「ラヴソング」
誰にも届かないよう歌う、爪弾くギターで夜想曲、
震える唇、新芽に一粒、宿す光は雨の一滴、
明日には雪に変わるんだろう、
枝に残る一葉を、苛立ち舌打ち毟り取る、
微かな希望は効き目の薄い常備薬、
溢れ返る愛の歌、どうにも耳に馴染まない、
永遠なんて欲しいと想うことはない、そこまで無垢でも幼くもない、
一瞬だけで、目蓋に焼きつく光だけ、それだけあればずっと忘れないって知ってる、
思いもがけない意外な景色を憶えているのがヒトだから、
明暗、どちらに振り切るもなく、カラダの奥は揺れ動く、
晴れ間に氷が降り出すときの、乱反射が溢れる天、
倖せだったと思えるのはそれを知った冬の終わりの夜明け前、
爪弾くギターで夜想曲、吐く息には白銀まじる、
ピックが弦に擦れるときの、
震える音には一瞬だけ咲く花の、色を想うときによく似てる、
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