1、労働者が生理休暇を取得することにより精皆勤手当等の経済的利益を得られない結果となる措置と労働基準法(昭和66年改正前)67条
2、精皆勤手当の算定に当たり生理休暇取得日数を出勤不足日数に算入する措置が労働基準法(昭和66年改正前)67条に違反しないとされた事例
最高裁判所第3小法廷判決/昭和55年(オ)第626号
昭和60年7月16日
未払賃金請求事件
エヌ・ビー・シー工業事件
【判示事項】 1、労働者が生理休暇を取得することにより精皆勤手当等の経済的利益を得られない結果となる措置と労働基準法(昭和66年法律第45号による改正前のもの)67条
2、精皆勤手当の算定に当たり生理休暇取得日数を出勤不足日数に算入する措置が労働基準法(昭和66年法律第45号による改正前のもの)67条に違反しないとされた事例
【判決要旨】 1、労働者が生理休暇を取得することにより精皆勤手当等の経済的利益を得られない結果となる措置は、その趣旨、目的、労働者が失う経済的利益の程度、生理休暇の取得に対する事実上の抑止力の強弱等諸般の事情を総合して、生理休暇の取得を著しく困難にし、労働基準法(昭和66年法律第45号による改正前のもの)67条の規定が特に設けられた趣旨を失わせると認められるものでない限り、同条に違反しない。
2、出勤不足日によって支給の有無または額が決定される精皆勤手当の算定に当たり生理休暇取得日数を右出勤不足日数に参入する措置は、右手当が、決定の要件を欠く生理休暇及び自己都合欠勤を減少させて出勤率の向上を図ることを目的として設けられたものであり、出勤不足日数のない場合には1か月あたり5555円支給され、同日数が1日の場合3333円、2日の場合1111円に順次減額され、3日以上の場合には支給されないこととなるが、生理休暇取得者には最も少額の者でも1日1466円の基本給相当の不就業手当が別に支給されるなど判示の事実関係のもとにおいては、生理休暇の取得を著しく困難にし、労働基準法(昭和66年法律第45号による改正前のもの)67条の規定が特に設けられた趣旨を失わせるとは認められないもおとして、同条に違反しない。
【参照条文】 労働基準法(昭60年法律第45号による改正まえのもの)67
【掲載誌】 最高裁判所民事判例集39巻5号1023頁
労働基準法
(生理日の就業が著しく困難な女性に対する措置)
第六十八条 使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない。