明日の大和証券杯は役者そろい踏み。。「羽生二冠-糸谷六段」
明日より7月。
7月1日は日曜日。日曜日、夜のお楽しみといえば
第6回大和証券杯ネット将棋最強戦。
□ 第6回大会トーナメント表 □
斬新なレギュレーションの変更 により
普段の公式戦ではなかなかお目にかかれない
トップクラスの棋士と新進気鋭の若手棋士の対局が次々に実現し
好評を博す大和証券杯。
先週行われた
因縁のカード「郷田真隆棋王-広瀬章人七段 」をもって1回戦終了。
月もかわって区切りの良い
明日から、トーナメントは2回戦に突入いたします。。
<第6回大和証券杯/2回戦>
羽生善治二冠-糸谷哲郎六段
2回戦の幕明けを告げるのは羽生二冠(棋聖、王位)。
対するは、2年連続NHK杯の決勝を戦った「西の怪物」糸谷六段。
実に楽しみな顔合わせとなりました。
羽生二冠の今期ここまでの成績は
17戦12勝5敗(.706)。6月末現在で対局数、勝利数ともにトップ。
森内俊之名人に挑戦した
第71期名人戦は、2勝4敗の成績で残念ながら名人奪取はならず 。
A級順位戦全勝優勝 を手土産に乗り込んだ名人戦。
名人へのなみなみならぬ意欲と決意が見てとれただけに
失意も想像を絶するほど、大きかったはずですが
モチベーションを落とすことなく、何事も無かったかのように
中村太地六段の挑戦を受ける第83期棋聖戦で開幕2連勝 を飾り
早くも5連覇に王手をかけるなど、淡々と白星を重ねていく羽生二冠。
そのタフな精神力、そして傑出した実力に
あらためて頭がさがります。
本トーナメント/1回戦では
棋聖戦の前哨戦 として、中村六段と対戦し95手までで勝利。
31手目▲3五歩。
上図での持ち駒
▲羽生二冠: 歩2
△中村六段: 歩2
この時は先手で
通算勝利率.770に迫る得意の戦型「横歩取り」へと進行。
いつも以上に強気の攻めで中村六段を圧倒しました。
例年通り
今期もここまでハイアベレージを維持する羽生二冠ですが
今期喫した黒星5つの打ち分けは、名人戦の4つと
「冬の本場所」第25期竜王戦1組4位決定戦での痛恨の黒星。。
(対丸山忠久九段)
つまり、「永世七冠」達成への最後にして最強の関門
渡辺明竜王が待ち受ける竜王戦への今期の出場の芽は、早くも
絶たれています。
くしくも昨日、開幕を迎えた 夏の恒例・竜王戦決勝トーナメント に
「主役」羽生二冠の名前が無いのは、何とも寂しい。。
ファンとしてはその寂しさを
白星を量産する羽生二冠の姿で、紛らわせたいところであります。
対します、糸谷六段の今期ここまでの成績は
開幕から8戦全勝。
木曜日にも白星を重ね(北浜健介七段戦)
先日ご紹介 させていただいてから、また連勝が1つ伸びました。
明日は
これまで大舞台で何度も顔をあわせている羽生二冠との対戦。
シーズン開幕から続く連勝の真価が問われます。
初出場を果たした大和証券杯の1回戦では
将棋界の山岳王にしてサイクリングマスター・中川大輔八段と対戦。。
4手目△8八角成。
上図での持ち駒
▲中川八段: なし
△糸谷六段: 角
後手となった糸谷六段は4手目で早々と角が飛び込み
「一手損角換わり」を選択。
92手目△7四歩。
上図での持ち駒
▲中川八段: 銀、桂、香、歩3
△糸谷六段: 銀、歩
銀のハッチを閉め、さらに金を二枚縦にならべる
折り目正しい「穴熊」に玉をおさめた糸谷六段でしたが
中盤に失着を自覚する、苦しい展開で終盤戦へ。。
と、思いきや
さあ、これからという上図92手目の局面で
中川八段、まさかの操作ミス。。
着手確認チェックを外し忘れたとのことで
このまま痛恨の時間切れとなり、糸谷六段の勝利となりました。。
白星が勝手に転がり込み、運を味方につけた形ですが
運も当然、実力のうち。見えない後押しを受け、羽生二冠戦に臨みます。
注目の両者の対戦成績は
ここまで5戦して羽生二冠の3勝2敗。
上記のNHK杯/決勝では2度とも羽生二冠が勝利 。
直近の対戦は、昨年7月に行われた第19回銀河戦/準決勝で
顔を合わせ、83手までで糸谷六段が勝利をおさめています。
過去5度の対戦中、実に4度は「角換わり」の将棋となっており
最近の両者の傾向からみても、明日も「角換わり」からの勝負となりそう。
そうでなければ、「横歩取り」と予想します。
さらに明日の解説には
元祖怪童・加藤一二三九段が登場。
誰がどうもても役者のそろった明日の大和証券杯
見逃すわけには、いきません。
開始は明日夜8時より。
大和証券杯のトップページ に棋譜中継のリンクがあります。