2016-02-16 23:19:57

94歳の女性に内科でデパスが処方されていた話

テーマ:デパス
まだ自分で歩行できる94歳の女性に、かかりつけの内科からデパスの0.5㎎が1日2回処方されているのを目撃。

なぜ処方されたのか家族に聴いてみたところ、日中に落ち着きがなかったからだという。

たぶん、デパスの特性を理解していない医師が処方したんだと思った。

もっと驚いたことは、その高齢の女性は副作用もなくピンピンしていたこと。

精神科医は、そのような高齢者には筋弛緩の副作用が怖くてデパスなど処方できない。

参考
ハルシオン
デパス
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2013-12-26 23:55:45

25年以上デパスだけ服用していた人

テーマ:デパス
デパスのテーマでは、統合失調症の人が長期に渡りデパスだけ服用していた話がいくつか出てくる。

今年、久しぶりにそのような人に遭遇した。彼はなんと25年以上デパスだけ服用し、病状が改善しないまま悲惨な生活を送っていた。

発病した当時は運転手などをしていたという。その後、突然、幻覚妄想が出現し、2回ほど単科の精神病院に入院したようである。(記録も残っておらず詳細は不明)。

その後、金銭的な理由で精神科に受診しなくなった。25年前は既に今の自立支援法に当たる32条があり、精神科窓口の支払いは5%で良かった。

この32条とは、通院医療公費負担(精神保健福祉法32条)を指し、通院医療費の95%を公費で負担すると言うものである。ただし、残りの5%も他の公費で負担し外来精神医療が実質無料だった都道府県も少なからずあった。当時の32条は適応疾患の範囲が狭く、神経症などは認められなかった。

従って治療が続かなかったのは金銭的な理由だけでなく、病識などの欠如や周囲の支援がなかったことも大きい。また、納付要件を満たしていなかったため、障害年金は受給できなかったようである。

病状が改善した後、本人と話した範囲では、ここ25年くらい、何度かアルバイトをしようとしたが、全く続かなかった。

一般に、ニートを「自宅警備員」と呼ぶことがあるが、実際に自宅内の一定の業務に従事している人が稀ではない。また、少なくとも、いつも家の中にいるので空き巣に入られない。これは、基本的にニートの人は就労はできないものの、幻覚妄想のような統合失調症の陽性症状らしきものがない人が多いというのもある。

現代社会のニートの人は、年老いた両親を車でかかりつけの病院に連れて行ったり、銀行のATMでお金を下ろしてくる、あるいは料理や掃除など一定の家事をしている人がいる。

しかし、一見して就労できそうなのに、アルバイトさえできない。これもある意味、統合失調症らしくない点だと思う。一方、統合失調症で一定のレベル以上の病状の人は、一見して仕事はできそうにない。

いつだったか、ある犯罪で、犯人はいつも両親の代わりに銀行のATMでお金を下ろしていたらしく、「誰も本人を発達障害とは思わなかった」というものがあった。つまり、一般の人々の多くが、発達障害をIQの高低だけで論じているから、そのような感想が出るのである。

最初のデパスの人も、普段、重い身体障害を持つ母親の世話をしていたらしい。買い物に行ったり、簡単な料理も本人がしていたと言う。収入は母親のわずかな年金だけだったので極めて貧しかった。薬は近所の内科でデパスを貰っていたという。

その患者さんは、ある日、亜昏迷状態に至り、母親の世話を始め全てが出来なくなった。しばらく何も食べていなかったようである。どこにも連絡が出来なかった場合、そのまま2人とも餓死していたと思う。

遠方に住む親戚に何とか連絡できたため、彼らに同伴されて25年以上ぶりに精神科に初診した。しかし、お金が続かないので短期間しか入院できないと言う(同伴した親戚の人の話)。

普通、このような際、亜昏迷だけにジプレキサを試みたいところである。第一感では、ジプレキサが良いと思った。しかし、もし翌日に退院し帰らなければならないなら、ジプレキサは推奨できない。というのは、ジプレキサは、かえって幻覚妄想が増悪する危険性があるからである。

そこで、そういう悪化がなく、即効性があり、しかも安価なセレネース液を選んだ。

セレネース液は、幻覚妄想がかえって悪化する裏目のパターンがほぼない。

彼は、入院した時点では、ほとんど会話が出来ない状況だった。しかし、セレネース液を2cc使ったところ、2日で霧が晴れるように清明になった。ジプレキサでも良かったかもしれないが、セレネース液でも十分だったのである。

入院費が払えないという話だったため、わずか3日で退院させた。入院時に、状況的に生活保護が受給できると思われるので、PSWに市の福祉のケースワーカーに連絡してもらった。

この人の場合、状況的に生活保護を受給できる要件が揃っている。しかし、そういう社会資源を利用できない、あるいは思いつかないのも精神所見の1つである。(重要)

セレネースは極めて有効で、その後1日1ccに減量して続けているが、今は会話は普通に可能である。

彼は、25年間以上の貴重な時間を損失した。

現在の病状の程度から察するに、きちんと治療を受けていれば、あのような悲惨な生活が25年以上も続くことはなかったであろう。

参考
デパスのテーマ
精神科医は時間の販売員?
ひきこもりは治癒過程ではない
精神疾患と生活保護受給について
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2012-07-31 21:47:21

平成24年7月24日、デパス0.25mg発売

テーマ:デパス
平成24年7月24日、デパス0.25mgが発売されている。元々、デパスはかなり歴史の古い薬で錠剤は0.5mgと1mgの2剤型がずっと販売されていた。(他、1%細粒)

今はジェネリックも出ており、売り上げとしては薬価が安いためたいした額にはならないが、処方箋数は相当なものだと思う。

最初、デパスの0.25mgが発売になると聞いた時、パキシル5mgのような位置づけと思っていた。(つまり中止の際の離脱を緩和する目的)ところがそうではないらしい。

デパスは、精神科以外の一般科でも広く使われており、特に筋弛緩作用を期待されて、整形外科などでも処方されているようである。

過去ログで、総合病院全体でハルシオンが2万錠処方されているのに、精神科ではそこまで処方されていなかったという話が出てくる。

デパスも、これと似ている状況だと思う。僕はドグマチールとデパス、SSRIはあまり処方しないタイプの精神科医で、特にデパスは少ない。

全ての入院患者、外来患者合わせてもデパスは10名も処方していない。たぶん数名だと思う。

デパス0.25mg錠は一般科の医師がデパス0.5mgを処方した際、老人だと転倒する危険性が高いため、0.25mgのニーズが高いことに応えたものだという。

こういうところにも、日本社会の高齢化が見てとれる。

眠剤も含め、ベンゾジアゼピンは、決して精神科だけで処方されている薬ではないのである。

(注:厳密にはデパスはベンゾジアゼピンではない)

参考
パキシル5㎎錠発売
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2010-10-12 18:22:45

内科から紹介されてくるうつ状態の人

テーマ:デパス
内科から紹介されてくるうつ状態の人の中には、多くの抗不安薬、眠剤が投与されていることがある。その他、ドグマチールなど。

こちらは整理が大変。

最近の精神科医は、副作用(乳汁分泌や肥満)を考慮して、あまりドグマチールは使わないものだが・・

内科医は全ての抗不安薬を知っているわけではないので、概ね数種類に限られる。よく見るのはデパス。デパスかそのジェネリックがしばしば投与されている。それと、ソラナックス。

わりあい見ないのが、レキソタン、セパゾン、ワイパックス、セルシン。

ワイパックスを使う内科医はどういう経緯で投与したのか少し気になる。メイラックスはなぜかあまり選ばれていない。リボトリールも同様である。というか、リボトリールは見たことがないレベルである。

眠剤はレンドルミンOD、マイスリーが多く、古いタイプの眠剤、ロヒプノールとかネルボンを使う人は稀である。

あと、意味不明のパキシル。

これも後処理が困るんですけど・・
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2007-10-18 00:18:37

デパス0.5mgの謎

テーマ:デパス
数ヶ月前に、友人から20歳くらいの女性患者を紹介されたことがある。患者さんの引き継ぎなのだが、しばらく診たのち、診断についての意見を聞かせてほしいと言われた。僕が最初に診た時、処方はデパス0.5mg。これを就前に服用するだけなのである。

診断は統合失調症であった。カルテをみると、発病当初は自我障害症状がみられ、幻覚妄想の記載も多くあった。本人は非常におとなしい子で、僕が診始めた時は寛解していて、既に就労していた。

最も悪かった時期はインプロメン6mg程度が処方されていた。インプロメンという薬物は、このブログではあまり出てこないが、ブチロフェノン系のセレネース的な抗精神病薬であり、セレネースよりは副作用が少ない。現在では非定型薬物が主流になったので、出番が非常に少なくなった薬物の1つである。一時、パキシル、テグレトール、リスパダールが使われていた時期もあった。

デパス0.5mgになった経緯であるが、どうも、カルテを参照する限り、ある日、本人が他の薬を勝手にやめてしまい、そのまま様子を診ていてもたいして悪化もなく、仕事も続いているので、そのままになっているようであった。本人が飲まないものは仕方がない。今の処方のまま1年以上経過していた。

近況を聞くと、幻覚妄想はこの処方でも全く消退しており、わりあい働けているようであった。ただ、表情の動きなどを総合すると、非常に統合失調症の色彩が強いといわざるを得なかった。その友人にはまだ1回だけしか診ていないのでなんとも言えないが、「十分に統合失調症が疑わしい」と答えた。薬物に関しては今のまま様子をみるつもりだった。

その後、数回の診察のうちに、彼女は間違いなく統合失調症であると確信した。しかし、デパスだけで十分に安定しているのである。

なぜ、彼女はデパスだけで落ち着いているのだろう?

それはきっと統合失調症なのだが、非定型精神病的な要素があるからだと思った。発病当時だが、いわゆるシュナイダーの1級症状がすべて言ってよいほど揃っている時期がみられた。これこそ、非定型精神病的色彩なのである。(参考1

クルト・シュナイダーの定義した1級症状 
1.思考化声
2.批判的幻聴
3.ダイアログ(複数人の対話)形式の幻聴
4.身体への悪意ある行為や影響
5.思考伝播
6.思考奪取
7.作為体験
8.関連妄想・妄想知覚


最近、少し涼しくなってきたが今のところ全然変化がなく、今のところは安定している。数年単位で考えると増悪するようなこともあるかもしれない。

「デパス0.5mgを服用していること」についてだが、僕に言わせると、何も服用していないことに限りなく近い。特に彼女が統合失調症であるだけに。

ただ、彼女にとっては、「1錠の薬物を服用している」という意味で、それがデパスであろうと、リスパダールであろうと、ジプレキサであろうと変らないような気がする。彼女にとっては精神科の薬物を服薬していることに他ならないから。

彼女が、いろいろ服用していた薬物の中から、デパスだけ選んで服用しているというのは、僕にとってデジャヴなのよね。(デジャヴ=既視感)

僕は数年後ごとに、こういう人に遭遇している。デパスはちょっと不思議な薬だと思う。

あと、ちょっと思ったのだが、ある特定の薬物を服用しているからと言って、全然、診断は確定しないのよね。

抗精神病薬と診断は必要でも十分でもない関係なのがわかる。



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