「Nのために」第2話~放火事件の謎・・・許されない罪の共有 | 日々のダダ漏れ

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日々想ったこと、感じたこと。日々、見たもの、聞いたもの、食べたものetc 日々のいろんな気持ちや体験を、ありあまる好奇心の赴くままに、自由に、ゆる~く、感じたままに、好き勝手に書いていこうかと思っています♪

「Nのために」



 
第2話
放火事件の謎・・・許されない罪の共有
 
西崎) あんた、この女がいなきゃ、この世には
   何の意味もないと、感じた事はある? 俺はある。
   俺は、俺の大事な女を殺したヤツを殺した。
   ある意味復讐だ。やった事に悔いはない。逃げ
   も隠れもしないさ。奈央子のことだけを思って、
   刑を受けようと思った。事件は終わったんだよ。
   俺も罪を償った。今さらほじくり返したところで何
   の得もないぜ。定年後の趣味ならもっと楽しい
   ことやんなよ。
高野) ほやけど、西崎さん…。
西崎) 俺も暇じゃないんでね。
    この10年で、何が一番変わった?
高野) ほうですね…。人の心が、寂しくなりました。
西崎) そんなん、元々寂しいもんだよ。

**********

希美) 新しい野望、思いついた?
慎司) うん?
希美) 犬を飼うとか、歯を大切にする~
    みたいのでええけん。
慎司) じゃあ…
    死んだばあちゃんが言いよったんやけど。
希美) 何、何?
慎司) 結婚した相手より、後に死ね。
    1日でも多く、相手のそばにおって見守れって。
    野望やないか、こんなの。
希美) ううん。リストに足しとこう。
    結婚した相手より、後に死ぬ。
    成瀬君も私も、
    いつか、誰かと結婚するんかな?
    大人になったらどうなっとるんやろう。
    今より楽しいとええな。
    成瀬君も私も、幸せやったらええな。

**********

助けて。
誰か、助けて。
成瀬君。助けて…。


(シャーペンを4回ノックする希実)

慎司) さっきのなん?
    シャーペン4回、あれ、どういう意味?
希美) 何でもない。


**********

あの家がなくなったら、
お母さんは泣くんをやめて笑ってくれるん?
家がなくなったら、諦めがついて、
少しは前向きになってくれるん?


希美) なくなれ…。

なくなれ。やったらなくなれ。あんな家…。

**********

悲劇が起こる時、必ず2人はそこに居合わせる。
前兆はあったのに、誰も先を、見抜けなかった。


**********

慎司) こんな事したって、
何にもならんやろ。
希美) あんな家、なくなればええんよ。
    あの家がなくなれば、お母さんも私も楽になる。
    成瀬君にこの気持ちが分かる?
慎司) 分かる。
    燃やしてしまえば、誰にも取られんもんな。
    大事な場所を、自分だけの物にできるもんな。
希美) 分かるんなら返して。返して!
    もう戻れんなら、こんなに辛いなら、
    全部燃やしてなくしたい。
慎司) なら俺がやる。杉下に、
    犯罪者になって欲しくない。俺がやる。
希美) 待って!(泣)
慎司) 苦しいなら、助けるけん!
    どうしてほしい? 
俺に、なんができる?
希美) なんもいらん…。なんもいらん。(泣)
慎司) 卒業したら、島を出よう。

**********

電・希美) 来たらいかん。
      私、もう成瀬君とは、話さん。
電・慎司) どうして?
電・希実) 警察に、成瀬君の事、色々聞かれたけん。
      あの人達、また来るって言いよった。
      成瀬君…。今まで、ありがとう。
電・慎司) 何でそんなこと言うん。
電・希実) 今まで一緒に居てくれて、ありがとう。
      いつも一緒に居てくれて、嬉しかったけん。
慎司) 杉下…。


成瀬君、助けてくれて…

慎司) 杉下!

ありがとう。
 
**********

高野) 「Nのために」。
    その件で西崎さんと少し話をしました。
    「すべては、Nのために」。
    あなた達がやった事はそういう事ですよね。
    それについて少し。
安藤) 何ですか? Nって。
高野) 西崎さんは、
    被害者の、奈央子さんのNだと言っとりました。
安藤) ああ…大切な誰かの為にって事でしょうか?
    それなら西崎さんにだけじゃなく、あの時あの
    場所にいた全員に、大切なNがいました。
高野) 安藤さんにも?
安藤) 僕にとってのNは…杉下希美でした。


**********
 
あの時ついたたくさんの嘘を、
誰にも知られないまま、終わりたい。
終わらせなきゃいけない。
Nのために。

**********

なるほど。湊かなえ初のラブストーリーなだけあって、
キュンキュンする~。相変わらず大人たちはどうしよ
うもないけど、それゆえに、希実と慎司が心を寄せ合
う切なさが、より引き立って、キュンキュンしてしまう。
榮倉奈々ちゃんも窪田正孝君も、実年齢は26歳だと
いうのに、島に住む素朴な高校生にしか見えないっ。

慎司が、ずっと手をつなごうとしてつなげなかった手
が、燃えさかる炎を見つめながら、自然につながった
のが、2人の心がつながったようにも見えて、泣けた。

事件の場に居合わせた、現在生きている4人が出そ
ろって、それぞれの現在が少しだけ垣間見えてきて。
それぞれのとって大切なNが誰なのか? 大切に思う
理由は何なのか? これが、切なさに満ちた純愛ミス
テリーというものなのね。最後まで、目が離せません。


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第6話~許されぬ愛・・・罪人たちの悲しい告白
第7話~語られる事件の悲劇・・・歪んだ愛の代償
第8話~エリート夫の嘘と罠・・・炎に消えた真実
第9話~最終章~前編~今夜事件の幕が開く!
第10話~明かされる事件の真実・・・N達の未来

●「Nのために」HP


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