明日は第６０期王座戦５番勝負/第2局
初防衛を目指す渡辺明王座に
羽生善治二冠（棋聖、王位）が挑戦する第６０期王座戦５番勝負。
８月２９日（水）に行われました開幕戦/第1局は
後手・渡辺王座が１０４手までで勝利。
王座戦/第１局・終局直後
王座戦.第1局・最終盤戦を振り返る
【 第1局 ・ダイジェスト 】
１８手目△５三銀右。
上図での持ち駒
▲羽生二冠： なし
△渡辺王座： なし
振り駒の結果、先手となったのは羽生二冠。
初手▲７六歩～△８四歩からの３手目
羽生二冠は▲６八銀として、「矢倉」を明示。
渡辺王座も追随し、「相矢倉」を目指す進行となりましたが
渡辺王座が１６手目から△７四歩～△５三銀右（上図）
とし、両者因縁の「阿久津流急戦矢倉」へ。。
羽生二冠も早々と定跡から変化し、前例を離れる
序盤から神経を使う難しい展開となりました。
５７手目▲４二角成。
上図での持ち駒
▲羽生二冠： 銀、歩２
△渡辺王座： 歩４
その序盤から柔軟織り交ぜて
積極的に模様をリードしたのは、羽生二冠。
途中から９七の地点から戦局を覗いていた角が
上図５７手目に渡辺陣営へと飛び込み、一気に開戦。
以下、最終盤戦にいたるまで
羽生二冠が渡辺玉めがけて、猛攻を仕掛けます。
９２手目△３二銀。
上図での持ち駒
▲羽生二冠： 金、銀、歩
△渡辺王座： 角、金、桂、歩７
しかし、羽生二冠が攻めても攻めても
渡辺王座は的確な受けで決め手を与えず。
詰めろをかけるのが精一杯。。
ついに上図９２手目をみて
控え室検討陣をはじめ、「後手、受けきり」の声が。。
【 投了図・１０４手目△３八飛成 】
投了図での持ち駒
▲羽生二冠： 角、金２、銀、歩
△渡辺王座： 金、桂、歩７
事実、以降は攻守が入替わり
最後はものの見事に羽生玉を討ち取った渡辺二冠。
底なしを思わせる圧倒的な実力、強さをみせつけ
驚愕の開幕戦白星を飾ってみせました。
そんな開幕戦をうけて迎える
注目の第２局が、明日
神奈川県は横浜市「横浜ロイヤルパークホテル」にて
行われます。
個人的には
開幕戦前の両者の対戦で羽生二冠が
先手を持ち「矢倉」戦で勝利をおさめていたこともあり
との予想をたて
さらに言えば、羽生二冠が勝利するイメージを持って
開幕戦を観戦していました。
そのイメージ通り羽生二冠は先手となりましたが
戦型は「横歩取り」ではなく、またもや「矢倉」となり
早々に嫌な予感が。。。
あの渡辺王座を相手に勝っているとはいえ
「矢倉」三連投はさすがに、切り替えしにあいそうな予感を
誰しもが持っていたはずですが、羽生二冠はあえて投入。
居飛車党の看板でもある「相矢倉」で勝利しなければ
王座奪還はおぼつかない。
そんな気持ちの表れと、予想しますが。。。
ただ、渡辺王座と対戦する時の羽生二冠は
「力づくで勝ってやる」「何が何でもこの手を咎めてやる」という
気迫を前面に押し出し
それが空回りして敗れるパターンが続いている印象で
開幕戦も、残念ながらそのパターンに陥った感が大きく残りました。
５７手目▲４二角成。
上図での持ち駒
▲羽生二冠： 銀、歩２
△渡辺王座： 歩４
難解極まるりギリギリの終盤戦ではありましたが
そこの攻防のアヤで渡辺王座が逆転したという印象はなく
やはり、上図５７手目の角切りからの構想に無理があったのかも。。
いずれにしろ、後手番で苦しい勝負をものにし
白星を手に入れた渡辺王座にとっては大きな大きな１勝。
先手で迎える第2局に勝利すれば
早くもタイトル防衛に王手がかけられるだけに、心理的にも
精神的にも優位な状態で、明日をむかえらえれそうです。
渡辺王座の今期ここまでの成績は
１３戦８勝５敗（．６１５）。順位戦はＡ級で１勝１敗。
羽生二冠の今期ここまでの成績は
３２戦２４勝８敗（．７５０）。順位戦はＡ級で開幕２連勝。
対局数、勝利数ともに全棋士中ダントツトップ 。
先週の土曜日には非公式戦ながら第２０回達人戦で
「永遠のライバル」森内俊之名人との決勝戦を制し
見事、二年連続優勝を達成 したばかり。
百戦錬磨の羽生二冠
明日も気持ちを切り替え、貪欲に勝利を目指す姿を披露し
見る者の心を熱く揺さぶってくれるはず。
両者の対戦成績は
３６戦して渡辺王座の２０勝１６敗。
第１局終了直後のTwitterでは
「羽生二冠は振り飛車を」という呟きが多く見られましたが
個人的な予想としては、明日も「相居飛車」で
両者の戦いらしい、強烈にねじり合う展開を予想します。