「Nのために」第3話~反撃開始舞台は東京へ!運命の出会い | 日々のダダ漏れ

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「Nのために」



 
第3話
反撃開始舞台は東京へ!運命の出会い


高野) 杉下さんのとっての、
    Nは誰やったんでしょう?
安藤) 言わなきゃいけませんか?
高野) 事件の後、西崎さんを助けたんは、あなた自
    身、腑に落ちないことがあったからやありませ
    んか? 西崎さんは誰も殺していない。
    違いますか?
安藤) あなた、事件と何の関係があるんですか?
    一体誰なんですか?


何者でもない。
ただ、真実が知りたかった。


「さざなみ」が焼け落ちて14年。
放火事件は、未解決のまま、
時効まで1年を切っていた。


**********

(シャープペンシルを5回押す希美)

慎司の心の声) バ・カ・や・ろ・う?

(シャープペンシルを5回押す希美)

慎司の心の声) ひ・き・ょ・う・も・の…。

**********
 
慎司) 高野さんも、俺がやったって疑ってるん?
高野) お前が何か、大事なことを知っとって、黙っと
    るんやないかと思っとる。放火は重罪や。犯人
    を取り逃がしたくないんよ。
ここで逃がしたら、
    またいつか、同じことが起こる。
慎司) もう忘れたい!
    父さんも、俺も、火事で全部なくしたけん。
    話してないことなんか、ないよ。

**********

(回想)
慎司) こうせん?
    杉下が島を出る時は、俺が杉下にフェリーの
    切符やるけん。その代わり、俺が島を出る時
    は、杉下が俺にフェリーの切符くれる?
希美) それ、ええやん。最初の一歩やもんね。
慎司) うん。
希美) ええよ。決めた。そうしようや。


希美) 下は見ない。上を見る。上に行く。

**********
 
希美) お父さん。
    私やっぱり、大学に行きたいんです。
晋) おう、ほうか。おい。
由紀) 希美ちゃん、ちょっといい? 後じゃダメかな。
希美) お父さんは、
    大学を出た人間が、嫌いなんですよね。
晋) あっ?
希美) 
ええ大学出ても俺より年収低いやつは
    いっぱいおるって
言いよりましたよね。
晋) ちょっと待て。何言いよるんが、希美。
希美) 努力すれば大卒のやつらを見返してやれる
    って言いよりましたよね。私もそう思います。
    お父さんが連れてきたこの人は
中卒で、仕事
    もできて、スゴイと思います。
人間学歴やない
    なって思います。
お父さんが私達家族を捨て
    てこの人と一緒になりたいって
いうんも、当然
    やと思います。
努力してる人には負けて当然
    です。
晋) 何言いよるんか、ホントに、何の冗談や。
希美) やけど、私はやっぱり大学に行きたいんです。
    狭い世界で生きてきたけん、外に出たいんで
    す。諦めんで上を見て、高いところに行きたい
    んです。
大学に行くお金を貸して下さい。働い 
    て必ず返します。
お願いです。大学に行きたい
    んです。お願いします!
晋) おい、みっともないマネやめろ。
希美) お金を貸して下さい!
晋) 出さんとは言ってない! 
  俺はそんなことは言ってない。
  大学に行きたいなら行けばいい。
  お前の好きにせい。
希美) ありがとうございます。

**********

(慎司の乗る船に近づこうと走る希実)

慎司) 杉下…。杉下~! 杉下~っ! 
    頑張れ~!
希美) 成瀬君! 成瀬君、頑張れっ!
慎司) 頑張れ。頑張れ!
希美) 
頑張れ!
慎司) 頑張れ。頑張れ!
希美) 頑張れ。成瀬君、頑張れ! 頑張れ!

 
火事の夜、二人は何かを共有した。
再び互いを引き合わせずにはいられない、
ひそやかで、強い何かを。

**********
 
西崎) 俺は、この野ばら荘を気に入ってる。ここは
    静かで、誰も俺の邪魔をしない。じいさんの一
    生も詰まってる。
守ってやりたい。そこで、君達
    に相談なんだが…。
じいさんが、売りたくない
    と言ってるからには、
力になってやりたいと思
    ってる。協力してくれないか。
安藤) 俺はパス。
    人の事より自分の就職、それと卒業。
西崎) 今はまだ不動産屋も下手に出てるが、地下
    鉄の話が本決まり
になれば、向こうもそれなり
    に手を考えるだろう。
今のうちに俺達で、この
    野ばら荘を守る作戦を立てておきたい。
希美) ええね。西崎さんが作戦隊長で、
    私と安藤は手下って事でいいかな?
安藤) 何で俺が頭数に入ってんの? 何で西崎さん
    は「さん」付けで俺は呼び捨てなの?
希美) 作戦名は?
西崎) 野ばら荘の「N」。略して、「N作戦」といこう。

**********

西崎真人は、「これは、終わった事件だ」と言った。
事件から10年。まだ何も、終わってはいない。


**********

希美の反撃。いや~スッキリした~! そうそう、一応
父親に扶養されていることになってるわけだからね!
娘が父親に大学に進学したいと「お願い」するのは当
然のこと。頼れる扶養者は父親しかいないのだから、
せめてお金を貸して下さいと、土下座して「お願い」す
るしかないんだから、恥も外聞も考えていられない~。
父親は、お金を持っていないわけじゃないのだから~。
よそで借金できない高校生は親に頼るしかないから!
腐れ外道な父親でも、使えるお金は利用させてもらわ
ないとね~。腐った父親と母親から逃げることができ
て、ホントよかったよ。何も話さなくても、互いに互いを
応援している慎司と希美。頑張れの声に泣けたよ…。

今回は、人じゃないN、「野ばら荘」で出会った3人の
結びつきが少しずつ描かれ、希美が島を出てからの
様子が見えてきました。事件なんてナシにして、普通
に青春ドラマでいいじゃんって思ってしまうけど、事件
が起きてしまうほど、罪を共有してしまうほど、それぞ
れが大切な人になるっていう話なんだよね、きっと…。


「Nのために」関連ブログ↓
第1話~セレブ夫婦殺人事件・・・15年前に隠された秘密
第2話~放火事件の謎・・・許されない罪の共有
第3話~反撃開始舞台は東京へ!運命の出会い
第4話~被害者Nと出会った日・・・すれ違う2人
第5話~沖縄の夜新たな恋から歯車が狂い出す
第6話~許されぬ愛・・・罪人たちの悲しい告白
第7話~語られる事件の悲劇・・・歪んだ愛の代償
第8話~エリート夫の嘘と罠・・・炎に消えた真実
第9話~最終章~前編~今夜事件の幕が開く!
第10話~明かされる事件の真実・・・N達の未来

●「Nのために」HP


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