どうも、ハイレゾ音楽制作サークルBeagle KickのサウンドPをやっております橋爪です。
フュージョンやニューエイジを中心に生演奏特盛りでM3や配信サイトで頒布中です。

ときどきフリーで音声関係の音響エンジニアをやってます。
WEBラジオや公開録音・トークライブなどで活動させてもらっています。

オーディオライターとしても活動を始めました。
最近では、
e-onkyo musicでアニメ「トリニティセブン」のハイレゾ音源紹介コメントを執筆しました。(全6枚)
1/2/3/4/サウンドトラック/リミックスアルバム


本ブログではすっかり恒例となったアニソンハイレゾの感想記事ですが、
今回は友人の末弘氏を自宅に招き、ハイレゾとCDを比較試聴した上で対談を行うという無理矢理な企画を敢行しました。
取り上げた作品は、Wake Up, Girls!初のベストアルバム「Wake Up, Best!」です。

末弘氏は、アニメやゲームの美術・背景制作で活躍する方であり、私が音響で関わっていた番組のリスナーさんでもあります。
しかし、オーディオやハイレゾについては、ほぼ初心者。基礎知識の一部を持ち合わせているといった感じです。
だからこそ、純粋なハイレゾの魅力やCDの良さを発見してくれるのではと思いました。

4月某日、6畳一間の狭苦しいアパートの一室で、二人のオタク男が繰り広げた狂乱(?)の試聴会をお楽しみ下さい。



橋爪 今日は、忙しい中ありがとうございます。
散歩でもしたくなるような陽気なのにこんな狭い部屋へ来ていただいて。
私は、オーディオライターや音響やってますが、末弘さんも軽く自己紹介をお願いします。

末弘 はい、末弘といいます。普段はアニメの背景を描いています。

橋爪 アニメの背景を描いていて、もちろんWUG(Wake Up, Girls!の略称、読みは「わぐ」)が好きと。

末弘 はい、一番最初の劇場映画のときに少しだけ背景を描かせていただいたのが、僕がWUGを知ったきっかけでした。

橋爪 マジですか!作ってる側じゃないですか。

末弘 いえ、そんな大したものではなくて、ただお仕事の一環としてやらせていただいて。
そのときは「こういうアニメがあるのか」、と思ったくらいでした。
メインヒロインである島田真夢(しまだまゆ)の部屋を描かせてもらったのですが、むしろその名前の読みすら読めなかったくらいでした。

橋爪 なるほど…
でも、テーブルの上には今日ご持参いただいたWUGのグッズが大量に……なぜここまで。



末弘 どうして自分でもこうなったのか分からないくらいです。

橋爪 WUGにハマった場合、この有様が軽傷か重傷か分からないですけど。

末弘 (喰い気味に)軽傷です。

橋爪 (笑い)軽傷なんだ!

末弘 アニメ自体は猛烈にハマった訳ではないのですが、
僕はワンフェスで出演声優さんによるWUGのステージを見たことが大きかったです。
そこで見てしまったのが踏み外した原因かなと。(笑い)

橋爪 自分が描いた劇場アニメがきっかけという訳ではなかったのですね。

末弘 アニメももちろん面白かったけど、ここまでハマるとは思わなかったです。
たぶん、僕と同じように声優さんのステージを見てハマった人は多いと思いますよ。
そのときのパフォーマンスがとても良くて、約一年半くらいで今みたいになっちゃいましたね。

橋爪 なるほど。分かりました。
では、改めてWUGとは何かをこのブログの読者に理解してもらいたいですね。
概略を説明したいと思いますので、ご協力ください。

末弘 Wake Up, Girls!、ヤマカンこと山本寛監督が自身もアイドル文化が好きで造詣が深く、
こういうのを作りたかったんであろうところに、いろいろ企画が持ち上がって作られたのだと思います。
今ってアニメにアイドルものが多いじゃないですか。

橋爪 確かに。アイマス・ラブライブ!・アイカツと大盛り上がりですよね。

末弘 そういう中に対してのアウトカウンター的なところがあると思うんです。
なので、他のアイドルものに比べると画面からにじみ出る色味は地味だし、悪い言い方をすると泥臭い、でもそこが魅力だと思うんですけどね。

橋爪 まったくそのとおりですね。逆にそこを追求したからWUGはアイドルアニメの世界で戦えたのかなって。

末弘 演じてる人たちは素人からオーディションで決められた。事務所に所属してない人から選ばれて。
そういうスタートだったから映画とかは演技も拙かったりして、そこがまた魅力だったりしますね。


Wake Up, Girls!(WUG)のストーリー
『仙台に拠点を置く弱小芸能プロダクション「グリーンリーヴス・エンタテインメント」は所属していた最後のタレントにも逃げられ、危機を迎えていた。
そこで打開策として社長の丹下順子はアイドルグループの結成を思いつく。
さっそくアイドルのスカウトを始めた事務所のマネージャー、松田耕平は公園で1人口ずさむ少女を発見する。
その歌声に魅了された松田は声をかけてみるものの、彼女はアイドルという言葉を聞いて立ち去ってしまう。
その彼女はかつて人気を博していたアイドルグループのメンバーで、とある事情からグループを脱退した島田真夢だった。』

ウィキペディアより



アニメ公式サイト
http://wakeupgirls.jp/

WUGポータルサイト
http://wug-portal.jp/


橋爪 物語の展開としては、劇場版でアイドルグループを立ち上げてファーストライブをやるってところまでがあって、
社長が金を持ち逃げしたことで……

末弘 そこなんですけど、テレビアニメ版ではうやむやになってて、愛するダーリンのためってのもなんかボヤッとしてるんですよ。

橋爪 持ち逃げした社長は社会的責任を取らないしね(笑い)
テレビ版になってからは、アイドル活動をいわゆる地味で泥臭い仕事まで描いたところがすごかったですよね。
他の作品ではあり得ないレベルのエピソードまであったり。
スーパー銭湯の話はえぐかった…

末弘 キラキラしたものを見たい人にとっては、目を覆いたくなるような。
う~ん、どうなんだろう。これを描いたところで誰が得をするんだい、って感じたり。

橋爪 あー、確かにそうですね。
二次元のアイドルに求めてるのはそういう描写じゃないよって人は少なからずいたでしょうね。
でも、僕はそこを突き詰めて描いていたからこそ、テレビ版は最終回まで欠かさず視聴できました。
I-1クラブ(※1)の軍隊式の描写は、吐き気がするくらい嫌でしたけど(笑い)
全員で唱和する「休まない、愚痴らない、考えない、いつも感謝」には寒気がしました。
ともあれ、放送は終わってるわけですけど、改めて作品としてのまとめをするとしたらどうですか?

※1 I-1クラブ
劇中に登場する巨大アイドルグループ。
厳しい戒律をアイドルに課し、それに従わない者は容赦なく辞めさせる。
モットーは『人間である前にアイドルである』、『休まない、愚痴らない、考えない、そしていつも感謝』


末弘 アニメが終わったのはずいぶん前ですけど、まだ定期的にイベントはあるし、まさかここまで続くとは思ってなかったですね。
これからもある程度イベントは続くだろうし、映画も作るし。

橋爪 映画は総集編じゃなくて続編っぽいですもんね。

末弘 ほんとにぶっちゃけた話をすると、中の人(出演声優)の頑張りに尽きると思います。あとファンの応援。
ファンが大変熱心。これは他のビックタイトルと比べても遜色がないと思います。

橋爪 やっぱり劇場版が決まったというのは、その頑張りや応援があったからこそなんでしょうね。
では、そういった中で具体的に末弘さんが感動したエピソードってありますか?

末弘 いや、(ステージを)見てもらえれば分かりますって感じはありますが(笑い)
見るとグッとくるものがあるんですよ。

橋爪 僕もアニサマの去年の模様をNHK-BSで見て「タチアガレ」一曲だけでなんか感動しちゃいましたよ。

末弘 なんか一人マイクの音が入ってなかったというトラブルがあったんですよ。

橋爪 へー!それは気づきませんでした。「タチアガレ」はリカバーしたあとだったのかな。

末弘 そうかもしれませんね。
他にも、僕が以前行った東京公演ではライブ中にオケが止まったんですよ。
そしたら普通歌も止まるんですけど、アカペラで歌い続けたんです。
会場のファンも一緒に合唱して。こういうのドラマチックじゃないですか。

橋爪 すごい。それは感動しますね!

末弘 なんだかんだ二年くらいやってるユニットで、今度ライブの映像も初めてBDで出ますし。

橋爪 いよいよ行くとこまで来てる感じですね。
そして今日はWake Up, Best!の試聴をしていくことになってます。
これはアニメのサントラとベスト盤のセットですね。

末弘 中身自体は、今までにリリースされたシングルを集めたものです。

橋爪 新録はないってことですか。

末弘 極上スマイル Wake Up, Girls! ver. とワグ・ズーズーは新たに収録されました。
ただ、ワグ・ズーズー はソロ版がキャラクターシングルで既に出てますね。みんなで歌うのが初めてと。

橋爪 極上スマイルはアニメの中でI-1クラブに取られましたものね。あれはひどかった!

末弘 声優さんの生のイベントでもI-1クラブに取られてましたよ。

橋爪 そうなんですか!?

末弘 実は、あっち向いてホイとかでWake Up, Girls!が負けたんでI-1クラブのものになったんです(笑い)
だからシングルが出たときもI-1クラブバージョンしか出ませんでした。
でも、もう時効だろうということで、アルバムにはWake Up, Girls! ver. が入ったと。

橋爪 ファンの前で声優さんたちがゲームしてI-1クラブのものになったんですね(笑い)
じゃあ、今までのヒットソングを集めたって感じなんですね。

末弘 できればI-1クラブの曲をWake Up, Girls!のボーカルで聴いてみたかったですね。

橋爪 それは確かに!そういう特別感があってもよかったですね。
では、前半はこのくらいにしていよいよ試聴に移っていきましょう!


【音源紹介】
アルバム名:Wake Up, Best!
アーティスト:Wake Up, Girls!




フォーマット:48kHz/24bit(WAV/FLAC)
販売:e-onkyo/mora



【試聴方法】
CD→ハイレゾの順番でワンコーラス比較試聴。
全曲聴き終えた後に少しの休憩を入れ、気になった楽曲を出し合い、その中から2曲をフルコーラスでハイレゾ試聴した。

システムは、ネットワークオーディオによるスピーカー試聴。
アンプ:AVR-X4100W
プレイヤー:BDP-103DJP

(プレイヤーの下にはヒッコリーボード。アンプの下にはMgSPENCER)

スピーカー:DALI MENTOR2


NAS:RockDiskNext(2TB)




橋爪 お疲れ様でした~。ワンコーラス全部ハイレゾとCDを聴いてくって疲れますね。

末弘 それでも大変いい体験をさせてもらいました。こんなすばらしい環境で。

橋爪 ありがとうございます。
CDとハイレゾは耳で聞いて同じくらいの音量感になるように調整させてもらってました。

末弘 音がでかいと、でかい=いい音みたいな気持ちになってしまいますものね。

橋爪 はい、そうですね。
振り返ると、末弘さんは、以前ハイレゾを聴くオフ会みたいなときに私の家にいらっしゃってました。

末弘 あのときは、聴いたことのない曲をいい環境で聴くという感じでした。
今回みたいに自分が散々聴いた曲を、改めて別の環境で聴くのは意義が違うなって。

橋爪 その分、判り易くて、最初から感覚も研ぎ澄まされてますものね。
ワンコーラス比較の後は気になった曲を上げて改めてフルコーラスで2曲、聴きましたね。
「言の葉 青葉」と「16歳のアガペー」
ハイレゾを聴いてみていかがでしたか?

末弘 聞き慣れた曲がまた一皮むけたなと。これが本来の曲だったのかと。
今まで聴いてたCDも普通にいい曲なんですけど、より一層いい曲だったんだなと(笑い)

橋爪 曲の魅力に気付くというのは大事ですよね。音がいいってのもそうなんだけど、
ハイレゾという別の表現技法によって曲の良さがより伝わってくるし、別のおもしろさに気付くみたいな。
そもそも、CD版をバリバリのオーディオで聴くという体験も初めてだったわけですよね。

末弘 自分の場合は、パソコンで仕事をしながら聴くというのが主なので、
こうして腰を据えていい環境・いい機材で聴くという時点でカルチャーショックですね。
最初っからCD版を聴いた時点で音がいいと(笑い)

橋爪 スピーカーで聴くというのもWake Up, Best!では、ほぼ初めてですか?

末弘 ハマったハマったと言ってる割には、腰を据えてきちんと聴いたのは初めてでしたね。

橋爪 CDにもこんなに情報が入ってたんだ、みたいなことも伝わったんじゃないかと思います。



橋爪 ちょっと難しい質問になりますけど、CDの良さ・ハイレゾの良さ、それぞれの良さを振り返って、何かありましたか?

末弘 CDは、ずいぶん昔からありましたよね。

橋爪 僕と同い年です。

末弘 1982年。そんな前からですか。長生きですね。
このサイズで使い勝手もいいですよね。

橋爪 後に登場したSACDやDVD-Audioと違いリッピングができるという点が非常に大きいと思います。

末弘 でも、改めてCDの音っていいですよね。

橋爪 そうですよ。いいんですよね!
なんか、『それはそれでいい』みたいな良さってありますよ。

末弘 確かにハイレゾは解像度を思いっきりブラッシュアップしてるんでしょうけど、元が良いからこそ、CDも全然いいと思います。

橋爪 CDならではのパンチの効いたエネルギッシュで押し出しが強いところは魅力ですし、声の圧力やエネルギー感はハイレゾを超えるときもありましたね。



末弘 前から思ってたんですけど、同じアニメ音楽の中でも音のいい悪いってあるんですか。

橋爪 それはありますね。ダイナミクスや生の質感が大幅に損なわれてしまっているものとか。音場がごちゃごちゃしててスッキリしないとか。

末弘 でも、そういうのって何となく伝わりますよね。
アイドルアニメだから好きって訳じゃなくて、やっぱり楽曲の良さで引寄せられるというところが大いにあると思うんですよね。

橋爪 いろいろ聴いてみて、個人的には7 Girls WarのCDの音はすごい良かったですね。
なんか生き生きとしてて、エネルギーに溢れてて。

末弘 うまい仕事をされてるってことなんでしょうか。

橋爪 そう思います。
試聴を終えてみて気付いたこと、気になったところありましたか。

末弘 ハイレゾを買うと限定イベントに行けるなんてあるといいような…
いや、やれっていうわけじゃないですけど。
何が言いたいかと言うと、今は家で腰を据えて音楽を聴いてる人があんまり多くないと思うんですよ。
特にこのWUGは現場に足を運ぶのが何より第一みたいなところがあって。

橋爪 ライブ行くことこそ、ファンのアイデンティティーみたいな。

末弘 音の善し悪しよりも、生で聴いて応援する現場(ライブ会場)が重視される傾向というか。
でも、曲としてのクオリティーがここまで高いものを、家で腰を据えて聴くのも意義のあることだと思います。

橋爪 現地に行ける人はいいけど、遠方だったり、資金のない学生さんとかだと、どうしても家で聴かざるえない。
そうなってくると、ハイレゾというのは、特に「言の葉 青葉」なんかは声の質感とか息づかいの再現が、
録音物なのにここまで自宅で再現できるんだって驚きをくれますよね。
いきなり、何百万もする機材を揃える必要は無くて、ちょっと頑張って10万とか投資して自宅でやってみたら、もっと幸せになれるんじゃないかなって。

末弘 だって、毎日イベントがあって足を運べるわけではないし、今日はいい経験でした。
このブログに訪れてる方であれば、環境や知識もあると思いますから、
素直にいいですよ、WUGのハイレゾって(笑い)

橋爪 シンプルですばらしい感想ですね。まさにそうです。
じゃあ逆にオーディオに対して変わってほしいところは。

末弘 やっぱり普及させるにはとにかく敷居を下げるのがいいのでは……?
今は孤高の高みのような印象なので。

橋爪 なるほど。
確かにパソコンでプレイヤー立ち上げてすぐ再生よりはハードルが高いですね。

末弘 昔はまだ一つある音楽をなるべくいい環境で聴きたいってのはあったと思うんですよね。
それは音楽マニアだからってわけではなく。
時代が変わってきてるのかもしれませんが、今はそういうの希薄ではありますよね……?
でも、技術は上がってるわけで、ハイレゾなんかは特にそうだから、楽しまないと損だってのは分かります。

橋爪 どんだけ敷居が下がればいいんですかね~?

末弘 ハイレゾコンポみたいのがあればいいとか??

橋爪 あー、お手軽に一体型みたいな。

末弘 それとハイレゾって形ないものだから、形がないと分かりにくいとは思いますね。

橋爪 配信が主流だから、余計つかみ所がないです。

末弘 でも、まぁこれからだと思いますけどね。
ラブライブ!とか好きな人の分母が多いし、中にはオーディオに関心のある人もいて、本当にヒットしてるわけですよね。

橋爪 確かに。それはあると思います。
でも、Wake Up, Best!も売れてましたよ。
アニソンアルバムランキングでベスト10にしばらく入ってました。
僕が買ったのもハイレゾだからというのが決め手になりましたし。

末弘 そういう売り方があると、全体として増えますよね。
世間的にはしょうもなくても、「俺にとっては神曲だ」ってのもあると思うんですよ。
そういう曲をハイレゾにしてもらえたら、嬉しいですね。データ販売で在庫もないわけですし。

橋爪 とはいえ、DRMフリーなので、ファンを信頼して成り立ってる商売だから。

末弘 ああ…、作品としてある程度しっかりしてないとダメだという。




橋爪 では、最後にワグナーへ一言お願いします。

末弘 いい曲でした。というのは、元々いい曲をこういう良い環境で聴くと、さらに良く聴こえるよと。
環境を揃えるかは個人の自由だと思いますが、腰を据えて音楽を聴いてみたいという人は試してみるのもいいんじゃないでしょうか。

橋爪 今日は、ありがとうございました!


(対談ここまで)


改めて、筆者よりCD版とハイレゾ版の違いを以下にまとめる。

・ユニゾン感、声の微細なディテール表現、コーラスの密度感、これらが大幅に向上している
・打ち込みにしろギターやストリングス等の生楽器にしろ、より立体的に質感豊かな表現が可能になった
・響きがクリアで非常にピュアである。余韻の美しさは聴き所
・高域の伸びの良さ、低域の引き締まり感の高さはストレスを感じさせない自然な仕上がり
・奥行き表現が格段にレベルアップし、スピーカーで聴いたときの楽しみが増える


という具合である。

総じてたいへん純度の高い、よりTD時の2mixに近い雰囲気を感じさせる仕上がりであった。
ハイレゾ用のマスタリングはされているはずだが、それは軽く手を添える程度、過度な加工はしていない。
積極的な音作りを行うレーベルがある一方で、本作のような純度重視の音源は手抜きと思われるかもしれない。
しかし、可能な限りきちんとしたシステムを組んでいただき試聴すれば、その魅力に気付くのでは無いだろうか。

ちなみに対談中にあったハイレゾ対応コンポだが、
最もポピュラーなのはネットワーク機能付きコンポだろう。
これは、オーディオ各社1機種~2機種程度ラインナップしている。

さらにSONYの場合、HDDオーディオプレイヤーシステムがあるので、さらに敷居は下がってくる。(NASを用意する必要が無い)

ハイレゾを楽しむハードルはドンドン下がりつつある。
それでも、最終的な出音のクオリティーには気を遣ってほしい。
せっかくのハイレゾも極端にプアーな機器では真価を味わい尽くせない。
ショップやイベントで高級機器の音を知っておくと、一定の基準が出来るのでオススメだ。


【対談終了後にややお疲れモードの二人が行ったアフタートーク】


現在までのアニメ系ハイレゾ感想記事はこちら……

のうりん挿入歌「コードレス☆照れ☆PHONE
ガルパンED Enter Enter MISSION!と1PLDK
「すぱそにっ♥(はぁと)」
「そにアニ オリジナルサウンドトラック」
「ハローグッバイ」歌:榊原ゆい
『「星刻の竜騎士」OP「聖剣なんていらない」/(榊原ゆい)』
『Anison Strings~弦楽四重奏で聴くランティスの歴史』
『僕らは今のなかで』『きっと青春が聞こえる』ラブライブ!
『「英雄伝説 閃の軌跡」サウンドトラック・オリジナルマスター』 前編後編
『閃光の行方 「英雄伝説 閃の軌跡Ⅱ」オープニングテーマ』
『軌跡 jdk アクースティックス』前編後編
『Beyond the Sky (日本語版)』
『「英雄伝説 閃の軌跡II」サウンドトラック・オリジナルマスター』
深窓音楽演奏会其ノ壱
ソナタとインターリュード
UP↑ with Yuji Ohno & Lupintic Five
Aurora Days
いつかの、いくつかのきみとのせかい
『Blu-ray Audio版『Star!!』』

次回のとりだべは、

某二次元アイドルアニメのハイレゾ版を
そのファン(オーディオ初心者)と一緒に聴いて対談した記事
もちろんCD版との比較試聴あり!

もしくは……


以下の写真の製品を導入した体験記








このどちらかをお送りします。

久々の更新になりますが、
どちらも気合い入れて書いてますので、ぜひ楽しみにしてて下さい!
んじゃ、また~♪

どうも、ハイレゾ音楽制作サークルBeagle KickのサウンドPをやっております橋爪です。
フュージョンやニューエイジを中心に生演奏特盛りでM3や配信サイトで頒布中です。

ときどきフリーで音声関係の音響エンジニアをやってます。
WEBラジオや公開録音・トークライブなどで活動させてもらっています。

オーディオライターとしても活動を始めました。
最近では、
e-onkyo musicでアニメ「トリニティセブン」のハイレゾ音源紹介コメントを執筆しました。(全5枚)
1/2/3/4/サウンドトラック/リミックスアルバム

では、本文!
例によって「である調」でいきます。


ブルーレイオーディオ(以下、Blu-ray Audio)という高音質メディアを聴いたことあるだろうか。
ハイレゾ音源がディスクメディアで手軽に楽しめるとあって、クラシックやジャズなどを中心にタイトルがリリースされている。
日本ではハイレゾ音源は配信による購入が一般的なため、あまり注目されていないのが現状だ。
なお、Blu-ray Audioは主に海外タイトルが多い。

しかし、プレイヤーにセットすればすぐにテレビなどでハイレゾ音源を楽しめるため、
あまり普及しなかったSACDに比べれば遙かに対応プレイヤーは世間に溢れているといえる。
(細かい所を突っ込むとその真価を味わうには意外なハードルがあるのだが、それは後述する)

実は、私はこの存在自体は知っていたものの、実際に聴いてみたことはなかった
それが最近、関心のあるアニメ作品からソフトがリリースされたと知り、さっそく購入&試聴してみたのである。
今回はそのインプレッションをお届けしたい。

※Blu-ray Audio 詳しくはこちら
http://highresolution.jp/


早速だが、作品紹介だ。


シングル名:THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS ANIMATION PROJECT 01 Star!!
アーティスト:CINDERELLA PROJECT 他




販売:全国店頭、ネット販売
収録音声フォーマット:
48kHz/24bit リニアPCM 2ch
48kHz/24bit リニアPCM 5.1ch
Dolby TrueHD 5.1ch



おそらく国内で最も売れているBlu-ray Audioはアイマスの劇場版サントラや主題歌ではないだろうか。
そのBlu-ray Audioビックバンとも言える作品の系譜より、ついにデレマスの主題歌も登場した。


【CDとの音質比較】
※Blu-ray AudioのリニアPCM 2chにおける比較
※曲目は「Star!!」

まず、ボーカルが圧倒的に違う。
録音時に収められた生の質感が感じられ、とても生き生きとした声になっている。
多人数ボーカルの表現では、CDがグチャッとくっついていたのに対し、
Blu-ray Audioは一人一人がそれぞれ存在していることを認識できた。
人数も多いので限界はあるが、それでも大混雑だったCDに比べると遙かに分離感は高い。
他にも『覗いたの』や『フリーズしちゃう』といった合いの手コーラスは音作りの工夫がより明確に伝わり、コーラスが左右に放射状に広がっていく感じが分かる。

伴奏とボーカルの分離は大幅に向上しており、特に前後感の表現は格段にアップした。
CDを後から聴くと、奥行きが著しく乏しい平面な音場に驚いてしまった。

オリジナルの48kHz版とあって細かい音の粒が緻密に描かれる。
パーカッションや打ち込みの電子音がより鮮明に聴こえるようになり、今まで気づかなかった音にハッとさせられた。
ベースとバスドラの重心の低い低音も心地よい。
余分に盛っている訳ではなく、本来の低域としてナチュラルに感じられるさじ加減も絶妙だ。

24bit音源ならではの余裕のあるダイナミクスと躍動感の表現も注目である。
特にCメロ以降の大サビに掛けて盛り上がる一連のくだりは、ライブ的なヒートアップをより忠実に再現しているように感じた。

情報量が増えた結果、音数の多さに負けない破たんの無い音場を描いている。
CDでは音場が飽和気味になっており、聴こえない音、埋もれてしまう音が多数あった。
Blu-ray Audioを聴くと思わずスピーカーのL-Rの距離を離してみたくなるだろう。


個人的にお気に入りの「メッセージ」、こちらもCD版と比較してみた。
本楽曲は打ち込みのストリングスなのに「Star!!」の生ストリングスとの違いが正直分かりにくい。(CDの場合)
Blu-ray Audioでは「Star!!」のストリングスは質感の良さや立体感などもちゃんとあって、如実に違いが判る。

音数が比較的少ないためか、響きの余韻の違いが大きく出ている。
Blu-ray Audioは非常に余韻が綺麗で繊細だ。
星屑のようなパーカッションの音はディテールが細やかで耳を澄ませて聴いてしまう。

そして何より、ボーカルが伴奏の中にスッと浮かび上がって定位する感覚がたまらない。
空間表現力の向上はハイレゾフォーマットの十八番といえそうだ。




ということで、ハイレゾ音源ならではの音楽の深み、楽しさ、情報量の多さは存分に堪能できた。

残念ながら、フロント2chのバーチャルシネマである我が家は実スピーカーを使った5.1chのテストが出来ていない。
(コアストリーム部分のDolby digital 5.1chはデコードできている)
また、HDMIによるHDオーディオの入力にもアンプが非対応のため、リニアPCM 5.1chのテストも未実施だ。

※6/7追記
新しいアンプでリニアPCM 5.1chのデコードをした。
フロントだけであるが、包囲感や分離が派手になり、特に低域の肉厚さとボリューム感が増大している。




最後にBlu-ray Audioを楽しむ上で、ちょっとした落とし穴を述べておきたい。
とても細かい話だが、これを知らないと真価を味わえずに中途半端に楽しむことになってしまうので、ぜひ読み進めて欲しい。

薄型テレビの埋め込みスピーカーでBlu-ray Audioを楽しむ人は、非常にもったいない。
早急に対応AVアンプやホームシアターセットを購入して、オーディオ機器で楽しんでほしい。

次に、古いシアターシステムやDVD世代のAVアンプを使っている人は、BDプレイヤーからのデジタル音声接続を見直して欲しい。(私も2004年の旧式AVアンプなので、HDMIの音声入力が完全に非対応だ。)
おそらくデジタルで繋ぐ手段として、光あるいは同軸デジタルを使ってはいないだろうか?

実は、これがマズい。(ただし、音は出るから聴くことはできる)
Blu-ray Audioを楽しむときは、光デジタルや同軸デジタルの接続はNGだ。
もっと具体的に言うと、リニアPCMのオーディオを収録しているBDで
光デジタルや同軸デジタルによる接続をした場合、クオリティーを落としているのだ。

今まで、気付かなかった自分を恥ずかしく思う。
ややこしいことに本件は調べてもほとんど情報が出てこない。
これは推測ではあるが、BDはHDMIで音声も映像も伝送するのが当たり前とされているからだろう。

クオリティーを落としている』とはいったいどういうことか。
たとえば、Star!!のBlu-ray Audioは48kHz/24bitで収録されている。(PCMの場合)
しかし、AVアンプ側のフォーマット情報を見ると、48kHzでは入っているもののビットレートがおかしい。
細かい数値は省略するが、48kHz/16bitのビットレートでアンプに入ってきている。
これは、CPRMという著作権保護技術の制約でHDMI以外で伝送されるBDソフトのデジタル音声は、
すべからく48kHz/16bitにダウンコンバートされてしまう”ことによるもの。

なんという悲劇であろうか!!

僕は今まで、テレビアニメのBDを見るとき「何でアンプは48kHz/16bitで受けてるんだろう?24bitで作ってないのかな?」と疑問に思っていたが、当たり前である。
そういう制約があらかじめ再生機器側に施されていたわけだ。(その制約を取り除いて販売することは出来ない。いつぞやのD端子撤去と似たようなものだろう)
ちゃんとBDには48kHz/24bitで収録されていたのだ。
あらぬ疑いを持って誠に申し訳ない。

結論として、
Blu-ray AudioやリニアPCMで収録されている映像BD(TVアニメ、ライブBDなど)を見る際は、HDMIでAVアンプに繋がないと音の真価を発揮できない!


※6/7追記
しかも、48/16で収録されているリニアPCMも、同軸デジタルや光デジタルでは変換工程を通ってしまうようで音質が著しく劣化していた。
つまりネイティブの無変換で楽しむためにはHDMIで出力するしか無いというわけだ!


もちろん、2chステレオの音源だった場合はアナログで出力してアンプに繋いでやればいいのだが。
今回の試聴は信頼できる癖の無いケーブルでRCAアナログ出力を行った。
いつもデジタルで接続している私にとっては珍しい。

ぜひ、Blu-ray Audioを楽しむ皆さんは、機器の接続方法を見直していただきたい。
僕のような情けない失敗(?)をせず、本来のクオリティーを楽しんでくれることを祈るばかりだ。



※ちなみに、48kHz/16bitで出力されたStar!!は本当に残念な音だった
ダイナミクスが不自然で詰まっているような感じ。
混濁した音場もハイレゾらしさを失っており、非常にもったいない。



以上です。

いかがでしたか?


これは私の主観的な感想ですので、全ての人に「このように感じられるはずだ」というモノではありません。
じっくりと聞き込み、確かに感じたことのみを記事にしています。
日々精進中の身ですので、一つの参考意見として捉えてもらえたらと思います。

ともあれ、ハイレゾ音楽の面白さが伝われば嬉しいです。

ハイレゾ再生は、対応ポータブルプレイヤーからはじまり、
ネットワーク対応のミニコンポ、専用ポータブルプレイヤー、対応AVアンプなどドンドン広がっています。
スマホにいくつか機材をくっつけることでそのクオリティーを手軽に楽しめるようにもなりました。対応スマホも続々発表されています。

パソコンにUSB-DACを付けてヘッドフォンやスピーカーで聴くというスタンダードな方法から、やはりオーディオはオーディオとして独立させたいという願いにも答えることができます。

ぜひ、音高音質音源の再生にチャレンジしてみてください!
音楽生活がもっと豊かに楽しくなることでしょう。


現在までのアニメ系ハイレゾ感想記事はこちら……

のうりん挿入歌「コードレス☆照れ☆PHONE
ガルパンED Enter Enter MISSION!と1PLDK
「すぱそにっ♥(はぁと)」
「そにアニ オリジナルサウンドトラック」
「ハローグッバイ」歌:榊原ゆい
『「星刻の竜騎士」OP「聖剣なんていらない」/(榊原ゆい)』
『Anison Strings~弦楽四重奏で聴くランティスの歴史』
『僕らは今のなかで』『きっと青春が聞こえる』ラブライブ!
『「英雄伝説 閃の軌跡」サウンドトラック・オリジナルマスター』 前編後編
『閃光の行方 「英雄伝説 閃の軌跡Ⅱ」オープニングテーマ』
『軌跡 jdk アクースティックス』前編後編
『Beyond the Sky (日本語版)』
『「英雄伝説 閃の軌跡II」サウンドトラック・オリジナルマスター』
深窓音楽演奏会其ノ壱
ソナタとインターリュード
UP↑ with Yuji Ohno & Lupintic Five
Aurora Days
いつかの、いくつかのきみとのせかい