
これは、壮大な「予告編」です。
この映画を観た人は、必ず本番のステージを見たくなるハズです。
ただ、その期待に応えてくれるスターは、もう、いません。
限定2週間の予定が、あと2週間延長が決まったマイケル・ジャクソン(Michael Jackson)の「This Is It」を観に行きました。
ホントは、「ライヴ・レポート」という感じで書くつもりだったのですが、見事な「映画」になっていました。
ロンドンで行われる予定だった公演「This Is It」の演出を任されたのは、ディズニー・チャンネルのテレビ・ムーヴィー「ハイスクール・ミュージカル」の監督をしたケニー・オルテガ(Kenny Orgtega)でした。

私の高校時代の甘酸っぱい想い出を蘇らせてくれるような、典型的な青春ムーヴィー「ハイスクール・ミュージカル」は、予想以上の成功を収めて劇場版も作られました。
特に素晴らしいのは、大勢の出演者が歌って踊る(映画用語で「モブ・シーン」と言いますね。)シーンです。往年のMGMミュージカルを凌ぐ程の見事なダンスは、注目に値すると思います。
たぶん、マイケルはここに目をつけてケニー・オルテガを指名したんだと思います。
開演直前の主役の死によって、ライヴ公演は永遠に実現することが不可能になってしまいました。
この映画は、マイケルが個人的な記録としてカメラに残していた映像と冒頭で述べられていますが、私の考えでは、本編のDVD化の前後に「メイキング」として発売するつもりで記録していたんじゃないかと思います。
映像は手ぶれがひどいんですが、音声は見事です。ちゃんと鑑賞に堪えうるレベルで収録されています。
何と言っても見事なのが、ライヴのバック・スクリーンで流す予定で製作されていた映像です。
特撮を駆使してハンフリー・ボガートを登場させたり、ジャングルを再現したりと、ものすごい映像の嵐です。
このあたりのケニーのセンスは、文句の付けようがありません。
ラスト近くで語られていた「壮大なラスト・シーン」は、その片鱗さえも見れないまま映画は終了します。
ちゃんとした本編を観たかったと思わせる「アイデアの嵐」です。
家に帰ってから、87年のジャパン・ツアーのライヴを観たのですが、今回のほうが遥かにレベルが高いのが一目瞭然です。
ピークから20年以上たってもレベル・アップしている姿には、驚きしかありません。
バックを固めるミュージシャンも、実力者揃いです。
音楽監督でキーボード担当のMichael Beardenは、ジョージ・ベンソン(George Benson)の「Love Remembers」やチャカ・カーン(Chaka Khan)の「The Woman I Am」、ノエル・ポインター(Noel Pointer)の「Never Lose Your Heart」などで名前を見かける実力派です。
ドラムスのJonathan Moffettは、マドンナ(Madonna)やジャクソンズ(Jacksons)のアルバムで活躍するドラマーです。
ベースのAlex Alは、私が持っているものだけでもジャネット・ジャクソン(Janet Jackson)の「All For You」、ボブ・ジェイムズ(Bob James)の「Joy Ride」、アル・ジャロウ(Al Jarreau)の「Tomorrow Today」で、名前を見つけられます。
私の記憶では、誰かのバック・メンバーとしてブルーノート福岡でのライヴに参加していたような気がします。
最も有名なミュージシャンは、パーカッションのBashiri Johnsonでしょう。
私が所有しているCDだけでも、40枚以上に参加しています。
ギターの二人は、残念ながら聞いたことのない名前ですが、底辺の広い楽器ですから、無名の人が登場しても全く問題ないですね。事実、この映画でのプレイは見事なものでした。
この作品は、音楽ファンはもちろん、音楽でプロを目指す人は必ず観ておくべき作品です。
音楽に対する姿勢、エンタテインメントとはどういうことか、ということを明確に示してくれます。
マイケルは、素晴らしいシンガーではありますが、超一流のダンサーであり、エンタテインメントの監督であります。
すべてにおいて、彼の感性を実現しようとする姿勢は、全ての人に感動をもたらすハズです。
ちょっと深読みすれば、全ての人の人生に向き合う姿勢への「指針」のようにも思えます。
ちょっと大げさですかね・・・?
いずれにしても、驚きのこの映画。
明日、ウチの家族がどんな感想をもって帰宅するのかが楽しみです。