第83期棋聖戦5番勝負/第3局「千両役者・羽生棋聖防衛成る」 | 柔らかい手~個人的将棋ブログ

第83期棋聖戦5番勝負/第3局「千両役者・羽生棋聖防衛成る」

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5連覇を目指す羽生善治棋聖に

中村太地六段が挑戦する第83期棋聖戦5番勝負。


ここまで2局を消化し、羽生棋聖の2連勝。

タイトル防衛に王手がかけられてむかえた注目の第3局が

本日より、島根県江津市「旅館ぬしや」にて行われました。



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棋聖戦/第3局・柔らかいプレビュー



早くもタイトルの行方がかかる

大一番となった第3局の先手は羽生棋聖。

いつものように、初手▲7六歩からスタート。。




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16手目△3三角。


上図での持ち駒


▲羽生棋聖: 歩3

△中村六段: 歩2



本局はおなじみの定跡手順から

15手目に羽生棋聖が3筋の歩を取って(▲3四飛)

「横歩取り」に。


今回で4度目となる両者の顔合わせのうち

実に3度目となる「横歩取り」。。


手番は全て同じで

羽生棋聖が先手。中村六段が後手。。


カド番に立たされ、もう後の無い中村六段としては

3度目の正直で、今だ勝ったことのない羽生棋聖に

何とか一矢報いたいところ。


羽生棋聖が「横歩」を取った次の

16手目の局面で、中村六段は3三角と受けました。


ここでいきなり

三浦弘行八段ばりに △8八角と飛び込めば

「相横歩取り」の進行となり、一気に開戦し激しくなりますが

中村六段は手慣れた進行を選択。。




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19手目▲5八玉。


上図での持ち駒


▲羽生棋聖: 歩3

△中村六段: 歩2



一方の羽生棋聖は

中村六段の18手目△2二銀をみて

いきなり玉を立て、後手の動きをけん制。。




柔らかい手~個人的将棋ブログ-21


21手目▲9六歩。



上図での持ち駒


▲羽生棋聖: 歩3

△中村六段: 歩2



中村六段が同じく玉を立てて手を返すと(20手目△5二玉)

羽生棋聖は今度は9筋の歩をついて中村飛車を挟み撃ち。。

強引に中村飛車を8四の地点へと引かせました。





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28手目△8七歩。


上図での持ち駒


▲羽生棋聖: 歩3

△中村六段: 歩



中村飛車を引かせてからは

金を左右に開き「中住まい」調に構えた両者。


羽生棋聖は7筋で歩を突きこし、桂馬を跳躍させる

大胆な活用を試みますが、桂馬が跳ねた瞬間

中村六段は角の頭に歩を突きつけ、反撃開始。。




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32手目△9三桂。


上図での持ち駒


▲羽生棋聖: 歩4

△中村六段: 歩



中村六段が羽生角を追い込みながら

右の桂馬の活用をはかったところで、お昼休憩に突入。。



【 お昼のメニュー  】


両者ともに

天ぷらそば(ふぐ、きす、かきあげ)とおにぎり(梅、おかか)





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34手目△8五桂。


上図での持ち駒


▲羽生棋聖: 歩4

△中村六段: 歩



午後開始の一手は羽生棋聖の33手目▲8六角。

角がまさにカクカク動きながら上昇してきました。


中村飛車ともろに向かい合っていますが

もちろん3六の飛車が利いており、後手は歩も使えないので

とりあえずは安泰。。


ということで

中村六段は次の34手目に右の桂馬が二度目の跳躍。

積極的に桂馬交換を打診しました。


羽生二冠も応じ、すぐに桂交換は成立。

そして開戦となりました。。




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41手目▲8八歩。


上図での持ち駒


▲羽生棋聖: 桂、歩5

△中村六段: 桂



先に攻撃の主導権を握ったのは中村六段。

駒はかたまっているものの、玉にはヒモのついていない

羽生陣営左側を飛車と角のコンビネーションで鋭く射抜きます。


羽生棋聖は辛抱を思わせる歩の受け。


中村六段は次の42手目に

飛車を突っ込み(△8六飛)勝負に出ます。。



柔らかい手~個人的将棋ブログ-45


45手目▲2四桂。


上図での持ち駒


▲羽生棋聖: 飛、歩5

△中村六段: 角、桂


中村六段は馬を作り(△44手目7七角成)

羽生陣営の左側をうまく崩したようにしか見えない

上図の局面で、羽生棋聖は受けることなく

桂馬を攻め駒として投入。。


羽生玉の右側は自らの駒で壁を作っており

逃げ場もない中で、相手に手を渡したということは、つまり。。



「俺の勝ちだ」


羽生棋聖の高らかな勝利宣言!




真面目な好青年・中村六段は

以下△6六桂~▲同歩~△6七角~と素直に

寄せていきますが。。。




棋聖戦/第3局の棋譜中継はこちら



柔らかい手~個人的将棋ブログ-51


51手目▲2七金。


上図での持ち駒


▲羽生棋聖: 飛、桂、歩5

△中村六段: 金


ギリギリまで引き付けてから

羽生棋聖は金の扉を開き、玉の逃げ道を確保。




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59手目▲3六飛。


上図での持ち駒


▲羽生棋聖: 歩5

△中村六段: なし



怒った中村六段が羽生攻撃軍に牙をむくと

羽生棋聖はさっと飛車を引き、この土壇場で、いや土壇場だからこそ

千両役者の駒捌きを、満天下の将棋ファンに披露。。



【 投了図・77手目▲3二金 】




柔らかい手~個人的将棋ブログ-77


77手目▲3二金。


上図での持ち駒


▲羽生棋聖: 角、桂、歩5

△中村六段: 飛、桂



それでも、中村六段は喰らいつき

見応えのある攻防が最後の最後まで繰り広げられましたが

しかし、上図77手目をみて中村六段、無念の投了。



この瞬間

今シリーズ3連勝となった羽生棋聖の5連覇が達成されました。


また

このタイトル防衛で、獲得タイトル数が81期となり

大山康晴十五世名人を抜き、史上1位に躍り出ました。



さすが羽生棋聖。強く、格好良かったです!