棋聖戦の前哨戦。。明日の大和証券杯は注目の「羽生二冠-中村六段」
日曜日夜のお楽しみとしてすっかり定着した感のある
大和証券杯ネット将棋最強戦。
今シーズンも
先週5月6日に行われた1回戦「佐藤康光王将-大石直嗣四段」から
第6回大会が開幕いたしました。
□ 第6回トーナメント表 □
前回の第5回大会より
出場棋士の選抜基準が大きく変更となった大和証券杯。
ということで今回も
羽生善治二冠、佐藤王将、郷田真隆棋王らおなじみの羽生世代や
渡辺明二冠といった超トップクラスの棋士に躍進目覚しい若手棋士が
1回戦から火花を散らす、新鮮で面白い対戦カードが目白押し。
その中にあっても、特別な意味を持つ
今最も注目されるカードが明日、実現します。
<第6回大和証券杯/1回戦>
羽生善治二冠-中村太地六段
6月6日(水)に兵庫県は洲本市「ホテルニューアワジ」にて
開幕を迎えます第83期棋聖戦5番勝負を戦う両者。
羽生棋聖と挑戦者・中村六段が、まさに前哨戦として明日、対戦。
両者は今回が初手合いでもあります。
【 第83期棋聖戦挑戦者決定戦 】
15手目▲3四飛。
上図での持ち駒
▲中村五段(当時): 歩3
△深浦九段: 歩2
中村六段は現在23歳。
昨年度の成績が47戦40勝7敗(.851)。
歴代2位となる高勝利率を記録するなど好成績を残しました。
順位戦もC級2組で10戦全勝。
先手の時は初手▲2六歩とすることがほとんどの居飛車党で
その好調さを支えているのは、棋聖戦挑戦者決定戦でも投入した
「横歩取り」。順位戦では10戦中6戦が「横歩取り」。
25手目▲3三桂。
上図での持ち駒
▲中村五段: 歩3
△深浦九段: 歩2
早稲田大学卒業のインテリ棋士でもある中村六段。
「横歩取り」の研究には相当自信を持っているのは明らかで
棋聖戦挑戦者決定戦でも、研究家として名高い深浦九段を相手に
横歩を取って以降も飛車を引かずに駒を盛り上げていく趣向を披露。。
57手目▲6五桂。
上図での持ち駒
▲中村五段: 歩4
△深浦九段: 歩
洗練された完成度の高い先手の指しまわしの前に
さすがの深浦九段も手番どおりに後手を踏む苦しい展開。。
【 投了図・75手目▲5三飛 】
投了図での持ち駒
▲中村五段: 歩5
△深浦九段: 飛、角、銀、桂、歩
一端、火がつくと激しくなる「横歩取り」とはいえ
75手までで、あの深浦九段から完封勝利。
六段昇段 を手土産に、挑戦権を見事獲得した中村六段。
今期もっとも注目される若手棋士と言っても、過言ではないはず。
今期の成績もここまで7戦6勝1敗(.857)と
快調に飛ばします。。
対します羽生二冠は
ご存知の通り現在、森内俊之名人との第70期名人戦の真っ只中 。
ここまで3戦を消化し1勝2敗。勝負どころを迎える中で
明日の対戦、さらには棋聖戦開幕も視野に入れての登場となります。
今期はここまで5戦して3勝2敗。
羽生二冠といえば
先手だろうと後手だろうと、居飛車だろうと振り飛車だろうと
相手から注文が出されれば、ほとんどの場合受けて立つことで有名ですが
広瀬章人七段には初手合いから3連敗。
豊島将之七段には初手合いから2連敗中。
戸辺誠六段、菅井竜也五段にも初手合いで金星を配給するなど
若手の研究が猛烈に行き届いている現代将棋界では、さすがに苦戦の跡も。。
しかし
戸辺六段、菅井五段 には次の対戦でキッチリと横綱相撲で示しをつけ
広瀬七段からは王位のタイトルを奪取 し、対戦成績もいつの間にか逆転
(羽生二冠の6勝4敗で、現在4連勝中)
と、対局を重ねるにつれ
やはり羽生二冠の偉大さ、強さが強調される結果となっています。
そういう意味ではタイトル戦に先駆けて行われる「初手合い」は
羽生二冠にとっても、まんざらではないタイミングと言えるのかもしれません。
戦型予想としましては
やはり「横歩取り」をみてみたいところですが。。果たして
対局開始は
明日13日(日)の午後20時から。
上記、大和証券杯のトップページから棋譜中継へと入れます。
どうぞお見逃し無く。
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日曜日、午前のお楽しみといえば何といっても
明日は玄人好みの渋いカードが実現。。
<第62回NHK杯/1回戦>
南芳一九段-行方尚八段
名著「南の右玉」で知られる南九段は
タイトル7期、順位戦A級9期を誇る実力者。
「地蔵流」と評される腰と口の重い棋風は健在。
ここ数年は竜王戦ランキング戦を舞台にしての
秀英・豊島七段との死闘で一部マニアの胸を熱く焦がす南九段。
【 因縁の対決 南九段-豊島七段の竜王戦三番勝負 】
09年12月24日
第23期竜王戦ランキング戦4組 ●先・豊島七段- 後・南九段○
11年1月31日
第24期竜王戦ランキング戦4組 ●先・豊島七段- 後・南九段○
11年10月28日
第24期竜王戦4組昇格者決定戦 ●先・南九段-後・豊島七段○
対するは
B級1組の実力者、酒豪にして愛されキャラの行方八段。
しかも解説には「妖刀」福崎文吾九段が登場。
コーヒーはブラックで、お酒は温めの燗がいい
という混じりっ気なし、深い味わいを求める人には必見の明日のNHK杯。
聞き手・矢内理絵子女流四段もなかなかのアクトレス。。
飲んだつもりが飲まれていたとならないように、注意深くご覧ください。