時間を再投資する
本で知識を得て実行し、生産性が上がったので残業が無くなったとします。
これによってあなたは毎日1時間~2時間、早く会社を出られるようになりました。
あなたはこの時間を何に使いますか?
家に帰ってゲームをしたりパチンコをしたりしていたのでは、仕事の内容が変わったり、昇進して仕事の量が増えたりした時に対処しきれなくて、また元の残業生活に戻ってしまうかもしれません。
そこで、自由に使えるようになった時間を使って、さらに生産性を上げるために勉強したとします。
すると、残業が無くなって8時間で仕上げていた仕事を、6時間で完了させることができるようになるかもしれません。
余った2時間を、資格を取ったりスキルアップのために使えるかもしれません。
これは、生産性が高まって余った時間をさらに生産性を高めるために使うという、時間の再投資と言うことができるでしょう。
実際の投資でも、利益をそのまま消費してしまうのではなく、投資に回すことでさらに大きな利益を得ることができます。
生産性を高めて得た時間(利益)を、さらに拡大するために使うという考えを持って取り組みましょう。
余分な手間がかかっていないか
うちの近所のゴミ捨て場は、ちょっと強い風が吹くとゴミ袋がころがってしまい、風向きによってはうちの玄関前がゴミ袋の山になっていることもあります。
ゴミ収集の方はいつも風で飛んでしまったゴミも全部集めてきれいに持って行ってくれます。
本当にひとつ残らず探し出して持って行ってくれるので、これはこれでその仕事ぶりには感心するのですが、ちょっと待ってください。
そもそもゴミを捨てる場所が決まっていて、収集車がそこを回って回収する。
ところが実際には散らばっていて歩いて取りに行ったり、車をそこまで持って行って集めたりしている。
これは余分な手間ではないでしょうか。
ゴミが散乱しないようにしておけば、集めて回る手間が省けて時間も短くなるし、人手も減らせるかもしれません。
私たちの普段の仕事も、当たり前すぎて気付かないだけで、実はこのように余分な手間がかかっている部分があるかもしれません。
一度仕事の流れを見直して、効率化できないか検討してみましょう。
もっと生産性が上がるかもしれません。
ちなみにうちの近所のゴミ捨て場は、今年からネットが置かれてゴミ袋にかぶせられるようになり、風で飛ばされにくいよう改良されました。
一つの方法にこだわらない
本を読んで「これは使える」と思っても、注意していただきたいことがあります。
それは、方法はこれだけではない、ということです。
本に書いてあることは、その著者が経験したことや頭の中で考えたことですが、著者が変われば課題に対する対処の仕方も違います。
一つの方法をうのみにして実行したとしても、必ずしもあなたの抱える課題を解決してくれるとは限りません。
あるいはもっと効率のいい方法があるかもしれません。
本を読んで知識を得たのに何もしない、よりはいいかもしれませんが、実行しながらも他の方法を探るという態度が大切です。
方法は一つだけではありません。
課題や問題の解決にあたっては、常に情報収集を行ない、もっといい方法がないかをいつも考えながら進めましょう。
ある分野に関して複数の本を読み、どの方法が最も適しているか、仕事のたびに検証を繰り返す。
この経験を積み重ねることで、仕事の能力はどんどん上がっていきます。
本を読めば優位に立てる
ビジネス書の世界では、10万部売れればベストセラーです。
10万部売れるということは、10万人が買って読んだ、ということになります。
この10万人という数字は多いのでしょうか、少ないのでしょうか。
日本の人口は、09年4月の速報値で約1億2,760万人で、そのうち仕事をしている人(就業人口)は約半分の6,245万人です(総務省、09年3月1日時点)。
昨年(08年)1年間に最も売れたビジネス書は、茂木健一郎さんの「脳を活かす勉強法」で約55万部。
2位は「お金は銀行に預けるな」で約25万部。
3位以下は20万部未満となっています。
最も売れた本でさえ、働いている人100人に1人も買っていません。
図書館で借りたり人から借りて読んだ人もいるでしょうが、買っただけで読んでいない、という人もいますので、読んだ人が何人いるかははっきり分かりません。
でも、ほとんどの人は読んでいない、ということに変わりはないでしょう。
ということは、かなり乱暴な話ですが、本を年間数冊読んだだけでも、知識の量では同僚を圧倒できる可能性がある、ということです。
知識だけでは単なるモノ知りで終わってしまいますので、あとはこの知識を使いこなし、自分の技術としてしまえば、仕事のできる人、という評価を得ることができ、あなたは会社にとって「なくてはならない人」になれます。
参考図書
時間を味方につける
何もお手本がない状態から何かを成し遂げようとすると、成功までに莫大な時間と手間がかかります。
終戦直後の話ですが、かつて日本に真空管しかなかった頃、アメリカで真空管よりもはるかに性能の良いトランジスタというものが発明された、という話が伝わってきました。
戦後の復興期にあった日本は、官民あげて、このトランジスタを日本でも生産しようと研究に乗り出します。
しかし、当時の日本は海外への渡航制限があって、本物を見ることができません。
特許の壁に守られたアメリカからは、断片的な情報しか入ってきません。
分かっているのは、トランジスタの理論と、作ることができる、ということだけで作る方法も分かりません。
試行錯誤の末、ゲルマニウムを精製し、単結晶を取り出してトランジスタの作製に成功するのですが、ここまでに大変な時間がかかってしまいました。
日本はトランジスタや集積回路(IC)の分野で、完成させるまでにアメリカに10年以上も遅れをとってしまったのです。
その後、日本は生産量でアメリカを追い抜くのですが、パソコンの心臓部にあたる半導体や集積回路の特許は、いまだにその多くをアメリカが握っています。
特許のような話ではありませんが、すでに成功した人がいて、その方法を公開し、しかも値段が1500円程度なら、その情報は大いに活用すべきです。
ある人が20年かけて完成させた方法を、たったの2~3時間で手に入れることができる、時間を一気に縮めてくれる。
読書は、時間を味方につけることができるのです。
これが読書の魅力であり最大の効果ではないでしょうか。
参考図書
NHK 電子立国日本の自叙伝〈上〉