「発光」
凍りついた湖を、その氷を見に行こうって、
目覚めたのは夜が過ぎてゆく少し、
少しだけ前のこと、窓から覗く東は白く発光してた、
昨日の映画のビデオは予告編を繰り返してる、
新作だった10年前をふと想う、
ドラッグレースの痕跡残る、
タイヤの型のついた花束、泥を吸って眠ってた、
「暇潰しに死んじまって」
「潰せただけマシ」って独り言みたいに、
運命論者じゃないにせよ、やがてはその日が訪れる、
生に意味などないように、
死にも意味などないように、
〝個々の魂なんぞにわざわざ意味など持たせるものか〟
花びら一枚くわえた鳥は、
群れから離れ湖へと旅立った、
純粋さに呆れてるだろう、内包される愚かさには嗤いさえ噛み殺す、
耳を澄ませば風が空から流れてゆく音だった、
目を閉じ耳に手のひらをあて、風が空を切ってゆく、
どこ吹く風か、真下に金と銀の細い星、
カーブに散った暇つぶしの痕跡なのか代償か、
安い酒で容易い夜を明かしては、
澄み切らない琥珀の泡を眺めた時間、
あてどもなく彷徨った、日々をいつか振り返るのか、
永遠たりしは一度もない、欲しくもなかったろうって今日も、
発光したフィルムのなかに溢れてた、
一糸纏わぬ美貌の曲線、時は過ぎゆき時代も巡る、
もつれにもつれた内面吐露を繰り返す、
冴えないときは有り触れて、
何処にでもあるはずの、ありふれたる午後の景、
探していた湖なんて、視界のどこにも見つからない、
それは探していたつもり、つもりだけの幻だった、
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