首都圏の私立大学に昨年度入学した一人暮らしの大学生への仕送り額は、15年連続減少して月額86,700円で、調査を始めた1985年以降最低額となったということがニュースで流れていました。

 

一人暮らしの大学生への仕送り額が減少しているのは、平均給与が減少していることが影響していると考えられます。

 

下のグラフは、大学生の仕送り額(月平均)と年間平均給与の推移を表したものです。


大学生仕送りと平均給与
資料出所:国税庁「民間給与実態統計調査結果」、東京私大教連

 

年間平均給与が下がっていくとともに、仕送り額が減少しているのが分かります。2010年以降は、年間平均給与が横這いもしくは微増となっていますが、仕送り額の減少は止まっていません。

 

年間平均給与が上がれば、仕送り額が増えてもいいと思うのですが、簡単にはそうならない背景があります。

 

次は、大学授業料と平均給与の推移を表したグラフを見てみましょう。


大学授業料と平均給与
資料出所:国税庁「民間給与実態統計調査結果」、文部科学省

 

2010年以降は年間平均給与が持ち直しているのですが、私立大学の授業料も上がっています。ひとり暮らしの大学生を持つ親は、仕送りの他に授業料も支払っています。平均給与が下がらなかったとしても、授業料が上がっていますので、仕送り額を増やす余裕はないのかもしれません。

 

過去30年の推移を見てみると、1990年代半ばまでは平均給与と大学の授業料はともに上昇していました。その後、大学授業料は上昇していますが、平均給与は下がっていき2012年以降にようやく上がっています。

 

つまり、1990年代半ばからは、平均給与が下がっているにもかかわらず、大学の授業料は増えていて、大学生の子供がいる家庭にとっては授業料の負担が大きくなっている状態になっていました。

 

平均給与が下がっているだけでなく、授業料が上がっていることも仕送り額が減少し続けていることに影響を与えていることが考えられます。

 

また、国立大学の授業料は30年前に比べて2倍以上になっています。30年前の私立大学の授業料よりも現在の国立大学の授業料の方が高くなっていて、以前に比べると国立大学に行っても経済的負担が大きくなっています。

 

ここ数年は平均給与が回復傾向にありますが、大学の授業料が上がり続けてしまうと、仕送り額は増えないような気がします。


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