- たまゆらの鏡―大正ヴァンパイア伝説 六道ヶ辻 (角川文庫)/栗本 薫
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大正時代。伊奈新山。
因習と伝統に支配される地方都市に、斎門伯爵が現れた。
元領主小月家の客人として彼が住み着いてから、伊奈では
奇妙な事件が起き始める。
血を抜き取られた奇妙な死体が発見されたのだ。
そんな最中に小月家の娘、莢子と彼女に付き従う百合は、
伯爵に招かれ、彼の家に向かうが…。
トランシルヴァニアから日本に渡ったと云われる
謎のヴァンパイアと大導寺竜介の戦いを描く
ゴシック・ロマン・ミステリ。
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大好きなヴァンパイアものですよ。
しかも、日本の大正時代が舞台となると
妖しさに加えて、新しい刺激があるんじゃないかと
期待してしまうでしょ~
しかし!!
何じゃこれは??
初めての作家さんですが、この人はどの小説も
こんな文章の書き方をする人なのか??
主人公は元藩主だった小月家の家老だったという家柄の
一人娘の百合。
もう間もなく死が訪れるのがわかったその時、
心に秘めていた、昔の恋の思い出をクドクドと語るってもの。
時代が大正だし、お嬢様ですから、まどろっこしい言葉遣いも
昔の漢字も読み辛いが、いたしかたない。
問題は、斎門伯爵が現れて、伯爵とそれに従う小姓:雪也の
あまりにも妖しく美しい姿に惑わされたのはいいとして
話しが進まないのよ。
三歩進んで二歩さがるって感じ?
365歩のマーチか?!
その2歩分ってのが、元藩主の娘:莢子に対する愚痴と
自分がいかに莢子の機嫌を損ねないように努力してるかとか
伯爵様は、自分の方に興味があるとか・・・
妄想が暴走してる状態をしつこいくらいに繰り返す。
だから、はっきり言って、これは319ページの
半分は必要ない!ウザイ!
年寄りは、同じ事を何度も繰り返して話す。
まさに、それよ!
首を食いちぎられたり、血が1適も残っていない死体が
見つかったって時も、村中が騒いだだけで終わり。
伯爵が小月家の別荘や新居に住み着き、運び込まれた家具や
調度品の説明は煌びやかでいいとしても、
伯爵達のことがほとんど語られていない。
タイトルにもなっている「たまゆらの鏡」
これも、ほとんど出てこない。
探してたものが見つかったって程度。
ヴァンパイアとしては、欲しい代物だろうけど
どれだけ欲していたかも、サラっとしか触れていない。
こんなヴァンパイアものがあっていい訳ない!
心の葛藤も安っぽくて、その後悔が書かせた愚痴物語みたい。
何かあるかと期待したから最後まで読んだけど
最後までB級ホラーの域を出ない。
B級ホラーだって、もっと面白いわ!
あの結末は許せん!!
もうイライラしたわぁ~
六道ヶ辻シリーズの番外編らしいけど
そのシリーズを知らないから、つまらないと思うのか?
でも・・・でも・・・
ヴァンパイア好きとしては、これはだけはいただけない!
絶対にシワが増えてると思うわ(ー'`ーメ)