竜王戦への熱き戦い。。明日、第25期竜王戦決勝トーナメントが開幕。
昨年、無敵の8連覇を達成 。
難攻不落の渡辺明竜王の前に、姿を現すのは誰か。。
「冬の本場所」竜王戦挑戦権をかけて争われる
第25期竜王戦決勝トーナメントが、いよいよ明日より
開幕いたします。。
□ 第25期竜王戦決勝トーナメント表 □
今年の決勝とーナメント表をみてお気づきの通り
それぞれ2度ずつ、竜王戦で渡辺竜王とタイトルを争った
森内俊之名人、羽生善治二冠、そして佐藤康光王将という
「BIG3」の名が、ありません。。
さらに郷田真隆棋王も同じく
ランキング戦1組 での戦いで姿を消し、竜王以外のタイトルホルダーは
全員、決勝トーナメントに進出することが出来ませんでした。
正直、寂しい感じがしますが
決勝トーナメントに進出した棋士にとっては大きなチャンスと
言えそうです。。
ランキング戦のクラス及び成績により
対戦回数がことなる変則トーナメントとなる決勝トーナメント。
最高位の1組優勝者・深浦康市九段は1勝すれば
挑戦者決定三番勝負に駒を進めることが出来、もっとも優位な立場に。
逆に
優勝候補の一人、ランキング戦3組優勝の豊島将之七段を例にとると
挑決三番勝負にたどり着くまでに3勝が必要。
1回戦でまず藤井猛九段(ランキング戦2組/2位)に勝利し
2回戦で、山崎隆之七段(同1組/2位)にも勝利し
さらに
「佐藤天彦七段(同2組/優勝)-飯島栄治七段(1組/4位)」の
勝者と準決勝を戦い勝利をあげて、ようやく挑決三番勝負へ。。。
もちろんそこまでは
一つの取りこぼしは許されない一発勝負。険しい道のりとなります。。
明日の開幕戦を飾るのは
ランキング戦5組、6組で優勝した若手同士の対戦から
<第25期竜王戦決勝トーナメント/1回戦>
永瀬拓矢五段-大石直嗣四段
ともに今期好調な滑り出しをみせている
売り出し中の新鋭棋士同士による好カードが実現。
5組優勝 の永瀬五段は現在19歳。
昨年放送された第61回NHK杯で佐藤王将を相手に
2度の千日手 ・指し直しの末、勝利をあげたことでも話題となりました。
永瀬五段の前期の成績は
46戦31勝15敗(.674)。順位戦はC級2組で6勝4敗。
昨年の1月から6月までにかけて公式戦18連勝を記録。
受けに自信の永瀬五段は
上記エピソードでもわかる通り、手番を問わず「千日手」を苦にしない
独特も将棋観の持ち主。。
今期ここまでの成績も
11戦9勝2敗(.818)とロケットスタート。
年明けから13連勝を記録。
しかしながら
C級2組順位戦は黒星発進。
高い勝利率からみると、どうも順位戦とは相性が悪いような印象も。。
34手目△8九角。
上図での持ち駒
▲永瀬五段: 角、歩
△岡崎六段: 歩
今月19日に行われました第71期C級1組順位戦/1回戦では
先手で岡崎洋六段と対戦した永瀬五段。
振り飛車党の永瀬五段は「先手中飛車」に構えるも
岡崎六段が仕掛けた2度にわたる角交換などで
序盤はペースを握られる展開となりました。。
65手目▲5八香。
上図での持ち駒
▲永瀬五段: 桂
△岡崎六段: 飛、香、歩3
しかし、受け将棋を棋風とする永瀬五段は
自陣付近に手厚く駒を配置し、重心の低い攻防戦で
徐々に持ち味を発揮。
【 投了図・114手目△1八香成 】
投了図での持ち駒
▲永瀬五段: 金、桂、香、歩4
△岡崎六段: 飛、角、金、銀2
その後、最後まで
一進一退の攻防が続きましたが
本局では岡崎六段の指し手が良く伸び、上図114手までで
永瀬五段は投了となりました。。
しかし、大熱戦でした。
そこに苦手意識は感じられず、単にめぐり合わせのようです。。
明日、永瀬五段と対戦するのは
ランキング戦6組優勝者 ・大石直嗣四段。
現在23歳の大石四段もまた
昨年度からメキメキと頭角を現している隠れた逸材であります。
森信雄七段門下の居飛車党で
山崎隆之七段、糸谷哲郎六段等を兄弟子に持ちます。
昨年度の成績は
47戦32勝15敗(.681)。順位戦はC級2組で7勝3敗。
今期もここまで12戦して9勝3敗(.750)のハイスコア。
C級2組順位戦 /開幕戦も白星で飾りました。
66手目△5八角成。
上図での持ち駒
▲田中四段: 歩2
△大石四段: 金、歩2
その順位戦/開幕戦では
後手番で田中悠一四段と対戦した大石四段。
田中四段の「角換わり」の奇襲(7手目▲2二角成)にも
落ち着いて対応した大石四段は、「穴熊」へと移行。
しっかりと駒を組み上げてから
田中四段の再びの踏み込み(65手目▲5三桂成)を
受けて立ち、いざ開戦。以降、激しい勝負となりました。。
【 投了図・112手目△2八金 】
投了図での持ち駒
▲田中四段: 金、銀、桂、歩5
△大石四段: 歩4
互いの強固な囲いを
丁寧に根気良く崩していく終盤模様となりましたが
大石四段が一歩先んじ、上図112手目までで勝利を収めました。
と、いうわけで
今期ここまで
同じような成績を残し好調ぶりをアピールするも
順位戦/開幕戦では明暗を分けた両者。
明日は大舞台・竜王戦へと続く
大事なトーナメントでの激突でもあり、気合が入っていることでしょう。
両者は明日が2度目の顔合わせ。
昨年度の順位戦での初手合いは、永瀬五段が勝利をおさめています。
振り飛車党と居飛車党の対戦ということで
明日は「対抗形」の最新形をぜひ、拝見したいものであります。