りんくのページ へ ◆もくじ1へ (ガラパロ他) 
もくじ2へ(スキビ1)もくじ3へ(スキビ2)
もくじ4へ(いろいろ)

ご訪問ありがとうございます。


Kierkegaard
その前の話 その1 その2 その3 その4 その5
その6 その7  その8 その9 その10

『その瞳に映るもの』

榎木津氏に見えないものはない、だが、彼は沈黙を選んだ。

「表六玉、お前が選んだお嬢さんか、めごいな」

「榎木津さん、ご無沙汰しています。マヤです」

「こんにちは・・・おじさま」

「無理はしなくていいぞ、普通でいい」

マヤはぱちくりと目を瞬かせ榎木津氏を見つめた、マヤは優しそうなひとだと思った。

「なあ、お前さんの紫の鳥は言葉を話せるのか?」

「ルルのこと?ルルはきれいな声で鳴くの、どうして知っているの?」

「見えたからさ、安心しなもうすぐ島へ帰れら」

「ありがとう」

榎木津は、そっと少女に手を差し伸べた、少女は小さな手をその上に乗せた、彼はそっと優しく口づけた、そして少女を立たせ、側に引き寄せ少女の腰にそっと腕を回した。

「さあお嬢さん行きましょうか」

「榎木津さん!」

「お前は、黙って見世物を見物してろ」

榎木津は趣味人でもあるのだ、真澄にふさわしい嫁を選ぶために、適当に令嬢を見繕ったのも自分が楽しいからだ。

真澄は榎木津がよめない、だから、マヤには何も教えなかった。

「お嬢さん、これから少しばかり楽しい催しをするんだ。君も参加するが、思うように振舞い応えればいいからな」

マヤは、きょとんとしたが

「わかったわ」

離れの方に、令嬢が三人椅子に座り、主催者を待っていた。

「おじさま、今日は何ですの」

「亜弓ちゃんかすまんな、よろしく頼む」

榎木津はそっと耳打ちした。

「はじめまして、マヤです」

「私は姫川亜弓です。よろしくね、マヤさん」

マヤは、優しそうな少女が大好きになった。

「榎木津さま、鷹宮紫織さまと乙部のりえさまがいらっしゃいました」

「そうか、こちらへ案内してくれ」

はなくらべが始まる。

つづく その12