第２０回達人戦は羽生二冠が優勝、２連覇達成！
いよいよ本日、決勝戦を迎えました
将棋界唯一のシニア棋戦・第２０回達人戦。
昨年、森節が唸りをあげ大好評を博した
ニコニコ生放送にて、今年もライブ中継が行われました。
開会に先立ちまして
僕等の時代スパースター・谷川浩司九段のご挨拶。
「自宅のパソコンは富士通です」
さすがに場慣れした洗練されたスピーチで
会場の雰囲気を和ませた谷川九段。
その後
今回の決勝戦を「名人戦/第８局」と位置づけた
週間朝日編集長の熱いスピーチに続きまして。。
本日、お手伝いしてくださる棋士の方々のご紹介。
読み上げは
将棋界の妖精・あじあじこと安食総子女流初段。
秒読みは
ＮＨＫ杯でもお馴染みのイケメンボーイ・黒沢怜生三段。
解説は
おしゃべり大好き森下卓九段と山田久美女流三段という
魅惑の面々が集いました。
そして
本日の主役
森内俊之名人と羽生善治二冠が登場。
いよいよ、対局へ。。
両者の経歴が紹介される中
駒袋から駒を出し、並べるところから全て公開。。
振り駒の結果、先手は羽生二冠となりました。
４手目△３二金。
上図での持ち駒
▲羽生二冠： なし
△森内名人： なし
万雷の拍手の中、対局開始。
羽生二冠の初手▲７六歩に対し
森内名人は今期の第７０期名人戦を彷彿とさせる
２手目△８四歩と返しました。
次の３手目に羽生二冠が▲６八銀とすれば
「矢倉」への進行となりますが、本局では羽生二冠は
飛車先の歩を伸ばす３手目▲２六歩。
これで「矢倉」の可能性はほぼなくなり
森内名人の４手目に戦型選択が委ねられた形となりました。
森内名人はここで飛車先の歩をつき返すことはせず
４手目△３二金。
ということで、「角換わり」を目指す展開へ。。
１０手目△７七角成。
上図での持ち駒
▲羽生二冠： なし
△森内名人： 角
持ち時間はそれぞれ１５分ということで
とんとん拍子に定跡手順で進行し、正調「角換わり」に。
３０手目△５四銀。
上図での持ち駒
▲羽生二冠： 角
△森内名人： 角
角交換の後は、互いに端歩を受けあいながら
右の銀が中央へと繰り出し、歩の椅子に腰掛ける
「相腰掛銀」となりました。
４３手目▲２八角。
上図での持ち駒
▲羽生二冠： なし
△森内名人： 角
さらに定跡手順で進行し
今期の名人戦の勝負を決した第６局でも披露された
羽生二冠の自陣角が登場。
名人奪取成らずとなった第６局を踏襲するあたり
さすがは羽生二冠と言ったところでしょうか。。
一方、同時進行で行われている
森下卓九段の解説もまた、いつものように舌好調。。
「森内さんと羽生さんが奨励会に入会した８２年には
東北新幹線が開通しました。」
５０手目△７二飛。
上図での持ち駒
▲羽生二冠： 歩２
△森内名人： 角、歩
しかし、先に名人戦/第６局から手を変えたのは
その時勝利をおさめ名人防衛を決めた森内名人。
名人戦/第６局では△７三歩とした上図の局面で
森内名人は飛車を一列動かし角の当りをかわしました。
５６手目△７三角。
上図での持ち駒
▲羽生二冠： 歩２
△森内名人： 歩
先に仕掛けたのも森内名人。
８筋で歩の連打を入れてから、角を合わせました。
しかし上図から△同角～▲同桂と進行し
羽生二冠は何事もなかったように再び２八の地点に
角の打ちこみ（５９手目）。。
この辺りから森内名人、長考に。
構想に誤算が生じましたでしょうか。。。
６７手目▲８三銀。
上図での持ち駒
▲羽生二冠： 銀、歩２
△森内名人： 角、銀、桂、歩２
逆に羽生二冠の指し手には迫力が宿ります。
後手の二枚の銀をゲットしてから、自陣にいた角が
多い威張りで天王山にせり出しました。
さらに森内飛車を咎めに行くと。。
６８手目△８七銀。
上図での持ち駒
▲羽生二冠： 銀、歩２
△森内名人： 角、桂、歩２
次の瞬間
森内名人はいきなり、羽生玉の頭上に銀を突きたて王手。
このままではジリ貧とみたか強くでて争点を広げます。
８１手目▲７三銀。
上図での持ち駒
▲羽生二冠： 銀２、桂、歩４
△森内名人： 角
ド迫力の猛攻で先手の囲いを崩した森内名人でしたが
慎重に受けにまわった羽生二冠が上図で反撃の一手。。
次の８２手目△７七銀成からの
後手の攻撃が続かなければ、先手の勝ちとの意思表示
となりましが。。
９２手目△３七角。
上図での持ち駒
▲羽生二冠： 銀３、桂、歩４
△森内名人： 歩
森内名人、怒りの猛攻。
右から左から羽生玉を追い詰めます。。
両者ともに持ち時間を使いきり考慮時間に突入。
秒が読まれる中で、至高の攻防が繰り広げられます。
１０５手目▲３一銀。
上図での持ち駒
▲羽生二冠： 角２、金、銀、桂、歩４
△森内名人： 銀、歩
ギリギリの攻防をかわし続けた羽生二冠が
ついに持ち駒をたらふく抱えて反転速攻、決めにいきます。
【 投了図・１０９手目▲２二金 】
投了図での持ち駒
▲羽生二冠： 角２、桂、歩４
△森内名人： 銀３、歩
高い技術で羽生玉を追い詰めた森内名人でしたが
猛追の代償としての駒損はいかんともしがたく
上図１０９手目までで、無念の投了。
この瞬間
羽生二冠の達人戦２連覇が決まりました。
表彰される羽生二冠に
拍手を送る森内名人の姿に胸アツ。。
羽生二冠、優勝おめでとうございます！