に対する本件退職金の支給は、同人に対する臨時的給与のうち他に定期の給与を受けていない者に対し継続して毎年所定の時期に定額を支給する旨の定めに基づいて支給されるもの及び退職給与以外のものに該当するため、本件退職金を役員賞与の損金不算入額として、平成16年6月期の所得金額に加算した。

          ③ 原告が平成15年6月期の更正に伴い納付することとなる平成15年6月期分の事業税24万7500円が平成16年6月期の損金の額に算入されるため、これを所得金額から減算した。

   ウ 平成17年6月期の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分

     所得金額    7231万7112円

     納付すべき税額 2016万3800円

     過少申告加算税    1万2000円

     更正理由 ① 乙に対し、合計240万0000円を役員報酬として支給し、当該事業年度の損金の額に算入しているが、乙は、平成13年以降、米国ニューヨーク州の学校で就学中であることから、勉学の傍ら海外において原告の常況を把握し、業務決定の意思決定に参加できる常況にあるとは認められない。乙に対して役員報酬として合計240万0000円を支給することは、乙の留学費用の一部を従業員給与という名目で支出し、原告が負担したものとみることができ、非同族会社においては容易になし得ない行為であると認められるから、純経済人の行為としては、不合理、かつ不自然な行為又は計算であり、乙に対する役員報酬を損金の額に算入することは、原告の法人税を不当に減少させることになるため、法人税法132条1項の規定により240万0000円を役員報酬の損金不算入額として、平成17年6月期の所得金額に加算した。

          ② 原告が平成16年6月期の更正に伴い納付することとなる平成16年6月期分の事業税196万8700円が平成17年6月期の損金の額に算入されるため、これを所得金額から減算した。

   エ 平成16年6月分源泉徴収に係る所得税の納税告知処分及び不納付加算税の賦課決定処分

     本税額      317万8967円

     不納付加算税    31万7000円

     処分の理由 丙に対する退職金として支給した1800万円は、役員賞与に該当するから、所得税の源泉徴収義務を負うところ、これを行っていない。

  (6) 原告は、前記(5)の各処分を不服として、国税不服審判所長に対して審査請求をしたが、平成19年5月30日、同審査請求は棄却された(争いのない事実)。

  (7) 原告は、平成19年9月25日、本件訴えを提起した(当裁判所に顕著な事実)。

建築基準法違反罪(第6条第1項、第99条第1項第2号)の罪数

 

最高裁判所第2小法廷決定/昭和38年(あ)第975号

昭和38年9月18日

建築基準法違反被告事件

【判示事項】    建築基準法違反罪(第6条第1項、第99条第1項第2号)の罪数

【判決要旨】    建築主が建築主事の確認を受けないで、用途上不可分の関係の認められない1戸建住宅および2戸建ないし5戸建長屋住宅合計38棟を建築したときは、38個の建築基準法違反罪(第6条第1項、第99条第1項第2号)が成立する。

【参照条文】    建築基準法6-1

          建築基準法99-1

          建築基準法施行令1

          刑法45

          刑法48

【掲載誌】     最高裁判所刑事判例集17巻8号1742頁

 

刑法

(併合罪)

第四十五条 確定裁判を経ていない二個以上の罪を併合罪とする。ある罪について禁錮以上の刑に処する確定裁判があったときは、その罪とその裁判が確定する前に犯した罪とに限り、併合罪とする。

(併科の制限)

第四十六条 併合罪のうちの一個の罪について死刑に処するときは、他の刑を科さない。ただし、没収は、この限りでない。

2 併合罪のうちの一個の罪について無期の懲役又は禁錮に処するときも、他の刑を科さない。ただし、罰金、科料及び没収は、この限りでない。

 

建築基準法

(建築物の建築等に関する申請及び確認)

第六条 建築主は、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合においては、当該工事に着手する前に、その計画が建築基準関係規定(この法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定(以下「建築基準法令の規定」という。)その他建築物の敷地、構造又は建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定で政令で定めるものをいう。以下同じ。)に適合するものであることについて、確認の申請書を提出して建築主事又は建築副主事(以下「建築主事等」という。)の確認(建築副主事の確認にあつては、大規模建築物以外の建築物に係るものに限る。以下この項において同じ。)を受け、確認済証の交付を受けなければならない。当該確認を受けた建築物の計画の変更(国土交通省令で定める軽微な変更を除く。)をして、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合も、同様とする。

一 別表第一(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が二百平方メートルを超えるもの

二 木造の建築物で三以上の階数を有し、又は延べ面積が五百平方メートル、高さが十三メートル若しくは軒の高さが九メートルを超えるもの

三 木造以外の建築物で二以上の階数を有し、又は延べ面積が二百平方メートルを超えるもの

四 前三号に掲げる建築物を除くほか、都市計画区域若しくは準都市計画区域(いずれも都道府県知事が都道府県都市計画審議会の意見を聴いて指定する区域を除く。)若しくは景観法(平成十六年法律第百十号)第七十四条第一項の準景観地区(市町村長が指定する区域を除く。)内又は都道府県知事が関係市町村の意見を聴いてその区域の全部若しくは一部について指定する区域内における建築物

2 前項の規定は、防火地域及び準防火地域外において建築物を増築し、改築し、又は移転しようとする場合で、その増築、改築又は移転に係る部分の床面積の合計が十平方メートル以内であるときについては、適用しない。

3 建築主事等は、第一項の申請書が提出された場合において、その計画が次の各号のいずれかに該当するときは、当該申請書を受理することができない。

一 建築士法第三条第一項、第三条の二第一項、第三条の三第一項、第二十条の二第一項若しくは第二十条の三第一項の規定又は同法第三条の二第三項の規定に基づく条例の規定に違反するとき。

二 構造設計一級建築士以外の一級建築士が建築士法第二十条の二第一項の建築物の構造設計を行つた場合において、当該建築物が構造関係規定に適合することを構造設計一級建築士が確認した構造設計によるものでないとき。

三 設備設計一級建築士以外の一級建築士が建築士法第二十条の三第一項の建築物の設備設計を行つた場合において、当該建築物が設備関係規定に適合することを設備設計一級建築士が確認した設備設計によるものでないとき。

4 建築主事等は、第一項の申請書を受理した場合においては、同項第一号から第三号までに係るものにあつてはその受理した日から三十五日以内に、同項第四号に係るものにあつてはその受理した日から七日以内に、申請に係る建築物の計画が建築基準関係規定に適合するかどうかを審査し、審査の結果に基づいて建築基準関係規定に適合することを確認したときは、当該申請者に確認済証を交付しなければならない。

5 建築主事等は、前項の場合において、申請に係る建築物の計画が第六条の三第一項の構造計算適合性判定を要するものであるときは、建築主から同条第七項の適合判定通知書又はその写しの提出を受けた場合に限り、第一項の規定による確認をすることができる。

6 建築主事等は、第四項の場合(申請に係る建築物の計画が第六条の三第一項の特定構造計算基準(第二十条第一項第二号イの政令で定める基準に従つた構造計算で同号イに規定する方法によるものによつて確かめられる安全性を有することに係る部分に限る。)に適合するかどうかを審査する場合その他国土交通省令で定める場合に限る。)において、第四項の期間内に当該申請者に第一項の確認済証を交付することができない合理的な理由があるときは、三十五日の範囲内において、第四項の期間を延長することができる。この場合においては、その旨及びその延長する期間並びにその期間を延長する理由を記載した通知書を同項の期間内に当該申請者に交付しなければならない。

7 建築主事等は、第四項の場合において、申請に係る建築物の計画が建築基準関係規定に適合しないことを認めたとき、又は建築基準関係規定に適合するかどうかを決定することができない正当な理由があるときは、その旨及びその理由を記載した通知書を同項の期間(前項の規定により第四項の期間を延長した場合にあつては、当該延長後の期間)内に当該申請者に交付しなければならない。

8 第一項の確認済証の交付を受けた後でなければ、同項の建築物の建築、大規模の修繕又は大規模の模様替の工事は、することができない。

9 第一項の規定による確認の申請書、同項の確認済証並びに第六項及び第七項の通知書の様式は、国土交通省令で定める。

 

第九十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

一 第六条第一項(第八十七条第一項、第八十七条の四又は第八十八条第一項若しくは第二項において準用する場合を含む。)、第七条の六第一項(第八十七条の四又は第八十八条第二項において準用する場合を含む。)又は第六十八条の十九第二項(第八十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者

二 第六条第八項(第八十七条の四又は第八十八条第一項若しくは第二項において準用する場合を含む。)又は第七条の三第六項(第八十七条の四又は第八十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定に違反した場合における当該建築物、工作物又は建築設備の工事施工者

三 第七条第二項若しくは第三項(これらの規定を第八十七条の四又は第八十八条第一項若しくは第二項において準用する場合を含む。)又は第七条の三第二項若しくは第三項(これらの規定を第八十七条の四又は第八十八条第一項において準用する場合を含む。)の期限内に第七条第一項(第八十七条の四又は第八十八条第一項若しくは第二項において準用する場合を含む。)又は第七条の三第一項(第八十七条の四又は第八十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定による申請をせず、又は虚偽の申請をした者

四 第九条第十項後段(第八十八条第一項から第三項まで又は第九十条第三項において準用する場合を含む。)、第十条第二項若しくは第三項(これらの規定を第八十八条第一項又は第三項において準用する場合を含む。)、第十一条第一項(第八十八条第一項から第三項までにおいて準用する場合を含む。)又は第九十条の二第一項の規定による特定行政庁又は建築監視員の命令に違反した者

五 第十二条第五項(第一号に係る部分に限る。)又は第十五条の二第一項(これらの規定を第八十八条第一項から第三項までにおいて準用する場合を含む。)の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者

六 第十二条第六項又は第十五条の二第一項(これらの規定を第八十八条第一項から第三項までにおいて準用する場合を含む。)の規定による物件の提出をせず、又は虚偽の物件の提出をした者

七 第十二条第七項又は第十五条の二第一項(これらの規定を第八十八条第一項から第三項までにおいて準用する場合を含む。)の規定による検査若しくは試験を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の答弁をした者

八 第二十条(第一項第四号に係る部分に限る。)、第二十二条第一項、第二十三条、第二十五条、第二十八条第三項、第二十八条の二(第八十八条第一項において準用する場合を含む。)、第三十二条(第八十八条第一項において準用する場合を含む。)、第三十三条(第八十八条第一項において準用する場合を含む。)、第三十四条第一項(第八十八条第一項において準用する場合を含む。)、第三十四条第二項、第三十五条の三、第三十七条(第八十八条第一項において準用する場合を含む。)、第六十一条、第六十二条、第六十四条、第六十七条第一項又は第八十八条第一項において準用する第二十条の規定に違反した場合における当該建築物、工作物又は建築設備の設計者(設計図書に記載された認定建築材料等の全部又は一部として当該認定建築材料等の全部又は一部と異なる建築材料又は建築物の部分を引き渡した場合においては当該建築材料又は建築物の部分を引き渡した者、設計図書を用いないで工事を施工し、又は設計図書に従わないで工事を施工した場合(設計図書に記載された認定建築材料等と異なる建築材料又は建築物の部分を引き渡された場合において、当該建築材料又は建築物の部分を使用して工事を施工した場合を除く。)においては当該建築物、工作物又は建築設備の工事施工者)

九 第三十六条(消火設備、避雷設備及び給水、排水その他の配管設備の設置及び構造並びに煙突及び昇降機の構造に係る部分に限り、第八十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定に基づく政令の規定に違反した場合における当該建築物、工作物又は建築設備の設計者(設計図書に記載された認定建築材料等の全部又は一部として当該認定建築材料等の全部又は一部と異なる建築材料又は建築物の部分を引き渡した場合においては当該建築材料又は建築物の部分を引き渡した者、設計図書を用いないで工事を施工し、又は設計図書に従わないで工事を施工した場合(設計図書に記載された認定建築材料等と異なる建築材料又は建築物の部分を引き渡された場合において、当該建築材料又は建築物の部分を使用して工事を施工した場合を除く。)においては当該建築物、工作物又は建築設備の工事施工者)

十 第七十七条の八第一項(第七十七条の十七の二第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、その職務に関して知り得た秘密を漏らした者

十一 第七十七条の八第二項(第七十七条の十七の二第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、事前に建築基準適合判定資格者検定若しくは構造計算適合判定資格者検定の問題を漏らし、又は不正の採点をした者

十二 第七十七条の二十五第一項、第七十七条の三十五の十第一項又は第七十七条の四十三第一項(第七十七条の五十六第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、その職務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用した者

十三 第七十七条の三十五第二項の規定による確認検査の業務の停止の命令に違反した者

十四 第七十七条の六十二第二項(第七十七条の六十六第二項において準用する場合を含む。)の規定による禁止に違反して、確認検査又は構造計算適合性判定の業務を行つた者

十五 第八十七条第三項において準用する第二十八条第三項又は第三十五条の三の規定に違反した場合における当該建築物の所有者、管理者又は占有者

十六 第八十七条第三項において準用する第三十六条(消火設備の設置及び構造に関して、第三十五条の規定を実施し、又は補足するために安全上及び防火上必要な技術的基準に係る部分に限る。)の規定に基づく政令の規定に違反した場合における当該建築物の所有者、管理者又は占有者

2 前項第八号又は第九号に規定する違反があつた場合において、その違反が建築主、工作物の築造主又は建築設備の設置者の故意によるものであるときは、当該設計者又は工事施工者を罰するほか、当該建築主、工作物の築造主又は建築設備の設置者に対して同項の刑を科する。

 

旧民法の公益社団法人において、脱退構成員の出資払戻請求権を認める定款の規定を削除する旨の定款の変更が有効であり、脱退構成員の出資払戻請求を拒絶したことは不法行為にはならない

 

高松高等裁判所判決/平成25年(ネ)第125号

平成25年8月23日

出資金払戻等請求控訴事件

【判示事項】    旧民法の公益社団法人において、脱退構成員の出資払戻請求権を認める定款の規定を削除する旨の定款の変更が有効であるとし、脱退構成員の出資払戻請求を拒絶したことは不法行為にはならないとされた事例

【参照条文】    民法709

          民法(平18法50号による改正前のもの)65

【掲載誌】     判例時報2249号49頁

 

民法

(不法行為による損害賠償)

第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

 

全農林警職法反対闘争事件大法廷判決・国家公務員法(昭和40年改正前)98条5項11条1項17号の合憲性

 

 

国家公務員法違反被告事件

【事件番号】      最高裁判所大法廷判決/昭和43年(あ)第2780号

【判決日付】      昭和48年4月25日

【判示事項】      1、国家公務員法(昭和40年法律第69号による改正前のもの、以下同じ)98条5項11条1項17号の合憲性

             2、国家公務員法110条1項17号にいう「あおり」および「企て」の意義

             3、国家公務員法110条1項17号の法意

【判決要旨】      1、国家公務員法98条5項、110条1項17号は、憲法28条に、国家公務員法110条1項17号は憲法18条、21条、31条に違反しない。

             2、国家公務員法110条1項17号にいう「あおり」とは、同法98条5項前段に定める違法行為を実行させる目的をもって、他人に対し、その行為を実行する決意を生じさせるような、または、すでに生じている決意を助長させるような勢いのある刺激を与えることをいい、「企て」とは、同条項に定める違法行為の共謀、そそのかし、または、あおり行為の遂行を計画準備することであって、違法行為発生の危険性が具体的に生じたと認めうる状態に達したものをいう。

             3、国家公務員法110条1項17号は、違法性の強い争議行為に対し違法性の強い行為により同条項所定の「あおり」行為等をした場合に限ってこれに刑事制裁を科している趣旨ではなく、また、同条項所定の「あおり」行為等が争議行為に「通常随伴」するものと認められるものでないことを要件とするものではない。

             (3につき、補足意見、意見、反対意見がある。)

【参照条文】      国家公務員法(昭和40年法律第69号による改正前のもの)98-5

             国家公務員法110-1

             憲法28

             憲法18

             憲法21

             憲法31

【掲載誌】        最高裁判所刑事判例集27巻4号547頁

 

憲法

第十八条 何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。

 

第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

② 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

 

第二十八条 勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。

 

第三十一条 何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。

 

国家公務員法

(法令及び上司の命令に従う義務並びに争議行為等の禁止)

第九十八条 職員は、その職務を遂行するについて、法令に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。

② 職員は、政府が代表する使用者としての公衆に対して同盟罷業、怠業その他の争議行為をなし、又は政府の活動能率を低下させる怠業的行為をしてはならない。又、何人も、このような違法な行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおつてはならない。

③ 職員で同盟罷業その他前項の規定に違反する行為をした者は、その行為の開始とともに、国に対し、法令に基いて保有する任命又は雇用上の権利をもつて、対抗することができない。

 

第百十条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

一 第二条第六項の規定に違反した者

二 削除

三 第十七条第二項(第十八条の三第二項において準用する場合を含む。次号及び第五号において同じ。)の規定による証人として喚問を受け虚偽の陳述をした者

四 第十七条第二項の規定により証人として喚問を受け正当の理由がなくてこれに応ぜず、又は同項の規定により書類又はその写の提出を求められ正当の理由がなくてこれに応じなかつた者

五 第十七条第二項の規定により書類又はその写の提出を求められ、虚偽の事項を記載した書類又は写を提出した者

五の二 第十七条第三項(第十八条の三第二項において準用する場合を含む。)の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をした者(第十七条第一項の調査の対象である職員(第十八条の三第二項において準用する場合にあつては、同条第一項の調査の対象である職員又は職員であつた者)を除く。)

六 第十八条の規定に違反して給与を支払つた者

七 第三十三条第一項の規定に違反して任命をした者

八 第三十九条の規定による禁止に違反した者

九 第四十条の規定に違反して虚偽行為を行つた者

十 第四十一条の規定に違反して受験若しくは任用を阻害し又は情報を提供した者

十一 第六十三条の規定に違反して給与を支給した者

十二 第六十八条の規定に違反して給与の支払をした者

十三 第七十条の規定に違反して給与の支払について故意に適当な措置をとらなかつた人事官

十四 第八十三条第二項の規定に違反して停職者に俸給を支給した者

十五 第八十六条の規定に違反して故意に勤務条件に関する行政措置の要求の申出を妨げた者

十六及び十七 削除

十八 第百条第四項(同条第五項において準用する場合を含む。)の規定に違反して陳述及び証言を行わなかつた者

十九 削除

二十 第百八条の二第五項の規定に違反して団体を結成した者

② 前項第八号に該当する者の収受した金銭その他の利益は、これを没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。

 

第百十一条の二 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の禁錮又は百万円以下の罰金に処する。

一 何人たるを問わず第九十八条第二項前段に規定する違法な行為の遂行を共謀し、唆し、若しくはあおり、又はこれらの行為を企てた者

二 第百二条第一項に規定する政治的行為の制限に違反した者

 

社会福祉法人の理事長が法人の金員を個人口座に移したことにより同人は経済的利得を得たものということができ、これは同人の所得に該当するものといえ、同金員の移動が違法ないし私法上無効である場合であっても、同金員が現実に同人の管理下に入り、同金員の取得が同人の経済的な利得であるといえる以上、所得税法上は「所得」があったとみるべきものであるとされた事例

 

              納税告知処分取消等請求控訴事件

【事件番号】      大阪高等裁判所判決/平成14年(行コ)第85号

【判決日付】      平成15年8月27日

【判示事項】      (1) 社会福祉法人の理事長が法人の金員を個人口座に移したことにより同人は経済的利得を得たものということができ、これは同人の所得に該当するものといえ、同金員の移動が違法ないし私法上無効である場合であっても、同金員が現実に同人の管理下に入り、同金員の取得が同人の経済的な利得であるといえる以上、所得税法上は「所得」があったとみるべきものであるとされた事例

             (2) 社会福祉法人の理事長が取得した金員は、給与所得ではなく、一時所得ないし雑所得に該当し、本件金員は賞与として支給することが許されない金員を同人が横領したものであって、別件訴訟の判決で同人の返還債務が確定しているとの被控訴人法人の主張が、同人の被控訴人法人における地位、権限、実質的に有していた全面的な支配権に照らせば、被控訴人法人の金員を同法人から同人の口座へ送金したことは、これを不正に取得する意図や不正な行為があったとしても、同法人の意思に基づくものであって、被控訴人法人が同人に対し、経済的な利得を与えたものと見るのが相当であり、本件金員は、定期的に定額が支払われたものではなく臨時的な給付であるといえるから、給与所得のうち賞与に該当すると解するのが相当であり、被控訴人法人と同人との間で別件訴訟の判決が確定していることは、本件の判断に直接関係するものでないとして排斥された事例

             (3) 社会福祉法人である被控訴人法人は第三者が代表権の制限を主張でき、同法人理事長の行為が被控訴人法人の行為といえる実質がないとの被控訴人法人の主張が、同人の被控訴人法人における地位、権限等に照らせば、本件事実関係のもとにおいて、同人の意思及び行為は被控訴人法人の意思及び行為として捉えるべきものであるとして排斥された事例

             (4) 社会福祉法人の理事長の取得した金員と同人の職務との間に対価性がないとの被控訴人法人の主張が、同人が被控訴人法人の理事長として実際に活動していたこと及び同人の被控訴人法人における地位、権限等に照らせば、同人の本件金員の取得も同人が代表者の地位にあったことによる給付として賞与であると認めてよいといえるとして排斥された事例

             (5) 社会福祉法人の理事長が取得した金員は同人の不法利得であり源泉徴収をすべき場合ではないとの被控訴人法人の主張が、所得の受給者が源泉徴収義務者から不法に利得した場合であっても、その利得が給与所得と認められる以上は、源泉徴収義務者に納税義務を課すべきものであって、源泉徴収が困難であるかどうかは全く関係のないことであるとして排斥された事例

【判決要旨】      (1)~(5) 省略

【掲載誌】        税務訴訟資料253号順号9416

【評釈論文】      税務事例48巻1号56頁

 

法人税法

(役員給与の損金不算入)

第三十四条 内国法人がその役員に対して支給する給与(退職給与で業績連動給与に該当しないもの、使用人としての職務を有する役員に対して支給する当該職務に対するもの及び第三項の規定の適用があるものを除く。以下この項において同じ。)のうち次に掲げる給与のいずれにも該当しないものの額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。

一 その支給時期が一月以下の一定の期間ごとである給与(次号イにおいて「定期給与」という。)で当該事業年度の各支給時期における支給額が同額であるものその他これに準ずるものとして政令で定める給与(同号において「定期同額給与」という。)

二 その役員の職務につき所定の時期に、確定した額の金銭又は確定した数の株式(出資を含む。以下この項及び第五項において同じ。)若しくは新株予約権若しくは確定した額の金銭債権に係る第五十四条第一項(譲渡制限付株式を対価とする費用の帰属事業年度の特例)に規定する特定譲渡制限付株式若しくは第五十四条の二第一項(新株予約権を対価とする費用の帰属事業年度の特例等)に規定する特定新株予約権を交付する旨の定めに基づいて支給する給与で、定期同額給与及び業績連動給与のいずれにも該当しないもの(当該株式若しくは当該特定譲渡制限付株式に係る第五十四条第一項に規定する承継譲渡制限付株式又は当該新株予約権若しくは当該特定新株予約権に係る第五十四条の二第一項に規定する承継新株予約権による給与を含むものとし、次に掲げる場合に該当する場合にはそれぞれ次に定める要件を満たすものに限る。)

イ その給与が定期給与を支給しない役員に対して支給する給与(同族会社に該当しない内国法人が支給する給与で金銭によるものに限る。)以外の給与(株式又は新株予約権による給与で、将来の役務の提供に係るものとして政令で定めるものを除く。)である場合 政令で定めるところにより納税地の所轄税務署長にその定めの内容に関する届出をしていること。

ロ 株式を交付する場合 当該株式が市場価格のある株式又は市場価格のある株式と交換される株式(当該内国法人又は関係法人が発行したものに限る。次号において「適格株式」という。)であること。

ハ 新株予約権を交付する場合 当該新株予約権がその行使により市場価格のある株式が交付される新株予約権(当該内国法人又は関係法人が発行したものに限る。次号において「適格新株予約権」という。)であること。

三 内国法人(同族会社にあつては、同族会社以外の法人との間に当該法人による完全支配関係があるものに限る。)がその業務執行役員(業務を執行する役員として政令で定めるものをいう。以下この号において同じ。)に対して支給する業績連動給与(金銭以外の資産が交付されるものにあつては、適格株式又は適格新株予約権が交付されるものに限る。)で、次に掲げる要件を満たすもの(他の業務執行役員の全てに対して次に掲げる要件を満たす業績連動給与を支給する場合に限る。)

イ 交付される金銭の額若しくは株式若しくは新株予約権の数又は交付される新株予約権の数のうち無償で取得され、若しくは消滅する数の算定方法が、その給与に係る職務を執行する期間の開始の日(イにおいて「職務執行期間開始日」という。)以後に終了する事業年度の利益の状況を示す指標(利益の額、利益の額に有価証券報告書(金融商品取引法第二十四条第一項(有価証券報告書の提出)に規定する有価証券報告書をいう。イにおいて同じ。)に記載されるべき事項による調整を加えた指標その他の利益に関する指標として政令で定めるもので、有価証券報告書に記載されるものに限る。イにおいて同じ。)、職務執行期間開始日の属する事業年度開始の日以後の所定の期間若しくは職務執行期間開始日以後の所定の日における株式の市場価格の状況を示す指標(当該内国法人又は当該内国法人との間に完全支配関係がある法人の株式の市場価格又はその平均値その他の株式の市場価格に関する指標として政令で定めるものに限る。イにおいて同じ。)又は職務執行期間開始日以後に終了する事業年度の売上高の状況を示す指標(売上高、売上高に有価証券報告書に記載されるべき事項による調整を加えた指標その他の売上高に関する指標として政令で定めるもののうち、利益の状況を示す指標又は株式の市場価格の状況を示す指標と同時に用いられるもので、有価証券報告書に記載されるものに限る。)を基礎とした客観的なもの(次に掲げる要件を満たすものに限る。)であること。

(1) 金銭による給与にあつては確定した額を、株式又は新株予約権による給与にあつては確定した数を、それぞれ限度としているものであり、かつ、他の業務執行役員に対して支給する業績連動給与に係る算定方法と同様のものであること。

(2) 政令で定める日までに、会社法第四百四条第三項(指名委員会等の権限等)の報酬委員会(その委員の過半数が当該内国法人の同法第二条第十五号(定義)に規定する社外取締役のうち職務の独立性が確保された者として政令で定める者((2)において「独立社外取締役」という。)であるものに限るものとし、当該内国法人の業務執行役員と政令で定める特殊の関係のある者がその委員であるものを除く。)が決定(当該報酬委員会の委員である独立社外取締役の全員が当該決定に係る当該報酬委員会の決議に賛成している場合における当該決定に限る。)をしていることその他の政令で定める適正な手続を経ていること。

(3) その内容が、(2)の政令で定める適正な手続の終了の日以後遅滞なく、有価証券報告書に記載されていることその他財務省令で定める方法により開示されていること。

ロ その他政令で定める要件

2 内国法人がその役員に対して支給する給与(前項又は次項の規定の適用があるものを除く。)の額のうち不相当に高額な部分の金額として政令で定める金額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。

3 内国法人が、事実を隠蔽し、又は仮装して経理をすることによりその役員に対して支給する給与の額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。

4 前三項に規定する給与には、債務の免除による利益その他の経済的な利益を含むものとする。

5 第一項に規定する業績連動給与とは、利益の状況を示す指標、株式の市場価格の状況を示す指標その他の同項の内国法人又は当該内国法人との間に支配関係がある法人の業績を示す指標を基礎として算定される額又は数の金銭又は株式若しくは新株予約権による給与及び第五十四条第一項に規定する特定譲渡制限付株式若しくは承継譲渡制限付株式又は第五十四条の二第一項に規定する特定新株予約権若しくは承継新株予約権による給与で無償で取得され、又は消滅する株式又は新株予約権の数が役務の提供期間以外の事由により変動するものをいう。

6 第一項に規定する使用人としての職務を有する役員とは、役員(社長、理事長その他政令で定めるものを除く。)のうち、部長、課長その他法人の使用人としての職制上の地位を有し、かつ、常時使用人としての職務に従事するものをいう。

7 第一項第二号ロ及びハに規定する関係法人とは、同項の内国法人との間に支配関係がある法人として政令で定める法人をいう。

8 第四項から前項までに定めるもののほか、第一項から第三項までの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

第三十五条 削除

(過大な使用人給与の損金不算入)

第三十六条 内国法人がその役員と政令で定める特殊の関係のある使用人に対して支給する給与(債務の免除による利益その他の経済的な利益を含む。)の額のうち不相当に高額な部分の金額として政令で定める金額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。

 

所得税法

(源泉徴収義務)

第百八十三条 居住者に対し国内において第二十八条第一項(給与所得)に規定する給与等(以下この章において「給与等」という。)の支払をする者は、その支払の際、その給与等について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月十日までに、これを国に納付しなければならない。

2 法人の法人税法第二条第十五号(定義)に規定する役員に対する賞与については、支払の確定した日から一年を経過した日までにその支払がされない場合には、その一年を経過した日においてその支払があつたものとみなして、前項の規定を適用する。

 

第10章 間接侵害の対象拡大(令和2年4月1日施行)

意匠登録を受けた物品を、構成部分に分割して、製造・輸入する行為も取り締まる。

旧意匠法では、 「物品の製造にのみ用いる物」を譲渡等する場合に限って、侵害行為とみなされていました。

そのため、 侵害品を分解した部品を譲渡等する行為については、侵害行為とはみなされず取り締まることができませんでした。

 

改正により、これを改め、 「視覚を通じた美感の創出に不可欠な」もの であって、 「物品の製造に用いる物品」について、その意匠が登録意匠であることを知りながら、 業として譲渡等する場合についても、侵害行為とみなす ことになりました。

 

建築士法18条は建築士の業務執行についての単なる倫理規定ではなく、右は手抜き工事防止のため建築士に課せられた業務責任に関する規定と解すべきである。

 

名古屋地方裁判所判決/昭和46年(ワ)第1200号

昭和48年10月23日

損害賠償請求事件

【判示事項】    1、建築士法18条の法意

2、建築物の設計・監理を委託された建築事務所およびその管理代表者である1級建築士に、その監理義務違反によって建築主に生じた損害の賠償責任を認めた事例

【判決要旨】    1、建築士法18条は建築士の業務執行についての単なる倫理規定ではなく、右はいわゆる手抜工事防止のため建築士に課せられた業務責任に関する規定と解すべきである。

2、省略

【参照条文】    建築士法18

【掲載誌】     判例タイムズ302号179頁

 

建築士法

(設計及び工事監理)

第十八条 建築士は、設計を行う場合においては、設計に係る建築物が法令又は条例の定める建築物に関する基準に適合するようにしなければならない。

2 建築士は、設計を行う場合においては、設計の委託者に対し、設計の内容に関して適切な説明を行うように努めなければならない。

3 建築士は、工事監理を行う場合において、工事が設計図書のとおりに実施されていないと認めるときは、直ちに、工事施工者に対して、その旨を指摘し、当該工事を設計図書のとおりに実施するよう求め、当該工事施工者がこれに従わないときは、その旨を建築主に報告しなければならない。

4 建築士は、延べ面積が二千平方メートルを超える建築物の建築設備に係る設計又は工事監理を行う場合においては、建築設備士の意見を聴くよう努めなければならない。ただし、設備設計一級建築士が設計を行う場合には、設計に関しては、この限りでない。

 

割賦購入あつせんの法律関係は、加盟業者において購入者に販売商品を引き渡し、右の引渡しがあつたとき、あつせん業者が加盟業者との契約に基づいて加盟業者に代金を支払う義務を負い、他方購入者は、あつせん業者に対して同人との契約に基づき契約所定の金員支払の義務を負う関係である。

 

東京高等裁判所判決/昭和51年(ネ)第1160号

昭和52年3月31日

立替金請求控訴事件

【判示事項】 割賦購入あつせんの法律関係は、加盟業者において購入者に販売商品を引き渡し、右の引渡しがあつたとき、あつせん業者が加盟業者との契約に基づいて加盟業者に代金を支払う義務を負い、他方購入者は、あつせん業者に対して同人との契約に基づき契約所定の金員支払の義務を負う関係である。

【判決要旨】 割賦購入あっせんの取引関係においては、特約なき限り、加盟業者が購入者に販売商品を引き渡すべく、右引渡があったときは、あっせん業者が当該加盟業者との契約に基づき同人に代金を支払う義務を負い、他方、購入者はあっせん業者との契約に基づき同人に所定の金員を支払う義務を負う。

【参照条文】 割賦販売法

【掲載誌】  下級裁判所民事裁判例集32巻1~4号238頁

       金融・商事判例528号31頁

       判例時報853号50頁

 

割賦販売法

(定義)

第二条 この法律において「割賦販売」とは、次に掲げるものをいう。

一 購入者から商品若しくは権利の代金を、又は役務の提供を受ける者から役務の対価を二月以上の期間にわたり、かつ、三回以上に分割して受領すること(購入者又は役務の提供を受ける者をして販売業者又は役務の提供の事業を営む者(以下「役務提供事業者」という。)の指定する銀行その他預金の受入れを業とする者に対し、二月以上の期間にわたり三回以上預金させた後、その預金のうちから商品若しくは権利の代金又は役務の対価を受領することを含む。)を条件として指定商品若しくは指定権利を販売し、又は指定役務を提供すること。

二 それを提示し若しくは通知して、又はそれと引換えに、商品若しくは権利を購入し、又は有償で役務の提供を受けることができるカードその他の物又は番号、記号その他の符号(以下この項及び次項、次条並びに第二十九条の二において「カード等」という。)をこれにより商品若しくは権利を購入しようとする者又は役務の提供を受けようとする者(以下この項及び次項、次条、第四条の二(第二十九条の四第一項において準用する場合を含む。)、第二十九条の二並びに第三十八条において「利用者」という。)に交付し又は付与し、あらかじめ定められた時期ごとに、そのカード等の提示若しくは通知を受けて、又はそれと引換えに当該利用者に販売した商品若しくは権利の代金又は当該利用者に提供する役務の対価の合計額を基礎としてあらかじめ定められた方法により算定して得た金額を当該利用者から受領することを条件として、指定商品若しくは指定権利を販売し又は指定役務を提供すること。

2 この法律において「ローン提携販売」とは、次に掲げるものをいう。

一 カード等を利用者に交付し又は付与し、当該利用者がそのカード等を提示し若しくは通知して、又はそれと引換えに購入した商品若しくは権利の代金又は提供を受ける役務の対価に充てるためにする金銭の借入れで、二月以上の期間にわたり、かつ、三回以上に分割して返還することを条件とするものに係る購入者又は役務の提供を受ける者の債務の保証(業として保証を行う者に当該債務の保証を委託することを含む。)をして、指定商品若しくは指定権利を販売し、又は指定役務を提供すること。

二 カード等を利用者に交付し又は付与し、当該利用者がそのカード等を提示し若しくは通知して、又はそれと引換えに購入した商品若しくは権利の代金又は提供を受ける役務の対価に充てるためにする金銭の借入れで、あらかじめ定められた時期ごとに、その借入金の合計額を基礎としてあらかじめ定められた方法により算定して得た金額を返済することを条件とするものに係る当該利用者の債務の保証(業として保証を行う者に当該債務の保証を委託することを含む。)をして、そのカード等の提示若しくは通知を受けて、又はそれと引換えに指定商品若しくは指定権利を販売し又は指定役務を提供すること。

3 この法律において「包括信用購入あつせん」とは、次に掲げるものをいう。

一 それを提示し若しくは通知して、又はそれと引換えに、特定の販売業者から商品若しくは権利を購入し、又は特定の役務提供事業者から有償で役務の提供を受けることができるカードその他の物又は番号、記号その他の符号(以下この項及び次項、第三章第一節並びに第三十五条の十六において「カード等」という。)をこれにより商品若しくは権利を購入しようとする者又は役務の提供を受けようとする者(以下この項、同節、同章第三節、同条、第三章の四第二節、第四十一条及び第四十一条の二において「利用者」という。)に交付し又は付与し、当該利用者がそのカード等を提示し若しくは通知して、又はそれと引換えに特定の販売業者から商品若しくは権利を購入し、又は特定の役務提供事業者から役務の提供を受けるときは、当該販売業者又は当該役務提供事業者に当該商品若しくは当該権利の代金又は当該役務の対価に相当する額の交付(当該販売業者又は当該役務提供事業者以外の者を通じた当該販売業者又は当該役務提供事業者への交付を含む。)をするとともに、当該利用者から当該代金又は当該対価に相当する額をあらかじめ定められた時期までに受領すること(当該利用者が当該販売業者から商品若しくは権利を購入する契約を締結し、又は当該役務提供事業者から役務の提供を受ける契約を締結した時から二月を超えない範囲内においてあらかじめ定められた時期までに受領することを除く。)。

二 カード等を利用者に交付し又は付与し、当該利用者がそのカード等を提示し若しくは通知して、又はそれと引換えに特定の販売業者から商品若しくは権利を購入し、又は特定の役務提供事業者から役務の提供を受けるときは、当該販売業者又は当該役務提供事業者に当該商品若しくは当該権利の代金又は当該役務の対価に相当する額の交付(当該販売業者又は当該役務提供事業者以外の者を通じた当該販売業者又は当該役務提供事業者への交付を含む。)をするとともに、当該利用者からあらかじめ定められた時期ごとに当該商品若しくは当該権利の代金又は当該役務の対価の合計額を基礎としてあらかじめ定められた方法により算定して得た金額を受領すること。

4 この法律において「個別信用購入あつせん」とは、カード等を利用することなく、特定の販売業者が行う購入者への商品若しくは指定権利の販売又は特定の役務提供事業者が行う役務の提供を受ける者への役務の提供を条件として、当該商品若しくは当該指定権利の代金又は当該役務の対価の全部又は一部に相当する金額の当該販売業者又は当該役務提供事業者への交付(当該販売業者又は当該役務提供事業者以外の者を通じた当該販売業者又は当該役務提供事業者への交付を含む。)をするとともに、当該購入者又は当該役務の提供を受ける者からあらかじめ定められた時期までに当該金額を受領すること(当該購入者又は当該役務の提供を受ける者が当該販売業者から商品若しくは指定権利を購入する契約を締結し、又は当該役務提供事業者から役務の提供を受ける契約を締結した時から二月を超えない範囲内においてあらかじめ定められた時期までに受領することを除く。)をいう。

5 この法律において「指定商品」とは、定型的な条件で販売するのに適する商品であつて政令で定めるものをいい、「指定権利」とは、施設を利用し又は役務の提供を受ける権利のうち国民の日常生活に係る取引において販売されるものであつて政令で定めるものをいい、「指定役務」とは、次項、第三十五条の三の六十一、第三十五条の三の六十二、第四十一条及び第四十一条の二を除き、国民の日常生活に係る取引において有償で提供される役務であつて政令で定めるものをいう。

6 この法律において「前払式特定取引」とは、次の各号に掲げる取引で、当該各号に定める者に対する商品の引渡し又は政令で定める役務(以下この項、第三十五条の三の六十一、第三十五条の三の六十二、第四十一条及び第四十一条の二において「指定役務」という。)の提供に先立つてその者から当該商品の代金又は当該指定役務の対価の全部又は一部を二月以上の期間にわたり、かつ、三回以上に分割して受領するものをいう。

一 商品の売買の取次ぎ 購入者

二 指定役務の提供又は指定役務の提供をすること若しくは指定役務の提供を受けることの取次ぎ 当該指定役務の提供を受ける者