唖然。。第60期王座戦5番勝負/第1局の最終盤戦を振り返ろう
【 第60期王座戦/第1局 】
71手目▲2三歩。
上図での持ち駒
▲羽生二冠: なし
△渡辺王座: 角、歩6
昨日行われました第60期王座戦5番勝負
「渡辺王座-羽生二冠」の注目の開幕戦/第1局。
初手▲7六歩から
△8四歩~▲6八銀~と矢倉模様で進行し
渡辺二冠が△7四歩~5三銀右と「急戦矢倉」を投入。
その動きに対し
羽生二冠は早め早めに手を変え、手将棋に持ち込みます。
難しい駒組みがしばらく続いた後
羽生二冠は事前に9七の地点に配置しておいた角を
57手目に思い切り渡辺陣営に飛び込ませ戦闘開始。。
羽生二冠が猛攻を仕掛ける展開で
上図71手目をむかえます。
この時、時刻は夕方6時を目前に控え
このまま王座戦独特のルールである夕食休憩(18時~19時)
突入かと、思われましたが。。
72手目△3三金。
上図での持ち駒
▲羽生二冠: なし
△渡辺王座: 角、桂、歩6
「夕食を食いながら悩むのは俺じゃない、あんたの方だ」
まるでそう言っているかのように
それまでひたすら羽生二冠の攻撃を受け続けていた渡辺王座は
一息つく暇など要らないと、力強く指し手を進めました。。
ここで羽生王座の手は止まり、胸騒ぎのする夕食タイムに。。
75手目▲4五銀。
上図での持ち駒
▲羽生二冠: 金
△渡辺王座: 角、桂2、歩6
夕食休憩明けからは
▲3三桂成~△同金~▲4五銀~と進行。
休憩中に野月浩貴七段が指摘した手順と同じで
野月七段の見解は「先手の駒にかなり勢いがあります。」
またニコ生の解説をつとめた豊川孝弘七段も
この局面では「先手が優勢なのかも」とコメント。。
しかし、羽生二冠は休憩が明けてから
さらに10分の時間をつかい、73手目▲3三桂成を着手しており
確信というより、変調のニュアンスが漂い始めます。。
76手目△6七桂。
上図での持ち駒
▲羽生二冠: 金
△渡辺王座: 角、桂、歩6
逆に、この土壇場にきて存在感を増す渡辺王座。。
先手期待の進行を、むしろ待っていたかのように
間髪入れずに逆襲の6七桂。。
以下、▲同銀~△4五銀~▲6六銀~と
間合いを計りあってから
81手目▲2二「と」金。
上図での持ち駒
▲羽生二冠: 金、桂、歩
△渡辺王座: 角、銀、桂、歩6
渡辺王座は9筋で(80手目△9七歩成)
羽生二冠は2筋の飛車先でそれぞれ「と」金を作り
いよいよ最後の攻防へ。。
87手目▲2五桂。
上図での持ち駒
▲羽生二冠: 金2、歩
△渡辺王座: 角、銀2、桂、歩7
本局の流れ通り
先に攻勢に出たのは羽生二冠。
上図の2五桂では、やや減速感も感じられましたが
それでも▲3三金~△同角~▲同桂成~同玉の一本道から
▲5一角の詰めろをみています。。
渡辺王座の受け手は88手目△2三銀。
91手目▲2三飛成。
上図での持ち駒
▲羽生二冠: 金、銀、歩
△渡辺王座: 角、金、銀、桂、歩7
攻め続ける羽生二冠。渡辺玉を最下段に落として、龍を作り
今度ははっきりとした「詰めろ」がかかりました。
「詰めろ」とは
攻められてる側が
次に受けるか、先に攻めてる方の玉を詰まさなければ
「王手、王手」で詰んじゃいますよ
という意味。
上図では次に▲3二金で、羽生王座の勝ち。
しかし、渡辺王座の次の一手で
感嘆と落胆のため息が将棋界を被うことに。。。
92手目△3二銀。
上図での持ち駒
▲羽生二冠: 金、銀、歩
△渡辺王座: 角、金、桂、歩7
渡辺王座は慎重に時間を使い、3二銀の受け。
4四の角が強烈に利いており
これにて渡辺王座、受けきりとなりました。。。
94手目△8八金。
上図での持ち駒
▲羽生二冠: 金、銀2、歩
△渡辺王座: 角、桂、歩7
羽生二冠は執念でその角を消しにいきますが
次の瞬間、渡辺二冠が素早く反撃に。。
【 投了図・104手目△3八飛成 】
投了図での持ち駒
▲羽生二冠: 角、金2、銀、歩
△渡辺王座: 金、桂、歩7
渡辺王座の鋭く、正確な寄せの前に
上図104手目までで羽生二冠、無念の投了。。
渡辺王座は今だ底のみえない、驚愕の強さを見せつけ
大事な開幕戦を、見事な勝利で飾りました。。