まさに力戦。。第52期王位戦7番勝負/第6局「死闘の行く末」
【 羽生二冠の封じ手・30手目△同7五歩 】
上図での持ち駒
▲広瀬王位: 角、歩2
△羽生二冠: 歩
広瀬章人王位に
羽生善治二冠が挑戦する第52期王位戦7番勝負は
ここまで5局を消化し、広瀬王位が3勝2敗とリード。
タイトル初防衛に王手がかけられて
むかえた第6局が昨日より、神奈川県秦野市「陣屋」にて開幕。
先手・広瀬王位は3手目に▲6八飛。
勝てば王位防衛の決まる大一番。自ら磨きをかけてここまできた
「四間飛車穴熊」で勝負の意志が見え隠れしましたが。。
カド番で後の無い羽生二冠は付き合わず。
4手目に3筋の歩を伸ばし「相振り飛車」を示唆。。
それを見て広瀬王位は自ら角交換を敢行し
開始からわずか5手目で、だれも予想だにしなかった展開をみせます。
第5局で広瀬王位の「四間飛車穴熊」と対峙し
羽生二冠があえて力戦へと持ち込んだ。。。
そんな見方がしっくりくるような
そしてその見方に確信を与えるように
羽生二冠は一日目から時間をかけ、時に長考に沈みながら慎重に
駒を進めます。。
一日目はわずか29手までで終了。
【 一日目の消費時間 】
▲広瀬王位: 2時間52分
△羽生二冠: 4時間50分
消費時間で2時間の差がつきながら
羽生二冠が「封じ手」の意志を示しました。
一夜が明け
羽生二冠の封じ手
上図30手目同△7五歩から二日目がスタート。。
ここから
▲6四銀~△3四銀~▲7八飛~△6一玉と進行し
35手目▲7五飛。
上図での持ち駒
▲広瀬王位: 角、歩2
△羽生二冠: 歩2
パッと見ると先手は駒がバラけているようにも思えますが、しかし
先手を持っているのは広瀬王位である以上、ここから引き締まっていく
あるいは急所を突く一撃が突然放たれる。。そんな予感が支配する
二日目午前中の攻防。
そして、それはすぐに。。。
37手目▲6四歩。
上図での持ち駒
▲広瀬王位: 角、歩2
△羽生二冠: 歩2
一日目は羽生二冠が仕掛け
模様をリードしていた印象でしたが、二日目はまず広瀬王位が仕掛けます。
手に角を持ったまま6筋の歩をぶつけました。
42手目△6四歩。
上図での持ち駒
▲広瀬王位: 角、歩2
△羽生二冠: 歩2
しかし、すぐに羽生二冠はその同歩とは応じず
飛車の構える3筋に味をつけてから、取り込みました。
この手より午後の戦い。。
【 両者の昼食 】
両者ともに、陣屋名物特製カレー
52手目△2三角成。
上図での持ち駒
▲広瀬王位: 歩3
△羽生二冠: 歩
まるでフェンシングの試合のように
盤上で駒が躍動。。。その刹那、49手目に7八の地点に投入された
広瀬王位の角が、テンポよく羽生陣営に飛び込み馬となりました。
58手目△2五桂。
上図での持ち駒
▲広瀬王位: 歩4
△羽生二冠: 歩
しかし、羽生二冠の想定の範囲内だったのか
ずいぶん前から投入され、出番を待っていた羽生角が返す刀で踊りだし
桂馬も跳ね上がり、広瀬陣営への攻撃の圧力が一気に上がりました。
67手目▲3二歩。
上図での持ち駒
▲広瀬王位: 歩2
△羽生二冠: 歩
攻守の切り替えとバランス感覚がずば抜ける広瀬王位は
柔らかく対応し、今シリーズ一貫して見られるメリハリの利いた攻防戦に。。
次の局面で飛車・角交換が成立。
80手目△3七角。
上図での持ち駒
▲広瀬王位: 飛
△羽生二冠: 歩2
先に上手回しを引いたのは羽生二冠。
ガッツンガッツン駒をぶつけていき広瀬玉に襲い掛かります。
ここから両者力の入った戦い、超絶の終盤戦へと突入。。。
100手目△4六桂。
上図での持ち駒
▲広瀬王位: 飛、角、銀2、桂、歩2
△羽生二冠: なし
上手回しをガッチリと掴んだ羽生二冠でしたが
そこからの寄せが一方調子となり、業界屈指の終盤力を持つ
広瀬王位の踏ん張りを許すことに。。。
持ち駒が豊富になった広瀬王位とは対象的に
羽生二冠は桂馬を投入し、ついに持ち駒を使い切りました。。
105手目▲4六角。
上図での持ち駒
▲広瀬王位: 飛、銀2、桂、歩
△羽生二冠: 歩
広瀬王位が土俵中へと体を戻したのか
はたまた羽生二冠が最後の仕事にむけて力をためているのか。。
ギリギリの攻防は白熱度を増すばかり。。
さすがはタイトル戦。将棋界を代表する実力者同士による
手に汗握る、そしえ力を振り絞った最高峰の攻防。
114手目△5七角。
上図での持ち駒
▲広瀬王位: 飛、銀2、歩
△羽生二冠: 金、歩2
広瀬王位が攻勢に出るも
体が入れかわるには至らず、再び羽生二冠が攻勢に。。。
息遣いが聞こえてくるような名勝負。
その豪腕で勝利を手繰り寄せたのは。。。はたして