『代替医療のトリック』を読んで | 春月の『ちょこっと健康術』

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おはようございます ニコニコ


購入から半年近く放置してた↓こちらの本、『代替医療のトリック』(新潮社)、ようやく読み終えましたー。ほかに読むべき本もあったので、ついつい後回しになってたんですが。


代替医療のトリック/サイモン シン
 ¥2,520 Amazon.co.jp


すでにお読みになった方もいらっしゃるかと思います。いつだったか、代替医療師Vanilla さんも取り上げてらしたような…?彼女なら、こういう本は必ず目を通されてることでしょう。


素粒子物理学博士であり、科学ジャーナリストのサイモン・シン氏と、物理学博士であり、英エクセター大学代替医療学部を創設に関わり、代替医療研究を続けるエツァート・エルンスト氏の共著。翻訳は、理学博士の青木薫氏。


補完代替医療(CAM:Complimentary and Alternative Medicine)が、「病気の治療として効果があるのか、科学的に検証した」というもの。つまり、EBM(Evidence Based Medicine)と言えるのかどうか、調べたってことですね。


実験と観察の結果が論文として報告されたものを調査して、代替医療に対する科学的な評価を示すことが、この本の目的であって、決して代替医療をこきおろすことではないようですが、結果的に相当こきおろしてますね。ええ、それはもう、ばっさりと(笑)。


代替医療には、「高額な治療費」を払うだけの科学的根拠はみられないし、効果があるとしてもプラセボ以上のものはないと、ほとんどの代替医療に対して結論づけております。手厳しいもんです。


たとえば、鍼(はり)に対して、1979年と2003年のWHO(世界保健機構)の報告には虚偽誇張があると言います。それは、ずさんな臨床試験の結果まで考慮に入れた結果であると。そのWHOの見解は、鍼灸界じゃ喜び勇んでPRに使ってるものですからねぇ、困りましたねぇ…(笑)。


鍼については、1章を費やしていて、「質の高い研究だけに限って行われた信頼できる系統的レビューから、幅広い病気について、鍼はプラセボを上回る効果がないことが示された。したがって、鍼治療院の宣伝を目にしても、実際には効果はないと思ってよい。ただし、いくつかの痛みや吐き気には効く可能性がある。」とあります。


さ~て、鍼灸師としては、ここで反論できなければいけませんよねぇ。まぁ、いろいろとあるにはあるんですが、科学的な証拠と言われてしまうと、実際むずかしいものがあります。何しろ、経絡 の存在が科学的に実証できてないですからね。


私自身の経験から、経絡も確かにあると思ってますけど、現代の科学では説明できない。人のからだの反応は複雑で、いまだに解明できてないことがたくさんある。つまり、経絡を説明できるほど、科学は進んでないって、言えるんじゃないかしら?


経絡に関しては、「脳脊髄液って何? どこを流れてるの?」 でご紹介した橋本一成先生は、『解剖学の抜け穴』の中で、末梢神経の神経周膜の働きがその一翼を担っているんじゃないかと示唆されています。確かに、経絡の走行と末梢神経の走行は、重なってる部分がけっこうありますけどね。


「表皮細胞は第三の脳?」 では、傳田光洋先生の表皮細胞自体がセンサーの働きを持ってるかも?という話をお届けして、もしかするとツボ経絡が説明できるようになるかもしれない…なんてことを書きました。


あるいは、内臓求心性神経があるんだから、皮膚からも自律神経の求心性線維があったって不思議じゃないと思うので、もしかしたら自律神経が経絡かも?なんてことも考えます。


また、大脳生理学の研究がもっと進めば、もっともっと違う見解も出てくる可能性は大です。第一、プラセボ効果そのものが、ものすごい治癒起点なのかもしれないじゃないですか?


実は、ダン・ブラウンの『ロスト・シンボル』を読み始めたところなんですが、今回は純粋知性科学が取り上げられています。純粋知性科学というのは、人の意識や精神にも質量があると考えるもの。


研究所としては、アメリカのIONS(Institute of Noetic Sciences) が有名で、ヒーリングの研究はされてるようですが、はどうなんだろう?精神活動に質量があるならば、にも質量があって、測れるかもしれませんよね?


『代替医療のトリック』、読んで不快な思いをされる方もいらっしゃるかもしれませんが、代替医療に関わっている方なら、一応目を通されたほうがいいかもしれません。医学の歴史も垣間見れてけっこうおもしろかったですし、自分のやっていることを客観的に見ることもできますからね。


一天一笑、今日もいい1日にしましょう。


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