「Nのために」第6話~許されぬ愛・・・罪人たちの悲しい告白 | 日々のダダ漏れ

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日々想ったこと、感じたこと。日々、見たもの、聞いたもの、食べたものetc 日々のいろんな気持ちや体験を、ありあまる好奇心の赴くままに、自由に、ゆる~く、感じたままに、好き勝手に書いていこうかと思っています♪

「Nのために」



 
第6話
許されぬ愛・・・罪人たちの悲しい告白
 

奈央子) 「広い部屋の片隅に置かれた、籠の中が、
     トリの居場所。窓からは、空しか見えない。
     からだに刻まれた痣の数は、愛の証拠など
     ではない。
トリはその痣を醜いと感じた。だが、
     女は美しいもの
を眺めるように目を細め、指
     先でなぞる。愛の証拠と
いう名の、火あぶり。
     それと引き替えに女は、トリに食事
を与えた。
     いっそオーブンで、一瞬のうちに丸焼きに

     れる方が、幸せに違いない」。

**********

西崎) 杉下、帰りが遅くなるみたいで…。
奈央子) トリは…あなたなんでしょ?
     籠の中から、逃げてきたのね。

**********
 
西崎) ところで、杉下を置いてっていいのか?
安藤) 就活でそれどころじゃないだろう。俺も会社
    入ったらしばらく研修漬けだ。落ち着いたら
    迎えに来るって言っといて。
西崎) 杉下にはな、明るいところに連れてってくれ
    る男がいいんだ。罪の共有とかじゃなくてな。
安藤) 罪の共有?
西崎) 誰にも知られずに、相手の罪を半分引き受け
    る。相手にも知られずに、黙って身を引く。それ
    が杉下の究極の愛だ。
安藤) 黙ってかばってやったとかそういうこと?
    そんなのただの自己満足だろ。俺だったら、
    黙ってないで一緒に警察行ってやるよ。
西崎) 刑務所に、入ることになったら?
安藤) 待つ。それで、できる限りのことをしてやる。
西崎) まったく、君の人生は、正しくて美しいな。

**********
 
希美) すごい…遠くまで見える。
    やっぱり島とは全然景色が違う。ちゃんと
    私の足元は、世界の果てまでつながってる。

    何もない狭い世界で人生を終えなくて済む。
    そう思うのって、生きてくエネルギーだよね。
安藤) 今見えてんのはさ、
    世界のほんの一部なんだよな。
希美) もっと広い世界に出て行くんだもんね。
    怖くない?
安藤) 全然。どれだけ広いか楽しみだよ。
希美) つかまってて、いい?
    こんなとこ、私一人じゃ来られなかった。
    ありがとう、安藤。

**********
 
希美) これからは、食べたいものを食べたい分だ
    け作る事にした。リクエストあったら作るから、
    言ってね。
野原) 何かあった?
希美) 世界は広いんだなって思ったら、冷蔵庫の
    隙間くらい、どうってことないなって。
野原) 苦労はね、忘れるのが一番。
    よかった、よかった。
希美) よかった…。

**********

明るい方に向かっていた。
暗いところには戻らない。
もっと明るい、かげりのない場所へと、
歩きだしていた…はずだった。


**********

希美) 下は見ない。下は見ない。下は見ない。
    下は見ない。下は見ない。下は見ない…。


**********
 
奈央子) 言葉じゃ言えないような気持ちになった事
     は…ある? 言葉にできないほどの気持ちを、
     ぶつけられた事は…
ある? 私にはある。
     これは、彼の気持ちを受け止めた印なの…。
西崎) 間違ってる。逃げられないから言い訳するだ
    けだ。暴力を、愛という言葉に置き換えて、自
    分を、慰めてるだけだ!
奈央子) あなたはどうして逃げてきたの?
     あなたを愛してくれたのは、誰?
西崎) 母親。
奈央子) そう…。
     白いからだに刻まれた、醜い痣の数は、愛の
     証拠などではない。愛の証拠という名の…火
     あぶり。それと引き替えに女は、トリに食事を
     与えた。広い部屋の片隅に置かれた、籠の
     中が、トリの居場所。


(回想)
美雪) ごめんね。ごめんね。ひどいことしてごめん。
    お母さん…ダメだ。
西崎) お母さん…僕のこと好き?
美雪) 愛してる。誰よりも愛してる。
西崎) お母さん…僕のこと好き?

**********

希美) 信じてもらえないかもしれませんが…。
    3年前に、胃がんの手術しました。
    再発して通院しています。
高野) がん?
希美) 仕事を辞めたのは、
体が動くうちに身辺整理
    しておきたかったんです。
西崎さんの出所とは、
    関係ありません。
高野) 希美ちゃん。病状は…重いんやね?
希美) 余命宣告受けました。もって一年だそうです。
    こうして高野さんとお話しできるうちに、私が知
    っていること、すべてお話します。2004年12月
    24日、あの日に、何があったのか。

 
残された時間を、あなたを守るために使いたい。
あなたがこれから、幸せであるように。
それが、人生最後の、私の願いだった。

**********

これからは、食べたいものを食べたい分だけ作ること
にしたという希美の言葉に泣いてしまった。冷蔵庫の
隙間さえ埋めずにはいられなかった希美の心の飢え。
豪華なドレッサーのトラウマに身がすくむ希美を見て、
欲しがってると勘違いして狭いアパートに届ける奈央
子。余計なお世話、いらないとは言えない希美。愛と
言う名の暴力を受け止めてきた西崎と奈央子が、互
いの傷あとに惹かれていく様子が美しくも痛ましくて。
歪んだ世界から逃げてきた希美と西崎にとって、救い
の光のように明るい安藤の存在を愛おしむ気持ちが
よくわかる。守りたい。それぞれが、大切なものを守り
たいと願う。秘密も、罪の共有も、全てはNのために。

役者さんたちが良過ぎて、悪くはないんだけど、どうし
ても、徳井の存在が浮くというか…。ここも役者さんに
してくれたらパーフェクトだったのに…。大人の事情?
世界観に浸れば浸る程、そこが残念に思えてしまう。

 
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