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法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

役に立つ裁判例の紹介、法律の本の書評です。弁護士経験32年。第二東京弁護士会所属21770

処分行政庁が,①同業類似法人における取締役に対する役員退職給与の支給事例の抽出基準を策定し,②当該基準に従って支給事例を抽出し,③法人税法施行令70条2号に規定する「その退職した役員に対する退職給与として相当であると認められる金額」を算定する方法として,いわゆる1年当たり平均額法を採用したことは,概ね合理的である。


    法人税更正処分取消請求事件
【事件番号】    東京地方裁判所判決/平成28年(行ウ)第589号
【判決日付】    令和2年3月24日
【判示事項】    原告が元取締役に対して支給した退任慰労金及び特別功労金の額の一部には,法人税法34条2項が規定する「不相当に高額な部分の金額として政令で定める金額」が存在し,当該金額が損金の額に算入されないとしてされた更正処分が適法であるとされた事例
【判決要旨】    本件の事実関係の下においては,処分行政庁が,①同業類似法人における取締役に対する役員退職給与の支給事例の抽出基準を策定し,②当該基準に従って支給事例を抽出し,③法人税法施行令70条2号に規定する「その退職した役員に対する退職給与として相当であると認められる金額」を算定する方法として,いわゆる1年当たり平均額法を採用したことは,概ね合理的であり,かつ,当該抽出された支給事例に基づいて1年当たり平均額法を用いて算定した結果として是認した翌期へ繰り越す欠損金額は,本来,原告が翌期へ繰り越すことができる欠損金額を上回るから,処分行政庁がした更正処分は,適法である。
【掲載誌】     LLI/DB 判例秘書登載

法人税法施行令
(過大な役員給与の額)
第七十条 法第三十四条第二項(役員給与の損金不算入)に規定する政令で定める金額は、次に掲げる金額の合計額とする。
一 次に掲げる金額のうちいずれか多い金額
イ 内国法人が各事業年度においてその役員に対して支給した給与(法第三十四条第二項に規定する給与のうち、退職給与以外のものをいう。以下この号において同じ。)の額(第三号に掲げる金額に相当する金額を除く。)が、当該役員の職務の内容、その内国法人の収益及びその使用人に対する給与の支給の状況、その内国法人と同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するものの役員に対する給与の支給の状況等に照らし、当該役員の職務に対する対価として相当であると認められる金額を超える場合におけるその超える部分の金額(その役員の数が二以上である場合には、これらの役員に係る当該超える部分の金額の合計額)
ロ 定款の規定又は株主総会、社員総会若しくはこれらに準ずるものの決議により、役員に対する給与として支給することができる金銭その他の資産について、金銭の額の限度額若しくは算定方法、その内国法人の株式若しくは新株予約権の数の上限又は金銭以外の資産(ロにおいて「支給対象資産」という。)の内容(ロにおいて「限度額等」という。)を定めている内国法人が、各事業年度においてその役員(当該限度額等が定められた給与の支給の対象となるものに限る。ロにおいて同じ。)に対して支給した給与の額(法第三十四条第六項に規定する使用人としての職務を有する役員(第三号において「使用人兼務役員」という。)に対して支給する給与のうちその使用人としての職務に対するものを含めないで当該限度額等を定めている内国法人については、当該事業年度において当該職務に対する給与として支給した金額(同号に掲げる金額に相当する金額を除く。)のうち、その内国法人の他の使用人に対する給与の支給の状況等に照らし、当該職務に対する給与として相当であると認められる金額を除く。)の合計額が当該事業年度に係る当該限度額及び当該算定方法により算定された金額、当該株式又は新株予約権(当該事業年度に支給されたものに限る。)の当該上限及びその支給の時(第七十一条の三第一項(確定した数の株式を交付する旨の定めに基づいて支給する給与に係る費用の額等)に規定する確定数給与(ロにおいて「確定数給与」という。)にあつては、同項の定めをした日)における一単位当たりの価額により算定された金額並びに当該支給対象資産(当該事業年度に支給されたものに限る。)の支給の時における価額(確定数給与にあつては、同項に規定する交付決議時価額)に相当する金額の合計額を超える場合におけるその超える部分の金額(同号に掲げる金額がある場合には、当該超える部分の金額から同号に掲げる金額に相当する金額を控除した金額)
二 内国法人が各事業年度においてその退職した役員に対して支給した退職給与(法第三十四条第一項又は第三項の規定の適用があるものを除く。以下この号において同じ。)の額が、当該役員のその内国法人の業務に従事した期間、その退職の事情、その内国法人と同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するものの役員に対する退職給与の支給の状況等に照らし、その退職した役員に対する退職給与として相当であると認められる金額を超える場合におけるその超える部分の金額
三 使用人兼務役員の使用人としての職務に対する賞与で、他の使用人に対する賞与の支給時期と異なる時期に支給したものの額


 

1、労働者が生理休暇を取得することにより精皆勤手当等の経済的利益を得られない結果となる措置と労働基準法(昭和66年改正前)67条

2、精皆勤手当の算定に当たり生理休暇取得日数を出勤不足日数に算入する措置が労働基準法(昭和66年改正前)67条に違反しないとされた事例

 

最高裁判所第3小法廷判決/昭和55年(オ)第626号

昭和60年7月16日

未払賃金請求事件

エヌ・ビー・シー工業事件

【判示事項】    1、労働者が生理休暇を取得することにより精皆勤手当等の経済的利益を得られない結果となる措置と労働基準法(昭和66年法律第45号による改正前のもの)67条

2、精皆勤手当の算定に当たり生理休暇取得日数を出勤不足日数に算入する措置が労働基準法(昭和66年法律第45号による改正前のもの)67条に違反しないとされた事例

【判決要旨】    1、労働者が生理休暇を取得することにより精皆勤手当等の経済的利益を得られない結果となる措置は、その趣旨、目的、労働者が失う経済的利益の程度、生理休暇の取得に対する事実上の抑止力の強弱等諸般の事情を総合して、生理休暇の取得を著しく困難にし、労働基準法(昭和66年法律第45号による改正前のもの)67条の規定が特に設けられた趣旨を失わせると認められるものでない限り、同条に違反しない。

2、出勤不足日によって支給の有無または額が決定される精皆勤手当の算定に当たり生理休暇取得日数を右出勤不足日数に参入する措置は、右手当が、決定の要件を欠く生理休暇及び自己都合欠勤を減少させて出勤率の向上を図ることを目的として設けられたものであり、出勤不足日数のない場合には1か月あたり5555円支給され、同日数が1日の場合3333円、2日の場合1111円に順次減額され、3日以上の場合には支給されないこととなるが、生理休暇取得者には最も少額の者でも1日1466円の基本給相当の不就業手当が別に支給されるなど判示の事実関係のもとにおいては、生理休暇の取得を著しく困難にし、労働基準法(昭和66年法律第45号による改正前のもの)67条の規定が特に設けられた趣旨を失わせるとは認められないもおとして、同条に違反しない。

【参照条文】    労働基準法(昭60年法律第45号による改正まえのもの)67

【掲載誌】     最高裁判所民事判例集39巻5号1023頁

 

労働基準法

(生理日の就業が著しく困難な女性に対する措置)

第六十八条 使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない。

 

平和相互銀行事件・特別背任罪における第三者図利目的があるとされた事例

 

              商法違反被告事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷決定/平成7年(あ)第246号

【判決日付】      平成10年11月25日

【判示事項】      特別背任罪における第三者図利目的があるとされた事例

【判決要旨】      相互銀行の行員らが、土地の購入資金及び開発資金等の融資に当たり、右融資は土地の売主に対し遊休資産化していた土地を売却して代金を直ちに入手できるなどの利益を与えるとともに、融資先に対し大幅な担保不足であるのに多額の融資を受けられる利益を与えることになることを認識しつつ、あえて右融資を実行することとしたものであり、相互銀行と密接な関係にある売主に所要の資金を確保させることによりにひいて相互銀行の利益を図るという動機があったにしても、それが融資の決定的な動機ではなかったなどの事情の下では、右役員らに特別背任罪における第三者図利目的を認めることができる。

【参照条文】      商法(平2法64号改正前)486-1

             刑法(平7法91号改正前)247

【掲載誌】        最高裁判所刑事判例集52巻8号570頁

 

 

刑法

(背任)

第二百四十七条 他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

 

会社法

(取締役等の特別背任罪)

第九百六十条 次に掲げる者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は株式会社に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、当該株式会社に財産上の損害を加えたときは、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

一 発起人

二 設立時取締役又は設立時監査役

三 取締役、会計参与、監査役又は執行役

四 民事保全法第五十六条に規定する仮処分命令により選任された取締役、監査役又は執行役の職務を代行する者

五 第三百四十六条第二項、第三百五十一条第二項又は第四百一条第三項(第四百三条第三項及び第四百二十条第三項において準用する場合を含む。)の規定により選任された一時取締役(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役又はそれ以外の取締役)、会計参与、監査役、代表取締役、委員(指名委員会、監査委員会又は報酬委員会の委員をいう。)、執行役又は代表執行役の職務を行うべき者

六 支配人

七 事業に関するある種類又は特定の事項の委任を受けた使用人

八 検査役

2 次に掲げる者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は清算株式会社に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、当該清算株式会社に財産上の損害を加えたときも、前項と同様とする。

一 清算株式会社の清算人

二 民事保全法第五十六条に規定する仮処分命令により選任された清算株式会社の清算人の職務を代行する者

三 第四百七十九条第四項において準用する第三百四十六条第二項又は第四百八十三条第六項において準用する第三百五十一条第二項の規定により選任された一時清算人又は代表清算人の職務を行うべき者

四 清算人代理

五 監督委員

六 調査委員

 

青色申告の更正処分の取消訴訟において、課税庁が役員退職給与の損金算入を否認する更正を維持するため、更正通知書に附記したと異なる類似法人を主張することが許されるとされた事例

 

 

              法人税更正等取消請求事件

【事件番号】      静岡地方裁判所判決/昭和60年(行ウ)第9号

【判決日付】      昭和63年9月30日

【判示事項】      青色申告の更正処分の取消訴訟において、課税庁が役員退職給与の損金算入を否認する更正を維持するため、更正通知書に附記したと異なる類似法人を主張することが許されるとされた事例

【参照条文】      法人税法36

             法人税法130

【掲載誌】        判例時報1299号62頁

【評釈論文】      税務事例24巻2号49頁

             判例評論372号193頁

             TKC税研時報4巻3号64頁

 

法人税法

(役員給与の損金不算入)

第三十四条 内国法人がその役員に対して支給する給与(退職給与で業績連動給与に該当しないもの、使用人としての職務を有する役員に対して支給する当該職務に対するもの及び第三項の規定の適用があるものを除く。以下この項において同じ。)のうち次に掲げる給与のいずれにも該当しないものの額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。

一 その支給時期が一月以下の一定の期間ごとである給与(次号イにおいて「定期給与」という。)で当該事業年度の各支給時期における支給額が同額であるものその他これに準ずるものとして政令で定める給与(同号において「定期同額給与」という。)

二 その役員の職務につき所定の時期に、確定した額の金銭又は確定した数の株式(出資を含む。以下この項及び第五項において同じ。)若しくは新株予約権若しくは確定した額の金銭債権に係る第五十四条第一項(譲渡制限付株式を対価とする費用の帰属事業年度の特例)に規定する特定譲渡制限付株式若しくは第五十四条の二第一項(新株予約権を対価とする費用の帰属事業年度の特例等)に規定する特定新株予約権を交付する旨の定めに基づいて支給する給与で、定期同額給与及び業績連動給与のいずれにも該当しないもの(当該株式若しくは当該特定譲渡制限付株式に係る第五十四条第一項に規定する承継譲渡制限付株式又は当該新株予約権若しくは当該特定新株予約権に係る第五十四条の二第一項に規定する承継新株予約権による給与を含むものとし、次に掲げる場合に該当する場合にはそれぞれ次に定める要件を満たすものに限る。)

イ その給与が定期給与を支給しない役員に対して支給する給与(同族会社に該当しない内国法人が支給する給与で金銭によるものに限る。)以外の給与(株式又は新株予約権による給与で、将来の役務の提供に係るものとして政令で定めるものを除く。)である場合 政令で定めるところにより納税地の所轄税務署長にその定めの内容に関する届出をしていること。

ロ 株式を交付する場合 当該株式が市場価格のある株式又は市場価格のある株式と交換される株式(当該内国法人又は関係法人が発行したものに限る。次号において「適格株式」という。)であること。

ハ 新株予約権を交付する場合 当該新株予約権がその行使により市場価格のある株式が交付される新株予約権(当該内国法人又は関係法人が発行したものに限る。次号において「適格新株予約権」という。)であること。

三 内国法人(同族会社にあつては、同族会社以外の法人との間に当該法人による完全支配関係があるものに限る。)がその業務執行役員(業務を執行する役員として政令で定めるものをいう。以下この号において同じ。)に対して支給する業績連動給与(金銭以外の資産が交付されるものにあつては、適格株式又は適格新株予約権が交付されるものに限る。)で、次に掲げる要件を満たすもの(他の業務執行役員の全てに対して次に掲げる要件を満たす業績連動給与を支給する場合に限る。)

イ 交付される金銭の額若しくは株式若しくは新株予約権の数又は交付される新株予約権の数のうち無償で取得され、若しくは消滅する数の算定方法が、その給与に係る職務を執行する期間の開始の日(イにおいて「職務執行期間開始日」という。)以後に終了する事業年度の利益の状況を示す指標(利益の額、利益の額に有価証券報告書(金融商品取引法第二十四条第一項(有価証券報告書の提出)に規定する有価証券報告書をいう。イにおいて同じ。)に記載されるべき事項による調整を加えた指標その他の利益に関する指標として政令で定めるもので、有価証券報告書に記載されるものに限る。イにおいて同じ。)、職務執行期間開始日の属する事業年度開始の日以後の所定の期間若しくは職務執行期間開始日以後の所定の日における株式の市場価格の状況を示す指標(当該内国法人又は当該内国法人との間に完全支配関係がある法人の株式の市場価格又はその平均値その他の株式の市場価格に関する指標として政令で定めるものに限る。イにおいて同じ。)又は職務執行期間開始日以後に終了する事業年度の売上高の状況を示す指標(売上高、売上高に有価証券報告書に記載されるべき事項による調整を加えた指標その他の売上高に関する指標として政令で定めるもののうち、利益の状況を示す指標又は株式の市場価格の状況を示す指標と同時に用いられるもので、有価証券報告書に記載されるものに限る。)を基礎とした客観的なもの(次に掲げる要件を満たすものに限る。)であること。

(1) 金銭による給与にあつては確定した額を、株式又は新株予約権による給与にあつては確定した数を、それぞれ限度としているものであり、かつ、他の業務執行役員に対して支給する業績連動給与に係る算定方法と同様のものであること。

(2) 政令で定める日までに、会社法第四百四条第三項(指名委員会等の権限等)の報酬委員会(その委員の過半数が当該内国法人の同法第二条第十五号(定義)に規定する社外取締役のうち職務の独立性が確保された者として政令で定める者((2)において「独立社外取締役」という。)であるものに限るものとし、当該内国法人の業務執行役員と政令で定める特殊の関係のある者がその委員であるものを除く。)が決定(当該報酬委員会の委員である独立社外取締役の全員が当該決定に係る当該報酬委員会の決議に賛成している場合における当該決定に限る。)をしていることその他の政令で定める適正な手続を経ていること。

(3) その内容が、(2)の政令で定める適正な手続の終了の日以後遅滞なく、有価証券報告書に記載されていることその他財務省令で定める方法により開示されていること。

ロ その他政令で定める要件

2 内国法人がその役員に対して支給する給与(前項又は次項の規定の適用があるものを除く。)の額のうち不相当に高額な部分の金額として政令で定める金額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。

3 内国法人が、事実を隠蔽し、又は仮装して経理をすることによりその役員に対して支給する給与の額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。

4 前三項に規定する給与には、債務の免除による利益その他の経済的な利益を含むものとする。

5 第一項に規定する業績連動給与とは、利益の状況を示す指標、株式の市場価格の状況を示す指標その他の同項の内国法人又は当該内国法人との間に支配関係がある法人の業績を示す指標を基礎として算定される額又は数の金銭又は株式若しくは新株予約権による給与及び第五十四条第一項に規定する特定譲渡制限付株式若しくは承継譲渡制限付株式又は第五十四条の二第一項に規定する特定新株予約権若しくは承継新株予約権による給与で無償で取得され、又は消滅する株式又は新株予約権の数が役務の提供期間以外の事由により変動するものをいう。

6 第一項に規定する使用人としての職務を有する役員とは、役員(社長、理事長その他政令で定めるものを除く。)のうち、部長、課長その他法人の使用人としての職制上の地位を有し、かつ、常時使用人としての職務に従事するものをいう。

7 第一項第二号ロ及びハに規定する関係法人とは、同項の内国法人との間に支配関係がある法人として政令で定める法人をいう。

8 第四項から前項までに定めるもののほか、第一項から第三項までの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

 

法人税法施行令

(過大な役員給与の額)

第七十条 法第三十四条第二項(役員給与の損金不算入)に規定する政令で定める金額は、次に掲げる金額の合計額とする。

一 次に掲げる金額のうちいずれか多い金額

イ 内国法人が各事業年度においてその役員に対して支給した給与(法第三十四条第二項に規定する給与のうち、退職給与以外のものをいう。以下この号において同じ。)の額(第三号に掲げる金額に相当する金額を除く。)が、当該役員の職務の内容、その内国法人の収益及びその使用人に対する給与の支給の状況、その内国法人と同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するものの役員に対する給与の支給の状況等に照らし、当該役員の職務に対する対価として相当であると認められる金額を超える場合におけるその超える部分の金額(その役員の数が二以上である場合には、これらの役員に係る当該超える部分の金額の合計額)

ロ 定款の規定又は株主総会、社員総会若しくはこれらに準ずるものの決議により、役員に対する給与として支給することができる金銭その他の資産について、金銭の額の限度額若しくは算定方法、その内国法人の株式若しくは新株予約権の数の上限又は金銭以外の資産(ロにおいて「支給対象資産」という。)の内容(ロにおいて「限度額等」という。)を定めている内国法人が、各事業年度においてその役員(当該限度額等が定められた給与の支給の対象となるものに限る。ロにおいて同じ。)に対して支給した給与の額(法第三十四条第六項に規定する使用人としての職務を有する役員(第三号において「使用人兼務役員」という。)に対して支給する給与のうちその使用人としての職務に対するものを含めないで当該限度額等を定めている内国法人については、当該事業年度において当該職務に対する給与として支給した金額(同号に掲げる金額に相当する金額を除く。)のうち、その内国法人の他の使用人に対する給与の支給の状況等に照らし、当該職務に対する給与として相当であると認められる金額を除く。)の合計額が当該事業年度に係る当該限度額及び当該算定方法により算定された金額、当該株式又は新株予約権(当該事業年度に支給されたものに限る。)の当該上限及びその支給の時(第七十一条の三第一項(確定した数の株式を交付する旨の定めに基づいて支給する給与に係る費用の額等)に規定する確定数給与(ロにおいて「確定数給与」という。)にあつては、同項の定めをした日)における一単位当たりの価額により算定された金額並びに当該支給対象資産(当該事業年度に支給されたものに限る。)の支給の時における価額(確定数給与にあつては、同項に規定する交付決議時価額)に相当する金額の合計額を超える場合におけるその超える部分の金額(同号に掲げる金額がある場合には、当該超える部分の金額から同号に掲げる金額に相当する金額を控除した金額)

二 内国法人が各事業年度においてその退職した役員に対して支給した退職給与(法第三十四条第一項又は第三項の規定の適用があるものを除く。以下この号において同じ。)の額が、当該役員のその内国法人の業務に従事した期間、その退職の事情、その内国法人と同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するものの役員に対する退職給与の支給の状況等に照らし、その退職した役員に対する退職給与として相当であると認められる金額を超える場合におけるその超える部分の金額

三 使用人兼務役員の使用人としての職務に対する賞与で、他の使用人に対する賞与の支給時期と異なる時期に支給したものの額

 

政治資金規正法(平成6年改正前)25条1項が定める同法12条1項の報告書に虚偽の記入をする罪と身分犯

 

政治資金規正法違反被告事件

最3小決平成12年11月27日 刑集54巻9号875頁 判例タイムズ1051号277頁 判例時報1733号149頁

【判示事項】 政治資金規正法(平成6年法律第4号による改正前のもの)25条1項が定める同法12条1項の報告書に虚偽の記入をする罪と身分犯

【参照条文】 政治資金規正法(平6法4号改正前)12-1

       政治資金規正法(平6法4号改正前)25-1

 

政治資金規正法

(報告書の提出)

第十二条 政治団体の会計責任者(報告書の記載に係る部分に限り、会計責任者の職務を補佐する者を含む。)は、毎年十二月三十一日現在で、当該政治団体に係るその年における収入、支出その他の事項で次に掲げるもの(これらの事項がないときは、その旨)を記載した報告書を、その日の翌日から三月以内(その間に衆議院議員の総選挙又は参議院議員の通常選挙の公示の日から選挙の期日までの期間がかかる場合(第二十条第一項において「報告書の提出期限が延長される場合」という。)には、四月以内)に、第六条第一項各号の区分に応じ当該各号に掲げる都道府県の選挙管理委員会又は総務大臣に提出しなければならない。

一 すべての収入について、その総額及び総務省令で定める項目別の金額並びに次に掲げる事項

イ 個人が負担する党費又は会費については、その金額及びこれを納入した者の数

ロ 同一の者からの寄附で、その金額の合計額が年間五万円を超えるものについては、その寄附をした者の氏名、住所及び職業、当該寄附の金額及び年月日並びに当該寄附をした者が第二十二条の五第一項本文に規定する者であつて同項ただし書に規定するものであるときはその旨

ハ 同一の者によつて寄附のあつせんをされた寄附で、その金額の合計額が年間五万円を超えるものについては、その寄附のあつせんをした者の氏名、住所及び職業並びに当該寄附のあつせんに係る寄附の金額、これを集めた期間及びこれが当該政治団体に提供された年月日

ニ 第二十二条の六第二項に規定する寄附については、同一の日に同一の場所で受けた寄附ごとに、その金額の合計額並びに当該年月日及び場所

ホ 機関紙誌の発行その他の事業による収入については、その事業の種類及び当該種類ごとの金額

ヘ 機関紙誌の発行その他の事業による収入のうち、特定パーティー(政治資金パーティーのうち、当該政治資金パーティーの対価に係る収入の金額が千万円以上であるものをいう。以下この条及び第十八条の二において同じ。)又は特定パーティーになると見込まれる政治資金パーティーの対価に係る収入がある場合においては、これらのパーティーごとに、その名称、開催年月日、開催場所及び対価に係る収入の金額並びに対価の支払をした者の数

ト 一の政治資金パーティーの対価に係る収入(報告書に記載すべき収入があつた年の前年以前における収入を含む。)のうち、同一の者からの政治資金パーティーの対価の支払で、その金額の合計額が二十万円を超えるものについては、その年における対価の支払について、当該対価の支払をした者の氏名、住所及び職業並びに当該対価の支払に係る収入の金額及び年月日

チ 一の政治資金パーティーの対価に係る収入(報告書に記載すべき収入があつた年の前年以前における収入を含む。)のうち、同一の者によつて対価の支払のあつせんをされたもので、その金額の合計額が二十万円を超えるものについては、その年における対価の支払のあつせんについて、当該対価の支払のあつせんをした者の氏名、住所及び職業並びに当該対価の支払のあつせんに係る収入の金額、これを集めた期間及びこれが当該政治団体に提供された年月日

リ 借入金については、借入先及び当該借入先ごとの金額

ヌ その他の収入(寄附並びにイ、ホ及びリの収入以外の収入で一件当たりの金額(数回にわたつてされたときは、その合計金額)が十万円以上のものに限る。)については、その基因となつた事実並びにその金額及び年月日

二 すべての支出について、その総額及び総務省令で定める項目別の金額並びに人件費、光熱水費その他の総務省令で定める経費以外の経費の支出(一件当たりの金額(数回にわたつてされたときは、その合計金額)が五万円以上のものに限る。)について、その支出を受けた者の氏名及び住所並びに当該支出の目的、金額及び年月日

三 十二月三十一日において有する資産等(次に掲げる資産及び借入金をいう。以下この号及び第十七条第一項において同じ。)について、当該資産等の区分に応じ、次に掲げる事項

イ 土地 所在及び面積並びに取得の価額及び年月日

ロ 建物 所在及び床面積並びに取得の価額及び年月日

ハ 建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権 当該権利に係る土地の所在及び面積並びに当該権利の取得の価額及び年月日

ニ 取得の価額が百万円を超える動産 品目及び数量並びに取得の価額及び年月日

ホ 預金又は貯金 預金又は貯金の残高

ヘ 金銭信託 信託している金銭の額及び信託の設定年月日

ト 金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第一項及び第二項に規定する有価証券(金銭信託の受益証券及び受益権を除く。) 種類、銘柄及び数量並びに取得の価額及び年月日

チ 出資による権利 出資先並びに当該出資先ごとの金額及び年月日

リ 貸付先ごとの残高が百万円を超える貸付金 貸付先及び貸付残高

ヌ 支払われた金額が百万円を超える敷金 支払先並びに当該支払われた敷金の金額及び年月日

ル 取得の価額が百万円を超える施設の利用に関する権利 種類及び対象となる施設の名称並びに取得の価額及び年月日

ヲ 借入先ごとの残高が百万円を超える借入金 借入先及び借入残高

2 政治団体の会計責任者は、前項の報告書を提出するときは、同項第二号に規定する経費の支出について、総務省令で定めるところにより、領収書等の写し(当該領収書等を複写機により複写したものに限る。以下同じ。)(領収書等を徴し難い事情があつたときは、その旨並びに当該支出の目的、金額及び年月日を記載した書面(第十九条の十一第一項において「領収書等を徴し難かつた支出の明細書」という。)又は当該支出の目的を記載した書面及び振込明細書の写し(当該振込明細書を複写機により複写したものに限る。)。以下同じ。)を併せて提出しなければならない。

3 政治団体の会計責任者(会計責任者の職務を補佐する者を含む。第十九条の四及び第十九条の五において同じ。)は、第一項第一号ヘからチまでの特定パーティー又は政治資金パーティーの対価に係る収入のうち、同項の規定により報告書に記載すべき収入があつた年の前年以前において収受されたものがある場合において、当該特定パーティー又は政治資金パーティーに係る事項について同項の規定により報告書を提出するときは、当該報告書に記載すべき収入があつた年の前年以前において収受されたものについて同号ヘからチまでに掲げる事項を併せて記載しなければならない。

4 第一項の報告書の様式及び記載要領は、総務省令で定める。

 

第二十五条 次の各号の一に該当する者は、五年以下の禁錮こ又は百万円以下の罰金に処する。

一 第十二条又は第十七条の規定に違反して報告書又はこれに併せて提出すべき書面の提出をしなかつた者

一の二 第十九条の十四の規定に違反して、政治資金監査報告書の提出をしなかつた者

二 第十二条、第十七条、第十八条第四項又は第十九条の五の規定に違反して第十二条第一項若しくは第十七条第一項の報告書又はこれに併せて提出すべき書面に記載すべき事項の記載をしなかつた者

三 第十二条第一項若しくは第十七条第一項の報告書又はこれに併せて提出すべき書面に虚偽の記入をした者

2 前項の場合(第十七条の規定に係る違反の場合を除く。)において、政治団体の代表者が当該政治団体の会計責任者の選任及び監督について相当の注意を怠つたときは、五十万円以下の罰金に処する。

 

 1 本件は、東大阪市の職員であった被告人が、東大阪市長の政治団体の会計責任者らと共謀の上、大阪府選挙管理委員会に提出すべき右政治団体の収支報告書に虚偽の収入金額を記載したという事案であり、被告人は、右所為が平成6年法律第4号による改正前の政治資金規正法25条1項が定める収支報告書に虚偽の記入をする罪に当たるとして起訴された。

  被告人は、1審では、本件政治団体には会計責任者がいなかったから、本件収支報告書が政治資金規正法が定める要件に適合していない旨主張するとともに、本件の共謀、虚偽の記入をした認識などを争ったところ、1審判決は、被告人の主張を排斥して、刑法65条1項を適用することなく、被告人を有罪とした。

  そこで、被告人が、控訴し、本件収支報告書の法適合性、本件の共謀、虚偽の記入をした認識を争うとともに、収支報告書に虚偽の記入をする罪は会計責任者の身分犯であり、身分のない被告人を処罰するには刑法65条1項を適用しなければならず、その適用を誤った1審判決には法令適用の誤りがある旨主張した。しかし、原判決は、被告人の主張をいずれも排斥して、収支報告書に虚偽の記入をする罪は身分犯ではないという判断を示した(判タ976号258頁)。

  これに対して、被告人が、上告し、憲法違反、判例違反を主張したほか、本件の共謀を争うとともに、収支報告書に虚偽の記入をする罪は会計責任者の身分犯である旨主張していた。

法学教室 2024年5月号(No.524)

 

有斐閣

2024年04月26日 発売

定価  1,650円(本体 1,500円)

 

コメント

本号で、秀逸と思う記事は、下記の下線をつけたものである。

 

 

 

風薫る5月。満開の桜のそのあとに青々とひろがる新緑は,生命の力強さと未来への希望を感じます。みなさま,新生活には少し慣れてきたでしょうか。

 

さて,今月号からは基本7法の特集を順次お届けします! 今年度の共通テーマは「基本原理・重要概念の再検討」。トップバッターは憲法です。

 

個人の生活からは最も遠いようで,しかし現在進行形の身近な問題を多く抱える憲法。そのうち,いま最も学ぶべき5テーマを解説していただきました。「この国のかたち」にじっくりと向き合い,考えを深めてもらえるような論稿が揃っています。ぜひ,特集扉ページからお読みください。

 

今月号にはあわせて判例クローズアップと時の問題を収録。昨年10月に出された性同一性障害特例法違憲決定と,ストライキをめぐる問題を扱います。折しも5月1日は労働者の祭典といわれるメーデー,3日は憲法記念日です。祝日の隙間に,関連するテーマへの知見を深めてもらえると嬉しいです。

 

 

◆特集 憲法の基本原理・重要概念を学ぶ

Ⅰ 公共の福祉――その理論的重要性…愛敬浩二……6

 

Ⅱ 平等…榎 透……12

 

Ⅲ 国家と宗教…西山千絵……18

 

Ⅳ 民主主義…二本柳高信……25

 

Ⅴ 「人権+平和」をどう実現するか…青井未帆……31

 

【巻頭言】

新二重基準論…小島慎司……1

 

【法学のアントレ】〔第86回〕

留学の四季…大河内美香……2

 

【判例クローズアップ】

法的性別と性自認――特例法手術要件の合憲性(最大決令和5・10・25)…齊藤笑美子……38

 

【時の問題】

現代的事例から学ぶストライキ…藤木貴史……44

 

◆講座

憲法の基本原理から見る統治〔第2回〕

「憲法」と「立憲主義」(1)…高田 篤……50

 

事例で学ぶ行政法ゼミナール〔第14回〕

行政不服審査――大阪府国民健康保険審査決定事件…岡田正則……57

 

点と点をつなぐ不法行為判例〔第8回〕

不法行為における相当因果関係…山本周平……63

 

会社法の時計〔第9回〕

取締役の善管注意義務――経営判断原則…松井秀征……70

 

近時の判例で学ぶ刑法〔第14回〕

傷害の意義――最決平成24・7・24刑集66巻8号709頁…天田 悠……76

 

刑事訴訟法のフレームワークを考える〔第13回〕

証拠開示制度…宇藤 崇……83

 

【演習】

憲法…遠藤美奈……90

 

行政法…朝田とも子……92

 

民法…荻野奈緒……94

 

商法…杉田貴洋……96

 

民事訴訟法…川嶋隆憲……98

 

刑法…安達光治……100

 

刑事訴訟法…濵田 毅……102

 

レポート(社会保障法)…橋爪幸代……104

 

【判例セレクトMonthly】

〔憲法〕旅券発給拒否処分と海外渡航の自由(東京地判令和6・1・25)…只野雅人……107

 

〔行政法〕行政上の強制徴収と訴訟による請求との関係(東京地判令和4・6・15)…原田大樹……108

 

〔商法〕弁護士の資格を有する取締役が負う善管注意義務の程度(東京高判令和4・9・15)…中東正文……109

 

〔刑法〕時速約16kmで一方通行道路を後退で逆走した行為に危険運転致死罪の成立が認められた事例(神戸地判令和5・10・27)…東條明徳……110

 

〔刑訴法〕刑訴法435条6号における明白性の判断方法(名張毒ぶどう酒第10次再審請求事件)(最決令和6・1・29)…亀井源太郎……111

 

Book Information

小西康之『働く世界のしくみとルール――労働法入門』……113

 

松尾剛行『法学部生のためのキャリアエデュケーション』……114

 

法律書ランキング

全国大学生協/丸善ジュンク堂書店(2024年1月~3月)……119

 

(1)法人である建築主および工事請負人に対して発せられた建築基準法9条10項前段による特定行政庁の工事施行停止命令に違反して工事を続行した右各法人の代表者の罪責

(2)右工事施行停止命令が違法または不相当であることは同命令に違反したことを内容とする同法98条の罪の成否に影響を及ぼすか

(3)建築主である法人の代表者個人宛になされた右工事施行停止命令が建築主に対する命令として有効であると認定された事例

 

大阪地方裁判所判決/昭和38年(わ)第2193号、昭和38年(わ)第4655号

昭和39年7月29日

建築基準法違反等被告事件

【判示事項】    (1)法人である建築主および工事請負人に対して発せられた建築基準法9条10項前段による特定行政庁の工事施行停止命令に違反して工事を続行した右各法人の代表者の罪責

          (2)右工事施行停止命令が違法または不相当であることは同命令に違反したことを内容とする同法98条の罪の成否に影響を及ぼすか

          (3)建築主である法人の代表者個人宛になされた右工事施行停止命令が建築主に対する命令として有効であると認定された事例

【参照条文】    建築基準法9-10

          建築基準法98

          建築基準法101

          建築基準法94

          建築基準法95

【掲載誌】     下級裁判所刑事裁判例集6巻7~8号883頁

          判例タイムズ165号169頁

 

建築基準法

(違反建築物に対する措置)

第九条 特定行政庁は、建築基準法令の規定又はこの法律の規定に基づく許可に付した条件に違反した建築物又は建築物の敷地については、当該建築物の建築主、当該建築物に関する工事の請負人(請負工事の下請人を含む。)若しくは現場管理者又は当該建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者に対して、当該工事の施工の停止を命じ、又は、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限その他これらの規定又は条件に対する違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる。

2 特定行政庁は、前項の措置を命じようとする場合においては、あらかじめ、その措置を命じようとする者に対して、その命じようとする措置及びその事由並びに意見書の提出先及び提出期限を記載した通知書を交付して、その措置を命じようとする者又はその代理人に意見書及び自己に有利な証拠を提出する機会を与えなければならない。

3 前項の通知書の交付を受けた者は、その交付を受けた日から三日以内に、特定行政庁に対して、意見書の提出に代えて公開による意見の聴取を行うことを請求することができる。

4 特定行政庁は、前項の規定による意見の聴取の請求があつた場合においては、第一項の措置を命じようとする者又はその代理人の出頭を求めて、公開による意見の聴取を行わなければならない。

5 特定行政庁は、前項の規定による意見の聴取を行う場合においては、第一項の規定によつて命じようとする措置並びに意見の聴取の期日及び場所を、期日の二日前までに、前項に規定する者に通知するとともに、これを公告しなければならない。

6 第四項に規定する者は、意見の聴取に際して、証人を出席させ、かつ、自己に有利な証拠を提出することができる。

7 特定行政庁は、緊急の必要がある場合においては、前五項の規定にかかわらず、これらに定める手続によらないで、仮に、使用禁止又は使用制限の命令をすることができる。

8 前項の命令を受けた者は、その命令を受けた日から三日以内に、特定行政庁に対して公開による意見の聴取を行うことを請求することができる。この場合においては、第四項から第六項までの規定を準用する。ただし、意見の聴取は、その請求があつた日から五日以内に行わなければならない。

9 特定行政庁は、前項の意見の聴取の結果に基づいて、第七項の規定によつて仮にした命令が不当でないと認めた場合においては、第一項の命令をすることができる。意見の聴取の結果、第七項の規定によつて仮にした命令が不当であると認めた場合においては、直ちに、その命令を取り消さなければならない。

10 特定行政庁は、建築基準法令の規定又はこの法律の規定に基づく許可に付した条件に違反することが明らかな建築、修繕又は模様替の工事中の建築物については、緊急の必要があつて第二項から第六項までに定める手続によることができない場合に限り、これらの手続によらないで、当該建築物の建築主又は当該工事の請負人(請負工事の下請人を含む。)若しくは現場管理者に対して、当該工事の施工の停止を命ずることができる。この場合において、これらの者が当該工事の現場にいないときは、当該工事に従事する者に対して、当該工事に係る作業の停止を命ずることができる。

11 第一項の規定により必要な措置を命じようとする場合において、過失がなくてその措置を命ぜられるべき者を確知することができず、かつ、その違反を放置することが著しく公益に反すると認められるときは、特定行政庁は、その者の負担において、その措置を自ら行い、又はその命じた者若しくは委任した者に行わせることができる。この場合においては、相当の期限を定めて、その措置を行うべき旨及びその期限までにその措置を行わないときは、特定行政庁又はその命じた者若しくは委任した者がその措置を行うべき旨をあらかじめ公告しなければならない。

12 特定行政庁は、第一項の規定により必要な措置を命じた場合において、その措置を命ぜられた者がその措置を履行しないとき、履行しても十分でないとき、又は履行しても同項の期限までに完了する見込みがないときは、行政代執行法(昭和二十三年法律第四十三号)の定めるところに従い、みずから義務者のなすべき行為をし、又は第三者をしてこれをさせることができる。

13 特定行政庁は、第一項又は第十項の規定による命令をした場合(建築監視員が第十項の規定による命令をした場合を含む。)においては、標識の設置その他国土交通省令で定める方法により、その旨を公示しなければならない。

14 前項の標識は、第一項又は第十項の規定による命令に係る建築物又は建築物の敷地内に設置することができる。この場合においては、第一項又は第十項の規定による命令に係る建築物又は建築物の敷地の所有者、管理者又は占有者は、当該標識の設置を拒み、又は妨げてはならない。

15 第一項、第七項又は第十項の規定による命令については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第三章(第十二条及び第十四条を除く。)の規定は、適用しない。

 

(不服申立て)

第九十四条 建築基準法令の規定による特定行政庁、建築主事等若しくは建築監視員、都道府県知事、指定確認検査機関又は指定構造計算適合性判定機関の処分又はその不作為についての審査請求は、行政不服審査法第四条第一号に規定する処分庁又は不作為庁が、特定行政庁、建築主事等若しくは建築監視員又は都道府県知事である場合にあつては当該市町村又は都道府県の建築審査会に、指定確認検査機関である場合にあつては当該処分又は不作為に係る建築物又は工作物について第六条第一項(第八十七条第一項、第八十七条の四又は第八十八条第一項若しくは第二項において準用する場合を含む。)の規定による確認をする権限を有する建築主事等が置かれた市町村又は都道府県の建築審査会に、指定構造計算適合性判定機関である場合にあつては第十八条の二第一項の規定により当該指定構造計算適合性判定機関にその構造計算適合性判定を行わせた都道府県知事が統括する都道府県の建築審査会に対してするものとする。この場合において、不作為についての審査請求は、建築審査会に代えて、当該不作為庁が、特定行政庁、建築主事等、建築監視員又は都道府県知事である場合にあつては当該市町村の長又は都道府県知事に、指定確認検査機関である場合にあつては当該指定確認検査機関に、指定構造計算適合性判定機関である場合にあつては当該指定構造計算適合性判定機関に対してすることもできる。

2 建築審査会は、前項前段の規定による審査請求がされた場合においては、当該審査請求がされた日(行政不服審査法第二十三条の規定により不備を補正すべきことを命じた場合にあつては、当該不備が補正された日)から一月以内に、裁決をしなければならない。

3 建築審査会は、前項の裁決を行う場合においては、行政不服審査法第二十四条の規定により当該審査請求を却下する場合を除き、あらかじめ、審査請求人、特定行政庁、建築主事等、建築監視員、都道府県知事、指定確認検査機関、指定構造計算適合性判定機関その他の関係人又はこれらの者の代理人の出頭を求めて、公開による口頭審査を行わなければならない。

4 第一項前段の規定による審査請求については、行政不服審査法第三十一条の規定は適用せず、前項の口頭審査については、同法第九条第三項の規定により読み替えられた同法第三十一条第二項から第五項までの規定を準用する。

第九十五条 建築審査会の裁決に不服がある者は、国土交通大臣に対して再審査請求をすることができる。

 

第七章 罰則

第九十八条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。

一 第九条第一項又は第十項前段(これらの規定を第八十八条第一項から第三項まで又は第九十条第三項において準用する場合を含む。)の規定による特定行政庁又は建築監視員の命令に違反した者

二 第二十条(第一項第一号から第三号までに係る部分に限る。)、第二十一条、第二十六条、第二十七条、第三十五条又は第三十五条の二の規定に違反した場合における当該建築物又は建築設備の設計者(設計図書に記載された認定建築材料等(型式適合認定に係る型式の建築材料若しくは建築物の部分、構造方法等の認定に係る構造方法を用いる建築物の部分若しくは建築材料又は特殊構造方法等認定に係る特殊の構造方法を用いる建築物の部分若しくは特殊の建築材料をいう。以下同じ。)の全部又は一部として当該認定建築材料等の全部又は一部と異なる建築材料又は建築物の部分を引き渡した場合においては当該建築材料又は建築物の部分を引き渡した者、設計図書を用いないで工事を施工し、又は設計図書に従わないで工事を施工した場合(設計図書に記載された認定建築材料等と異なる建築材料又は建築物の部分を引き渡された場合において、当該建築材料又は建築物の部分を使用して工事を施工した場合を除く。)においては当該建築物又は建築設備の工事施工者)

三 第三十六条(防火壁、防火床及び防火区画の設置及び構造に係る部分に限る。)の規定に基づく政令の規定に違反した場合における当該建築物の設計者(設計図書に記載された認定建築材料等の全部又は一部として当該認定建築材料等の全部又は一部と異なる建築材料又は建築物の部分を引き渡した場合においては当該建築材料又は建築物の部分を引き渡した者、設計図書を用いないで工事を施工し、又は設計図書に従わないで工事を施工した場合(設計図書に記載された認定建築材料等と異なる建築材料又は建築物の部分を引き渡された場合において、当該建築材料又は建築物の部分を使用して工事を施工した場合を除く。)においては当該建築物の工事施工者)

四 第八十七条第三項において準用する第二十七条、第三十五条又は第三十五条の二の規定に違反した場合における当該建築物の所有者、管理者又は占有者

五 第八十七条第三項において準用する第三十六条(防火壁、防火床及び防火区画の設置及び構造に関して、第三十五条の規定を実施し、又は補足するために安全上及び防火上必要な技術的基準に係る部分に限る。)の規定に基づく政令の規定に違反した場合における当該建築物の所有者、管理者又は占有者

2 前項第二号又は第三号に規定する違反があつた場合において、その違反が建築主又は建築設備の設置者の故意によるものであるときは、当該設計者又は工事施工者を罰するほか、当該建築主又は建築設備の設置者に対して同項の刑を科する。

 

第百一条 次の各号のいずれかに該当する者は、百万円以下の罰金に処する。

一 第五条の六第一項から第三項まで又は第五項の規定に違反した場合における当該建築物の工事施工者

二 第十二条第一項若しくは第三項(これらの規定を第八十八条第一項又は第三項において準用する場合を含む。)又は第五項(第二号に係る部分に限り、第八十八条第一項から第三項までにおいて準用する場合を含む。)の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者

三 第十九条、第二十八条第一項若しくは第二項、第三十一条、第四十三条第一項、第四十四条第一項、第四十七条、第五十二条第一項、第二項若しくは第七項、第五十三条第一項若しくは第二項、第五十三条の二第一項(第五十七条の五第三項において準用する場合を含む。)、第五十四条第一項、第五十五条第一項、第五十六条第一項、第五十六条の二第一項、第五十七条の四第一項、第五十七条の五第一項、第五十九条第一項若しくは第二項、第六十条第一項若しくは第二項、第六十条の二第一項若しくは第二項、第六十条の二の二第一項から第三項まで、第六十条の三第一項若しくは第二項、第六十七条第三項若しくは第五項から第七項まで又は第六十八条第一項から第三項までの規定に違反した場合における当該建築物又は建築設備の設計者(設計図書に記載された認定建築材料等の全部又は一部として当該認定建築材料等の全部又は一部と異なる建築材料又は建築物の部分を引き渡した場合においては当該建築材料又は建築物の部分を引き渡した者、設計図書を用いないで工事を施工し、又は設計図書に従わないで工事を施工した場合(設計図書に記載された認定建築材料等と異なる建築材料又は建築物の部分を引き渡された場合において、当該建築材料又は建築物の部分を使用して工事を施工した場合を除く。)においては当該建築物又は建築設備の工事施工者)

四 第三十六条(居室の採光面積、天井及び床の高さ、床の防湿方法、階段の構造、便所の設置及び構造並びに浄化槽の構造に係る部分に限る。)の規定に基づく政令の規定に違反した場合における当該建築物又は建築設備の設計者(設計図書に記載された認定建築材料等の全部又は一部として当該認定建築材料等の全部又は一部と異なる建築材料又は建築物の部分を引き渡した場合においては当該建築材料又は建築物の部分を引き渡した者、設計図書を用いないで工事を施工し、又は設計図書に従わないで工事を施工した場合(設計図書に記載された認定建築材料等と異なる建築材料又は建築物の部分を引き渡された場合において、当該建築材料又は建築物の部分を使用して工事を施工した場合を除く。)においては当該建築物又は建築設備の工事施工者)

五 第四十八条第一項から第十四項まで又は第五十一条(これらの規定を第八十八条第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反した場合における当該建築物又は工作物の建築主又は築造主

六 第五十八条第一項の規定による制限に違反した場合における当該建築物の設計者(設計図書を用いないで工事を施工し、又は設計図書に従わないで工事を施工した場合においては、当該建築物の工事施工者)

七 第六十八条の十八第二項(第八十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、検査を行わず、検査記録を作成せず、虚偽の検査記録を作成し、又は検査記録を保存しなかつた者

八 第八十五条第三項の規定に違反した場合における当該建築物の建築主

九 第八十五条第四項又は第五項の規定により特定行政庁が定めた期間を超えて応急仮設建築物を存続させた場合における当該建築物の所有者、管理者又は占有者

十 第八十五条第六項又は第七項の規定により特定行政庁が定めた期間を超えて仮設興行場等を存続させた場合における当該建築物の所有者、管理者又は占有者

十一 第八十四条第一項の規定による制限又は禁止に違反した場合における当該建築物の建築主

十二 第八十七条第二項又は第三項において準用する第二十八条第一項、第四十八条第一項から第十四項まで又は第五十一条の規定に違反した場合における当該建築物の所有者、管理者又は占有者

十三 第八十八条第二項において準用する第八十七条第二項又は第三項において準用する第四十八条第一項から第十四項まで又は第五十一条の規定に違反した場合における当該工作物の所有者、管理者又は占有者

十四 第八十七条第三項において準用する第三十六条(居室の採光面積及び階段の構造に関して、第二十八条第一項又は第三十五条の規定を実施し、又は補足するために安全上、防火上及び衛生上必要な技術的基準に係る部分に限る。)の規定に基づく政令の規定に違反した場合における当該建築物の所有者、管理者又は占有者

十五 第八十七条の三第三項の規定に違反した場合における当該建築物の所有者、管理者又は占有者

十六 第八十七条の三第四項又は第五項の規定により特定行政庁が定めた期間を超えて当該建築物を災害救助用建築物又は公益的建築物として使用した場合における当該建築物の所有者、管理者又は占有者

十七 第八十七条の三第六項又は第七項の規定により特定行政庁が定めた期間を超えて当該建築物を興行場等として使用した場合における当該建築物の所有者、管理者又は占有者

十八 第九十条第一項(第八十七条の四又は第八十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者

2 前項第三号、第四号又は第六号に規定する違反があつた場合において、その違反が建築主又は建築設備の設置者の故意によるものであるときは、当該設計者又は工事施工者を罰するほか、当該建築主又は建築設備の設置者に対して同項の刑を科する。

 

百貨店の代表取締役の任務違反に加功した被告人について特別背任罪の成立が肯定された事例

 

商法違反、所得税法違反被告事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷決定/平成6年(あ)第544号

【判決日付】      平成9年10月28日

【判示事項】      百貨店の代表取締役の任務違反に加功した被告人について特別背任罪の成立が肯定された事例

【判決要旨】      百貨店の代表取締役は、商品の仕入れに当たり、仕入原価をできる限り廉価にするなど仕入れに伴う無用な支出を避けるべき任務を負うものであり、特定の業者の利益を図る目的をもって、右任務に背いて右業者を納入業者と百貨店との間に介在させて差益を取得させ、それと同額の損害を百貨店に与えた本件においては、右代表取締役には特別背任罪が成立し、これに加功した被告人は同罪の共同正犯としての刑責を免れない。

【参照条文】      商法(昭56法74号改正前)486

             刑法(平7法91号改正前)247

【掲載誌】        最高裁判所裁判集刑事272号93頁

 

刑法

(背任)

第二百四十七条 他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

 

会社法

(取締役等の特別背任罪)

第九百六十条 次に掲げる者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は株式会社に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、当該株式会社に財産上の損害を加えたときは、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

一 発起人

二 設立時取締役又は設立時監査役

三 取締役、会計参与、監査役又は執行役

四 民事保全法第五十六条に規定する仮処分命令により選任された取締役、監査役又は執行役の職務を代行する者

五 第三百四十六条第二項、第三百五十一条第二項又は第四百一条第三項(第四百三条第三項及び第四百二十条第三項において準用する場合を含む。)の規定により選任された一時取締役(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役又はそれ以外の取締役)、会計参与、監査役、代表取締役、委員(指名委員会、監査委員会又は報酬委員会の委員をいう。)、執行役又は代表執行役の職務を行うべき者

六 支配人

七 事業に関するある種類又は特定の事項の委任を受けた使用人

八 検査役

2 次に掲げる者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は清算株式会社に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、当該清算株式会社に財産上の損害を加えたときも、前項と同様とする。

一 清算株式会社の清算人

二 民事保全法第五十六条に規定する仮処分命令により選任された清算株式会社の清算人の職務を代行する者

三 第四百七十九条第四項において準用する第三百四十六条第二項又は第四百八十三条第六項において準用する第三百五十一条第二項の規定により選任された一時清算人又は代表清算人の職務を行うべき者

四 清算人代理

五 監督委員

六 調査委員