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Kierkegaard

『そして・・・』


「マヤ!・・・」

少女を静止しようと無骨な男たちが追う、だが・・・

「ルル・・・」

閃光が覆う・・・スコープを装着していた男たちは、一瞬のことだったので防ぎようがない、うずくまる集団。

真澄もまた目を手で覆うが、まぶしさに立ってられないが、なんとか、マヤを捕まえようと、左手を前に差出、そしてその手は、確かにマヤの左手首を掴んだはずだった。

確かな存在とぬくもり・・・それは、一瞬で消え、真澄の体も宙に浮いた、自身の細胞のひとつひとつが泡立つ感覚に戸惑いを覚えた、霞がかるように意識は途絶えた。

光が消失し、静寂だけがその場を支配した。

***

『今のは?』

『ベースへ連絡・・・最後の鳥は消えた・・・』

『ロボットを用意しろ、洞窟の中を一応を調査する』

『入口が封鎖されています』

『非破壊探査装置のカメラでも内部は透視不可です』

『・・・撤収』

***

ぴちゃん、ぴちゃん・・・鍾乳石から透明な雫が滴り落ち、真澄の頬に落ちた。

真澄は覚醒し、周囲の暗さに慣れた目で周囲を見渡した。

洞窟の中でみた遺跡と異なり、光源がほとんどないため暗闇の中に真澄はいた。

真澄はゆっくりと体を起こした、ゆっくりと手をあげ自分の置かれている空間位置を確認し、ポケットから携帯を取り出し電源を入れた。淡い光に照らされた壁一面には、色鮮やかな壁画があった。

壁に描かれた世界・・・宇宙と太陽、そして宇宙船、降り立つ神と獣の頭をした十三の神、人、塔・・・

子供の頃図鑑や百科事典で眺めた壁画のオンパレードだ、異なるのは彩色の鮮やかさであろうか?

真澄は指をなめると空に掲げ、風の方向を見定めた、壁に手を突くと風の流れる方向にゆっくりと足を進めた。

そして行き止まりの先に横たわる少女とむらさき色の躯を見つけた。

鳥のルルだった・・・

「マヤ・・・」

真澄は、少女の傍に座り込み、手で前髪を払い弱弱しい吐息に安堵して、その小さな身体を自分の胸に抱き寄せた。

「マヤ・・・」

少女は目覚めない・・・

鳥は死んだ・・・

真澄は、ただ少女を抱きしめた・・・

つづく その22