昨日、国会の参議院予算委員会で、小川敏夫参議院議員がTPPに関して質問していました。小川氏は、米国の自動車輸入関税について、乗用車の5%SUVなどのライト・トラックの25%を撤廃するまでの期間が長いということを言っていました。

 

日本の自動車輸入関税は0%ですので、米国の輸入関税撤廃はTPPにおける交渉のポイントの一つでした。この部分で、もっと米国の譲歩を引き出せなかったのかという指摘はもっともなことだと思います。

 

そして、自動車や自動車部品などの関税を撤廃する年数が、米韓FTAよりもTPPの方が長いということを指摘していました。韓国企業が競合であり、TPPの交渉において日本は不十分だったということを主張していました。

 

TPPと米韓FTAという2国間交渉では、当然のように背景が異なりますので同じような条件になるとは限りません。但し、米韓FTAに比べてTPPの方が、自動車と自動車部品の米国の輸入関税撤廃時期が遅いのは確かです。ここだけを見ていると、TPPにおける日本の交渉が不十分だったと思ってしまいます。

 

一方で、貿易というのは関税だけでなく為替の影響というのも無視できないものとなっています。

 

現在は1ドル120円前後となっていますが、民主党政権下にあった平成23年から24年にかけては1ドル80円という超円高になっていました。

 

1ドル80円ということは、1ドル120年に比べると日本から輸出したものが1.5倍も米国で高くなってしまう状態です。

 

ここで、関税率が0%2.5%25%の場合、1ドルが80円・100円・120円のときに300万円の自動車を米国に輸出するとドルベースで幾らになるのかを下の表にまとめましたので見てみましょう。

 

300万円の自動車を輸出した場合のドルベースの価格
為替と関税の影響

 

この表を見ると、関税が0%1ドル80円の場合と、関税が25%1ドル100円の場合のドルベースの価格が同じ37,500ドルとなっています。そして、関税が0%1ドル80円の場合よりも、25%1ドル120円の場合の方がドルベースでは価格が低くなっています。

 

このように、輸出する際には関税率だけでなく為替も非常に価格に影響するというのが認識できると思います。

 

民主党政権下で円高が維持されたことで、多くの企業が外国に製造拠点を移していました。それにより、国内の雇用が失われたのは言うまでもありません。

 

小川氏には、日本の自動車メーカーの競争力云々を論じるのであれば、民主党政権下の超円高政策についてどう考えるのか聞いてみたいものですね。

 

また小川氏は、他の民主党議員のように事前に通知していない質問を多くしていました。閣僚にクイズのような質問を連発して審議を停滞させ、まともに政策論争をする気がないといういかにも民主党らしい議員ということを証明していましたね。


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