西行桜 (小学館文庫)/火坂 雅志
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若狭小浜の領主・国枝権太夫の邸で
能を舞っていた世阿弥は
ふりしきる桜から霊気をおぼえ、
禁呪の法である""反閇""を踏んだ。
領主の奥方が桜谷からこの枝垂れ桜を植え替えて以来、
奇病に伏しているという。
桜谷を訪れた世阿弥が知った驚くべき事実とは!
呪術にかかった男女を、世阿弥が、闇源氏が、
元三大師が解き放っていく。
書き下ろし長篇『全宗』で、現在最も注目を浴びている
作家の時代ホラー傑作集。
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初めての作家さんです。
これはバッチリmokko好みでした♪
天地人を書いた人だったのねぇ~(見てないけど)
本作は3章に分かれており、主人公が違います。
Ⅰは能楽師・世阿弥元清(ぜあみもときよ)がメインの短編が3篇
世阿弥については→こちら
Ⅱは平安京随一の「狩籠師(かりごめし)」(退魔師)の
源霞(みなもとのかすみ)こと闇源氏がメインの短編が3篇
Ⅲは比叡山中興の祖といわれる第18代天台座主・慈恵大師良源の話。
慈恵大師良源については→こちら
これは他の作品より長めなので中篇になるのかな?
ホラー小説集となってますけど、怖くはないです。
夢枕獏さんの陰陽師が大丈夫なら平気です。
映画の野村萬斎氏の陰陽師を見てるみたいだった。
雅なゴーストハント(小野不由美)とも言える(○ ̄m ̄)
何が好きって、世阿弥(〃▽〃)ポッ♪
実在した室町時代初期の猿楽師だったのねぇ~
扇をかざす白い指先、しなやかな腕の動き。
典雅で、繊細で、どこかひんやりと冷たいものを感じさせる舞いぶり
(〃▽〃)ポッ♪
花をもあざむく美貌Oo。。( ̄¬ ̄*)ぽあぁん
陰陽道に押されて滅んだように見えた呪禁(じゅごん)道が
能楽の中に形を変えて生き続けていて、
呪詛や妖などをやっつけた後には能を舞い魂を鎮める。
「能とはすなわち、呪禁道を用いて荒ぶる魂を鎮める鎮魂の儀式」
(*~○~*)アァーン まさにmokko好みの作品ではありませんかぁ~
行動を共にする観世一座の作物師(つくりものし=大道具係)の
道喜(どうき)も、もとは伊賀の忍家服部一党の出身。
妖物以外の危ない輩や、聞き込み(○ ̄m ̄)には彼が活躍する。
闇源氏もステキよぉ~(〃∇〃)
琵琶を担いで、妖物と戦う時は琵琶に仕込んだ両刀の剣で戦う。
この戦闘シーンが、ちょっと滑稽だったりしますけど
そこはご愛嬌ってことで・・・
Ⅰ 世阿弥妖曲集
『西行桜』表題作
若狭小浜の領主の屋敷で能を舞っていた世阿弥は、霊気を感じた。
それが枝垂桜から発せられていると気づいた。
更に領主の奥方が枝垂桜を移し変えた時から奇病に冒されていた。
世阿弥は枝垂桜が元あったという桜谷に出向くが・・・
世阿弥作の能楽作品にも西行桜がありますが
こちらの西行桜は、枝垂桜の名前で、歌詠み(うたよみ)の
西行法師の言い伝えに結び付けて名付けたという設定です。
『葛城』
天才的な面打ちの蒼夜叉と訪ねて葛城山向かった世阿弥と道喜は
冬山で道を間違え一軒の屋敷で一晩泊まることになる。
深夜、地下蔵の入り口の鉄扉に何かの文様を削った痕を見つける。
次の日、屋敷を後にした世阿弥たちは、山伏に襲われる。
道喜が何とか山伏を追い払い、蒼夜叉の住む小屋にたどり着くと・・・
『鉄輪』
新作の能の為に世阿弥は貴船神社の奥ノ院に、
丑ノ刻参りを見に行き、女が藁人形に釘を打つ様を見た。
藁人形は翌日にはお払いをして燃やすというのだが
その藁人形に付いていた血塗れの布を見た世阿弥は・・・
Ⅱ 闇源氏物語
『無傷』
藤原道長の建てた寺の墳墓を荒らしていた二人は
突如現れた妖艶な女に導かれ林の奥にある家に入ったが・・・
『寝物語』
薬種商いの男が、近江と美濃の国境にある長者屋敷の離れに
宿をとった次の日、死んでいた。
宿の主は離れでの死者が5人にもなることから
琵琶の修理で近くに来ていた闇源氏に調査を依頼するのだが・・・
『腹子石』
都で子宝に霊験あらたかな岩神さまの霊石が評判になっていたが
それは祈願していると貴公子の姿をした岩の精が現れるという。
一方、大炒御門大納言の屋敷に招かれた闇源氏は琵琶の絃が
邪悪なものの気配を感じて震えていることから、その源を探ると
それは帝の子を懐妊した大炒御門大納言の娘の部屋からだった・・・
Ⅲ 元三大師幻奇譚
『降魔大師』
比叡山・横川香芳谷(よかわかぼうだに)に、
元三大師御廟(がんさんだいしみみょう)と呼ばれる荒れた墓があった。
元三大師自身が草掃除いっさいをしてはならないと遺言していたのだ。
実在した慈恵大師良源の逸話と中国からやってきた仙人
智羅永寿(ちらようじゅ)が日本各地の霊山をまわって歩いた訳は・・・
桜特集でようやく好みの作品にぶち当たりました♪
欲をいえば、妖物の描写と戦闘?シーンの描写が
もう少しきれいに描いてくれると嬉しかった。
情景描写や話の流れがきれいなのに、妖物と対峙してからが
あまりにもサラっと流しすぎて物足りない感じがしました。
でも能や呪禁道や狩籠師と難しそうな感じだけど読みやすいです。
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桜特集です。
桜宵 「香菜里屋シリーズ」
桜闇 「建築探偵 桜井京介の事件簿」 短編集
夜叉桜 「弥勒の月」の続編