先日、20代の渡航者数が減ったのは、若者の海外離れではなく20代の人数が減ったことが主な要因だということを記事に書きました(詳しくは「若者が海外に出なくなっているのは本当か?」 参照)。

 

その記事に対して”いなば雪うさぎさん ”からコメントを頂き、最近は以前よりも中学や高校では短期留学や修学旅行で海外に行くことが多いということを教えてもらいました。

 

そこで、10代についても渡航者数と渡航者率を改めて調べてみました。すると、20代との違いが10代にはあることが分かりました。

 

まずは、過去20年の10代の渡航者数推移を見てみましょう。


10代渡航者数
資料出所:法務省「出入国管理統計」

 

20代は1990年代半ばピークでしたが、10代の渡航者数は1990年代後半から2000年がピークで、その後の落ち込みも20代よりは小さく、2012年以降はピーク時に迫る渡航者数となっています。

 

10代人口のピークは20代人口のピークよりも早い1980年代後半でしたので、10代の人口が減ったにもかかわらず1990年代の渡航者数は増えていました。

 

次は、10代の渡航者数と渡航者率のグラフを見てみましょう。


10代渡航者数と渡航者率
資料出所:法務省「出入国管理統計」、総務省「年齢階級別人口」

注)渡航者率は各年の101日時点の人口を使って計算

 

渡航者率は2000年代に入ると落ち込みましたが、それ以降は上昇傾向にあります。そして、渡航者数が最も多かった2000年よりも、最近の方が渡航者率は高くなっています。

 

つまり、10代の若者に限れば、最近の若者の方が以前よりも海外に出て行く割合は高くなっているということになります。

 

やはり、若者が内向きで海外に行かなくなったというのは、客観的な事実を無視した言い方となるような気がします。



(関連の記事) 
○モンドセレクションってどんなもの?

○ボジョレーヌーボーは不味い?

○中国の国名はほとんどが和製漢語
○誰があんな道路案内標識にしたのか?
○英語力が弱いと国際競争力が低いのか?
○平仮名だけの文章は読みにくい
○日本の英語力がアジアの中で低い理由
○世界大学ランキングは信用できるの?
○米国への留学者数が減っている
○若者が海外に出なくなっているのは本当か?
○世界都市総合ランキングはどのようなもの?


こちらをクリックしてください!