雷桜/宇江佐真理 | mokkoの現実逃避ブログ

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雷桜 (角川文庫)/宇江佐 真理
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江戸から三日を要する山間の村で、生まれて間もない
庄屋の一人娘、遊が雷雨の晩に何者かに掠われた。
手がかりもつかめぬまま、一家は失意のうちに十数年を過ごす。
その間、遊の二人の兄は逞しく育ち、遊の生存を
頑なに信じている次兄の助次郎は江戸へ出、やがて
五三卿清水家の中間として抱えられる。


が、お使えする清水家の当主、斉道は心の病を抱え、
屋敷の内外で狼藉を繰り返していた…。
遊は”狼少女”として十五年ぶりに帰還するのだが―。
運命の波に翻弄されながら、愛に身を裂き、
凛として一途に生きた女性を描く、感動の時代劇編。

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初めての作家さんです。
タイトル買いしたんだけどね、どうやら映画化されるらしい。
キャラを妄想する楽しみを奪わせてなるものか!
ってことで、順番無視して読んでみたら、
またも時代小説でしたil||li _| ̄|○ il||li


しかし・・・当たり
時代小説=人情モノにあらず。
先日読んだ「弥勒の月」と「夜叉桜」を読んで思っていたけれど、
この著者の作品は人情モノや捕り物が主で、これは異色作らしい。
異色作ブラボー\(o⌒∇⌒o)/ 
なんか当たりが続いて嬉しかったりするv(〃>∇<〃)v


雷桜(らいおう)とは雷が落ちて折れた銀杏の木に
桜の芽がついた異様な姿の木のこと。


隠居して68歳になった御三卿清水家の元用人
榎戸角之進が一人旅の途中の茶屋で、思いがけず泊まる事になり
茶屋を営む老婆から、使っている炭を運んで来るのは狼女の
お遊であると知る。榎戸は、お遊を知っていた。
老婆と榎戸の回想のような形で物語りは始まる。


江戸から片道3日ほどの距離にあり、
2つの藩の境界に位置する瀬田山と瀬田村。
その支配を巡り、嫌がらせが瀬田村に向けられていた。
そんな中、代々庄屋を務める瀬田助左衛門の娘・お遊が
1歳にならぬ前に連れ去られ、捜索するも見つからなかった。


月日は流れ、見聞を広める為に江戸に出るのがしきたりの
瀬田家では長男と入れ替わりに次男の助次郎が
江戸へ出、運良く御三卿清水家で中間奉公することになる。
更に榎戸から清水家に仕えるよう言われるが
清水家の当主・斉道(将軍家斉の十七子で、養子に入った)は
心の病を抱え、屋敷の内外で狼藉を繰り返していた。


悩んだ助次郎は一旦、瀬田村に戻る事になったのだが
その帰り道、見知らぬ少年と出会い、越えられないはずの
瀬田山を通り抜け村まで送ってもらった。
助次郎は、少年が実はお遊ではないかと思い始める。


江戸に戻った助次郎は夜伽(よとぎ)番の時、
斉道に幼い頃に連れ去られた妹お遊の話をすると興味を示した。
お遊が戻ったとの手紙が届き、静養が必要な斉道は
助次郎、瀬田を伴に瀬田村に行くことになる。


二人が出会うまでの物語は、主に助次郎目線で
半分以上かけて瀬田山の自然や村の暮らし、家族の思い
そして斉道の境遇や異常っぷりなど、それぞれの気持ちや
生き方の変化が丁寧に描かれ、そして二人は出会う。
だから身分違いの恋という安っぽいものにはなっていない。
大自然と奔放なお遊に触れる事で、マトモになっていく斉道。


お遊の育ての親である親父様の失踪。
斉道とお遊の出会い。忍び寄る不穏に蠢くモノの気配。
瀬田山に隠された秘密。


二人はほんの短い期間で恋に落ちるが
一緒にいようと思えば側女という道もあるのに
「自分が不幸になることも、他人を不幸にすることも嫌だ」
キッパリ断るお遊。

こんなことをサラリと言ってのけるなんてぇ~(/□≦、)


そして別れ。
一途なお遊の想い。道の定められた斉道。
それぞれが自らの運命を生きる。


そして場面は最初の榎戸の目線に戻ります。
胸はザワザワとざわめいて来るのですよ。


そして最後のセリフ
「殿、榎戸、おいとまを致します。ごめん」


ここで、本当に走馬灯のように今までの話しが

脳みそを駆け抜けていきます。
一気に泣きました。
長い長い御伽噺を聞いていたような感じです。


本作は映画公開が決まっています。
全国東宝系(2010年10月22日公開)
公式サイト→こちら


興味があって、キャラは自分で妄想したい人は
読んでからサイトを見ましょう。
映画の内容はやはり違うみたいですよ。
二人の出会い方が既に違う。
二人の身分違いの恋に重点を置いてるような感じを受けました。
これは、どんな風に作られているのか観たい気もします。



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