「独身貴族」という言葉を調べてみると、「経済的・時間的に余裕があって、独身生活を楽しんでいる人」とあります。
私の場合、「経済的・時間的」には全く余裕はありませんが、「精神的」に余裕がある独身生活を楽しむことができそうな予感がしています。
今回は、Bill Champlinのソロ第1作「独身貴族(Single)」です。
アルバム・ジャケットも、日本での「独身貴族」のイメージにぴったりですね。
今でこそThe Sons Of Champlin時代のサウンドが評価されていますが、当時は全く商業的な成功を収めることがなくて、Billはバンドを解散してLAに進出してセッション・シンガーとして再出発します。
私がBill Champlinの名前を意識したのは、1977年のLee Ritenourのセカンド・アルバム「Captain Fingers」に収録されたStevie Wonderのヒット曲カヴァー「Isn't She Lovely」のゲスト・シンガーとしてでした。
Lee Ritenour 「Isn't She Lovely」
VIDEO Billのソウルフルなヴォーカルも印象的ですが、Leeのアドリブに合わせたスキャットが衝撃的でした。
ギターの特性を際立たせるアレンジも見事で、数あるこの曲のカヴァーの中でも白眉の名演だと思います。
正確な音程とどんな曲もソツなく歌いこなすBillは、セッションシンガーとして引っ張りだこになりました。この時期の参加セッションの数は、とても正確には把握できません。
で、満を持して「売り出し中」のDavid Fosterをプロデューサーに迎えて録音したのが、1978年のBillのファースト・ソロ・アルバム「独身貴族(Single)」なのです。
この「78年」というのが重要なところです。
TOTOのデビューの年で、TOTOのメンバーが全員参加しています。
さらに「伝説の」AIRPLAYのアルバムは80年リリースで、そのほとんどのメンバーがこのアルバムに集結しています。まさに「Pre-AIRPLAY」というサウンドが繰り広げられているのです。
David Foster印の洗練されたサウンドと、The Sons Of Champlinのファンも満足させられる泥臭いサウンドが渾然一体となっている中で、TOTOの初期に見られるプログレッシヴ・ロックのエッセンスも垣間見えるおもしろい出来のアルバムになっています。
アルバム・トップは、シングル・カットもされたらしいキャッチーな曲です。
Bill Champlin 「What Good Is Love」
VIDEO Jay Graydonのハーモナイズド・ギターが炸裂する、もろにAIRPLAY的なサウンドですね。
文句なく、カッコ良いの一言です。
ファンキーなナンバー「I Don't Want You Anymore」も、おすすめです。
Bill Champlin 「I Don't Want You Anymore」
VIDEO たくさんのカヴァーがありますが、正直言ってこのオリジナルを越える作品を聴いたことがありません。
Ray Parker, Jr.と思われるリズム・ギターが、快感です。
また、David HungateなのかDavid Shieldsなのかわかりませんが、ベースが良い味出しています。
ひょっとしたら、Earth, Wind and Fireのために書いたんじゃないかと思われるのが、「We Both Tried」です。
Bill Champlin 「We Both Tried」
VIDEO Earthの名バラード「After The Love Is Gone」に似たテイストを持っているこの曲は、不思議なコード進行が印象に残ります。
ハーモニクスを効果的に使ったベースも素晴らしいですし、上品なストリングスが切なさを盛り上げてくれます。
「Yo' Mama」は、現在でもBillのライヴでの定番になっているファンキーな曲です。
ライヴの動画はたくさんありますので、気になる方は検索してみて下さい。どれも見事な出来です。
アナログ・シンセとアコースティック・ギターが絶妙にマッチングしていて、独創的なメロディを引き立たせている「Elayne」も魅力的です。
アルバム・ラストの「Keys To The Kingdom」は、かなり意欲的な作品です。
Bill Champlin 「Keys To The Kingdom」
VIDEO このアルバムは複数のミュージシャンが参加していて曲毎のクレジットがないので、どの曲に誰が参加しているのかがわかりません。
けれども、この「Keys To The Kingdom」は、明らかにTOTOのメンバーが参加しています。まさに、TOTOのファースト・アルバムの番外編と言っても過言ではない曲だと思います。特に、ドラムスのJeff Porcaroがこれほどパワフルに叩いているのは珍しいので、彼のファンなら聴き逃し厳禁です。
と、全編Billの多彩なヴォーカル・スタイルを堪能するには、絶好の作品になっています。
全体の完成度からすると、次作の「Runaway」のほうが上かもしれません。けれども、この「ごった煮」感がとても魅力的なのです。正直なところ、Bobby KimballやBoz Scaggsを凌駕するほどのヴォーカリストだと思うのです。
えーっと。
今回のお題「独身貴族」は、全く私事なのですが、先月離婚したことで思いついたネタでした。
23年間の結婚生活にケリをつけて、現在は心穏やかな状態です。
カワイイ子供たちに会えなくなるのは悲しいことですが、この7~8年の苦しさから解放された私は、数十年ぶりのフリーな気分を楽しんでいるところです。
年内に新しいアパートへの引越しを済ませなければなりません。
これから、一人分としては多過ぎる荷物を箱詰めしなきゃいけません。特にCD、DVD、ビデオなどのソフトは、気の遠くなるような数です。
ということで、無事に引越しが終わって落ち着いたら、ブログに戻って来る予定です。