狂桜記/栗本薫 | mokkoの現実逃避ブログ

mokkoの現実逃避ブログ

現実から目を背けて堂々と楽しむ自己満足ブログ

狂桜記―大正浪漫伝説 (角川文庫)/栗本 薫
¥620 Amazon.co.jp


中学生の柏木幹彦が暮らす家は近所から桜屋敷と呼ばれる

古い屋敷だった。
ある日、幹彦は入ってはいけないと言われている西の土蔵に
いとこの聡とともに近づき、得体の知れぬ声を聞いてしまう。
そしてその翌日、家にある“中将桜”で首を吊った聡が発見される。
さらにいとこのまさ枝も行方が分からなくなってしまい…。
桜屋敷に秘められた謎が奇怪な殺人事件を引き起こす。
大正時代を舞台に描くゴシック・ミステリ。

------------------------


二度目ましての作家さんです。

「たまゆらの鏡」 を読んで

もう二度と読むことはないだろうと思っていたけど
タイトル買いをすると、こういうことになる(-。-;)


大正浪漫というから、もうちょっと大正的な
情景描写を期待したけれど、それもない。


この人って、もしかして愚痴っぽい人なんでしょうか?
「たまゆら・・・」も主人公目線のグチグチブツブツが激しくて
かなりイライラしたんだけど、本作も主人公の周りに対しての
不の部分をしつこいくらいにグチグチと考え、更に自分だけは
周りの子たちとは違うと思っている。
いけ好かないタイプだ。
こういうのは読んでいて疲れる。
でも、予想外に読めることは読めた。



樹齢数百年を経た中将桜が庭先に構えるお屋敷。
近所では「桜屋敷」と呼ばれる柏木家。
主人公は、桜屋敷の小町4姉妹と謳われた美人姉妹の
長女の息子で14歳の幹彦。


幹彦は他の家に遊びに行って、自分の家が普通ではないと気づく。
母の姿は遠くから憧れの眼差しで見つめるものと思っていたのだ。
ものごころ付いた時から子供部屋で妹や従姉妹や従兄弟や
親戚の坊ちゃん達と一緒にされ、姉や達が面倒をみている。


母屋には母の妹である叔母も住んでいる。
許婚として迎えられた叔父を拒否し、

父親のわからない子供・聡を生む。
叔父は飼い殺し状態で離れに住み、

別の離れには曾祖母が暮らしている。
幹彦の父親は東京で暮らし、屋敷にはほとんど来ない。
土蔵には、伝染病を患った透子がいて、

近づく事を禁じられている。


ある日、幹彦の兄を訪ねて時折東京を訪ねていた哲志は
東京で「怪人赤マント」が出現して子供をさらい殺すという
噂があり、それがこの町で目撃されていると教えてくれる。


いつも幹彦に苛められながらも、まとわりつく聡。
いとこのまさ枝は頭が弱くて汚い。
二人は幹夫に苛められた直後に行方不明になり
聡は桜の木にぶら下がった状態で発見され
まさ枝は河童池に浮かんでいた。


赤マントの陰に怯え、憧れの哲志に少しでも近づこうと
大人へと急ぐ幹彦に降りかかる災難・・・

そして、更なる死が柏木家に続く・・・



思春期独特の子供でも大人でもない中途半端な時期の
苛立ちと焦りは上手く表現できてたと思う。
しかし、好奇心に負け、自ら泥沼に嵌り、苦しみながらも手放さない。
子供じゃないと虚勢を張っても、愚かな自分を省みる事ができない。
身近に素晴らしいアドバイザーがいるに・・・


自分の周りを見下してグダグダ言ってる時点で
主人公に対して感情移入ができるはずもなく
なんて愚かで哀れなんだと思いながらも嫌いだから

同情もできない。


物語の持って行きかたは結局は読まされたので良かったのかな?
金にものを言わせて、過ちを全て家の中に閉じ込め
その結果、少しずつ家が病んでいく。
これは陰鬱な家の崩壊物語です。
読後感は不快な疲労だけが残ったって感じかな・・・
やはり、この著者は苦手だ。
もう読まないぞ!

読書は楽しむために読むものです。



□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

mokkoの現実逃避ブログ-bana-sakura

桜特集です。


桜宵 「香菜里屋シリーズ」

桜闇 「建築探偵 桜井京介の事件簿」 短編集

桜さがし

夜叉桜 「弥勒の月」の続編

雷桜

桜雨

抱き桜

西行桜