平和相互銀行事件・特別背任罪における第三者図利目的があるとされた事例 商法違反被告事件 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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平和相互銀行事件・特別背任罪における第三者図利目的があるとされた事例

 

              商法違反被告事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷決定/平成7年(あ)第246号

【判決日付】      平成10年11月25日

【判示事項】      特別背任罪における第三者図利目的があるとされた事例

【判決要旨】      相互銀行の行員らが、土地の購入資金及び開発資金等の融資に当たり、右融資は土地の売主に対し遊休資産化していた土地を売却して代金を直ちに入手できるなどの利益を与えるとともに、融資先に対し大幅な担保不足であるのに多額の融資を受けられる利益を与えることになることを認識しつつ、あえて右融資を実行することとしたものであり、相互銀行と密接な関係にある売主に所要の資金を確保させることによりにひいて相互銀行の利益を図るという動機があったにしても、それが融資の決定的な動機ではなかったなどの事情の下では、右役員らに特別背任罪における第三者図利目的を認めることができる。

【参照条文】      商法(平2法64号改正前)486-1

             刑法(平7法91号改正前)247

【掲載誌】        最高裁判所刑事判例集52巻8号570頁

 

 

刑法

(背任)

第二百四十七条 他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

 

会社法

(取締役等の特別背任罪)

第九百六十条 次に掲げる者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は株式会社に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、当該株式会社に財産上の損害を加えたときは、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

一 発起人

二 設立時取締役又は設立時監査役

三 取締役、会計参与、監査役又は執行役

四 民事保全法第五十六条に規定する仮処分命令により選任された取締役、監査役又は執行役の職務を代行する者

五 第三百四十六条第二項、第三百五十一条第二項又は第四百一条第三項(第四百三条第三項及び第四百二十条第三項において準用する場合を含む。)の規定により選任された一時取締役(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役又はそれ以外の取締役)、会計参与、監査役、代表取締役、委員(指名委員会、監査委員会又は報酬委員会の委員をいう。)、執行役又は代表執行役の職務を行うべき者

六 支配人

七 事業に関するある種類又は特定の事項の委任を受けた使用人

八 検査役

2 次に掲げる者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は清算株式会社に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、当該清算株式会社に財産上の損害を加えたときも、前項と同様とする。

一 清算株式会社の清算人

二 民事保全法第五十六条に規定する仮処分命令により選任された清算株式会社の清算人の職務を代行する者

三 第四百七十九条第四項において準用する第三百四十六条第二項又は第四百八十三条第六項において準用する第三百五十一条第二項の規定により選任された一時清算人又は代表清算人の職務を行うべき者

四 清算人代理

五 監督委員

六 調査委員