第83期棋聖戦5番勝負/第2局「羽生二冠、完勝」
10手目△7七角成。
上図での持ち駒
▲中村六段: なし
△羽生棋聖: 角
5連覇を目指す羽生善治棋聖に
新進気鋭のイケメン棋士・中村太地六段が挑戦する
第83期棋聖戦5番勝負。
開幕戦を羽生棋聖が制してむかえる注目の第2局が
本日、愛知県豊田市「ホテルフォレスタ」にて開幕。
第2局の先手は中村六段。
羽生棋聖の注文を受ける形で戦型は「角換わり」となりました。
32手目△6五歩。
上図での持ち駒
▲中村六段: 角
△羽生棋聖: 角
棋聖戦は1日制のタイトルマッチということで
早いテンポで駒組は進行。。
双方の右の銀が中央5筋へと繰り上がり
自陣の歩に腰掛ける形から、上図32手目に羽生棋聖が
6筋を突いた模様が、後手の最善形とのこと。
40手目△2二玉。
上図での持ち駒
▲中村六段: 角
△羽生棋聖: 角
お互いの駒が盛上がり上部が手厚くなる中
両玉が入城を果たします。。
後手は2枚の金と銀でガッチリと「矢倉囲い」築かれ
なるほど、見るからに固く最善形は維持されたまま。。
次の41手目に
中村六段が飛車を6筋に振ると(▲6八飛)
羽生二冠も呼応するように、飛車を6筋へ(42手目△6二飛)。
そこから▲4八金引~△4二金引~▲6九飛~46手目△4三金~と
手の渡し合いがみられました。
47手目▲5九飛。
上図での持ち駒
▲中村六段: 角
△羽生棋聖: 角
中村六段の次の手は
飛車を1マス横に動かす5九飛。
本当は2筋へ振り戻したいところであえて一手間かけて
後手に手を渡しました。
48手目△9二飛。
上図での持ち駒
▲中村六段: 角
△羽生棋聖: 角
しかし、羽生棋聖は自ら仕掛けようとはせず
一見するととんでもない位置に飛車を置き
再び先手に手を渡しました。
最善形を維持する後手から動く気配がないとなると
先手としては、どう局面を打開するか悩ましいところですが。。
52手目△6四角。
上図での持ち駒
▲中村六段: 角
△羽生棋聖: 角
先に仕掛けたのは羽生棋聖。
中村六段が5筋の歩を突いた瞬間(51手目▲5六歩)
持ち駒の角をズバッと投入。
中村六段は慎重に間合いを計り。。。
57手目▲8三角。
上図での持ち駒
▲中村六段: なし
△羽生棋聖: なし
羽生陣営にお返しの角の打ちこみ。。
局面が煮詰まり、いよいよ開戦機運が高まります。。
67手目▲8六銀。
上図での持ち駒
▲中村六段: 歩2
△羽生棋聖: 歩2
開戦は歩の利かせあいから。
羽生棋聖は8筋の歩を突きこし(62手目△8七歩成)
挨拶がわりの王手。
中村六段はそれを金で払い
さらにその上に銀を乗せたところで、ようやくお昼休憩に。。
【 お昼のメニュー 】
中村六段: 牛フィレカレー、季節のサラダ、フルーツ
羽生棋聖: 寿司、味噌汁、メロン、グレープフルーツジュース
70手目△3五歩。
上図での持ち駒
▲中村六段: 歩3
△羽生棋聖: 歩
午後は開始から
羽生棋聖が△6八歩~△3五歩~と軽快に
歩の突き捨てを入れます。
が、上図の局面で
中村六段は▲同歩とすぐには応じず、長考に。。
71手目▲7四歩。
上図での持ち駒
▲中村六段: 歩2
△羽生棋聖: 歩
1時間と4分、考えて指された中村六段の71手目は
7筋に入る羽生角の頭上を叩く▲7四歩でした。
76手目△7二銀。
上図での持ち駒
▲中村六段: 歩3
△羽生棋聖: なし
羽生棋聖は
中村六段がじっくりと腰を落として読みを入れた71手目▲7四歩を
角を引いてヒラリとかわし(72手目△8八角)
8筋で歩のたたきを入れてから(74手目△8五歩)
上図の局面で銀を引き、駒の捌き合いに臨みます。。
86手目△7三歩。
上図での持ち駒
▲中村六段: 銀、歩3
△羽生棋聖: 角、桂、歩
互いの角を捌き合い
中村六段は銀を、羽生棋聖は桂馬をそれぞれに手にした後
中村六段はすかさず角を投入し、羽生棋聖は歩でブロック。。
戦いが激しさを増していき、終盤戦へと向かいます。
92手目△6六歩。
上図での持ち駒
▲中村六段: 銀、歩4
△羽生棋聖: 桂、歩
羽生棋聖もすぐに角を再投入し(88手目△4八角)
局面を惑わせる、いやらしい歩の垂らし。。
形勢は羽生棋聖有利との声が聞かれ始めました。
99手目▲6八銀。
上図での持ち駒
▲中村六段: 歩4
△羽生棋聖: 歩
羽生棋聖の絡みつくような攻撃を何とか振りほどこうと
中村六段は銀で馬を払いにいきましたが
以下
△5八馬~▲同金~△7九銀の進行で飛車・金取りがかかり
羽生棋聖の攻め手がむしろ加速する展開に。。。
106手目△5八銀成。
上図での持ち駒
▲中村六段: 角、桂、歩5
△羽生棋聖: 金、銀、歩
飛車を取られてはかなわないと
中村六段は▲7四銀~△同歩~▲同飛~と
上部へ飛車を走らせますが
羽生棋聖は冷静に
タダで取れる金をまずはゲット。。
110手目△6八成銀。
上図での持ち駒
▲中村六段: 飛、角、桂、歩5
△羽生棋聖: 角、金、銀2、歩
中村飛車が突進(107手目▲7一飛成)する間に
飛車を切って角と手に入れ、さらに銀もゲットし
中村玉を守っていた金と銀を剥がしました。。
112手目△5四角。
上図での持ち駒
▲中村六段: 角、桂、歩5
△羽生棋聖: 金、銀2、歩
「これが決め手です。
何度も羽生さんは確認したんだよ」(石田九段)
先週のNHK杯でいぶし銀の名調子 を聞かせてくれた
石田和雄九段が太鼓判。。
いよいよクライマックスへ。
【 投了図・116手目△7九銀 】
投了図での持ち駒
▲中村六段: 桂、歩5
△羽生棋聖: 金、銀、歩
劣勢を意識する中村六段も何とか粘りをみせましたが
羽生棋聖の大局感の前になす術を失い、上図116手目までで
無念の投了となりました。。
羽生棋聖、まさに横綱相撲の一局。
この結果
今シリーズの対戦成績が羽生棋聖の2連勝となり
棋聖防衛に、早くも王手がかけられました。