不思議なブログ(後半)
不思議なブログ(前半)の続き。
自分で書いていて、これはちょっとありえんだろうと思うこともある。かつて紹介した抑肝散でけいれんが生じ、そのまま幻覚が寛解した話などである。実はこれに似た話はそこそこあって、アップしていないものがほとんどである(書くと、かえってリアリティがなくなると感じるため。あまりにもオカルトっぽい結末の患者さんはアップを避けている)。
あと、10年前だったら変と思う内容として、ジプレキサと体重減少が挙げられる。
患者さんは自分が診るようにになって急に食が細る人が多い。この理由は謎である。だから、別にジプレキサに限らず、どこか他の病院で向精神薬を投与されていた人は、僕が診始めて体重が自然に減ってしまうことが多いのである。これはサイエンスで説明できない。
なぜか、ダイエット向きの精神科医なのであった。
過去ログで出てくるアルプスの少女ハイジの人は現在48kgまで減量している。彼女は抗精神病薬の減量により体重減少したと思うが、せめて53kg程度になってほしい。彼女は背が高いからである。今はご飯を大盛りにしている。
過去ログで他の病院に転院したが、8kgも体重増加し、友人からの携帯のやりとりでうちの病院に戻ってきた女性患者さんの話をアップしている。(ちょっとオカルトの話(後半))
彼女は極めて治療が難しい人で、その本体は未知の免疫異常であろうと考えた。彼女は症状性のうつ状態なのである(つまり器質性)。当初転院してきた当時は酷い状況であったが、数回入退院しているうちに次第にまとまってきた。治療後1年半~2年くらいで、主婦としては概ね仕事はこなせる感じになったのである。しかし就労は難しい状況であった。
当時、彼女と話していた時、50%から60%はよくなったと聞いた。不完全な状態なので、残りの40%はカウンセリングでよくなるのではないかと思い始めたようであった(←この感覚は非常に理解できる)。
そこで、ある病院に転院を希望したため、詳細な紹介状を書いた。元々、僕は本人の希望を尊重する方針だからである。また、いかなる治療方法でも本人がよくなれば良いという考え方なのももちろんある。
その後の経過は、過去ログのとおりである。僕は彼女が再び帰って来ることがあれば、今度はラミクタールで治療しようと考えていた。もしそれを本人が嫌うなら、ブプロピオンである。ラミクタールとブプロピオンはうつ状態に非常に有効な上に、体重を増加させないのが彼女のニーズに合っていた。
読者の方は、彼女が他の転院した際に碌に薬も変更していないのに、なぜ体重が増えるか不思議に思うかもしれない。もちろんカウンセリングのために体重増加をきたしたわけではない。
これはたぶん、薬物治療者のコンセントレーション、疾患理解に関係があると思っている。(←謎)
結局、彼女との話し合いの結果、ブプロピオンを選んだ(僕はラミクタールを強く推奨したが、やはり中毒疹が怖いという)。
これは八百長もいいところだ。日本で未発売の薬だし。
その後の彼女だが、鬱々とした不愉快な気分がかなり消失し、しかも1ヶ月に2kgずつ正確なペースで体重減少した。そうして4ヵ月後には元の体重に戻った。
何かダイエットとか努力をしましたか?
と聴くと首を振り、「全然・・」と答えていた。彼女はその後、仕事に復帰しているが、最初2~3日は体の動きがとてもトロかったという(本人の話)。しかし、その後、速やかに慣れていき、そのまま仕事を継続している。彼女はそれまで数年間、仕事に就けるような状態ではなかった。
ついに、ブプロピオンで雪辱を果たしたのであった。彼女は今、抗うつ剤はブプロピオンのみで、気分安定化薬も併用していない。(他は眠剤など)
彼女は処方期間を考慮しても、ブプロピオンの腰折れ状況は出現していないように見える。
彼女は1年ほど他の病院で治療していたことが、かえって良かったような気がする。復帰後、全く違う薬物治療で良くなっているし。(ひと呼吸おいたのが良かった。)
人生、塞翁が馬である。
自分で書いていて、これはちょっとありえんだろうと思うこともある。かつて紹介した抑肝散でけいれんが生じ、そのまま幻覚が寛解した話などである。実はこれに似た話はそこそこあって、アップしていないものがほとんどである(書くと、かえってリアリティがなくなると感じるため。あまりにもオカルトっぽい結末の患者さんはアップを避けている)。
あと、10年前だったら変と思う内容として、ジプレキサと体重減少が挙げられる。
患者さんは自分が診るようにになって急に食が細る人が多い。この理由は謎である。だから、別にジプレキサに限らず、どこか他の病院で向精神薬を投与されていた人は、僕が診始めて体重が自然に減ってしまうことが多いのである。これはサイエンスで説明できない。
なぜか、ダイエット向きの精神科医なのであった。
過去ログで出てくるアルプスの少女ハイジの人は現在48kgまで減量している。彼女は抗精神病薬の減量により体重減少したと思うが、せめて53kg程度になってほしい。彼女は背が高いからである。今はご飯を大盛りにしている。
過去ログで他の病院に転院したが、8kgも体重増加し、友人からの携帯のやりとりでうちの病院に戻ってきた女性患者さんの話をアップしている。(ちょっとオカルトの話(後半))
彼女は極めて治療が難しい人で、その本体は未知の免疫異常であろうと考えた。彼女は症状性のうつ状態なのである(つまり器質性)。当初転院してきた当時は酷い状況であったが、数回入退院しているうちに次第にまとまってきた。治療後1年半~2年くらいで、主婦としては概ね仕事はこなせる感じになったのである。しかし就労は難しい状況であった。
当時、彼女と話していた時、50%から60%はよくなったと聞いた。不完全な状態なので、残りの40%はカウンセリングでよくなるのではないかと思い始めたようであった(←この感覚は非常に理解できる)。
そこで、ある病院に転院を希望したため、詳細な紹介状を書いた。元々、僕は本人の希望を尊重する方針だからである。また、いかなる治療方法でも本人がよくなれば良いという考え方なのももちろんある。
その後の経過は、過去ログのとおりである。僕は彼女が再び帰って来ることがあれば、今度はラミクタールで治療しようと考えていた。もしそれを本人が嫌うなら、ブプロピオンである。ラミクタールとブプロピオンはうつ状態に非常に有効な上に、体重を増加させないのが彼女のニーズに合っていた。
読者の方は、彼女が他の転院した際に碌に薬も変更していないのに、なぜ体重が増えるか不思議に思うかもしれない。もちろんカウンセリングのために体重増加をきたしたわけではない。
これはたぶん、薬物治療者のコンセントレーション、疾患理解に関係があると思っている。(←謎)
結局、彼女との話し合いの結果、ブプロピオンを選んだ(僕はラミクタールを強く推奨したが、やはり中毒疹が怖いという)。
これは八百長もいいところだ。日本で未発売の薬だし。
その後の彼女だが、鬱々とした不愉快な気分がかなり消失し、しかも1ヶ月に2kgずつ正確なペースで体重減少した。そうして4ヵ月後には元の体重に戻った。
何かダイエットとか努力をしましたか?
と聴くと首を振り、「全然・・」と答えていた。彼女はその後、仕事に復帰しているが、最初2~3日は体の動きがとてもトロかったという(本人の話)。しかし、その後、速やかに慣れていき、そのまま仕事を継続している。彼女はそれまで数年間、仕事に就けるような状態ではなかった。
ついに、ブプロピオンで雪辱を果たしたのであった。彼女は今、抗うつ剤はブプロピオンのみで、気分安定化薬も併用していない。(他は眠剤など)
彼女は処方期間を考慮しても、ブプロピオンの腰折れ状況は出現していないように見える。
彼女は1年ほど他の病院で治療していたことが、かえって良かったような気がする。復帰後、全く違う薬物治療で良くなっているし。(ひと呼吸おいたのが良かった。)
人生、塞翁が馬である。