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Kierkegaard
(ガラカメである、某百鬼とは・・・関係ありません)

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『誰も知らない』

花くらべ・・・一番の花は誰?

春の花が、色とりどりの花が、緑が、陽の光を受けて咲き誇る、そして、真澄の花嫁候補たちが、白い椅子に座ってその時を待つ・・・

「マヤさん、楽しい人ね」

亜弓が朗らかに笑む、マヤはにっこり笑んで

「可愛かったね、アル達・・・」

紫織とのりえは澄まして、その時をしずかに待つ。

マヤは、花に誘われ、空を舞う蝶を見つめた、花弁の雫がプリズムになって虹のように輝く。

いつも英介と一緒に早朝の散歩を楽しんだ庭だ。同じように見えて日が変わるだけで、見える世界は違う。

「亜弓さん、とっておきの花が咲く場所があるの?見たくないですか」

「マヤさんの秘密の花園なの」

「はい、今日はお日様がとっても輝いているから、もっときれいだわ」

「榎木津のおじさまが、呼びに来るまでまで待つようにと言ってらしたわ」

マヤはきょとんとして亜弓を見つめて、首をかしげて、それから、椅子を降りてかけた。

「マヤさん!」

少女は、じいと一緒だった。

「飲み物と軽い食事を用意してもらったの、どうぞ召し上がれ」

「マヤさんどうしてじいを呼びに行ったの?」

「亜弓さんの話、どのくらい待つのか分からなかったから、陽ざし柔らかいけど、喉も渇くし、軽く摘ままないと倒れる」

「そうね、陽ざしがきついわね、家の中に入って待ちましょう」

「うん、あの、お姉さまたちも家の中に行きましょう」

「ええ」

のりえと紫織は、微笑を浮かべ同意した。

***

「嬢ちゃんも亜弓ちゃんも、合格点だな」

「榎木津さん・・・もういいでしょう、こんな茶番やめましょう」

「これからが面白いんだ、朝倉のヤツは来なさったかい」

「はい、先ほどから中の客間でお待ち頂いております」

「楽しみだな、何が出てくるのか」

「・・・」

真澄は、嘆息した、花くらべなんて、結果がどうなろうと俺はマヤを手放す気はない・・・

でも、何故、そんなに島に固執するマヤ・・・


つづく その14