第52期王位戦7番勝負/第7局「鬼神のごとき強さ。。羽生二冠、王位奪取」
初防衛を目指す広瀬章人王位に
羽生善治二冠(棋聖、王座)が挑戦する第52期王位戦7番勝負。
ここまで6局まで戦い終え
白熱のシーソーゲームを展開しながら3勝3敗と五分の星が残り
タイトルの行方は最終/第7局までもつれ込みました。
138手までで後手・広瀬王位が勝利。
129手までで先手・広瀬王位が勝利。
117手までで先手・羽生二冠が勝利。
128手までで後手・羽生二冠が勝利。
横歩取りでの経験値の違いを見せつけ連勝 。
2勝2敗のタイスコアに。
しかし、あまりにも定跡で進行し過ぎ
中原誠十六世名人から苦言 をいただくことに。。
100手までで後手・広瀬王位が勝利。
必殺の十八番「四間飛車穴熊」を今シリーズ初投入。
タイトル防衛に王手。
122手までで後手・羽生二冠が勝利。
カド番に立たされながらも
タイトルへの執念を見せる羽生二冠は簡単には土俵を割らず 。
3勝3敗のタイに戻し、ついに決着は最終戦へ。。
【 第52期王位戦/第7局一日目終了図・39手目▲6五歩 】
終了図での持ち駒
▲広瀬王位: なし
△羽生二冠: なし
決着戦となる最終/第7局の幕が開いたのは
昨日、神奈川県秦野市鶴巻温泉「陣屋」にて。
振り駒の結果、先手となりましたのは広瀬王位。
その利をすばやく活かすように、3手目に6筋へと飛車を振り
迷うことなく十八番「四間飛車穴熊」へとまい進。。
羽生二冠も避けることなく追随し
「振り飛車穴熊」vs「居飛車穴熊」の対決模様をガッチリと描き
一日目は終了。
一夜が明け、本日二日目。
40手目△4二銀。
羽生二冠の封じ手
大方の予想通り4二銀からスタート。。
大方の予想通りということは、本筋。
まだ仕掛けどころではないということなのでしょうが。。
41手目▲4五歩。
「いや、もうここが仕掛ける時なのだ」と言わんばかりに
若き王位はいきなり飛車先の歩をぶつけて突っかけました。。
44手目△7七角成。
上図での持ち駒
▲広瀬王位: 歩
△羽生二冠: 角、歩
しかし、百戦錬磨の羽生二冠は見切っていたのか
▲4五歩~△同歩~▲同銀~△7七角成。。
若さの勢いをしなやかにかわし角交換へ。
46手目△6六角。
上図での持ち駒
▲広瀬王位: 角、歩
△羽生二冠: 歩
交換成立した瞬間に、手にした角を再投入。。
急所をつく羽生二冠。上図にて広瀬王位は長考に沈みます。。
47手目▲3七角。
与えられた局面をコツコツと解析し最善を積み重ねる。
全棋士の中で最も学業的な意味あいでの頭の良さを感じさせる
広瀬王位。
難解な方程式を前にしても
必要以上に難しがるでもなく、また喜んでみせるでもなく
現代っ子らしく感情の浮き沈みの発露に意味を与えずスマートに。
あえていうならば渡辺竜王に近いニュアンスに満ち溢れる
将棋界が堂々と世間に発信すべき新しいタイプの天才が
時間を使って出した答えは3七角。
この手をみて
羽生二冠はちょっと早めの昼食休憩をオーダー。
■ 両者の昼食 ■
陣屋名物・二種類の特製カレー(チキンとビーフ)
51手目▲5八金。
上図での持ち駒
▲広瀬王位: 歩2
△羽生二冠: 歩2
カレーを食べて元気100倍。
午後からは一気にヒートアップ。激しい戦い模様に。。
上図は
羽生二冠の角が成り込み飛車に狙いをつけた局面。
広瀬王位は4九の地点にいた金で受けました。
次に羽生二冠
52手目は△4八馬とし飛車を捕獲。
55手目▲4四歩。
上図での持ち駒
▲広瀬王位: 角、歩
△羽生二冠: 歩2
羽生二冠は飛車を6九に投入。。
しかし、広瀬王位は構わずに4四に歩の垂らし。。
その隙に羽生二冠はがら空きの9九の香車をゲットし
龍を作りました。
58手目△4一香。
上図での持ち駒
▲広瀬王位: 歩
△羽生二冠: 歩2
手にして駒を、すぐに盤上に投入し再活用する羽生二冠。
厳しさと迫力がヒシヒシと伝わってきます。。
64手目△4六歩。
上図での持ち駒
▲広瀬王位: 歩2
△羽生二冠: 歩
4筋に香車と飛車の二段ロケットを設置した羽生二冠。
あまりの迫力に広瀬王位も馬を自陣付近に引き身構えますが
突破を狙う4筋の起爆装置となるのか、嫌らしい歩が垂らされました。
そして4筋をめぐる一瞬の攻防へ。。
76手目△4八銀。
上図での持ち駒
▲広瀬王位: 飛、香、歩3
△羽生二冠: 歩2
ここでも見切っていたかのように
鋭く身をかわし、一足早く相手の懐に飛び込んだのは羽生二冠。
飛車を渡したものの4筋を制圧。
羽生穴熊につけいる隙もありません。。
86手目△4六香。
上図での持ち駒
▲広瀬王位: 飛、銀、香
△羽生二冠: 歩3
ドッスンドッスンと極太の杭を4筋に打ち込む羽生二冠。
広瀬穴熊を丸ごと押しつぶそうかという物凄い圧力。。
101手目▲5一飛。
上図での持ち駒
▲広瀬王位: 金、香2、歩2
△羽生二冠: 角、銀、歩3
バリバリと穴熊の囲いを剥がす羽生二冠。
しかし、このまま指をくわえて終わるわけにはいかないと
広瀬王位は5筋の羽生陣営に飛車を並べて、自らの闘志を鼓舞。。
しかし
【 投了図・116手目△8四角 】
投了図での持ち駒
▲広瀬王位: 銀2、歩4
△羽生二冠: 金、桂、香、歩
最後まで鬼気迫る迫力の羽生二冠の前に
広瀬王位は万策尽き果て、上図116手までで無念の投了。
最後の最後で圧倒的な強さをみせつけて
羽生二冠が王位奪取。見事、三冠返り咲きを果たしました!