2017年06月03日

スナックJUJU アリーナツアー2017  6/1開催(名古屋)

テーマ:音楽一般

アルバム「スナックJUJU」ダイジェスト

 

 

「ジュジュ苑スペシャル- スナックJUJU アリーナツアー 2017」 と銘打って現在コンサート活動中のJUJU。
一応、年1回はコンサートかミュージカルに行こうという「家庭内福利厚生」の一環として3月上旬にチケット購入。アリーナ席は取れずスタンド席だったが左側の下の方で、距離的にはかなりいい席。

 

さて当日。開場17:30に向けて、ほぼその時刻に日本ガイシホールに着いたが、地下の売店で軽くうどんを。
その後会場入り。全体にモヤがかかってあまりスッキリしない(理由は後で判明)。
開演の18:30になっても客がゾロゾロと入り続けて開演出来ない。一時間も前から開場してんだから時間守れよ!と言いたいところだが、会社休めない人はどうしても、やむを得ないか。

 

やや遅れてアナウンスが始まる。マスターの「山本」さんによるJUJUママの紹介。そしてJUJUママ登場。
黒いドレスの前がミニになっていて、歩くと脚がチラチラ見える。
ステージが明るくなるとモヤの印象は消え、スポットライトの光跡をハッキリさせるためのモヤだったと理解。

 

「ああ無情」「六本木心中」「飾りじゃないのよ涙は」の3曲を続けて歌った後にMC。自分が子供の頃は、よく親に連れられてスナックに行ったとか。
舞台の左右に大きなディスプレイがあって、JUJUのアップと曲の歌詞が出るので、カラオケスナックのノリで一緒に歌ってもオッケーとの事。
さすがMCはうまい。ただ、笑い声の下品さは地なのか演出なのか・・・

 

スナックと言えば昭和歌謡、という事で「シルエット・ロマンス」「二人でお酒を」。
そして景気良く「真夏の世の夢」。この時にステージ上にボワッ!と炎が出てびっくり。ガス量を厳密にコントロールして、途中で消滅する様にはなっているが、輻射熱が自分の頬にまで感じられ、やはり万一の事を考えた場合には避けるべき演出だろう。

 

歌が終わってから、松任谷由実についてのリスペクト。小さい頃から彼女の歌で育って来た。
次の曲は「影になって」。曲名が思い出せず、帰ってから歌詞の中の「ネガ」を見つけてこの曲と特定。

次は来生姉弟の「GOODBYE DAY」。これにはちょっとウルっと来た。次の「駅」にもけっこう動かされたが、この曲はパクりで作られたもの(詳しくはこちら)。

 

次いでMC。次は愛知県にゆかりのある人の歌を唄います、と言い「名古屋と言えば~?」と客席にマイクを向けると「手羽先~~」でずっこけ。そんなやりとりで次に出たのが「マツケン」。え?愛知出身だったっけと思ったが、後で調べ

たら豊橋市の出身。次回はマツケンサンバやりますわ、だって。

 

そんなこんなで愛知出身の歌手は「八神純子」。曲は「みずいろの雨」。ずいぶん久しぶりに聴いて新鮮だった。ちなみに昨日はあみんの「待つわ」だったとのこと。

 

続いて、スナックの定番といえば~?と再びマイクを客席に。そうしたらいきなり「デュエット~~」と正解が出てしまい、JUJU絶句。「すぐ終わっちゃうじゃん」とかぶつぶつ言いながらコーラスの女性とのかけあいでちょっと時間を稼ぎ、正解は「デュエットでーす」。
そしてお客さんと歌うと言って「唄いたい人~」と誘うと、挙手する人がちらほら。それらの人を立たせてジャンケン。

JUJUの出す手に負けたら座るという事。時間かかるからトイレタイムの人は行ってもいいよ、と言うと、思いのほか多くの人が動いてJUJUもびっくり。
10回足らずで最後の一人まで決まって、その女性を係員が確保し、いったんJUJUの持ち歌のメドレーに入る。

メドレーは「ラストシーン~この夜を止めてよ~ナツノハナ~やさしさで溢れるように」。

 

デュエット曲は「ロンリーチャップリン」。登場した女性は愛知から来た「みっちゃん」。だが話を聞いてみると「ロンリーチャップリン♪」という所しか歌えない。前代未聞ダ、とJUJUびっくり。彼女の言うには決戦で負けた人に他を唄ってほしいとか。そこで急きょその人をステージへ。少し大柄でメガネをかけた「みどり」さん(愛知)。
歌が始まると、このみどりさんがなかなかウマい。
そんなこんなでデュエットタイムが終了。

 

次は明菜の「DESIRE」。けっこうリキ入っていて、例の炎の演出も全開。
最後の曲としてはちあきなおみの「喝采」。

そしてJUJUママは深々とおじぎをして退場。バンドマンも退席。客席から拍手。

 

今までのコンサートの例だと、2~3分もすれば一定のリズムになって「アンコール!」の流れになって行く筈だったが、今日はいつまで経ってもその兆候は出ず、延々と普通の拍手が続いた。

 

5分以上拍手が続いてからマスターの声で「ママの出番は終わったのですが、JUJUさんが来てくれたようです」。

 

そしてレインボーカラーのミニワンピースを着たJUJUが登場。
メドレーで「PLAYBACK」「Believe believe」「What You Want 」

最後に演奏者たちの紹介を行って、皆をステージの前一列に並べ、手をつないで一斉におじぎ。
演奏者たちを去らせ、最後に残ったJUJUが少し話をしてからステージの左、中央、右に移動して手を振りステージ下手に去って行った。

 


感想
アリーナ席はほぼ満席、スタンド席も多分9割近くは埋まっており、さすがの集客力。
「スナックJUJU」という趣向はほぼ成功と言えるだろう。彼女自身、不遇の時代を経験しているからこそ、MCやっても堂々としていて、精神面の余裕がある。
その分リラックスしすぎてプロらしくない、ともいえる。ステージをスナックに見立てて楽しむという事と、プロの歌手の技を堪能するという事は、両立し難いということかも。

 

開演前にジャンジャン流されていた彼女の「Summertime」や「Take 5」などのJazzナンバーは一曲もやらず、やっぱ「昭和のスナック」でした。

 

 

セットリストまとめ

 

あゝ無情

六本木心中

飾りじゃないのよ涙は

シルエット・ロマンス

二人でお酒を

真夏の夜の夢

影になって

GOODBYE DAY

恋におちて

みずいろの雨

メドレー (ラストシーン~この夜を止めてよ~ナツノハナ~やさしさで溢れるように)

ロンリーチャップリン

DESIRE -情熱-

喝采


アンコール:

PLAYBACK

Believe believe

What You Want

 

 

 

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2017年05月31日

メッセージ (原題:Arrival) 2017年

テーマ:最近の映画・TV

監督  ドゥニ・ヴィルヌーヴ

脚本  エリック・ハイセラー

原作  テッド・チャン 「あなたの人生の物語」

 

キャスト
ルイーズ・バンクス     エイミー・アダムス
イアン・ドネリー      ジェレミー・レナー
ウェバー大佐        フォレスト・ウィテカー
シェン上将         ツィ・マー

 

予告編

 


あらすじ
言語学者のルイーズ・バンクス。娘の記憶。彼女は病気で先立っていた。
大学の教室へ講義に行くが、生徒に「TVを見せて下さい」と言われる。
世界中の12箇所に出現した飛行物体(直立した楕円状:長さ450m)。世界中は大混乱に陥る。

 

休講となり自宅へ帰ったルイーズを、ウェーバー大佐が訪れ、彼女の言語学者の能力を使って異星人とのコンタクトを要請した。
半ば強引に、軍用ヘリでモンタナ州に出現した飛行物体調査の拠点基地に連れて行かれる。ヘリで同乗した物理学者のイアン・ドネリー。彼がこの調査チームのリーダー。サピア=ウォーフの仮説に関する考察(言語が知覚のあり方を形作る)。

 

 

その宇宙船は地表近くに浮いており、18時間に一回、最下部に開口部が現れる。
防護服を来てその穴に赴くルイーズ、イアンらの調査チーム。穴に入ると、途中で重力が反転し、開口の壁面に沿って歩けた。
最奥部まで行くと、そこには厚い透明な仕切りがあり、その奥から二体の異星人が現れた。7本の脚を持ったタコの様なイメージであり「ヘプタポッド」と名付けられた。
ルイーズは、彼らとは筆談が可能と判断し、次回コンタクトでボードに「HUMAN」と書いて自分を指さした。その領域の気体構成は地球のものと酷似しており、ルイーズは彼らに親愛の情を示すため、防護服を脱ぎ捨てた。

彼らからのメッセージとして触手から黒い液体が放出され、円環状の模様が出現した。
そのデータを持ち帰って分析に取り掛かるルイーズとイアン。二体の異星人にはそれぞれ「コステロ」「アボット」と命名。

 

 

その後も続くボードへの文字記載と手振り、それに返される円環文字。円環の各部に現れる微小突起の位置、長さ等が固有の意味を持ち、次第に解読が進められる。
ある時、透明な壁にルイーズが手を置くと、彼らも手を添えた。自分の娘のビジョンを瞬間的に感じるルイーズ。

 

言語の意味が概ね理解出来た状況で、ルイーズは彼らに「地球に来た目的は?」と尋ねると、その答えが「武器の提供」。この結果を知った軍部は宇宙人の攻撃が始まると思い込む。特に中国のシェン上将は宇宙船に対する攻撃の準備を始める。

 

武器という解釈ではなくツール、テクノロジーの意味かも知れないと考え、ルイーズとイアンは再度彼らとのコンタクトを取ろうと穴に入って行く。だがその直前に、軍隊内の狂信的な者がその中に爆弾を仕掛けていた。
彼らたちの反応がおかしく、透明な壁をドン、ドンと突いた。意味が判らないルイーズ。その直後に彼らから発せられた多数の円環メッセージ。いつものとは様子が違っていた。
その爆発の瞬間、ルイーズとイアンは穴の外に放り出された。

 

キャンプの医療班の中で目覚めるルイーズ。イアンも無事だった。軍が撤退を進める中、彼らが最後に放出したデータを見つめるうちに、突然自分が彼らの言語を解読した記念パーティーのイメージが頭の中に現れ、そのメッセージを瞬時に理解する事が出来た。武器の真の意味は「贈り物」。

 

一人で宇宙船に向かうルイーズ。宇宙船は例の爆破を受けて、地上から離れた所まで上がっていた。小型のポッドが宇宙船から出てルイーズの元に降り立った。それに乗って本体へ運ばれるルイーズ。
コステロと対面するルイーズ。アボットは例の爆発で負傷し、多分助からない。
危機的な状況で、協力の方法を尋ねるルイーズに、コステロはルイーズに未来を見通す力がある事を伝え、3000年後、我々が人間の助けが必要になるからここに来た、とも。

 

地上に戻されたルイーズ。異星人の目的は判ったものの、全世界で起ころうとしている攻撃、特に中国を止めなくてはならない。

 

そこで自分の未来を見るルイーズ。国際的な会合で中国の代表、シェン上将から核攻撃を思い留まったいきさつを聞かされる。上将の無き妻のダイイングメッセージをルイーズが直接電話で伝えた事で、彼女を信じ核攻撃を思い留まる事が出来た、と。
でも私は貴方の携帯番号を知らない、と言うルイーズに「ほら、今教えた」と番号を見せる上将。ハッと我に返りその番号をメモすると、撤退した者が残した携帯電話を見つけてシェン上将に電話。
軍内での探知システムで中国への電話が検知され、追い詰められるルイーズ。危ないところでイアンが体を張って時間稼ぎ。何とか上将と繋がり、攻撃中止へと向かった。

 

その全世界の動きを受けて、世界中の12体の宇宙船はかき消えるように消滅して行った。
危機は全て去り、イアンはルイーズにプロポーズする。娘を産み、その後イアンと別れ、結局娘も亡くす事が判っていて、その運命を受け入れるルイーズ。

 

 

感想
アクションらしいアクションはなく、地味な映画ではあったが、上質な手触りを感じた。

 

ヘリで向かう現地に行くまでの表現が秀逸。一本道に連なる車の列、それがどんどん膨らみ、野次馬の姿が見えたと思ったら、突然何も無くなった。軍による規制線の存在。そして前方、霧が這う向こうに出現する宇宙船。
自然も見事に取り込んで、このシーンはもう一度じっくり味わいたい。

 

7本脚のタコにはちょっとびっくり。ただ、特段の特徴もない地味さで、まあ許容範囲か。
言語を理解する事で未来が見通せる様になる、という概念がイマイチ理解し難いが、要は自分の子供が死ぬという個人的な体験が宇宙と直結しているという関連付けと、知った上でそれを受け入れる生き方。そういう資質があるから選ばれたのか。
何か「惑星ソラリス」を見た後に感じたものと共通するイメージが心に残った。

 

この監督、ブレードランナーの続編も手掛けているらしい。楽しみ。

 

 

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2017年05月26日

NHK モーガン・フリーマン 時空を超えて「太陽のない世界 人類は生存可能か?」5/25放送

テーマ:科学・教養

太陽は、地球の受ける光をほぼ支えている。太陽なしで人類は生きられるのか?

 

ピーター・シュレイダー(天文学者)
太陽はあと50億年で水素を使い切り、次にはヘリウムによる反応に切り替わる。いずれ太陽は巨大化して水星、金星、そして地球も飲み込む。

 

グレッグ・ラフリン(天文学者)
地球を太陽から遠ざける方法。小惑星を地球に近づけて、スイングバイの原理で少しづつ太陽から遠ざける→重大なリスク。遠ざけるには数百万回行う必要があるが、コースを少しでも誤ると地球に衝突(元も子もない)。

 

クリス・マッケイ(天文界のインディ・ジョーンズ)
火星に温室効果ガスを定着させて移住する。パーフルオロカーボンを生成→100年で移住が可能になる。
ただし火星への移住は一時的な解決策。ヘリウムによる反応を経て太陽は最終的に白色矮星となる。

 

エド・モーゼス
水の核融合でエネルギーを創生→自ら太陽を作る。

他の星への輸送
小さなブラックホールを宇宙船に繋いで前進。

 

アンソニー・アギーレ
宇宙は繰り返し生まれるもの。インフレーションにより今も宇宙が生まれている。
新しい宇宙を作っても人類を運べない。
ワームホールを利用すれば可能→現在の地球文明はタイプ0.7の位置付けであり無理。
時空の構造の制御(負のエネルギーが必要)。


感想
例によって中途半端な技術番組。
太陽の寿命が有限である事、終末期には膨張する事などを捉えて、その方面の学者のアイデアを寄せ集める。
ただ、途中からブラックホール利用、ワームホールで人類を移送とか、だんだんと怪しくなって来る。

 

火星のテラフォーミングに関する論文(大学の卒論)
http://www.hino.meisei-u.ac.jp/phys/astrolab/stu/2012/Akiba.pdf

宇宙文明のタイプ
http://www.thedarars.com/archives/395

 

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2017年05月19日

新聞小説 「国宝」 (4) 吉田 修一

テーマ:本・国内

新聞小説 「国宝」(4) 吉田 修一    3/19(76)~4/13(100)

作:吉田 修一  画:束 芋
                           (1)   (2)   (3)

第四章 大阪二段目 1~25 
1965年(昭和40年)の大阪駅前。両手にバッグを下げた春江。弁天という名のチンピラに絡まれていると、そこに現れる徳次。
先に手を出した徳次と弁天のケンカが始まる。昼休みで多くの見物人が居たが、五分五分の力でなかなか決着がつかない。散って行く見物人。
大の字に倒れてゼーゼーと息をしている二人。

 

 

市電で春江を半二郎の家に案内する徳次。家に着くなり皆から声を掛けられる徳次は、すっかりこの家に溶け込んでいる。
徳次は稽古中の喜久雄を春江に見せるために、稽古場の襖を僅かに開ける。
半二郎に稽古を付けられている俊介と喜久雄。足の踏み出しが悪い、と喜久雄が太ももを掴まれて動かされる。二人とも青痣まで作っていた。

 

厳しい稽古に驚く春江に、しばらく終わらないから、と春江のために借りたアパートへ連れて行く徳次。
部屋はみすぼらしく、ため息をつく春江。長崎のマツからは毎月三万の仕送りがあったが、しつけに厳しい半二郎は自分の息子の俊介にも月百五十円の小遣いしか渡しておらず、当然喜久雄や徳次にも自由になる金がなかった。

 

稽古を終えた喜久雄がアパートにやって来ると、春江が飛びついた。稽古疲れでへたり込む喜久雄。春江は母親の紹介でミナミのスナックで働くという。

 

授業を終えて、自転車の二人乗りで駅に向かう喜久雄と俊介。駅で源さんが荷物を持って待っている。この月、京都南座の興業で半二郎が「土蜘」の僧の役を演じるため、半月の間二人に黒衣をさせるために呼ばれていた。
だが半二郎の目的は別にあり、この月に「隅田川」で演ずる希代の女形「六代目小野川万菊」の舞台をどうしても二人に見せたかった。
喜久雄が大阪に来てから一年あまり。喜久雄と俊介に女形の才能を見出す半二郎。

 

自転車で駅に向かう俊介は、荷台の喜久雄に「うちの部屋子になるん?」と聞いた。部屋子とは、子役の時から幹部俳優に預けられて全てを仕込まれる立場の事。見込みがあれば将来大きな役がつく可能性がある。
喜久雄を部屋子にしたい、という事は半二郎から長崎のマツに伝えられていた。その話を受けるかどうかの前に、まず我が子の顔を見なければ、と上阪したマツは、ここでの暮らしを喜々として話す喜久雄を見て安堵する。

 

興業が終わった京都の夜、お茶屋遊びをした喜久雄と俊介は、その店「井出」の市駒と富久春を待っていた。そこへ普段着に着替えた二人が。
境内で焚火がしたいという市駒の言葉で、枯れ葉を集めて火を囲む四人。俊介が富久春の手を引いて暗がりへ行き、キスを交わしている。
二人はもう長いんやろな?と話す喜久雄に、ポツポツと身の上話を始める市駒。
お茶屋遊びが初めてだったと言う喜久雄に、市駒が「うち、喜久雄さんにするわ」と言い自分の人生を賭けると言う。慌てる喜久雄だが、満更でもない。奥さんなどとは言わず、二号さんか三号さんに予約だと市駒。

 

京都南座の屋上でキャッチボールをしている喜久雄と俊介。半二郎がどうしても二人に見せたいという小野川万菊は、身内では遠州屋の小父さんと呼ばれている。挨拶をすると半二郎に言われていた二人は階下に降りた。半二郎に連れられて小野川万菊の楽屋へ挨拶に。
万菊が俊介に会うのは五年ぶり。半二郎は喜久雄も紹介した。俊介は、ちらっと向けられた万菊の視線にゾクッとするが、俊介には遠州屋の小父さんとしか見えていない。
挨拶を終えて去る時、万菊は喜久雄を呼び止めてきれいなお顔、と褒めたが、役者になるならその顔は邪魔も邪魔、いつかその顔に自分が食われる、と忠告。混乱する喜久雄。

 

 

半二郎の楽屋で昼食を済ませた喜久雄と俊介は、万菊の舞台を観るために、用意された席でその出番を待った。

出し物は「隅田川」。狂乱ものと言われるもので、我が子を人商人に攫われてもの狂いとなる、班女という女。
万菊演じる、班女の作り出す怪奇な世界に引き摺り込まれる喜久雄。「化け物」。あまりに強烈な体験に、心が拒絶反応を起こすが、次第にその化け物がもの悲しい女に見えて来る。
この日の小野川万菊の姿が、のちの二人の人生を大きく狂わせて行く。

 

アパートの炊事場で、店に出す煮物を作っている春江。小皿を貸してくれたおばさんとの会話。そこに飛び込んで来る徳次。店用の冷蔵庫が見つかったという。探し出したのはあの弁天。春江に惚れている、と徳次。
弁天とつるんでいる徳次を心配する春江。本来なら鑑別所から逃亡中の身の上なのだが、喜久雄のお供が決まってからは、愛甲会の辻村が動いて、その収容期間を短縮させた。
そんな逃げ得が身に着いた徳次は、手代の修行にも飽きて弁天と遊び歩いている始末。
冷蔵庫をトラックに載せて待っている弁天。何やら徳次と北海道行きの話などひそひそやっている。現場監督もどきの仕事で月四万のボロい話。

 

弁天と共に手配師から話を聞いた徳次は、喜久雄にこの話の次第を説明した。
北海道で勝負に出てみようと言う徳次に、急な話で声も出ない喜久雄。騙されているのでは?と心配する喜久雄に、もっと大きな事で坊ちゃんを助けたいと話す徳次。
字が書けるのも、計算が出来るのも、全部坊ちゃんが教えてくれたおかげやけん、と話す徳次。
「徳ちゃん・・・」それだけ言うのがやっとの喜久雄。止めたところでここに徳次の居場所がない事も事実。
心配いらんて、と言った徳次の笑顔を、本当に久しぶりに見たように思う喜久雄。

 


感想
最近、家事多忙でちょっとご無沙汰。

半二郎の厳しい稽古を、全く辛いとは思わずどんどんのめり込む喜久雄。半二郎が喜久雄と俊介に見出した女形の素質と、小野川万菊との出会い。

 

ずっと喜久雄を見守って来た徳次が、一旗あげようと北海道に行く。そんなうまい話があるわけないとは思うが、さてこの先どうなって行くのか。喜久雄から離れたサブストーリーにも興味がある。

 

 

 

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2017年04月22日

新聞小説 「国宝」 (3) 吉田 修一

テーマ:本・国内

新聞小説 「国宝」 (3)   2/22(51)~3/18(75)

作:吉田 修一  画:束 芋
                                 (1) (2)

第三章 大阪初段 1~25

どしゃ降りの中、タクシーを降りて改札に向かって走る喜久雄とマツ。それを見送るために追う組員数名。
発車する寝台特急「さくら」。この慌ただしい出発の理由は、例の朝礼の一件。

 

 

あの朝、喜久雄のドスは宮地の大親分の腹には届いたが、財布のおかげで傷は浅いものだった。むしろ体育教師、尾崎の体当たりで肩を脱臼した喜久雄の方が重傷。
普通なら警察沙汰になるところを、尾崎が宮地を保健室まで連れ込み、治療の折りに、この話を美談として穏便に済ませる事を提案。吉良上野介を引き合いに出され、宮地がその話に乗った。
ほどなく宮地は朝礼の場に戻り、警察を呼べ!と暴れる喜久雄を前に演説を続けた。
ただし宮地が被害届を出さないための条件は「立花の息子を長崎から追い払うこと」。

 

列車がそろそろ博多に着こうとした時、徳次がバッグを持って現れた。驚く喜久雄。
話はあの朝に戻る。警察に徳次を捕まえさせようと電話をした喜久雄。だが徳次はそれを察して捕まる事はなかった。その後伝え聞いた喜久雄の刃傷沙汰。
徳次が向かった立花組では、喜久雄をどこかに預ける件の協議。ヤクザにはしないと言い張るマツに、組を仕切っている辻村が、あの襲撃の時にも来ていた、二代目花井半二郎の名前を出した。

 

大阪の駅に着き、改札を出ると「立花喜久雄君」という紙を持った男。早速タクシーに乗せられる。男は半二郎のところの番頭をしている多野源吉。
マツに仕込まれた挨拶を聞いた源吉は気さくに「源さんと呼んでくれ」と言って二人を中華そば屋に連れて行く。

 

廊下を歩く女中の足音に目を覚ます喜久雄。早朝の5時にここ、花井半二郎の家に着いたのだった。
源吉が「もう昼近いで」と言って布団を畳みに来た。
源吉は、洗面台で身繕いをした喜久雄と徳次を連れて、ここの女将、幸子に引き合わせる。半二郎の後妻で四十前の色気ざかり。
マツ仕込みの挨拶をする喜久雄に、お昼にしよかと気楽に返す幸子。

 

喜久雄たちが連れて来られたのが家族用の台所。そこでうどんをすすっている同じような年恰好の少年。花井半二郎の一人息子の大垣俊介。花井半弥の名で舞台にも出ている、喜久雄と同じ十五歳。
母親に子供扱いされて面白くない俊介。喜久雄たちを下働きと勘違いして丼の片付けを喜久雄に言いつけ、それを怒った徳次と揉めそうになる。
更に俊介は、稽古に行くから車を回せと源吉に命令。そんな事やった事もないくせに、と大笑いする幸子に面子を潰された俊介は、プイと玄関に向かう。

稽古と聞いて気になった喜久雄は幸子に聞いた。義太夫の稽古だという。聞かれるままに、母親から文楽を観せられていた事を話す喜久雄。
興味があるなら、俊介が行っている岩見のお師匠さんとこを覗かせてもらい、と話す幸子。

 

マツが愛甲の辻村に頼んだのが、とにかく大阪で高校に通わせて欲しい、という事。その旨を半二郎に伝えると、うちの倅と同い年だから倅が通う予定の天馬高校に通わせる、との段取りに。半二郎は、役者に学問は不要、という先代の方針に苦しんだ経験を持っていた。

 

昼食を終えて、俊介が稽古を受けている岩見に出掛ける喜久雄と徳次。
中から聞こえる張扇の音と共に聞こえる俊介の声。稽古をつけている岩見鶴太夫。古希を迎えたが生気が漲っている。

 

 

稽古の中休みで、見学していた二人が呼ばれた。幸子があらかじめ連絡を入れていた。
歌舞伎役者はまず義太夫と踊りを知ってなければ半人前にもなれないという。また、歌舞伎には文楽を歌舞伎にしただけのことがなければ意味がない、と鶴太夫は皆に話す。

ふいに鶴太夫が喜久雄に声を出せと指示。聞いていたものをそのまま真似る喜久雄。それに続けて徳次も。そうして唐突に稽古の続きが、喜久雄と徳次も含めて始まった。

 

鶴太夫が喜久雄たちを神聖な稽古場に引き上げたのには訳があった。数日前に訪れた半二郎は頼まれて男の子を預かる事になったが、俊介と一緒に稽古をつけて欲しいという。
俊介にはどうしても甘えがあって、ライバルが必要だという事。そしてもう一つ、その子が生来の役者の資質があるように思える、という事。
そんな事も知らず、喜久雄は義太夫節の虜になって行く。


感想
親の仇を討ち損ねた喜久雄が、あの花井半二郎の家に預けられるまでの話。
徳次の人生を考えて、敢えて警察に売ったのだが、勘のいい徳次はそれを切り抜け、大阪に行く喜久雄になおも付いて行く。この、何があってもゆるがないという徳次のキャラクターにも惹かれる。

 

喜久雄が歌舞伎役者としてのし上がって行くための、端緒というべき章であり、新たに加わった俊介との関係も楽しみになっている。

 

 

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