羽生名誉NHK杯誕生。。第61回NHK杯/決勝を振り返ろう | 柔らかい手~個人的将棋ブログ

羽生名誉NHK杯誕生。。第61回NHK杯/決勝を振り返ろう



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日曜午前のお楽しみ、第61回NHK杯将棋トーナメントは

昨日、決勝戦「羽生善治二冠-渡辺明二冠」という頂上決戦が

放送されました。



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44手目△9五歩。


上図での持ち駒


▲羽生二冠: なし

△渡辺二冠: なし




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「振り駒名人」の異名をとる

荒木宣貴三段による渾身の振り駒の結果、先手は羽生二冠に。



初手から▲7六歩~△8四歩ときて

羽生二冠は3手目に「矢倉」を提示する▲6八銀としました。


渡辺二冠は生粋の居飛車党。

中でも「矢倉」は現在、将棋界最強との呼び声さえ聞かれるほどの

実力と自信を持っており、後手番ながら当然受けて立ち、決勝戦は「相矢倉」に。


以降は猛烈なスピードで定跡手順の駒組へ。


居飛車、振り飛車ともに苦もなく指しこなす将棋界屈指のオールラウンダー

羽生二冠も基本線は居飛車。


「矢倉」はもちろん主力中の主力としており

来月いよいよ開幕する第70期名人戦7番勝負でも採用されるのは確実。



今回、羽生二冠は

現代矢倉を代表する「4七銀3七桂」型に、まずは構えました。



渡辺二冠に

上図44手目△9五歩で次の手を聞かれた羽生二冠は。。




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45手目▲6五歩。





次の45手目に▲6五歩。いわゆる「宮田新手」を採用。



ちなみにこの45手目の局面の模様は

昨年度の第60回NHK杯準決勝で両者が対戦 した時と手番ともども

全く同じ模様に。(その時は113手までで羽生二冠が勝利)




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61手目▲5五銀。


上図での持ち駒


▲羽生二冠: 歩

△渡辺二冠: 香、歩3



駒組も飽和点をむかえ

3筋での銀交換から戦いがスタート。


羽生二冠はこのところの「矢倉」戦で主張としている

端をめぐる折衝を入れてから渡辺角の捕獲へ。。。



渡辺二冠、次の62手目は

角を逃げることなく、△2六銀成でした。




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67手目▲1三桂成。


上図での持ち駒


▲羽生二冠: 角、歩2

△渡辺二冠: 香、歩4



銀と角を交換してから飛車を走らせた羽生二冠。

その飛車取りには構わず、再び端へ味をつけます。




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75手目▲7一角。


上図での持ち駒


▲羽生二冠: 銀、桂、歩

△渡辺二冠: 飛、桂、香、歩4


飛車をあっさりと手放しても、手番は渡さない羽生二冠。

渡辺陣営最下段に角を投入。。


飛車取りとともに

二枚の角が4四の地点を睨む、実に受けにくく悩ましい剛手。。


渡辺二冠は次に△2五成銀とし

飛車を見捨てて、3五の地点に居る羽生角を払いにいきましたが。。


羽生二冠はそこから

▲4四角~△同金~▲同角成~、次の△3三銀をみて




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81手目▲7一龍。


上図での持ち駒


▲羽生二冠: 金、銀、桂、歩2

△渡辺二冠: 飛、角、桂、香、歩4


華麗な捌きで再び飛車取り。

手番を渡すことなく攻め手が気持ちよく続きます。





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87手目▲4八銀。


上図での持ち駒


▲羽生二冠: 金、歩

△渡辺二冠: 角、桂、香、歩5



羽生二冠のペースで進行しているように感じられましたが

しかし、相手は豪腕で鳴らす渡辺二冠。ワンチャンスあれば。。



なかなか手番が与えられず

ジッと受け続けていた渡辺二冠が、一瞬開いた間に

羽生陣営最下段に飛車を投入。



これをみて羽生二冠は大胆にも4八の地点に銀を投下。。

強引にその飛車の移動をうながしました。




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112手目△6二飛。


上図での持ち駒


▲羽生二冠: 金、銀、桂、歩2

△渡辺二冠: 角、香、歩6



それでも、羽生二冠が主導権を握っているムードの中

いよいよ終盤戦へと突入。。。




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昨日は対局開始直後から、小柄な渡辺二冠が大きくみえた。。

そんな印象を受けた将棋ファンの方も多いのではないでしょうか。


背を丸めて考える羽生二冠とは対照的に

時に腕を組み、扇子を広げ見下ろすように盤を睨んだ渡辺二冠。


その姿は自信のさらにはるか上行く凄味、威圧感に溢れ

眼鏡越しに鋭く光る眼からおでこにかけての雰囲気は、、、そう

大山康晴十五世名人を彷彿とされました。




上図112手目△6二飛以降も

渡辺二冠は最善の応手で、羽生二冠に一つのミスも許しません。

まさに至高の頂上決戦、羽生二冠の手が震えだしました。。。




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136手目△8五香。


上図での持ち駒


▲羽生二冠: 飛、金2、香

△渡辺二冠: 角2、金、銀、桂、歩8



常に王手をかけ続け羽生玉に迫る渡辺二冠。

その網をかいくぐるように羽生玉は上部へと脱出を図ります。




そして。。



【 投了図・147手目▲9三金 】





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投了図での持ち駒


▲羽生二冠: 飛、金、歩3

△渡辺二冠: 銀、桂、歩6



羽生玉に執拗に迫った渡辺二冠でしたが

羽生二冠も指し手は正確無比。


ついに捕らえることは成らず

上図147手目までで、無念の投了となりました。



この瞬間、羽生二冠の

NHK杯20連勝、4連覇。通算10回目の優勝により初代名誉NHK杯獲得の

歴史的偉業が達成されました。




柔らかい手~個人的将棋ブログ-祝!初代名誉NHK杯



本当に素晴らし将棋をみせていただきました。

羽生名誉NHK杯、おめでとうございます!









「毎日の将棋学」