意匠法の令和元年改正9 第9章 組物の意匠の拡充(令和2年4月1日施行) | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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第9章 組物の意匠の拡充(令和2年4月1日施行)

「組物」とは、 一緒に使用されていることを想定して作られている2つ以上のモノ をいいます(意匠法8条、旧意匠法8条)。 たとえば、「食卓用のお皿とコップとのセット」「応接家具セット」などです。

 

これまでは、組物の部分については意匠登録が認められませんでしたが、改正により、組物の部分についても意匠登録することが認められることとなりました。

 

(組物の意匠)

第8条  同時に使用される2以上の物品であって経済産業省令で定めるもの(以下「組物」という。)を構成する物品に係る意匠は、組物全体として統一があるときは、一意匠として出願をし、意匠登録を受けることができる。

 

引用元│意匠法 – e-Gov法令検索 – 電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ

 

意匠法には、一つのモノに対して一つの意匠のみ登録できるという原則(一意匠一出願の原則)がありますが、「組物」は、その例外として一つの意匠として登録することが認められていました。 他方で、「組物」の一部分については、意匠登録することができませんでした(旧意匠法2条1項)。 すなわち、旧意匠法2条1項は、組物について定めている同法8条については、一部を意匠として認めていませんでした。

 

第2条 この法律で「意匠」とは、物品(物品の部分を含む。第8条を除き、以下同じ。)の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であって、視覚を通じて美感を起こさせるものをいう

 

引用元│意匠法 – e-Gov法令検索 – 電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ

 

なぜ、組物の一部分について、意匠登録を認めていないと解釈できるのでしょうか?

物品(物品の部分を含む。第8条を除き、以下同じ。)」という点に注目してください。 第8条は、組物に関するルールです。すなわち、意匠法で保護される「意匠」には、物品の一部分も含まれるが、組物については、一部分は含まれない、ということになります。 フォークとスプーンのセットについて、柄の部分だけを意匠登録することはできなかったのです。

しかしながら、昨今、モノの一部に特徴的なデザインを施したものについて、意匠として登録したいというニーズが増えてきました。 そこで、改正では、 旧意匠法2条の「第8条を除き、」を削除 し、「組物」の一部分についても、意匠登録することができることになりました。

 

「組物」の一部分についても、意匠登録することができる