この記事は6227文字です。(読破予想時間:約14分49秒)
いつも読んで頂いてる方には、耳にタコが出来る思いかもしれませんが、僕はソロの音楽アーティストです。
そして、マルチプレイヤーであるといつも自己紹介させて貰ってます。
しかし、僕の場合は、楽器はマルチでも、歌う事が本分だと言う意識を常に持っている人間なので、一つだけパートを限定して答えなくてはならないのであれば「ボーカリスト(歌い手)です」と答えます。
でも、それもひっくるめて、マルチプレイヤーと言う意味でもあります。
今回は、そんなマルチプレイヤーの憂いや心の内をちょっと語ってみたいと思いますので、よろしくお願いします。
それでは開演です。
マルチプレイヤーと紹介させて貰ってはいるが、全てのパートを自分で演奏して音源制作をしていると言う意味で、それ以上でも以下でもない。
全てのパートでハイレベルな演奏が出来ると言う意味などでは決してない。
ハイレベルと言う言葉も、何を基準にどこからがハイレベルとか決まっている訳ではないので、それ自体曖昧であるしどのパートとどのパートはハイレベルで、どのパートが普通などと言えるものでもない。
この場合は、自分の中で一番得意とするパートから苦手とするパートまでの差がそれなりにあって、ある程度のばらつきがあると言った方が分かりやすいのかもしれない。
随分前に少し、僕が各楽器を覚えていった時期や順番を記事にさせて貰ったのだが、僕の場合、大雑把に言って、後から覚えた楽器程得意である傾向が強い。
かと言って、好き嫌いがある訳でもなく、苦手意識がある楽器も得にない。
複数あれば、それは自然と優劣だとか順位くらいつくのは当然の話だろうと僕は思っている。
どうしてこんなにいろいろな楽器に手を出したのかと言うと、説明は難しいのだが、まさに「今、この日の為に」、次々と覚えていったと言う気がするのだ。
当時、「いつかはマルチに演奏出来る様になって、自分の曲を全て自分で演奏して音源化するぞ!」などと具体的に考えていた訳ではない。
でも、薄らぼんやりとこれに近い事を考えていた事は確かだ。
アコギを始めて3年程して、まだアコースティックギターしか弾けなかった僕が、ベースを弾こうと思ったのも、単純にいろんな楽器を覚えたいと言う思いからだったが、ベースを手にした辺りから、数年のうちに出来る限りの楽器を身につけなくてはと言う、不思議な感覚に急かされる様にどんどん覚えていこうとしたのは確かな事だ。
しかも、その流れが無理なく自然にどんどん楽器や環境やメンバーに恵まれて、今から思えば、本当にその為の流れだった様に感じる程スムーズに事が運んだのだ。
とは言え、いろんなバンドを掛け持ちする事をあまりいい風に思わないメンバーも当然その中にはいたし、メンバーでなくても、いろんな楽器をやってる人間となると、一つのパートのエキスパートに比べて、あまり高く評価して貰えなかったりする場合も当然あった。
しかし、どうしてか分からないが、途上中の昔は「今は、高く評価して貰わなくても構わない」と言う意識が根拠なくいつもどこかにあった気がするのだ。
もし、僕がバンドと言うものに、希望を見いだせなくなった時に、マルチプレイヤーとしてのスキルを身につけていなくて、ギターを弾きながら歌う事しか出来なかったとしたら、音楽を続ける事は出来なかったかもしれない。
そんな時に、ソロでやろうと言う発想と決意に至ったのは、間違いなくマルチプレイヤーとしてのスキルに対する自信が背景にあったのは事実だ。
故に、過去の流れと今が、全て繋がっている様な気がすると言う訳だ。
そんな僕に説教する年上の先輩ミュージシャンもいたが、僕は何故か、それが使命の様に感じて他人の意見には左右されはしなかった。
これは理屈ではない。
どうして、その頃に、何かに突き動かされる様な感覚や、使命であるかの様な感覚を持っていたのかは分からないが、今になると何となく、さっき言った「今、この時の為に」だったのではないかと思えるのだ。
色々なプラスの出来事もマイナスの出来事も、後になって、「あ~、この日の為だったのか!」と繋がる感覚が湧くと言う人がいるが、僕も数年前によくその感覚を目一杯味わった一人だ。
その内の一つがこのマルチプレイヤーに至った経緯だ。
全ての楽器をある程度演奏出来る様になってからは、マルチプレイヤーである事を知ると「凄い!」と言ってくれる人や「羨ましい」と言う人がポツリポツリと出て来る様になったが、実は、「それ程良い物ではないよ」と言う思いが僕の中にはある。
僕の場合は、この形は理想の形ではあるのだが、特に普通にバンド活動などをしていこうって人がマルチを目指すには、デメリットの方が大きいのではないかと僕には思える。
全ての楽器をかじる程度なら、むしろ、僕もそれは推奨する。
バンドをするのなら、他のパートを知っておいて損はないからだ。
しかし、全パートをある一定のレベルに押し上げようとするには、捨てなくてはならない物がたくさん出て来ると言う事を知っておいて貰いたい。
人生は思ったより長くはない。
個人差はあるものの、その人生の中で出来る事なんて限られてくる。
なので、時間は有効に使うべきだ。
簡単な話、あまり欲張ると、何も極められず全てが中途半端に終わりかねないと言う事だ。
例えば、ギターレジェンドに憧れて一流のギターリストになりたいと思ってる人間が、ベースもドラムもボーカルもお金を稼げるくらいの腕になろうと努力したとする。
しかし、お金を稼げると言うレベル程度なら、まぁ、不可能ではない。
でも、それに時間を割いている間に、ギターレジェンドへの道はどんどん遠ざかっていると言う事を意味している。
ギターレジェンドを目指すなら、その全ての時間をギターに費やす覚悟が必要である事は言うまでもない。
ゲームのキャラでもよくある、マルチなキャラみたいのものだと思って貰えばいい。
剣を持ってもそこそこ強いが戦士程ではなく、魔法もけっこう使えるが魔法使いには叶わない。
トータルに器用にこなす便利なキャラだが、特に秀でたものがないキャラと言う事も出来る。
そんなポジションだと思って貰えば分かりやすい。
現実には、他人が見れば「凄い!」と思ってくれる得意のパートとして、一つだけ底上げする事は可能だろう。
しかし、マルチプレイヤー本人の目には、やはり、本職の人間と自分の一番の得意パートの違いは明らかに分かる。
どう分かるのかの答えは、本職は凄いと僕はいつもリスペクトの念を抱いていると言うのが答えだ。
僕の場合は、これでも構わない。
このスタイルを望んで手にしたのだから。
僕は、他人の音楽要素やセンスを一切入れたくないと思って、今現在ソロ活動をしているので、これは理想のスタイルな訳だ。
僕と同じ考え方で、それが最後までブレないと言うのなら止める理由はないし、マルチを目指せばいいと思う。
でも、単に便利だとか何でも出来たらカッコいいだとかって考えならやめた方がいい。
判断は個人個人ですればいいが、僕からはそうアドバイスしてあげたい。
有名なミュージシャンでも、一人で全て録音したって音源を出してる人はたくさんいるが、それは、耳が肥えればいつかは分かると思うが、ほとんどの場合、マルチにそれ程レベルの高い演奏をしている訳ではない。
僕の知る限りその手の音源は、ちょっと慣れて来たくらいのアマチュアレベルの演奏で、その域なら、スタジオのリハの合間に遊ぶ程度で、気が付けばそこそこ出来るくらいにはなる。
そして、そこそこ程度なら、練習せずともそんなに一気に腕が落ちるものでもないし、また、簡単に覚え直す事も可能だ。
僕が知る限り、有名・無名に関わらず、本格的なマルチプレヤーと呼んで差し支えのないプレイヤーなど、ほとんどいない。
実は、ここから先は口にするのはタブーの領域で、ある意味企業秘密の様なものなのだが、僕の場合、必死に覚えて各パートでお金を稼げるレベルまで高めて、実際にお金も稼いでいたのだが、そのレベルに持っていく為に、そのパートがほぼ専門パートであるかの様な日常を送っている。
つまりは、そのパートでバンドを組んで、本格的に活動をして、個人では仕事も貰う。
そして、家に帰れば練習三昧の毎日だ。
専門パートであるかの様な日常とはそういう事だ。
そして、次の楽器のレベルが上がって来た頃には、また、そのパート専門のプレイヤーの様な日々になる。
そして、数年は、2つのパートが重なるハードな日々を過ごす事になるが、徐々に比率が新しいパートにシフトしていく。
そして、古いパートがフェイドアウトしていく。
その日々は言うまでもなく大きな経験になり、プレイ全体のレベルの底上げをしてくれる。
それを何度か繰り返して、僕と言うマルチプレイヤーが出来上がったのだが、一度覚えた技術はそう簡単には落ちない。
但し、毎日、音楽をしていればの話だ。
だが、あらゆるパートに、以前の様に時間を割ける訳ではない。
以前程の練習時間をあてられないので、当然、それ以上上手くなんてなる訳がない。
ただ、不思議と演奏の幅や表現力は経験と共に向上する事もあるので、あくまでテクニックがあがる事はないと言うだ。
細かく言うと、以前出来なかった事がいつの間にか出来ているなんて事も、実は、頻繁にあったりもするのだが、全体的には、おそらく静かな下降線を辿っている。
僕の場合は、曲作りと歌の練習にみっちり時間を割きたいので、他の楽器はどうしてもおろそかになる。
少しずつでも各パートの練習に時間を割けばいいと思う人もいるかもしれないが、それで一日を終わらせていては、一体何をする為にマルチプレイヤーになったのか分からなくなってしまう。
マルチになる事が目的だった訳ではないのだ。
マルチは目的ではなく、あくまで手段なのだ。
練習とまではいかなくても、毎日、フレーズを考えたり録音したりする時に、各楽器に触れているだけで一度覚えた技術のキープはある程度出来る。
しかし、やはり長年その状態が続くとやはり少しずつ腕が落ちていってる事にも気付き始める。
ここなのだ!
普通にバンドをしようとしてる人にお薦め出来ないポイントは!
いろんな楽器に、せっかく何年も時間を割いても、僕の様にしっかりした目的があればそれなりに納得もいくだろうが、目的がない人には、その時間が無駄になってしまうのだ。
それなら、始めから一流目指して、自分の専門パートを磨く時間に全てを費やした方が断然いい。
僕の場合は、ギターやベースやドラムでレジェンドになりたいとは思っていないのでこれでいいが、そうでない人が安易にこの道を歩いて来たのなら、きっと、一つのパートに打ち込んだ本職に対して、いつの日か、コンプレックスを抱く日がくるだろうと言うのは簡単に想像がつく。
そして、先程少し触れたが、僕の場合、プレイヤー指向より、アーティスト指向の方が断然強く、楽器の練習より、アイデアを練ったり作品を作ったりする事に重きを置くので、プレイヤー指向が強い人程、練習に時間を割いたりはしない。
僕にとっての楽器のテクニックは、あくまで、表現する為の手段なのであって、ギャラリーにそのテクニックを見せつけたいと言うたぐいのものではない。
聴かせたいのは、テクニックではなく、そこで何をどんな演奏でどんな歌でどんなアレンジでどう表現したかと言う事なのだ。
マルチプレイヤーの各パートの技術の維持と言うのは、これからの課題でもあり、それに関しては、どんどんいろいろと音楽活動の一環として、楽しみながらやっていくつもりだ。
しかし、楽しみながらやっていくのも本当だが、少しずつ衰えていく技術を感じるのも、マルチプレイヤー特有の憂いで、やっぱりそこは悲しいものがある。
技術の衰えを感じる様になるまでには、相当の年月がかかる。
プレイヤー指向が強い人なら、それを実感するまで、僕より更に時間がかかるだろうが、おそらく、年月と共にそれはやってくる。
だから僕と同じ道を行く、年下のミュージシャンがいるなら、「油断するなよ!そのうち必ず来るぞ!」と言ってあげたい。
それと、前にちょっと記事にした事があるが、やっぱりいろいろなパートで凄い演奏を見ると、ついついそっちへ走りたくなって、時間を費やそうとしてしまうのだが、それも難点だ。
今はもう、全てを止めて寄り道している場合ではない。
でも、アドレナリンが駆け巡ってなかなか制御するのも大変なのだ。
専門パートに特化してる人なら、よっぽどの寄り道でない限り、心置きなくそれに時間を割いてもいい場合もあるのだろうけど、マルチは、そのパートの数だけ寄り道の時間も数倍になってしまうので、この制御もマルチならではの憂いと呼べるだろう。
ここからあとがきになりますが、「マルチについて何か熱く語ってるけど、この人一体どの程度の演奏が出来るマルチなんだろ?」って人がいれば、是非、これを聴いてみて下さい。
解放/皆見つかさ | |
(『せっかくだから、少しでもいい音で音楽を楽しんで欲しい。 』) <ご購入はこちらから> |
以上、全て僕が演奏しています。
マルチプレイヤーと聞いて、「羨ましい」と思う人も、「凄い」と言ってくれる人も、「自慢か!」と思っている人も、実は、マルチなんてそんないいものでもないんですよ。(´0ノ`*)
あくまで自分にとってこのスタイルが必要だったってだけの話です。
秘密、秘密の内緒の話。
ここまでです。(。´・∀・)ノ゙ バィバィ~
☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*
もし、こんな僕に興味を持ったと言う方がいらっしゃったら、是非、この下のリンクをクリックしてみて下さい。
ミュージシャン、皆見つかさの世界が広がっています。o(゜∇゜*o)(o*゜∇゜)o~♪
関連記事:出来ないと決めないで、少しずつでもやらないよりはいい
関連記事:オカリナ始めました
関連記事:楽器を始めて最も楽しい時期が演奏力が最も上がる時期
関連記事:自分の経歴の全ては語れないけど、ちょっとだけよぉ~。
関連記事:他人の意見を聞くな
関連記事:歌う為のギターと本職のギター
関連記事:上手い下手の概念って人によって違うよね
関連記事:他人のする事が気になって
関連記事:音楽アーティスト「皆見つかさ」について【情報まとめ】
関連記事:この2年間に一番読まれた記事
関連記事:月間PVランキング、発表してみました。
関連記事:ブログを始めるにあたって