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2017-03-25 20:00:00

エビリファイの自閉性障害への処方の理由のことなど

テーマ:広汎性発達障害、アスペルガー症候群 

エビリファイの適応について、小児の自閉性障害に使うにはあまりに副作用が大きいのでは?という話が出ているが、元々、向精神薬の副作用の出現率は相当に高いのでこの薬が特別ではない。エビリファイの副作用が多いのなら、それ以外に困る薬が相当にある。

 

エビリファイに限らず小児に対する向精神薬の処方方針は対症療法であること。

 

うちの県では、エビリファイ1㎎錠や液剤は発達障害専門の小児科を主に非常に多く処方され、今やなくてはならない薬らしい。(具体的な数字までは知らないが)。

 

例えは小学校の図工の授業中に、発達障害の児童が彫刻刀で他の児童を刺すと言う事件があった。この事件以降、その小学校では彫刻刀は授業が終わると学校で預かることになった。

 

このような衝動性がもし何らかの向精神薬で抑えることができ、他の児童と一緒に授業を受けられるようになるのなら、その児童の将来は(その治療をしないよりは)かなり良いものになる可能性が高い。

 

つまりこのような時も、向精神薬の必要性は相対的なものだ。(社会的なものが関与する)

 

例えば、過去ログにプレッパーズ~世界滅亡に備える人々~ という記事がある。このような生活なら、エビリファイもコンサータも必要ない。

 

同じ教室に彫刻刀でうっかり他の子を刺してしまうような子がいるのなら、他の子の父兄から苦情が出る。

 

だから、こんな副作用が出る薬を次々と発売するなんて、というのは、自分の子供ないし家族しか見ていない独りよがりな苦情だと思う。

 

また精神医学的な視点で、子供たちの忍容性は多様なので選択肢が多いことは、結果的により副作用の少ない薬を選べると言う点でメリットが多い。副作用の有害性が前提になっているから、このような妙な話になるのである。

 

服薬が必要なレベルの子供を治療も受けさせずに登校させるのは、周囲に相当なストレスを強いる。このようなことも、その家族の視野狭窄な点の1つである。このようなことから、多くの精神疾患の中でも自閉性スペクトラムはかなりホモジニアスな疾患群のように精神科医からは見える。それは、遺伝率や家族集積率を見てもそうである。

 

過去ログにアルファベットの単語が憶えにくい という記事がある。この中に出てくる子は他の子供に迷惑をかける状況にないが、親と子供の視点で同じようなことを記載している。

 

参考

長嶺敬彦「抗精神病薬の「身体副作用」がわかる」の感想

人生として成立していないほどの精神状態

 

 

 

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2017-02-23 01:50:02

成人ADHD患者における併存障害(イーライリリー社のパンフレットから)

テーマ:広汎性発達障害、アスペルガー症候群 

 

上はイーライリリー社のADHDに関するパンフレット。これは、「さまざまな精神疾患はADHDが隠れているかもしれない」と注意喚起するもの。なお、この資料は2016年12月とあるので、まだ最近のパンフレットである。

 

上は表紙、1ページ目だが一番下の辺りに、成人期ADHD実臨床における診断プロセス(監修:埼玉医科大学名誉学長 山内俊雄先生/東京都立小児総合医療センター顧問 市川宏伸先生)とクレジットされている。

 

 

これはADHDの人たちがどのような経過で精神疾患を合併するか、イラストで紹介されている。(このページの最後の辺りに出典が記載されている)。

 

今日の記事はこの3ページ目を参考にしてほしかったのでアップしている。このようなパンフレットだが、背景にADHDがあると思われる患者さんに渡すと、皆、妙に納得する。(ここが統合失調症との大きな相違)。

 

上にあるように(下の段)、成人ADHDの患者さんの併存障害(海外データ)は、特にうつ病と不安障害が多い。

 

 

最後のページの出典は2ページ目と同じである。寺田浩ほか(臨床精神薬理、2014年)

 

 

 

 

 

 

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2017-01-09 12:16:47

強迫性障害の緊張状態を示す所見

テーマ:広汎性発達障害、アスペルガー症候群 

今回の記事は必ずしも広汎性発達障害に直接関係するものではないが、テーマと無関係ではないし、ここに記載することで目に触れることが多いのでこのテーマとしている。

 

冬場、ほぼ裸、例えばふんどし姿で非常に冷たい川や海に飛び込む行事がある。日本の伝統的行事である。

 

もうかなり前になるが、浦和レッズが最終節、アルビレックス新潟で戦った際に、応援のサポータの一団(相当な数)が一糸乱れず上半身裸で応援していた。小雪が降っている新潟である。(その試合、勝ったものの、優勝は成らなかった。自力ではなく最低限勝たないと権利がなかったためである)。サポーターのリーダーは裸になれない人は、ここに来ないでほしいと言っていたと言う。

 

また、過去にヴァンフォーレ甲府が柏レイソルと入れ替え戦をホーム&アウェーで戦ったことがある。当時、まだ若いバレー選手がいて2戦を勝ち抜いて初めて昇格を決めた年である。この試合、ホームの小瀬のスタジアムは大変な寒さだったが、一部の柏レイソルのサポータは全裸だった。(その光景から裸族と命名される)。

 

しかも、その日、小瀬スタジアムが停電になったのである。復旧に時間がかかり(一般に、スタジアムの点灯はすぐにはできないらしい。その日初めて知った)。その間、どうしているかと思ったら、裸のまま彼らは待っていたのである。延長でもないのに、テレビで掲示される試合時間が120分を超えていた。

 

その日のヴァンフォーレ甲府の実況では、「柏のサポーターが死んでしまう」という声が出た。それほどの時間、空白が生じたのである。(試合後、甲府の大木監督から謝罪の言葉が出たほど)

 

浦和レッズもそうだが、柏レイソルのサポータが、いかにその試合にかけていたかがわかる。

 

彼らがほぼ全裸で応援していたとしても、たぶん確率ほどは風邪をひかないと思われる。それはそれほどの緊張状態だからである。(もちろん後で熱を出す人もいるとは思うが)。

 

ここからが今日の主題だが、

 

強迫性障害由来の裸になってしまう病態では、裸になっても風邪もひかない。しかし、強迫性障害が改善し始め、ゆるくなってくると容易に風邪をひいてしまうのである。

 

これは意外ではなく、この疾患は、あるいは人間の体は、たぶんそういう風になっているのである。

 

参考

統合失調症と痛みの感覚

 

 

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2016-05-28 12:30:05

いつの間にか家族3人を診ていたこと

テーマ:広汎性発達障害、アスペルガー症候群 
リエゾンに出かけたとき、その病院の看護師さんから、自分の家族をぜひ見てほしいといわれることがある。そのような際に、本当にかかりたいなら自分の病院に初診し、院長に診察を受けたいと受付で言うように伝える。

今回はそういうパターンではない話。あるとき、3名の外来患者が家族なのを発見。なぜわからなかったかというと、苗字が違うことと、それぞれの患者がそのことを伝えなかったこと、その3名が一緒に来院したことが一度もなかったことなどによる。

そのことを聴き3名のカルテを調べてみると興味深いことに気付いた。その3名は、特異体質といえるほど向精神薬に対し著しく過敏、あるいは奇異な反応を示すのである。

ある若い女性患者さんは、最初動悸があり内科を受診したらしい。ところが、内科的には異常が認められず、デパスとジェイゾロフトをその内科医から処方されている。生活歴や性格などを聴いたところ、内向的で考え始めると考え込んでしまう、コーヒーの摂取が多いという話くらいで、とりわけ特別なことはなかった。

その患者さんの症状からすると、ジェイゾロフト25㎎+デパス0.5㎎はやりすぎだと思ったが、既に服用し始めていたというので、そのまま服薬し、ジェイゾロフトは半分でも十分ではないかと助言した。その際に偶然、レスキューレメディーを勧めている。最初に自分に初診していたら、最初からジェイゾロフトなど処方しない。デパスももちろんである。その後、動悸が著しく減ったという話で、ジェイゾロフトも半錠で十分だったようである。

また、本人によると、レスキューレメディーで歯ぎしりが減少し、朝起きた時の顎の痛みが激減したという。歯ぎしりが減った理由だが、必ずしもレスキューレメディーではなく、ほかの薬が関与していると思うかもしれないが、彼女はしばらく西洋薬を休んでいることもあるので、レスキューレディーにより改善した可能性が高い。そもそも、デパスはともかく、ジェイゾロフトは歯ぎしりには効きそうにない。

その後、メイラックスやらラミクタールなどをいろいろ試みたが、結局以下の薬で落ちついている。

ジェイゾロフト 12.5㎎(3日に1度服薬)
およびレスキューレメディー


彼女は通院初期に、過食嘔吐が消失してしまったが、これはジェイゾロフトが関与している可能性が高い。彼女はたぶん、ジェイゾロフトはかなり合っていたんだと思われる。

彼女の母親は最初内科医院に、高血圧と不安感で初診したところ、降圧剤、サインバルタ20㎎が処方されたという。この当時、内科医院でサインバルタを、この程度のうつでもなんでもないような人に処方するのは、前衛的な内科医だと思った。

その結果だが、サインバルタを飲んだ直後、酷い胸痛が起こり救急車を呼んだらしい。これは珍しい反応だが、精神科医からするとありうる反応である。その理由は、そもそもこの人にサインバルタを20㎎も処方する根拠が希薄なうえ、忍容性が低い家系というのもある。

この女性患者さんは、リボトリール0.5㎎の半錠も、リフレックス半錠も重すぎて使えなかった。一時、ツムラ柴胡加竜骨牡蛎湯やセディールなどの温和な薬を使っていたが、思わしくなかった。彼女によると、セディールを1錠飲んだだけで、頭がふらふらし、いつの間にかどこかに歩いていてしまっているという。それに比べると、副作用がほぼない柴胡加竜骨牡蛎湯の方がまだマシだった。

さて、彼女は結局何が良かったのでしょう?

これがわかった人は天才だと思う。彼女の精神科のすべての症状は、ベルソムラの10㎎で全面解決したのである。今、ベルソムラ半錠を90日分ずつもらいに来ている。ベルソムラは彼女の(何も飲まなくても常に生じていたフラフラ感、体幹のバランスを崩す感じ)を消失させた。彼女の場合、ベルソムラの少量で必要かつ十分なのである。そして血圧も服薬なしで正常化したのであった。

もう1名は、3人のうちおそらく最初に初診した男性である。不安神経症のような症状だったが、ごまかしつつ、レスキューレメディー(スプレー)だけ服用させていた。これは上記の2名のことは知らなかったわけで、初診時の判断である。

彼はレスキューレメディーが恐ろしく効き、その後、3年くらいはそれでよかった。自営業で個人で仕事をしているらしく収入的には問題はないようであった。また、レスキューレメディーを買って飲むように伝えただけだが、律儀にも2か月ごとくらいに診察を受けに来ていた。話すことなどほとんどないのにである。

彼は外来で診ていると、一時もじっとしておらずひらひらといった無駄な動きが多い。背景にADHD的なものがあると感じていたが、だからといって、それを告知したり、注意喚起はしなかった(当時、ストラテラ、コンサータは承認されておらず、また使えたとしても症状的にそこまで踏み込むレベルではなかった)

ある時期、よくわからない理由で悪化が見られ、不安症状と焦燥が悪化した。僕はリボトリール0.5㎎とレスキューレメディーを併用して使うように伝えた。彼はリボトリールは問題なく服用でき効果もみられたが、あまり増やせるような感じでもなかった。

そして更に5年くらいが経過した。彼ら3人の自宅は病院から40㎞は離れているはずで、なぜ全て自分の患者になったのか謎である。(いつも自分が初診を診るわけではないので)

あるとき、仕事に支障をきたすほどの悪化が診られたのである。しかし入院させるほどではなかった。彼には未だにレスキューレメディー以外の向精神薬はリボトリールしか処方していなかった。

そこで思い切って清水の舞台から飛び降りる気持ちで、レクサプロの半錠(つまり5㎎)を勧めてみたのである。彼の本質はよくわからない不安と動揺であり、レクサプロは悪くない選択だと思う。これは忍容性の低さも勘案している。

結果だが、レクサプロは良かったのである。しかし5㎎でさえ、けっこう眠いらしい。彼によると、眠いが、集中力が出るので仕事はかえってしやすいという。

なんという奇妙な感想であろう。

彼らがバラバラに来ていなかったら、試みる薬の順序が多少変わったかも?とは思う。しかし、結果は同じだったような気が非常にする。

彼らを診ると、向精神薬は相対的なものなのがよくわかる。つまり個人差が大きい。

(今回の記事はなぜか「広汎性発達障害」のカテゴリーに入れられています。奇妙に思われる理由ですが、実は男性患者は、ADHDを十分に疑わせる決定的な所見があり、その部分をブログで記載していないためです)

(おわり)
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2016-05-25 23:20:23

「悲観的な予測をする傾向 」の補足

テーマ:広汎性発達障害、アスペルガー症候群 
先日「悲観的な予測をする傾向 」という記事をアップしたところ、偏見だとか、反原発とは関係がないのでは?という意見がいくつか出ている。個人的に言えば、想像力の乏しさや科学的(ここでは精神医学的)に物事を捉える姿勢の欠落から、このような意見が出て来ると考えている。

これはちょうど、サッカーのあの記事で述べられた反論と同じである。(「ワールドカップ2014、ドイツ優勝」および スアレスのハンド(ウルグアイvsガーナ)

長々と書いても、水掛け論のようになるだけなので、ここでは多くは書かないが、ある精神科医の興味深い記事を見つけたので参考にしてほしい。

堀有伸(精神科医)
反原発運動と反精神医学の記憶


この記事では広汎性発達障害などは一切出てこないし、自分の記事とは異なる精神科医の視点から見た記事であるが、反精神医学の問題点と反原発運動のベースに似た心性があることを指摘しているのは非常に興味深い。(エビデンス・ベースドの発想の欠落、経済効率への配慮のなさ、現実問題からの遊離)

結局、反精神医学にしても反原発にしても、我々(医師)が診ている膨大なN数を考慮していない。特に反精神医学の人々はそうである。

上の堀先生のはてなブックマークにも、「この2つをリンケージすることにアホを感じる」などのコメントがついている。

また、堀先生の記事の最後のあたりに、

「私のこのようなスタンスも、厳格な反原発の立場の人からは、「放射線の直接的な健康被害を軽視して、地元の人に被ばくを強いている非人間的な医者」ということになるのだと思います。

と記載されている。これも前回の「悲観的な予測をする傾向」の記事で付けられた批判的コメントに似ている。

どこの国でもそうだが、行政にかかわる人々に少なからず「反精神医学的」発想を持つ人々がいて、実際に沿わない、あるいは効率的ではないルールを作ることがある。これらはいつか各国の実情を挙げ、詳細をアップしたい。

この4月から実施された向精神薬2剤制限は、まさに反精神医学的発想が入り込んだ施策のようにみえる。

その理由は、今後、困る人をまったく配慮していないし、多剤から脱出できない入院患者の地域への復帰も阻むこれまでの精神医療行政とは矛盾したルールになっているからである。

(おわり)
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