2017年04月18日

ゴースト・イン・ザ・シェル   2017年

テーマ:最近の映画・TV

監督 ルパート・サンダース

 

キャスト
ミラ・キリアン少佐 / 草薙素子    スカーレット・ヨハンソン
バトー                   ピルー・アスベック
荒巻大輔                              ビートたけし
オウレイ博士                          ジュリエット・ビノシュ
クゼ                                    マイケル・ピット
トグサ                                  チン・ハン
ハイリ(少女の母親)                 桃井かおり
カッター                          ピーター・フェルディナンド
ダーリン博士              アナマリア・マリンカ

 

予告編

 


液体の中から持ち上げられる女性の体。ハンカ・ロボティクス社のアンドロイド製造現場。科学者たちの会話。脳以外を全て義体化した開発の初めての成功例。開発責任者のオウレイ博士。

 

一年後。
ビル屋上で待機するミラ・キリアン少佐。外国の要人と会食するハンカ社の科学者を監視中。
数名いた芸者ロボットが、科学者に酌をした時突然襲いかかる。少佐は荒巻部長の制止を振り切り、屋上からダイビングし、窓を破って侵入。敵を次々倒す。
科学者を殺した芸者ロボットを確保しようとした時、ロボットは「タスケテ」と命乞いをする振りをして攻撃を仕掛けるが、少佐が息の根を止める。その寸前に「ハンカ社と組んだら滅亡だ」と言い残すロボット。

 

自室で、処方を受けている薬剤を首の脊椎に注入する少佐。

 

公安9課に集結する少佐、バトー、トグサら。調査の結果、芸者ロボットは「クゼ」という者に操られていた事が判明。

ハンカ社社長のカッターは荒巻部長にクゼ探しを依頼。

少佐によって破壊された芸者ロボットは、データ吸い上げのため、ハンカ社に持ち込まれていた。同社のオウレイ博士から傷の手当てを受ける少佐。過去の記憶が思い出せずに悩む少佐を慰める博士。

 

 

芸者ロボットのデータ抽出に苦労しているダーリン博士。少佐の手荒な扱いのせいだった。芸者ロボットの電脳内にダイブして情報を得ようとする少佐。
脳内世界を彷徨い、クゼらしき者を見つける少佐だが、異常な負荷が掛かりケイレンを始めた。接続を強制切断するバトー。

 

ダイブで得た情報によりヤクザが経営するクラブに潜入する少佐とバトー。先に入った少佐は通信の届かない部屋に監禁された。
重火器でその部屋に押し入るバトー。建物の奥でクゼらしき男を見つけた少佐だが、仕掛けられた爆弾により少佐は倒れ、バトーは失明。
これによりバトーは義眼を装着。

 

少佐の行ったダイブを叱責した荒巻だが、カッターからの苦情は撥ねつけた。
ダーリン博士はクゼにより殺されていた。次のターゲットはオウレイ博士。

 

オウレ博士の乗った車に追突するゴミ収集車。そこに駆け付けた少佐とバトーにより辛くも助かるオウレイ博士。逃げた運転手を追い詰める少佐。
運転手はクゼから脳を操作されていた。運転手は最後にクゼのメッセージを残して自殺した。

 

運転手への指示の逆探知で、トグサがクゼの居所を特定。そこに向かう少佐とバトー。
そのアジトには、何十人もが脳を繋がれてネットワークを作っていた。その繋がった先にクゼが居た。

 

クゼが話す真相、ハンカ社は脳を除く全ての義体化を「プロジェクトNo.2571」として推進しており、ここに繋がれている者や、クゼ自身も実験体だった。クゼの次の実験体が少佐だった。
クゼは廃棄される前に意識体としてネットワーク上に退避し、独自進化を遂げた。

少佐の悩みでもある思い出せない記憶、小屋が燃えているシーンのフラッシュバックをクゼも持っていた。処方を受けている薬剤は記憶を抑制するものだから止めろと言うクゼ。

 

真相を聞くため、オウレイ博士を問い質す少佐。博士は、少佐が98体目で初めて成功した実験体だと告白。その時カッターが現れて少佐は捕らえられる。
真相を知った少佐を廃棄するようオウレイ博士に命令するカッター。博士は廃棄の手順の途中で、少佐に手がかりとなる情報を注入。
博士の手引きで少佐は脱出するが、それを知ったカッターは博士を射殺。
そして公安9課のメンバー全員に刺客を放つ。

 

皆と同様に襲われる荒巻。厳しい襲撃だったが数名の相手を倒す。「キツネを倒すのにウサギを送り込むな」

 

手がかりが示す住所を訪ねる少佐。そこにはハイリという女性が一人で住んでいた。レジスタンス活動をしていた娘が一年前に失踪したのだという。その彼女の名前は「草薙素子」。

 

手がかりの一環で隠れ家を探し出した少佐は、そこでクゼと再会。その建物は記憶にあり、探索するうちに全てを思い出した。かつて少佐もクゼも電脳化に反対するレジスタンス活動を行っており、この場所で襲撃を受けて殺され、実験体とされた。クゼの元の名はヒデオ、少佐は素子。二人は恋人同士だった。

 

そこにカッターが多足戦車を送り込む。逃げ回りながら応戦する少佐。
クゼが戦車のアームに頭を掴まれて動けなくなった。戦車の上部に飛び乗り、ハッチをこじ開けようとするが、強固でビクともしない。限界を超えて引き上げるうちに腕は千切れ飛んだ。それと同時にハッチが開き、制御パーツが破壊されてクゼへの拘束が解けた。

 

戦車の前で崩れ折れる少佐とクゼ。クゼは少佐に、電脳空間で融合してネットワーク上で生きて行こうと言うが、少佐はそれを断る。

カッターのオフィスへ向かう荒巻。カッターを始末するよう大統領からの許可も得ていた。カッターを追い詰め、最後に電脳通信で少佐に同意を求める荒巻。その同意を得てカッターを射殺する。

 

後日ハイリと共に素子の墓を訪れる少佐。そして彼女に、これからは墓参りは不要だ、と言ってその肩を抱き寄せる。

そして新しい任務に向かって行く少佐。

 

感想
アニメの実写化なんて観るもんじゃない・・・と思いながらもあの「攻殻」だがらなー、とノコノコ視聴に。まあ、確かに後悔した部分もあるが、そもそもアニメと全く一緒である必要はないし、その点で言えば「世界観」が受け入れられるか、という面では、さほど悪いとも言えない。

 

コマ割りとしてのエピソードは、1995年公開の「GHOST IN THE SHELL」を基本としつつ2004年公開の「イノセンス」のいいところをつまみ食いした感じ、か。

 

1995年版 超あらすじ
天才ハッカーの「人形使い」を巡る話。外務省が開発(プロジェクトNo.2501)した破壊工作用プログラムが独自進化して、ネット上を自由に動けるようになり、メガテクボディ社の義体を使って草薙少佐に接触。
事件後、少佐はネット空間にダイブ。

 

2004年版 超あらすじ
ガイノイド(少女型アンドロイド)が所有者を殺害する事件。その裏には義体メーカのロクス・クルス社が行っている犯罪。子供を誘拐し、洗脳してガイノイドにダビング。そのためクルス社のガイノイドは高評価だった。
敵中で危機になったバトーを助けるガイノイド。ネット空間からゴーストハックした草薙少佐だった。


設定として一番異なるのが、少佐誕生の秘密そのものが物語の中心になっている点。このため草薙素子という、アイデンティティーの塊みたいな力強さは、どうしても出て来ない。

 

ビートたけしの荒巻は、確かにもしあの頭にしたら笑うしかなかっただろう。しかし何と滑舌の悪いことよ。せっかく日本語で押し通したんだから、もう少しまともに喋って欲しかった。番宣でスカーレット・ヨハンソンにカンペ持たせたとか言ってたが、そんな事だからセリフ流れが悪い筈だ。
思った以上に荒巻の出演シーンが多かったのは、監督のたけしに対する敬意か。またたけしが銃を撃つと、ホント見事に「アウトレイジ」化してしまうのが笑えた(警察が、あんなにあっさり被疑者(カッター)を殺したらあかんだろう・・・)。

 

 

 

キャストを見るとイシカワ、サイトー、ボーマも出ていたようだが、記憶があるのはバトーとトグサのみ。バトーの設定は概ね良かったが、義眼以降は「為五郎」見ているようで、やっぱり実写にするとどうしてもオカシイという点は出て来る。

 

 

またトグサ役はシンガポール系の役者らしいが、チビで歳を食い過ぎて・・・それにストーリーにもほとんど絡まず、かなり不満が残る。

 

アニメ派としては突っ込みどころ満載。でもアニメで印象的だったシーンをとにかく頑張って実写化したという、監督自身のアニメに対するリスペクト感はハンパなく、その点ではよく頑張った。元々アニメの核だったバトーの、少佐に対す

る「想い」も良く描かれていた。

 

でも、やっぱアニメがええなあ。

 

 

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2017年04月16日

閃輝暗点

テーマ:健康関係

10年ほど前、会社で突然目の、文字を読む領域でチカチカと虹色に光る「Uの字」状の小さい「ヒモ」の様な物が見え始めた。その近辺は文字が読めす、仕事は中断。だが時間と共にそれは拡大しながら下方へ移動。その後30分ほどで消滅した。

会社の診療所の嘱託医に聞いたところでも、望む回答は得られず「眼科へ行ってください」

 

それで眼科に行った結果、正常眼圧緑内障(NTG)が発覚し、以来目薬を差し続けている。詳細は その1 その2 参照

 

だがその後も目に現れるチカチカは一定の間隔で発生を続け、また左右どちらを閉じても状況は変わらなかった。その症状については、当時の眼科医に訴えても反応は鈍かった。

 

そこで数年前、ネットで「目 チカチカ ギザギザ」で検索したところ、これはと思うワードが「閃輝暗点(せんきあんてん)」。

脳の一部の興奮で起こり、偏頭痛の一症状として現れる事が多い様だ。
偏頭痛にはなった事がないが、毎回の様子を思い返してみると、それが発生している時には後頭部でモヤモヤした感覚がある。

 

芥川龍之介の「歯車」にも閃輝暗点らしき症状が記述されているとのこと。

 

頭痛を伴わない閃輝暗点は危険、との記述もあったため、3年ほど前に脳ドックも受けたが、とりあえずは大丈夫だった。
持病には事欠かないわが生活・・・

 

 

 

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2017年04月15日

農作業がんばれ~~

テーマ:ブログ

ヤスミンさんにコメント入れられないので「リブログ」を。

 

後半で農作業の記述が(なつかしー)。
ワタシも伯父の家で育てられたのが農家だったので、小5の時から耕うん機を扱っていました。
もちろん畦塗りも。田植えが終わってからは畦に豆を植えるんですよね。この作業が延々と続いて、もうトラウマ。
1.穴を開けて 2.豆を投げ入れて 3.もみ殻の灰をかける・・・・・・

 

まあ、米を収穫するまでに、どれだけの手間がかかることよ(八十八回だってば)。

Men At Work の Who Can It Be Now? もツボでした。

 

ヤスミンさんがんばれ。私は見ています(って迷惑か・・・・)。

 

画像使用許可頂きました

 

 

 

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2017年04月14日

NHK モーガン・フリーマン 時空を超えて「光の速度を破れるか?」 4/13放送

テーマ:科学・教養

番組紹介

 

人類は星を見上げて来た。宇宙は思ったより広い。
子供の頃のキャンプファイヤー。炎の光が一瞬で消え去る→なぜか。

ショー・キャロル。光の性質の研究。秒速30万km。この世に光より速いものはない。宇宙のあらゆるものと違う(興味深い)。

 

50km/hで走る車の前方にコーラの入ったカップを放る。カップは車の速度+アルファで前方に飛ぶ。光はこの法則には従わない。どの方向にも足したり引かれたりはしない。
アインシュタインの相対性理論 E=MC~2。時間と空間は一体。
ロケットは光速に近づくにつれ質量が増す。光速では質量は無限大となる→光速で動くのは不可能。これが宇宙というスケールを考えた時の足かせとなる。

 

ミゲル・アルクビエレ(物理学者)。ワープを提唱。空間に動いてもらう(空間を歪めて移動)。実現には負のエネルギーが必要。

 

スティーブ・ラモロー(ロスアラモス国立 研究所)
荒れた海に二隻の船を配し強い波を与えると、両者が引きあう。この原理を原子レベルで検証。15年の研究の末、二枚の電極の間の零点エネルギーが減少する事を証明。この時の負のエネルギーは微々たるもの(赤血球一個分の重さ)だがワープドライブが物理法則に叶う事を意味する。

 

ワームホール。宇宙の近道。未知の世界に飛び込む勇気も必要。
スティーブン・シュー。トンネルは安全なインフラ。
紙の上のアリ。紙の表面を歩いて裏面に行くには一回りする必要がある。穴があればあっという間。
三次元でのワームホール入り口はシャボン玉に見える。

 

ワームホールを人工的に作る。二つの入り口の一方を数光年先に遠ざける→巨大な負のエネルギーが必要。負のエネルギーは元々不安定。シャボン玉に指を入れるようなもの。

自然界にあるものを利用する。ビッグバンで出来た小さなワームホールがある(素粒子サイズ)。
空間の量子ゆらぎには落とし穴がある。量子力学は予測不能。どこに出るか判らない、時刻も不明。

 

最も安全な方法→一歩も動かない。私たちの体を情報に変換し光の速度で送る(テレポーテーション)。
ウォルムシェンクとモンロー。隔離された二つの原子が情報を共有出来る事を実証。数百個の原子でも出来る。人体は膨大→可能か。
チェリーパイをミキサーにかけてドロドロにする。分子構成は同じだが配列が異なる。今のところは非現実的。

 

光に関する理解が間違っていたとしたら?光の制限速度が修正される。
ジョン・ウエッブ。宇宙線をスペクトル分析し、光を発した星に特定の元素の有無を知る。
電磁気力の強さは光子が媒介する。掛けた光のバーコードで遠くの天体の様子が判る。

リチャード・ファインマン。
宇宙のガス雲を分析にかける。地球の南と北での観測結果が異なる。変化の原因→電磁気力が場所によって異なっている(光の性質そのものが変化)。
物理の方程式も変化し、根本から見直しが必要。

 

スーパーハイウエイ。
ジョアオ・マゲイジョ。宇宙の一様性問題。宇宙はどの方向にも均一に広がっている事の説明。
ビッグバンをパーティーに例える。同じワインが全員に配られている。初期(インフレーション前)は小さい→広くなる。最初が点であれば均一という説(インフレーション理論)。

 

マゲイジョは新理論を考えた。
制限速度を変える(光速変動理論)。ウェイトレスが光速以上で動いてワインを配った。光速が時間の経過で変化。

宇宙ひも。速い速度が今も残っている。長さ数十億光年。スーパーハイウエイ(地下鉄のようなもの)。
宇宙ひもに沿ってスーパーハイウエイを通す(まだ理論の段階)。
将来、物理の常識は今とは変わる。


感想
ワームホールと言えば「インターステラー」の解説で、現代の最新情報に忠実に描いたとかなんとか言ってたっけ。

 

ワープ、ワームホールと来て最終的に「宇宙ひも」によるスーパーハイウエイに話を持って行く。そうなると、テレポーテーションの話が、なんか異質。
まあ、何でもかんでもぶっ込む、このシリーズの「クセ」みたいなもんかな。

 

参考文献
光の速度は不変ではなかった?

 

 

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2017年04月06日

「コンビニ人間」 村田 紗耶香

テーマ:本・国内

遅ればせながら、といったところだが、昨年芥川賞受賞の時、息子が買った文藝春秋を譲り受けて、延々と放置していた。
今回たまたまページを開いて一気に読んだ。以下、あらすじと感想。

 


あらすじ
コンビニ(スマイルマート日色町駅前店)でキビキビと働く女性、古倉恵子。コンビニ店員として「生まれて」18年の、現在36歳。
コンビニ店員になる前の記憶があいまいだが、奇妙がられる子だった。幼稚園の頃、公園で死んだ小鳥を見て「これ、食べよう」と言って母親を驚かせたり、小学校では男の子のケンカに「誰か止めて!」との叫びを聞いて、スコップで暴れ

る男子の頭を殴ったり。
何かをすると周りが強く反応する、そういう思いから、自分から動く事を一切やめた。

 

大学1年の時、今のコンビニがオープンする準備段階を目にして興味を持ち、面接を受けた。研修の過程で、店員としてのスキルをどんどん身に着けていく。手本通りにこなして行く快感。
他の店員たちとも適度な距離を保ち、日常生活も見かけ上うまくこなしている。相手の表情を見て「ああ、私は今上手に「人間」が出来ている」と感じる。
同僚の泉さん。似た年恰好のため、同年代としてのセンスを真似ている。

 

学生時代の友人との会話。結婚していない事に対して最近問われる事が多い。あまり体が丈夫じゃないから今もバイト、という言い訳を続けている。

 

ある日店に、新人の白羽がやって来る。痩せて背が高く、勤勉とは無縁の印象。商品並べもまともに出来ない白羽に恵子が細かく説明。こんな仕事は男の本能には向いていないと居直る白羽。
別の店員が白羽の奇妙さを指摘し、古倉さんは怒らないですよね、と感心。ぎくりとする。

 

バイトが休みの日に妹のところへ遊びに行く恵子。電気会社に勤める夫と、乳幼児の息子を持つ妹。結婚もせず、18年もコンビニ店員を続けている事の言い訳を、妹に考えてもらっていた。

 

客にいちいち指図をする中年男性を巡ってひと悶着。店長が対応した。それが一段落して白羽の話に。今日も遅刻でまだ顔を見せていない。別の店員から、勤務中にケータイ見ているとの情報も。
そこへやって来た白羽に店長が叱咤。恵子と二人だけになった時「コンビニの店長ふぜいが」と罵る。次々に出て来る差別用語。
何の気なしに、どうしてここで働き始めたのかを聞くと、婚活だと言う。だがろくな相手が居ない、とまたグチ。

 

次に店へ行った時、シフト表の、白羽の名前にバッテン。常連客の女性へのストーカーまがいの行為が見つかり、店長がクビにしたという。

 

久しぶりに同級生の集まり。バーベキューパーティで、ユカリの旦那も来ていた。仕事の話から、例によって恵子が結婚していない話題。いつも通り体が弱いとの言い訳に、ユカリの旦那が反応。就職が難しくても、結婚ぐらいはした方がいいとおせっかい。次第に盛り上がり、婚活サイトに登録したら、とまで。
「今のままじゃだめって事ですか、それって何ですか」の言葉に、場の空気が一変。自分が異物になっている事に気付く恵子。
だから治らなくてはいけないんだ。治らないと正常な人達に削除される。

 

パーティの後、休みだったが店に顔を出す恵子。店員たちから声をかけられ、今はまだ使える「道具」だと実感する。
店の外にいる白羽を偶然見つける恵子。常連客の女性を待ち伏せていた。今度こそ警察沙汰になりますよ、と警告されても居直る白羽。だが話しているうちに感情が高ぶり、泣き出す。

 

仕方なく白羽を連れて近くのファミレスに入る恵子。ドリンクバーで恵子に出された飲み物を飲みながら、延々と持論を展開する白羽。この世界は縄文時代と同じ。ムラのためにならない人間は削除されて行く。
結婚して、文句を言われない人生を送りたい、という白羽に、婚姻だけが目的なら、私と婚姻届を出すのはどうか、と提案する恵子。
君を相手には勃起しないとうそぶく白羽に、婚姻届は書類上だけの話だと説明し、コンビニ店員を例に挙げて、皆の中にある「普通の人間」という架空の生き物を演じるのだと言った。
どこかで変化を求めていた恵子。悪い変化でも、膠着状態よりはマシ。沈黙する白羽。

 

見切りをつけて帰ろうとする恵子に、ぽつりぽつりと身の上話を始める白羽。
ルームシェアをしていた相手が居るが、家賃滞納で追い出されかかっている。北海道の実家には弟夫婦がいて借金が出来なくなった。
長い話に、翌日の仕事に差し支える、と強引に自分のアパートまで白羽を引っ張って来る恵子。妙な臭いのする白羽を無理やりシャワーさせている間に、妹に電話して家に男性が居ると話す。妹は勝手に話を作り上げて感動。

シャワーから出て、恵子が妹に電話をかけた事を知った白羽は、そんなに結婚をあせっているのかと引くが、恵子自身にはそんな気はなく、嫌なら帰っていいと突き放す。翌日仕事だからと、さっさと寝る恵子。翌朝も書置きだけして店に出る。

 

帰宅すると白羽はまだ居た。恵子のことを底辺中の底辺、子宮も劣化した「ムラ」にとってのお荷物と罵った一方で、恵子の提案を受けるという。
白羽が家に居ることで(貧乏人が同棲)皆が納得してくれる。あなた側のメリットは?と聞くと「自分を世界から隠して欲しい」。赤の他人に干渉されるのはうんざり。
何も食べていない白羽に冷蔵庫から炊いた米、茹で野菜(醤油をかけたもの)を出す。食材には火を通すが、味は必要ない。塩分が欲しい時には醤油をかける。

 

こうして始まった同居生活。同級生の集まりに行った時、皆は狂喜乱舞。こちら側へ「ようこそ」。
白羽の分の食費が増えたので、出勤日を増やす必要がある。店長へ申し入れ。
そのついでに店長が、白羽の私物が置きっぱなしだとのグチ。何の気なしに「持って行きましょうか」と口をすべらせると、店長が食い付いた。
混雑する店内に入り、ヘルプをしてその場を逃れるが、バックルームに戻ると店長が喋ったため、皆が恵子と白羽の関係を聞いてくる。

 

帰宅すると、白羽は風呂場のカラになったバスタブでタブレットを見ている。押入れでは虫が出るという。コンビニで白羽の事を話してしまったと言うと、困るのは貴女だと返す。今までただ気持ち悪かっただけだから何も言われなかった。

だがこれからは直接言われる、と。

店では白羽と恵子の事が広まり、皆からしつこく聞かれるようになった。うんざりする恵子。

 

あの日電話を掛けてから1ケ月ほどして妹が訪ねて来た。外出を促したが、白羽は部屋から出なかった。妹が来て、電話で喜んだ状況とは違っている事に気付く。あれを家に入れておくと便利だと説明する恵子に、いつになったら治るの、と泣き始める妹。コンビニのバイトを始めてからますますおかしくなったとも。
そこに、風呂場から出て来る白羽。実は恵子とケンカをして風呂場に居たとの説明。元カノと飲みに行ったのがバレたのだという嘘の演出に、妹として許せない!と叫びながらも、このうえなく嬉しそうな妹。
叱るのは「こちら側」の人間だと思っているから。問題だらけでも「こちら側」の方がマシ。

 

翌日、店から帰るとまた女物の靴。白羽の弟の嫁だという。ルームシェアの家賃滞納で実家まで請求が来た。どうしてここが判ったのかと白羽が聞くと義妹は、以前彼が借金で実家に来た時、亭主に頼んで白羽の携帯に追跡アプリを入れたのだと言って鼻で笑う。

義妹の視線が恵子に向かった。36歳でバイトをしているという返事に驚き、就職か結婚、どちらかした方がいいと忠告。

白羽は、彼女にはバイトをやめてもらって職探しをしてもらう、と宣言。しぶしぶ帰る義妹。疲れてぐったりとなる恵子。

 

コンビニを退職した恵子。18年間勤めた割には全くあっけなかった。
白羽はネットで恵子が次に働くための求人チェックを意気揚々と行っている。
眠くなったら眠り、起きたらご飯を食べる生活。日付を見たら二週間ほど経っていた。全てをコンビニにとって合理的かどうかで判断していた自分。基準を失った。

 

コンビニを辞めてから1ケ月あまり。初めての面接。白羽が見つけて来たもの。
面接先まで送るという白羽。電車で向かうが、一時間以上前に着いてしまった。コンビニのトイレに向かって恵子も後に付いた。
コンビニに入った瞬間、聞こえる懐かしいチャイム。コンビニの中の音全てが細胞へ直接働きかける。
店内の商品レイアウトが気になって手直しする。怪訝そうに見る客に「いらっしゃいませ」と挨拶してごまかす。更にチョコレートの陳列も売れ筋に合わせてセットし直す。
女子店員も怪訝な顔で見るが、レジに忙しくて身動きが取れない。本社の社員を装い会釈する恵子。それだけで納得する店員。
その間にセットし直したチョコに目を止めて客が盛り上がる。
レジが一段落して女店員が近づくと、店の運営についての注意すべき点をテキパキと教えた。信頼しきった声で「はい」と返す女店員。

 

トイレから戻った白羽が「何をしているんだ!」と怒鳴る。訳が判らない女店員。
店の外へ引き出された恵子は「コンビニの声が聞こえるんです」。
怯えたような表情の白羽に、人間としていびつでも、コンビニ店員から逃れられない、私の細胞全部がコンビニのために存在している、と話す。
狂ってる、そんな生き物を世界は許さない。そんな事より僕のために働いた方がずっといい、と諭す白羽に、コンビニ店員という動物である私に、あなたは全く必要ないんですと言った。

気持ちが悪い、お前なんか、人間じゃない、と言う白羽の手を振りほどく恵子。白羽は去って行く。

 

細胞全てがコンビニのガラスの向こうで響く音楽に呼応して、皮膚の中で蠢いているのをはっきりと感じていた。

 

 

感想

コンビニやマクドで見掛ける、マニュアル通りの挨拶、応対にイラっとする事がたまにあるが、そのマニュアル通りに動く事で、ようやく「人間として生きられている」。そんな主人公を巡る話。

 

まず、本当に読み易いのに驚く。何の抵抗もなく読み進めているうちに、終わってしまったという印象。
文章力がある、という事なのだろう。
また、一人称なのに、どこか客観的な表現(あらすじでは便宜上三人称としている)。

十八歳でコンビニバイトを始めてから、同じ店で十八年間。元々おかしな子、と言われて来たのを、沈黙する事でかわして来た(本質は変わっていない)。コンビニのマニュアルを纏う事で「普通の人間」を手に入れたものの、延々と勤める

うちに、次第に綻びが出て来た。

 

そんな時に現れた白羽。いきなり婚姻届、にはちょっとドン引きだったが、もともと自身を突き放しているし、他人が感じる白羽に対する嫌悪感さえも、あまり感じていない。
そういう意味では、どこかが欠落している、という恐ろしさがジワジワと迫って来る。

 

結局白羽のようなクズ人間にさえも見放され、喜びを以て元のコンビニ生活に戻って行く姿に、悲惨さを感じるのか、明るさを感じるのか。その両面性を持つのが、この小説を非凡なものにしている。

 

自分自身のエピソードで、幼稚園の運動会での大玉送りを、先生から「乱暴に扱ってはダメ」と言われて丁寧に扱いすぎ、競技が中断してしまったという話に、笑った(本人にそういう資質あり)。

 

 

 

 

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