あの日から13年。鎮魂の日です。
あの時も、今年の元日の地震でも最大限の支援をしてくれた台湾。
蔡英文総統から、日本へ向けたメッセージも届きました。
日本にとって最大の友人である台湾には、感謝の言葉が見つかりません。
私個人的には、生き残っている我々が亡くなった人々の分まで充実した人生を送ることが、最大の鎮魂だと思っています。
そんな日に、日本を元気にしてくれる話題がニュースを賑わせました。
山崎貴監督の「ゴジラ-1.0」が、アカデミー賞の視覚効果賞を受賞しました。これは、決して大袈裟ではなく、快挙です。
アカデミー賞の視覚効果賞は、このところ潤沢な資金と豊富な人材を擁するILM(Industrial Light & Magic)をはじめとする大手プロダクションが独占していました。ただ、技術の急速な進歩で表現に「不可能」なことがなくなって来た反面、派手なあり得ない映像ばかりになってきて、辟易していました。「どこにカネ使ってんねん!?」初期のVFXを作り上げてきたGeorge LucasやSteven Spielbergが目指していたものは、リアルでドキドキ・ワクワクさせるための特撮だったはずです。そんな理念からは大きく外れて、単なる派手な見世物に成り下がっているように感じていました。
そこへ一石を投じたのが、「ゴジラ-1.0」だったのです。
一番重要なことは、この作品が「低予算」だということです。ノミネートされた他作品の10分の1以下の製作費なのです。特撮のスタッフも35人だとか。低予算であっても、日本人のセンスと工夫で完成させたリアルでスリリングな映像なのです。まさに「ニッポン・クオリティ」です。受賞の瞬間の動画です。
これは痛快です!
「ゴジラ-1.0」は、全米では12月に公開されました。その時の観客の反応をご覧ください。
とても素直な反応で嬉しくなりますし、彼らが言及しているところを確認するために改めて観なおしてみたいと思ってしまいます。
「ゴジラ-1.0」については、これまでに様々な動画がアップされています。中でも、特撮を担当している「白組」のディレクターへのインタビューを中心にした動画がとても興味深いです。
実に風通しの良い環境にあることがわかります。
今回の快挙は、「始まり」にすぎません。このことによって、国内製作の予算獲得も容易になるかもしれません。海外からの資金調達も増えるかもしれません。かつての「黒澤映画」がそうであったように。
このところ韓国に大きく水をあけられている日本映画にも、ようやく「光」が見えてきたように感じるのです。
以前から、フランクで楽しいインタビューが多かった山崎貴監督ですが、ホイチョイ・プロダクションのインタビューでは彼の人柄がよく表れていて楽しいです。映画好きな二人の会話は、まるで居酒屋での映画ファン同士の会話のようです。かなりコアな内容ですので、お好きな方だけどうぞ。
現在の日本映画の「予算がないから」という言い訳を聞く機会が少しでも減って行けば、新しい方向が見えてくるはずです。
今回ばかりは、ゴジラは「破壊王」ではなく「創造王」になるのかもしれません。そうであることを願っています。