台湾と京都橘の間の、純粋なリスペクト | "楽音楽"の日々

"楽音楽"の日々

音楽、映画を中心にしたエンタテインメント全般についての思い入れと、日々の雑感を綴っていきます。

怒涛の3連続本番の12月12日を大成功のうちに終えた京都橘高校吹奏楽部。

翌13日は演奏の本番は予定されておらず、台湾観光の一日になりました。動画で確認できる範囲では、故宮博物院や有名な観光地・十分などを訪れたようです。

 
 

唯一の有料コンサートですね。予想どおり、チケットは即完売でした。けれども、後日「日本台湾交流協会」から学生限定のチケットが発売されました。

 

彼らと同年代の若い世代が生で見るべきだと思っていましたので、この配慮はとても素晴らしいと感じました。

このコンサートが開催されたのは、台湾におけるクラシック音楽の殿堂・国家音楽庁。2000席を備えていて、アジア最大のパイプオルガンが設置されていることで知られています。

 

前年の双十節の前日に、ここの前の広場で京都橘を含む3校の交歓コンサートが行われたことで、国家音楽庁の素晴らしい外観もお馴染みになりましたね。

美しいのは外観だけでなく、メインロビーも豪華です。

 

京都橘が初めて台湾でパフォーマンスを披露したのも、このホールでした。その時は、台湾フィルハーモニックの演奏会へのゲスト出演という形でした。その時は動画が公開されることもなく、演奏後に2階席へ移動した部員達に1階客席から観客が賞賛の拍手を送っている写真があっただけでした。プログラムは公表されていましたが、想像を膨らますしかありませんでした。

そこへ、2度目の台湾公演が決定したことを記念して、京都橘の公式チャンネルでその全貌が公開されました。2022年10月7日の公演です。

 

 

たった14分のパフォーマンスですが、台湾の観客にとってはインパクトが大きかったことは間違いありません。

クローズアップが多すぎてフォーメーションや振り付けを楽しめないのが残念ですが、貴重な記録です。「ラムのラブソング」と「ソーラン・ファンク」は、この時が初披露で完成度は高くありません。この2曲は、おそらく台湾人でも知っている日本の曲ということでの選曲だと思われます。部員達にとってもお気に入りのナンバーになったようで、この後この期を代表する人気曲になりました。

 

この格式ある会場を知っている部員にとっては、ここで単独のコンサートができるなんて夢のような企画だったのでしょう。座奏とマーチングで2時間の、フルサイズの構成です。有料公演なので、本編動画がないのは仕方がないですね。主催者である中華文化総会のSNSにアップされている数多くの写真から想像するしかありません。その中から、当日の様子を感じ取れる数枚をご紹介します。

まずは、リハーサルの一枚。

 

 

ユニフォームじゃなくても、この美しさ。

全員がベルアップするこの瞬間の姿は、個人的に京都橘を象徴するカッコ良さだと思っています。パイプオルガンの前に置かれているバナーが、良いアクセントになっています。

 

そして、本番の第一部・座奏の様子です。

 

白いユニフォームが美しく映える様子は、ステージの背景の素晴らしさに最もふさわしい姿で、フル・オーケストラにもひけをとらないカッコ良さですね。

 

マーチングのオレンジのユニフォームも、全く違和感ありません。「Winter Games」のフィニッシュを捉えた一枚。

 

観客の拍手の様子までわかる、素晴らしい写真です。

 

今期のマーチング・プログラムを象徴する一枚は、これ。

 

「Celebration」の、最もハジけた瞬間を切り取った見事な写真ですね。

 

 

 

 

そしてそして、京都橘が台湾を離れる日に、何の予告もなしに突然中華文化総会からアップされたのが、このコンサートのアンコールの様子を伝える動画でした。

 

 

コンサートの具体的なプログラムもSNSに上がっていましたが、「愛の讃歌」がアンコールで演奏されたことも全く知りませんでした。

ホルンの部員による涙の謝辞は、大きな話題になりましたね。

 

 

思い返してみると、「愛の讃歌」は今期初のパフォーマンスです。1年生にとっては、全く初めてのものです。まぁ、普段からアンサンブルの練習に使われていたかもしれませんが・・・。それにしても、ステージ用に新たに作られたフォーメーションに、完璧なハーモニー。今期の充実ぶりを見せつける素晴らしさですね。

この動画でもうひとつ話題になったのが、司会の女性です。日台両方の言語で流暢に進める姿には知性を感じますが、話しながらも涙にくれる部員を気遣う自然な優しさ。

 

彼女の魅力を伝える「完全版」の動画もアップされました。「Sing,Sing,Sing」が終わった直後から、観客が席を立つまでを捉えたものです。

 

 

知的で奥ゆかしくて、実に魅力的な女性です。この動画の中で、京都橘の訪台の団長を務めた梅本前理事長の紹介もあります。梅本さんは、グリーンバンド協会の役員に就任されたという情報もあったので、今度のローズパレード関連の動画でお顔を拝見する機会があるかもしれません。

そうそう、この動画をじっくり見ていると、腰を痛めたグロッケンちゃんのためにキーボードの後ろにクッションを置いた椅子が設置されていることも確認できます。

 

 

 

 

この動画を見て、なぜ涙がこぼれるのでしょう?

京都橘のことを大好きで、彼らが台湾に滞在している数日間を快適に過ごせるように尽くしてくれた現地スタッフと大勢の観客の皆さん。それに対して、全力のパフォーマンスと心からの笑顔で応える部員たち。そこには、損得を抜きにした純粋なお互いのリスペクトがあります。歳を重ねてくると、感動する場面に当たっても、その裏にある利害関係が透けて見えるようになってなかなか素直に泣けないことが多くなります。悲しいことです。けれども、台湾の皆さんと京都橘の部員たちの間には、そんなものは存在しません。気恥ずかしくなる位の純粋なリスペクトが存在するのみです。心が浄化されるような気がして、自然に涙する結果になるのです。

 

 

 

 

このコンサートの様子は、見事な編集です。これの全編を是非とも見たいものです。ちゃんとした形で、商品化すべきパフォーマンスだと思います。中華文化総会作成の訪台ダイジェスト動画をご覧ください。

 

 

こんな素敵な動画を作成できるスタッフがいるわけですから、自ずと本編動画への期待も高まります。中華文化総会さま、何卒よろしくお願いします。

 

 

 

 

京都橘の一行は、15日に帰国の途につきます。桃園国際空港にも、多くのファンとカメラが詰めかけました。その様子を生配信しているチャンネルも複数ありました。

台湾での厚遇に対しての謝辞を含めたセレモニーも行われました。

 

 

こうやって、京都橘高校吹奏楽部の部員たちにとっても台湾のファンにとっても忘れることのできない2023年の台湾公演が幕を閉じたのでした。

 

 

 

 

 

京都橘高校吹奏楽部は、遠征を行うたびに礼状をこまめに書くことは、ファンの間ではよく知られています。今回の台湾遠征でも、スポンサーや企業・団体などに礼状を出したことがあちこちのSNSに投稿されました。その中の一枚が、こちら。

 

京都橘の台湾関連の動画ではお馴染みのこの方は、中華文化総会(GACC)の秘書室長である李さんです。

中華文化総会は、現職の台湾総統が会長を務める非政府組織で、台湾の芸術・文化の振興と国際文化交流を一手に担う団体です。その実務におけるトップが、この李さんなのです。

いつもにこやかな表情が印象的な李さんですが、彼の京都橘愛は本格的なようです。1年前には、ドラムメジャーから直接「Sing,Sing,Sing」のステップのレクチャーを受けている動画が、彼のSNSにアップされていました。

 

即席でマスターするなんて到底無理ですが、頑張っている姿に好感度アップしたのを思い出しました。

ところが、彼はそれから1年間努力を続けていたんです。その成果を部員たちの目の前で披露したのは、14日の国家音楽庁でのコンサートのリハーサルの休憩時間のことでした。

 

これには、驚きながらも笑ってしまいました。必死でやってる様子は笑いを誘いますが、「Sing,Sing,Sing」のカラーガードの振り付けをほぼ「完コピ」。実に見事です。何よりも、部員達の前でこれを披露する度胸が素晴らしいです。部員達としっかりコミュニケーションがとれていて、愛されていることがわかります。彼の姿は、台湾の人々の気持ちを代表しているようにも思えます。

ということで、李さんへの礼状の表紙には、こんなイラストが描かれていました。

 

オレンジのユニフォーム姿です。

 

 

 

今年も訪台を熱望されている京都橘です。年末からの訪米を控えてなかなかタイトなスケジュールですが、三度台湾を訪問する機会はあるのでしょうか?

その前に、ビッグニュースが・・・。

5月に、京都で台湾フェアが開催されることが発表されました。これには中華文化総会も協力していて、李さんが参加することは間違いなさそうです。このイヴェントは、5月11日と12日の二日間開催されるのですが、京都橘にとっては毎年恒例の「ブラスエキスポ」が12日なので、11日に京都橘がこのイヴェントに参加すると私は予想しています。詳細の発表は、もう間もなくあるはずです。ファンの皆さん、楽しみに待ちましょう。