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2017年06月28日

新聞小説 「国宝」 (6) 吉田 修一

テーマ:本・国内

新聞小説 「国宝」  (6) 吉田 修一    5/10(126)~6/3(150)

 

作:吉田 修一  画:束 芋
              (1) (2) (3) (4) (5)

 

第六章  曽根崎の森の道行
大見得を切って弁天と共に北海道の旅立った徳次。実は出発からわずかひと月で大阪に舞い戻っていた。
徳次らが頼ったのは釜ヶ崎の手配師。北海道に楽な仕事がある、と騙されて未開地の道路掘削の現場に放り込まれた。
いくら抗議しても通る相手ではなく、給金も先延ばしで手元に来ない。

 

こんな所に長居は無用、と弁天と二人で逃げ出した。追っ手からは逃れたが、その日の昼飯代もない。だがそんな二人を助ける者がいた。農婦、トラック運転手等々。
青函連絡船の前では、戦後の引き揚げで世話になった事がある、と連絡船の切符を買ってくれた人までいた。

そうして人々の好意に助けられてなんとか大阪に辿り着いた徳次と弁天。だが半二郎宅には戻らず、悪徳手配師に何とか仕返しをしようと、労働福祉センターへ陳情に乗り込んだ。
そのセンターでたまたまドキュメンタリー映画の撮影中だったため、徳次らが興奮して陳情する姿は、そのままカメラに収められた。この監督の清田誠は、三友興業の映画部出身だった。
陳情自体は、北海道の現場でも前金が払われており、結局ムダ足。

 

清田が撮ったドキュメンタリー映画「青春の墓場」がTV放映になると、これが反響を呼び、次いで小劇場ながら全国数ケ所で上映された。特に大阪の映画館では連日の満席。
そんな事があり、清田が低予算の実験的な映画に徳次を主役で抜擢。驚くほどの芝居勘の良さで徳次は好演。この映画も注目を集めた。

徳次はその後順調に俳優への道が拓け、とは行かなかったが、その噂が喜久雄の耳にも入った。春江に尋ねると、口止めされていたが、大阪にはずっと前に戻っていたとの事。
早速喜久雄が会いに行き、半二郎の所へ連れ帰った。話の早い半二郎はさっそく「三友」に口を利き、徳次を大部屋俳優の一人として雇い入れてもらった。

 

ある日芸人横丁を訪れる喜久雄。そこには弁天と徳次が漫才師の沢田西洋を立たせようとしていた。彼の生まれて初めてのTV収録の日。弁天は縁あってこの西洋に弟子入りしていた。相方で妻の沢田花菱が二階から降りて来て、西洋に構わず先に出掛ける。あわてて立ち上がる西洋。

 

収録時刻の迫る中、電車で局まで向かう一行。喜久雄まで見学に。
若いディレクターにせかされて芸を始める西洋。調子が乗って来たが、TVの尺には収まらず、短くしろ、いやだめだの押し問答の末、西洋がキレて蝶ネクタイを毟り取った。だが弱い立場を思い出し、詫びを入れての再収録。

 

そんな時にスタジオ内が騒がしくなる。花井半二郎が交通事故にあったとの情報。あわてて公衆電話から家に電話を入れる喜久雄。 入院先の天馬総合病院にタクシーで乗り付けた喜久雄ら。源さんを見つけて様子を聞くと、命に別状はないが、両足骨折とのこと。
喜久雄がつぶやく「あ、来週、初日や」。大阪中座での公演。出し物は「曾根崎心中」で半二郎が主役のお初。

 

半二郎の骨折騒ぎの翌日。母親の帰りを待つ俊介と喜久雄。帰って来た幸子は、半二郎が泣いていたという。二歳で初舞台を踏んでから一度も舞台に穴をあけた事はなかった。俊介に心の準備をしておく様にと伝える幸子。
半二郎は二人に、予感があったと思えるほど、今回の「曾根崎心中」の稽古を毎日見せていた。大抜擢やな、と俊介に話す喜久雄。

その後三友の梅木社長から電話があり、出た幸子がその話を受けた。社長の言うには、半二郎の代役は喜久雄で行くとの事で、それを決めたのは半二郎自身だという。

 

旧い話の挿入。江戸時代、近松門左衛門が「曾根崎心中」を書き上げた頃、関西で人気を博した初代坂田藤十郎。自分が亡くなる時、シンボルの「紙子」を弟子に授けたという。彼が重きを置いたのは世襲ではなく実力。

 

幸子、俊介、喜久雄の三人で病院まで行き、幸子が質問攻めをした後、半二郎が「決めたことや」と言った事で全てが決まった。
真っ先に部屋を出た俊介を追う喜久雄。突然俊介が「泥棒と一緒や」と言って喜久雄の胸倉を掴む。だがそれはポーズ。実の息子より部屋子の方が上手い、と言うのがあの花井半二郎なら仕方がない。代役が勤まるよう助ける、と俊介。

 

 

舞台稽古まであと三日。喜久雄は半二郎の病室に通い詰めて指導を受ける。容赦なく喜久雄を締め上げる半二郎。醤油問屋の手代、徳兵衛と愛し合う遊女お初の悲恋物語。
世間では喜久雄を抜擢した事で、隠し子ではないかとの噂まで立ち、それでチケットがはけて行くのも確かだった。

 

三日間はあっという間に過ぎ、座頭の徳兵衛役、生田庄左衛門による舞台稽古が始まった。庄左衛門の厳しさは有名で、以前グループサウンズを引きあいにして揶揄したのも彼だった。
稽古は二場面目まで滞りなく過ぎ、そこで庄左衛門が休憩を入れた。喜久雄に声を掛け、初役の割りには良く入っている、との褒め言葉。ただ、今回もらえる拍手は子役がもらうそれと同じもの。二度目はない、と。

 

袖から稽古を見ていた俊介の前で、弟子たちが容赦のない物言い。二人道成寺でも東一郎の方が華がある、この際丹波屋の若旦那がどっかに行ってくれたら話が早い、とまで。

 

こうして始まった大阪中座での公演。昼の部では俊介との「二人道成寺」。称賛を受けるのは喜久雄ばかり。必死で演じる俊介には容赦ない野次が飛ぶ。また夜の部では「曾根崎心中」のお初を徳兵衛役の庄左衛門と演じる喜久雄。
極限状態を続けて二十一日間。終わってみれば劇評は絶賛、東一郎が表紙を飾った週刊誌まで発売され、東一郎ブームとなった。

 

千秋楽の夜、三友の梅木社長の御馳走を受けた帰り「無事に終わって良かったな」と喜久雄をねぎらう俊介。

 

翌朝、喜久雄が俊介を起こしに部屋へ行くが、姿が見えない。枕元には置手紙「父上様 探さないで下さい 俊介」。
俊介はこのまま行方不明となり、数年が流れた。俊介の出奔でもう一つ判ったこと。その日に春江も姿を消していた。当時春江は北新地でも有名なクラブの雇われマダムとなっており、喜久雄は俊介を連れて何度か訪れていたが、二人の仲を全く疑った事がなかった。

 

 


感想
徳次の北海道での顛末と、その後の大部屋俳優との接点が語られる。本当に調子の良さが際立つ男だが、喜久雄に対する想いが変わらないところは好感が持てる。

 

半二郎が事故に遭ったことで露見した俊介と喜久雄の問題。いくら血縁者でも精進しなければ跡目を継ぐことは出来ない。
この問題は会社の経営にも言えること。創業者が自分の子供に後を継がせる事で会社が弱体化して行く。タカタの倒産しかり。

 

それにしても意外だったのは春江。喜久雄について行くと言っていたのが、俊介と一緒に出奔。これからどうなる、俊介。


ただ、ここに来て作者の、読者におもねる様な表現に少し違和感。敬体での表現は別にいいのだが、途中で度々挟まれる「読者の皆様」と言ってしたり顔に説明するくだり。三人称ならそれに徹して作者としての姿は見たくない。これは後に単行本にする場合にも見直さないと「ウザい」小説となるだろう。
また各章がぴったり25回で終わっているのも、いかにも新聞小説然として、これまた「ウザい」。まるで「天声人語」が文字数に支配されて、毎日本末転倒な苦労をしているのを彷彿とさせる。

 

更に言えば挿絵の作者。最初はその独創的な表現に感嘆したが、こう毎回やられては「お前、人の顔が描けないのかよ」とでも言いたくなってしまう。

 

ああ、いけない。映画評みたいに辛口が出てしまった・・・・・

 

 

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2017年06月25日

ローガン   2017年

テーマ:最近の映画・TV

監督    ジェームズ・マンゴールド
脚本    マイケル・グリーン。

 

キャスト
ローガン(ウルヴァリン)       ヒュー・ジャックマン
チャールズ・エグゼビア    パトリック・スチュワート
ローラ(X-23)         ダフネ・キーン
ドナルド・ピアース       ボイド・ホルブルック
キャリバン           スティーヴン・マーチャント
ガブリエラ・ロペス      エリザベス・ロドリゲス
ザンダー・ライス博士     リチャード・E・グラント
ウィル・マンソン        エリク・ラ・サル
キャスリン・マンソン     エリゼ・ニール
ネイト・マンソン         クインシー・ホウス
X-24              ヒュー・ジャックマン

 

 

予告編 


2029年。新たなミュータントが生まれないまま25年が過ぎた。ローガンはリムジンタクシーのドライバーとして細々と暮らしており、ミュータントのキャリバンと共にチャールズを介護している。チャールズは認知症の様な身の上で、時々超能力の発作を起こす。最近は、ミュータントと交信したなどと言うが、ローガンらは信用しない。

 

街なかで女から声を掛けられるが怪しんで立ち去るローガン。それと前後してローガンの素性を知る男ピアースから協力を求められる。彼が残した名刺の会社名に「アルカリ・トランシジェン」の文字を見つけて愕然とするローガン。

先に声をかけて来た女、ガブリエラが尋ねて来て11歳の少女ローラをノースダコタ州のエデンまで送り届けて欲しいとローガンに頼む。報酬は二万ドルで、現地に着いたら更に三万ドル渡すという。
チャールズとは、いずれ船を買って安全に暮らそうと話しており、その話に乗るローガン。

 

改めてガブリエラを迎えに行くと、彼女は殺されており、残されたローラを連れて家に戻るローガン。そこに、後をつけて来たピアースとその一味から襲撃を受ける。とてつもない殺人能力を発揮するローラ。拳の先から二本の爪も出る。
ローラとチャールズを連れて辛くも脱出するローガン。

 

ガブリエラの残したスマホの情報で経緯を知るローガン。かつてローガンを改造した組織(アルカリ湖の研究所)では生活用の飲み水に特殊な薬液を混ぜて、人からミュータントが発生する能力を抹消していた。その上で幼い子供たちをミュータントに改造して人間兵器にする事業を運営。
ただ最新研究により、子供たちを使わなくてもミュータントを造り出す研究が確立され、子供たちは不要な存在となった。その研究所で働き、次々と殺される子供たちを見て、少しでも助け出そうと動いたガブリエラ。
子供たちが研究所で見ていたコミックスが「MARVEL」。だがガブリエラが届けて欲しいと言っていた住所は、そのコミックスで最後の楽園とされている「エデン」と全く同じもの。

 

街のホテルで一息つく三人。チャールズと映画「シェーン」を観ているローラ。だが次の車を手配しにチャールズとローラを残して出掛けたローガンは突然体を拘束される。周りを見ると全ての人の動きが止まっている。チャールズの仕業だと直感し、渾身の力で部屋まで戻るローガン。部屋ではチャールズをまさに撃とうとする敵の姿が十名以上。その者らを次々と刺す。最後の者を倒し、ローガンが鎮静剤を打ってチャールズの能力が切れた。一人だけ倒し損ねた者を倒したのはローラ。

 

逃避行の途中でトレーラーに乗せた馬が逃げ出して困っている家族を見つけ、チャールズの助言で助けるローガン。その感謝のしるしに家での夕食を誘うマンソン一家。作法も知らず手掴みで物を食べるローラ。
夕食後、立ち去ろうとするローガンらは泊まる事を勧められる。だがその晩水を止められ、主人のウィルはローガンを伴って給水場に向かう。町の有力者から嫌がらせを受けているという。バルブを戻したところでその連中がやって来る。ローガンの迫力で撃退。

 

その晩にキャリバンの持つミュータント探索の能力を使って、ピアースらがマンソン家を襲撃。その襲撃メンバーの中に、ローガンそっくりの男。博士がコントロールしている。X-24と呼ばれていた。ローガンを装ってチャールズを刺殺するX-24。

襲撃に気付き、急いでチャールズの許に行くローガン。銃で応戦するがすぐに倒されるウィル。
襲って来るX-24に全く歯が立たないローガン。
だが瀕死のウィルが銃を撃ったおかげで時間稼ぎが出来ローラ、チャールズを連れて脱出するローガン。

絶命したチャールズを湖畔まで運んで埋葬したローガン。車のエンストをきっかけに、度重なるストレスのため、気を失う。

 

病院で目覚めるローガン。ローラが近くに居た人に助けを求めて運び込んだ。ミュータントの事を知っている医師が、もっとしっかり手当てしたいと言うのを振り切って外に出るローガン。そこにはローラが調達した(盗んだ)クルマ。

礼を言うローガンに初めて口をきくローラ。ノースダコタの「エデン」に連れて行って欲しいと言う。だがそこはコミックスに書かれた架空の住所。だがそれでも言い続けるローラに根負け。

疲労の溜まったローガンは運転を続けられず、途中からローラが替わった。

 

その住所にようやく辿り着く二人。崖の上から手作りのバケットが降りて来て、子供らが皆でローガンの体を引き上げた。
十名近く居る子供らは皆研究所から逃げ出した者。リーダー格の少年の話では、翌日の朝、森を抜けてカナダへと逃げる計画。
同行を誘われるが断るローガン。

 

目覚めると、そこに居たのはローガンだけ。枕元にはリーダーが残したミュータントの体力回復のための薬剤が置いてあった。
だが近くを飛び回るドローンの姿を見つけて追っ手が来た事を知るローガンは、その薬剤を全て注射し、子供らを追った。

追い詰められた子供たちは、能力を使って応戦するが、次々と捕まる。追いついたローガンが加勢して子供らを助けるが、そこに現れるX-24とライス博士。ライス博士の父親は、ローガンが殺していた。
X-24とローガンとの壮絶な戦い。だが身体能力はX-24の方が数段上。木の枝に串刺しにされて動けないローガン。
ローラは、ローガンが自殺用に一発だけ持っていたアダマンチウム製の弾丸を銃に込めてX-24の頭を撃ち抜いた。絶命するX-24。

 

回復能力を超えたダメージを受けたローガンは、ローラの腕の中で息絶える。

ローガンを埋葬した子供たち。ローラは立ち去る前に十字架を抜いてXの形にした。

 

感想
X-MENのシリーズは比較的観ている。今回はヒュー・ジャックマンが最後の出演かも、という事で視聴に出掛けた。

 

老醜漂う、ズタボロのローガンが、車のタイヤ泥の数名を相手に戦うシーンから始まる本編は、これまたヨレヨレのプロフェッサーXことチャールズとの組み合わせで、侘しいことこの上ない。

 

ストーリーとしては、脚本がいかにも甘いが、まあ「MARVEL」シリーズだからこんなもんだろう。ただ、ミュータントの話なのに、その能力を廃絶した上で、研究開発により特殊能力を開発するという研究所の方向性そのものが、ちょっと「いかがなものか」的な。
しかし兵器開発の側面から行けば、基本的に理詰めでコントロール出来るものの方に価値を見出すという事で、開発した子供たちを抹殺するという思考は理解出来る。

途中で出て来た酪農夫婦の夫「ウィル」を演じたのは「ER(緊急救命室)」のベントンを演じていたエリク・ラ・サル。ERの出演メンバーは皆芸達者だが、ダグ役のジョージ・クルーニー以外は普通の映画で全く見ないのが不思議。


ローガンとローラの擬似親子体験は、それなりに感動を誘った。バンバンと平気で敵を殺すローラが、死にゆくローガンに涙を流すという対比。
ヒュー・ジャックマン最後の御奉公、という点で、まあ全て許せるか。

 

でもこのX-MENシリーズ、この先続けようと思ったら、このシナリオではあかんわな。

 

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2017年06月19日

新聞小説 「国宝」(5) 吉田 修一

テーマ:本・国内

新聞小説 「国宝」(5) 吉田 修一    4/14(101)~5/9(125)

作:吉田 修一  画:束 芋
              (1) (2) (3) (4)

 

第五章 スタア誕生 1~25
二人道成寺の舞台準備をする俊介と喜久雄。俊介は花井半弥、喜久雄は花井東一郎の芸名をもらっている。
徳次が北海道に旅立ってから既に四年の歳月が経っており、喜久雄は結局半二郎の部屋子となっていた。

 

 

初舞台の記憶を鮮明に覚えている喜久雄。御曹司だった俊介の初舞台は四歳の時であり、この初舞台の恍惚感は自分だけのものだ、と素直に思う。

 

高校に入学した喜久雄だったが、通ううちにその背中の彫り物が問題となり、保護者の間から排斥運動が起こされた。稽古の量が増えるなら学校辞めてもええわ、とあっさり退学した喜久雄。

 

時は関西歌舞伎低迷の頃、俊介や喜久雄に役など回って来ない。そんな状況で半二郎が始めた地方巡業。それが今回の「二人道成寺」。場所は四国琴平の芝居小屋。
今回の巡業には立花組の辻村が援助していた。
源吉に促されて舞台に出て踊る二人。だが客席はガラガラ。当時の歌舞伎巡業は厳しいものだった。

 

楽屋で化粧を落としている喜久雄と俊介の前に現れた恰幅のいい男。半二郎があわてて「梅木社長」と声をかける。今回の歌舞伎を仕切っている興業会社「三友」の社長。二人の出来を見て満足している。
なんでも早稲田教授で劇作家の藤川先生が二人の道成寺を観て絶賛していたという。特に東一郎には芸品があると。
目を逸らした入り口に立っている若い男が冷笑しているのを見て、腹を立てた喜久雄が声をかける。それは梅木が連れて来た竹野。映画を担当したくて入社したのに、退屈な歌舞伎担当に回されてやる気をなくしているという。
梅木が、竹野が言っていた歌舞伎の悪口を面白く話して、嫌な空気が流れる。

その流れで梅木が、この道成寺を京都の南座でかけてみようと言い出した。話を続けながら部屋の外に出る半二郎と梅木。
その話を聞きつけて感極まる源吉。だがそこに冷ややかな視線の竹野。
竹野を楽屋から押し出そうとする喜久雄に、ただの世襲の世界、最後に悔しい思いをするのはお前だ、と言う竹野。
もともとヤクザの息子、女形の姿のままで竹野を蹴りつける喜久雄。まさに狂乱の二人道成寺。

 

西回りの地方巡業も中国、四国の各県を回り、その後九州に入って連日の移動。いよいよ博多での最終公演で終了となる。半二郎が喜久雄を呼び、次の三連休で里帰りしてはどうか、と持ち掛けた。
そうさせてもらいます、と言う喜久雄に、母親のマツから送られて来る仕送りはもう不要だという事を、今度の南座での事も含めて話して来いと指示。

 

実家に帰って来た喜久雄の姿を見て慌てるマツ。だがそこに「おマツさん、おマツさん」という声。玄関わきの女中部屋に押し込められる喜久雄。状況が次第に判って来た。
屋敷も抵当に取られ、そこの住み込み女中として働いているマツ。熱いものがこみ上げて来る喜久雄。

 

半二郎の稽古を受けている喜久雄。一段落してから半二郎に実家での様子を聞かれた。長崎でのつらい立場のマツを思い出して肩を落とす喜久雄に、半二郎が通帳を差し出す。二百万近い額が入っている。毎月マツが仕送りしていた金を全て貯金していたのだ。好きに使うたらええ、と言う半二郎。

 

京都南座の「二人道成寺」の初舞台。前評判ではまだ大舞台で芯を勤めるのは早いと言われていたが、例の劇作家の藤川がNHKの番組で「スタア誕生の瞬間を観たければ南座へ」と言った事から人気に火が付き、チケットが売れた。

 

南座での二人道成寺は予想以上の成功を収めた。グループサウンズを引きあいにした嫌味でさえ、そのファンだった女の子たちの目を東一郎、半弥に向けさせた。
どんどん注目を受ける二人。浮かれる俊介は毎夜祇園通い。だが喜久雄は早く一流になりたいという考え。そのちょっとした違いが、二人を大きく分けた。

 

京都南座での公演が終わると、梅木の一声で次の大阪中座での公演内容を変え、東一郎と半弥の二人道成寺を再びかける事となった。公演のポスター撮りに忙殺される喜久雄と俊介。

 

 

楽屋の途中にある、大部屋俳優がトンボを切る練習場。そこで「坊ちゃん!」という大きな声。徳次だった。上手いトンボに感心する喜久雄だが、上手すぎて自分だけ高く跳ぶから出番がないのだと言う。低く跳べばいいのだが、その調整が出来ない。それ下手ってことやで、と俊介が口を挟んで笑いが起こる。


感想
ひょんな事から急に注目を集め出した喜久雄と俊介。俊介は元々歌舞伎役者の息子という事で、幼い頃からの積み重ねがあるが、その慢心から遊び事も激しい。
一方喜久雄はすっかり歌舞伎に魅せられて、どっぷりと稽古に明け暮れる。この違いが先になって決定的な差となるのだろうか。

 

しかし前回で急に北海道に旅立った徳次が、五年の歳月を経て、また何事もなかったように二人とつるんでいるのがちょっと違和感。まあサイドストーリーだから端折ったという事か。

 

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2017年06月03日

スナックJUJU アリーナツアー2017  6/1開催(名古屋)

テーマ:音楽一般

アルバム「スナックJUJU」ダイジェスト

 

 

「ジュジュ苑スペシャル- スナックJUJU アリーナツアー 2017」 と銘打って現在コンサート活動中のJUJU。
一応、年1回はコンサートかミュージカルに行こうという「家庭内福利厚生」の一環として3月上旬にチケット購入。アリーナ席は取れずスタンド席だったが左側の下の方で、距離的にはかなりいい席。

 

さて当日。開場17:30に向けて、ほぼその時刻に日本ガイシホールに着いたが、地下の売店で軽くうどんを。
その後会場入り。全体にモヤがかかってあまりスッキリしない(理由は後で判明)。
開演の18:30になっても客がゾロゾロと入り続けて開演出来ない。一時間も前から開場してんだから時間守れよ!と言いたいところだが、会社休めない人はどうしても、やむを得ないか。

 

やや遅れてアナウンスが始まる。マスターの「山本」さんによるJUJUママの紹介。そしてJUJUママ登場。
黒いドレスの前がミニになっていて、歩くと脚がチラチラ見える。
ステージが明るくなるとモヤの印象は消え、スポットライトの光跡をハッキリさせるためのモヤだったと理解。

 

「ああ無情」「六本木心中」「飾りじゃないのよ涙は」の3曲を続けて歌った後にMC。自分が子供の頃は、よく親に連れられてスナックに行ったとか。
舞台の左右に大きなディスプレイがあって、JUJUのアップと曲の歌詞が出るので、カラオケスナックのノリで一緒に歌ってもオッケーとの事。
さすがMCはうまい。ただ、笑い声の下品さは地なのか演出なのか・・・

 

スナックと言えば昭和歌謡、という事で「シルエット・ロマンス」「二人でお酒を」。
そして景気良く「真夏の世の夢」。この時にステージ上にボワッ!と炎が出てびっくり。ガス量を厳密にコントロールして、途中で消滅する様にはなっているが、輻射熱が自分の頬にまで感じられ、やはり万一の事を考えた場合には避けるべき演出だろう。

 

歌が終わってから、松任谷由実についてのリスペクト。小さい頃から彼女の歌で育って来た。
次の曲は「影になって」。曲名が思い出せず、帰ってから歌詞の中の「ネガ」を見つけてこの曲と特定。

次は来生姉弟の「GOODBYE DAY」。これにはちょっとウルっと来た。次の「駅」にもけっこう動かされたが、この曲はパクりで作られたもの(詳しくはこちら)。

 

次いでMC。次は愛知県にゆかりのある人の歌を唄います、と言い「名古屋と言えば~?」と客席にマイクを向けると「手羽先~~」でずっこけ。そんなやりとりで次に出たのが「マツケン」。え?愛知出身だったっけと思ったが、後で調べ

たら豊橋市の出身。次回はマツケンサンバやりますわ、だって。

 

そんなこんなで愛知出身の歌手は「八神純子」。曲は「みずいろの雨」。ずいぶん久しぶりに聴いて新鮮だった。ちなみに昨日はあみんの「待つわ」だったとのこと。

 

続いて、スナックの定番といえば~?と再びマイクを客席に。そうしたらいきなり「デュエット~~」と正解が出てしまい、JUJU絶句。「すぐ終わっちゃうじゃん」とかぶつぶつ言いながらコーラスの女性とのかけあいでちょっと時間を稼ぎ、正解は「デュエットでーす」。
そしてお客さんと歌うと言って「唄いたい人~」と誘うと、挙手する人がちらほら。それらの人を立たせてジャンケン。

JUJUの出す手に負けたら座るという事。時間かかるからトイレタイムの人は行ってもいいよ、と言うと、思いのほか多くの人が動いてJUJUもびっくり。
10回足らずで最後の一人まで決まって、その女性を係員が確保し、いったんJUJUの持ち歌のメドレーに入る。

メドレーは「ラストシーン~この夜を止めてよ~ナツノハナ~やさしさで溢れるように」。

 

デュエット曲は「ロンリーチャップリン」。登場した女性は愛知から来た「みっちゃん」。だが話を聞いてみると「ロンリーチャップリン♪」という所しか歌えない。前代未聞ダ、とJUJUびっくり。彼女の言うには決戦で負けた人に他を唄ってほしいとか。そこで急きょその人をステージへ。少し大柄でメガネをかけた「みどり」さん(愛知)。
歌が始まると、このみどりさんがなかなかウマい。
そんなこんなでデュエットタイムが終了。

 

次は明菜の「DESIRE」。けっこうリキ入っていて、例の炎の演出も全開。
最後の曲としてはちあきなおみの「喝采」。

そしてJUJUママは深々とおじぎをして退場。バンドマンも退席。客席から拍手。

 

今までのコンサートの例だと、2~3分もすれば一定のリズムになって「アンコール!」の流れになって行く筈だったが、今日はいつまで経ってもその兆候は出ず、延々と普通の拍手が続いた。

 

5分以上拍手が続いてからマスターの声で「ママの出番は終わったのですが、JUJUさんが来てくれたようです」。

 

そしてレインボーカラーのミニワンピースを着たJUJUが登場。
メドレーで「PLAYBACK」「Believe believe」「What You Want 」

最後に演奏者たちの紹介を行って、皆をステージの前一列に並べ、手をつないで一斉におじぎ。
演奏者たちを去らせ、最後に残ったJUJUが少し話をしてからステージの左、中央、右に移動して手を振りステージ下手に去って行った。

 


感想
アリーナ席はほぼ満席、スタンド席も多分9割近くは埋まっており、さすがの集客力。
「スナックJUJU」という趣向はほぼ成功と言えるだろう。彼女自身、不遇の時代を経験しているからこそ、MCやっても堂々としていて、精神面の余裕がある。
その分リラックスしすぎてプロらしくない、ともいえる。ステージをスナックに見立てて楽しむという事と、プロの歌手の技を堪能するという事は、両立し難いということかも。

 

開演前にジャンジャン流されていた彼女の「Summertime」や「Take 5」などのJazzナンバーは一曲もやらず、やっぱ「昭和のスナック」でした。

 

 

セットリストまとめ

 

あゝ無情

六本木心中

飾りじゃないのよ涙は

シルエット・ロマンス

二人でお酒を

真夏の夜の夢

影になって

GOODBYE DAY

恋におちて

みずいろの雨

メドレー (ラストシーン~この夜を止めてよ~ナツノハナ~やさしさで溢れるように)

ロンリーチャップリン

DESIRE -情熱-

喝采


アンコール:

PLAYBACK

Believe believe

What You Want

 

 

 

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2017年05月31日

メッセージ (原題:Arrival) 2017年

テーマ:最近の映画・TV

監督  ドゥニ・ヴィルヌーヴ

脚本  エリック・ハイセラー

原作  テッド・チャン 「あなたの人生の物語」

 

キャスト
ルイーズ・バンクス     エイミー・アダムス
イアン・ドネリー      ジェレミー・レナー
ウェバー大佐        フォレスト・ウィテカー
シェン上将         ツィ・マー

 

予告編

 


あらすじ
言語学者のルイーズ・バンクス。娘の記憶。彼女は病気で先立っていた。
大学の教室へ講義に行くが、生徒に「TVを見せて下さい」と言われる。
世界中の12箇所に出現した飛行物体(直立した楕円状:長さ450m)。世界中は大混乱に陥る。

 

休講となり自宅へ帰ったルイーズを、ウェーバー大佐が訪れ、彼女の言語学者の能力を使って異星人とのコンタクトを要請した。
半ば強引に、軍用ヘリでモンタナ州に出現した飛行物体調査の拠点基地に連れて行かれる。ヘリで同乗した物理学者のイアン・ドネリー。彼がこの調査チームのリーダー。サピア=ウォーフの仮説に関する考察(言語が知覚のあり方を形作る)。

 

 

その宇宙船は地表近くに浮いており、18時間に一回、最下部に開口部が現れる。
防護服を来てその穴に赴くルイーズ、イアンらの調査チーム。穴に入ると、途中で重力が反転し、開口の壁面に沿って歩けた。
最奥部まで行くと、そこには厚い透明な仕切りがあり、その奥から二体の異星人が現れた。7本の脚を持ったタコの様なイメージであり「ヘプタポッド」と名付けられた。
ルイーズは、彼らとは筆談が可能と判断し、次回コンタクトでボードに「HUMAN」と書いて自分を指さした。その領域の気体構成は地球のものと酷似しており、ルイーズは彼らに親愛の情を示すため、防護服を脱ぎ捨てた。

彼らからのメッセージとして触手から黒い液体が放出され、円環状の模様が出現した。
そのデータを持ち帰って分析に取り掛かるルイーズとイアン。二体の異星人にはそれぞれ「コステロ」「アボット」と命名。

 

 

その後も続くボードへの文字記載と手振り、それに返される円環文字。円環の各部に現れる微小突起の位置、長さ等が固有の意味を持ち、次第に解読が進められる。
ある時、透明な壁にルイーズが手を置くと、彼らも手を添えた。自分の娘のビジョンを瞬間的に感じるルイーズ。

 

言語の意味が概ね理解出来た状況で、ルイーズは彼らに「地球に来た目的は?」と尋ねると、その答えが「武器の提供」。この結果を知った軍部は宇宙人の攻撃が始まると思い込む。特に中国のシェン上将は宇宙船に対する攻撃の準備を始める。

 

武器という解釈ではなくツール、テクノロジーの意味かも知れないと考え、ルイーズとイアンは再度彼らとのコンタクトを取ろうと穴に入って行く。だがその直前に、軍隊内の狂信的な者がその中に爆弾を仕掛けていた。
彼らたちの反応がおかしく、透明な壁をドン、ドンと突いた。意味が判らないルイーズ。その直後に彼らから発せられた多数の円環メッセージ。いつものとは様子が違っていた。
その爆発の瞬間、ルイーズとイアンは穴の外に放り出された。

 

キャンプの医療班の中で目覚めるルイーズ。イアンも無事だった。軍が撤退を進める中、彼らが最後に放出したデータを見つめるうちに、突然自分が彼らの言語を解読した記念パーティーのイメージが頭の中に現れ、そのメッセージを瞬時に理解する事が出来た。武器の真の意味は「贈り物」。

 

一人で宇宙船に向かうルイーズ。宇宙船は例の爆破を受けて、地上から離れた所まで上がっていた。小型のポッドが宇宙船から出てルイーズの元に降り立った。それに乗って本体へ運ばれるルイーズ。
コステロと対面するルイーズ。アボットは例の爆発で負傷し、多分助からない。
危機的な状況で、協力の方法を尋ねるルイーズに、コステロはルイーズに未来を見通す力がある事を伝え、3000年後、我々が人間の助けが必要になるからここに来た、とも。

 

地上に戻されたルイーズ。異星人の目的は判ったものの、全世界で起ころうとしている攻撃、特に中国を止めなくてはならない。

 

そこで自分の未来を見るルイーズ。国際的な会合で中国の代表、シェン上将から核攻撃を思い留まったいきさつを聞かされる。上将の無き妻のダイイングメッセージをルイーズが直接電話で伝えた事で、彼女を信じ核攻撃を思い留まる事が出来た、と。
でも私は貴方の携帯番号を知らない、と言うルイーズに「ほら、今教えた」と番号を見せる上将。ハッと我に返りその番号をメモすると、撤退した者が残した携帯電話を見つけてシェン上将に電話。
軍内での探知システムで中国への電話が検知され、追い詰められるルイーズ。危ないところでイアンが体を張って時間稼ぎ。何とか上将と繋がり、攻撃中止へと向かった。

 

その全世界の動きを受けて、世界中の12体の宇宙船はかき消えるように消滅して行った。
危機は全て去り、イアンはルイーズにプロポーズする。娘を産み、その後イアンと別れ、結局娘も亡くす事が判っていて、その運命を受け入れるルイーズ。

 

 

感想
アクションらしいアクションはなく、地味な映画ではあったが、上質な手触りを感じた。

 

ヘリで向かう現地に行くまでの表現が秀逸。一本道に連なる車の列、それがどんどん膨らみ、野次馬の姿が見えたと思ったら、突然何も無くなった。軍による規制線の存在。そして前方、霧が這う向こうに出現する宇宙船。
自然も見事に取り込んで、このシーンはもう一度じっくり味わいたい。

 

7本脚のタコにはちょっとびっくり。ただ、特段の特徴もない地味さで、まあ許容範囲か。
言語を理解する事で未来が見通せる様になる、という概念がイマイチ理解し難いが、要は自分の子供が死ぬという個人的な体験が宇宙と直結しているという関連付けと、知った上でそれを受け入れる生き方。そういう資質があるから選ばれたのか。
何か「惑星ソラリス」を見た後に感じたものと共通するイメージが心に残った。

 

この監督、ブレードランナーの続編も手掛けているらしい。楽しみ。

 

 

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