全農林警職法反対闘争事件大法廷判決・国家公務員法(昭和40年改正前)98条5項11条1項17号の | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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全農林警職法反対闘争事件大法廷判決・国家公務員法(昭和40年改正前)98条5項11条1項17号の合憲性

 

 

国家公務員法違反被告事件

【事件番号】      最高裁判所大法廷判決/昭和43年(あ)第2780号

【判決日付】      昭和48年4月25日

【判示事項】      1、国家公務員法(昭和40年法律第69号による改正前のもの、以下同じ)98条5項11条1項17号の合憲性

             2、国家公務員法110条1項17号にいう「あおり」および「企て」の意義

             3、国家公務員法110条1項17号の法意

【判決要旨】      1、国家公務員法98条5項、110条1項17号は、憲法28条に、国家公務員法110条1項17号は憲法18条、21条、31条に違反しない。

             2、国家公務員法110条1項17号にいう「あおり」とは、同法98条5項前段に定める違法行為を実行させる目的をもって、他人に対し、その行為を実行する決意を生じさせるような、または、すでに生じている決意を助長させるような勢いのある刺激を与えることをいい、「企て」とは、同条項に定める違法行為の共謀、そそのかし、または、あおり行為の遂行を計画準備することであって、違法行為発生の危険性が具体的に生じたと認めうる状態に達したものをいう。

             3、国家公務員法110条1項17号は、違法性の強い争議行為に対し違法性の強い行為により同条項所定の「あおり」行為等をした場合に限ってこれに刑事制裁を科している趣旨ではなく、また、同条項所定の「あおり」行為等が争議行為に「通常随伴」するものと認められるものでないことを要件とするものではない。

             (3につき、補足意見、意見、反対意見がある。)

【参照条文】      国家公務員法(昭和40年法律第69号による改正前のもの)98-5

             国家公務員法110-1

             憲法28

             憲法18

             憲法21

             憲法31

【掲載誌】        最高裁判所刑事判例集27巻4号547頁

 

憲法

第十八条 何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。

 

第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

② 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

 

第二十八条 勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。

 

第三十一条 何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。

 

国家公務員法

(法令及び上司の命令に従う義務並びに争議行為等の禁止)

第九十八条 職員は、その職務を遂行するについて、法令に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。

② 職員は、政府が代表する使用者としての公衆に対して同盟罷業、怠業その他の争議行為をなし、又は政府の活動能率を低下させる怠業的行為をしてはならない。又、何人も、このような違法な行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおつてはならない。

③ 職員で同盟罷業その他前項の規定に違反する行為をした者は、その行為の開始とともに、国に対し、法令に基いて保有する任命又は雇用上の権利をもつて、対抗することができない。

 

第百十条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

一 第二条第六項の規定に違反した者

二 削除

三 第十七条第二項(第十八条の三第二項において準用する場合を含む。次号及び第五号において同じ。)の規定による証人として喚問を受け虚偽の陳述をした者

四 第十七条第二項の規定により証人として喚問を受け正当の理由がなくてこれに応ぜず、又は同項の規定により書類又はその写の提出を求められ正当の理由がなくてこれに応じなかつた者

五 第十七条第二項の規定により書類又はその写の提出を求められ、虚偽の事項を記載した書類又は写を提出した者

五の二 第十七条第三項(第十八条の三第二項において準用する場合を含む。)の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をした者(第十七条第一項の調査の対象である職員(第十八条の三第二項において準用する場合にあつては、同条第一項の調査の対象である職員又は職員であつた者)を除く。)

六 第十八条の規定に違反して給与を支払つた者

七 第三十三条第一項の規定に違反して任命をした者

八 第三十九条の規定による禁止に違反した者

九 第四十条の規定に違反して虚偽行為を行つた者

十 第四十一条の規定に違反して受験若しくは任用を阻害し又は情報を提供した者

十一 第六十三条の規定に違反して給与を支給した者

十二 第六十八条の規定に違反して給与の支払をした者

十三 第七十条の規定に違反して給与の支払について故意に適当な措置をとらなかつた人事官

十四 第八十三条第二項の規定に違反して停職者に俸給を支給した者

十五 第八十六条の規定に違反して故意に勤務条件に関する行政措置の要求の申出を妨げた者

十六及び十七 削除

十八 第百条第四項(同条第五項において準用する場合を含む。)の規定に違反して陳述及び証言を行わなかつた者

十九 削除

二十 第百八条の二第五項の規定に違反して団体を結成した者

② 前項第八号に該当する者の収受した金銭その他の利益は、これを没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。

 

第百十一条の二 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の禁錮又は百万円以下の罰金に処する。

一 何人たるを問わず第九十八条第二項前段に規定する違法な行為の遂行を共謀し、唆し、若しくはあおり、又はこれらの行為を企てた者

二 第百二条第一項に規定する政治的行為の制限に違反した者